日本の将来の為に、自民党は解党すべき - 松本徹三

2009年12月24日 06:57

池田先生の議論と重複しますが、別の観点から一言。

自民党が発表した新運動方針は、現在の民主党のやり方を批判した上で、「保守主義」と「民主制」を二本柱として選挙戦に挑もうとしていますが、「この運動方針の下で頑張れば自民党が参院選で勝てる」と信じる人は、殆どいないのではないでしょうか? 従って、「櫛の歯が欠けていくような離党」は、今後とも続くでしょう。


舛添さんは、この運動方針の発表後すぐに記者会見をして、お膝元から執行部を痛烈に批判し、「小沢氏以上の独裁者がいなければ参院選には勝てない」とぶち上げましたが、「それでは、舛添さんに全権を委任すれば勝てるのか」と問われれば、「その通り」と答える人は、これまた殆どいないでしょう。つまり、民主党の失点が現状の更に10倍位まで膨らまない限り、「自民党の復活」はもうありえないと思われるのです。

それならば、自民党はこの際むしろ積極的に解党し、それぞれに旗幟を鮮明にした幾つかの小政党に分れておいた方が、「民主党には失望したが、かといって、また自民党支持に戻る気にはなれない」多くの国民にとっても、出口が見えないままに将来を模索している現在の自民党の各議員にとっても、何らかのチャンスが訪れる可能性があるのではないでしょうか?

民主党における小沢支配体制は、民主党が来年7月の参院選に全てを賭けている現状が変わらない限り、もはや揺ぎ無く、その支配力は更に雪だるま式に増殖していくだろうと思われます。彼が、首相などという厄介なものになる積りはなく、「実質的に日本の全ての政策をコントロールする立場につくこと」を目標としているのは、先ず間違いないでしょう。

(コリア・レポートの辺真一さんは、数日前のテレビ番組でこのあたりの事を聞かれ、「北朝鮮の首相が誰で、何を考えているかなど、世界中の誰も気にしていません。同じように、小沢さんが金正日同様の権力者であることは、韓国では誰もが理解していますが、それに対して別に何の違和感も持っていませんよ」と、事もなげにコメントしていました。)

問題は、彼がこの国をどうしたいかです。

彼の「傲慢不遜」とも受け取られるような言動には、多くの人達が反発していますが、彼とて、一人の政治家として国の事を懸命に考えている事は間違いないと思われ、選挙や政局運営の駆け引きなどは、その為の手段でしかない筈です。彼がひそかに抱いている筈の「国の将来のあり姿」は、非常に危険なものかも知れませんが、或いは、意外に健全なものなのかもしれません。要するに、現状では誰にもよくわからないのです。

はっきりしている事は、参院選に勝った後の民主党が、「親小沢」と「反小沢」に、多かれ少なかれ色分けされていくだろうという事です。その時点では、「選挙に勝つため」という錦の御旗がなくなるので、全ては政策論争になり、小沢さんも自らの考える政策を強く打ち出してくるだろうし、それに対する反発も当然生まれるでしょう。

この時に、現在の自民党の議員達が手頃なサイズの幾つかの政党に分かれていたら、「分裂含み」の民主党の各勢力は、それぞれに、その中のどの政党を取り込むかを考え、色々な形での「合従連合」が試みられるでしょう。つまり、古代中国の「春秋・戦国時代」のような状況が生まれる可能性があるのです。

これを考えるなら、自民党の議員諸氏は、先の選挙での「みんなの党」の健闘に学び、それぞれに「明快で特徴のある政策」を掲げ、「来るべき選挙」と、その後に来るかもしれない「政局の大変動」に備えるべきです。

分裂は大掛かりであればある程よいと思います。何故なら、各党は見分不相応の野望は持たず、「或る程度の数の当選者を確保できれば良い(政権に関与するためには、どうせ民主党内の一勢力と組むしかないのだから)」と考えて、「同一選挙区内での、各党の食い合いだけは絶対に回避する」という共通の戦略のもとに、緊密に連携する事が可能になるからです。

(大きな「保守本流」の塊が残ると、ここに「造反組を懲らしめる」という力学が働き、「旧自民党議員間の骨肉相食む叩きあい」という事態が生じる恐れが大となります。)

ところで、自民党の新運動方針案の中で特に気になるのは「保守主義」という言葉です。今後の選挙を左右することになるだろう「都市部の浮動票」は、「保守主義」というような言葉に、果たして鼓舞されるでしょうか? 

自民党は、今回の運動方針を決めるにあたり、「保守主義」を「人間の良心と誇りに期待する行動規範」と定義していますが、先ず、第一に、「そういう行動規範を『保守主義』という言葉で表現する事が妥当かどうか?(人間の良心と誇りに期待する限り、何も変えようとすべきではないのか? 革新的な考えを持った人は、人間の良心と誇りには期待してはいけないのか?)」という問題がありますし、第二に、「有権者は、こんな『当たり前で抽象的な言葉』に惹かれるのだろうか?」という問題があります。

そもそも、英国では保守党(Conservative Party)と労働党(Labor Party) の二大政党時代が長く続き、「保守党の政策は『保守主義』に基づく」という一般概念が多くの人達に共有されているようですが、かつてのサッチャー首相が導入した経済政策などは、どう考えても、一般の日本人が持っている「保守主義」の語感にはそぐいません。

日本では、長い間、「自由経済」を信奉する人達は「保守」であり、「社会主義」を標榜する人達は「革新」であると色分けされてきましたが、本来は「組合員の権利を守る」ことを目標とする「労働組合」などこそが、最も典型的な「保守」であり、「改革開放政策の徹底により、カオスの中から最適解を見出していこう」等という考えは、「保守」の対極にあるものだと解釈する方が自然ではないでしょうか?

長年の自民党の「馴れ合い金権政治」に愛想を尽かした国民が、「チェンジ」を求め、今も尚求めているのは間違いありません。だからこそ、「チェンジ」の旗印を掲げた民主党が、あれほどの支離滅裂さを内包しながらも、先の衆院選で圧勝したのです。「チェンジ」は「革新」であり、明らかに「保守」ではありません。自民党から飛び出していく人達は、間違っても「保守」などという旗印を掲げる事はせず、「何をどう変えるか」を明確に示して、選挙に臨んで欲しいものです。

松本徹三

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