2009年ウェブの最大ニュースはマーク・アンドリーセン - 渡部薫

2009年12月31日 17:28

2009年、僕が選ぶウェブでの最大のニュースはApple iPhone、話題のTwitterやFacebookでもなく、またGoogle、Microsoft、Amazonでもなく、あのネットスケープブラウザの開発者で知られるマーク・アンドリーセンを選出したい。

今年多くの話題はやはりiPhoneやGoogle、Twitterなどで占められていたが、未来を予感させる動きとして、マーク・アドリーセンが何をしたか、そして何をしようとしているか紹介したいと思う。


2009年はまずiPhoneに代表されるスマートフォン、モバイルインターネット時代が本格的に花開き、Twitterはまさにモバイルインターネットの申し子として爆発的な普及をしている。Googleはリアルタイム検索に力を入れ、モバイル広告を成長戦略に上げる。Androidは来年から本格的にリリースされ、世界中のモバイルキャリアやメーカー、そしてユーザの期待度も高い。AmazonはKindleでの電子書籍販売というビジネスモデルを確立し、AWS(Amazon Web Service)クラウドコンピューティングは飛躍の年を迎えようとしている。
そんな輝かしいニュースや動きの中でマーク・アンドリーセンである。

マーク・アンドリーセンを知らない人もいるかもしれないので、少し紹介すると、彼は最初のウェブブラウザ Mosaicを開発し、そのあとあのネットスケープを創業する。ブラウザ戦争ではマイクロソフトに破れたが、あれから約10年経った今、Facebookの取締役を兼任し、自身のファンドを通してeBayからSkype創業者のニコラスと共にSkypeを買い戻し、新しいコンセプトのソーシャルブラウザの開発するためRockmeltを立ち上げた。

この動きから推測するにあたり、以下のキーポイントを整理しておく。

・Facebookは3億5000万人を超えるユーザを抱える世界最大のソーシャルグラフ
 →日本ではTwitterの影に隠れているが、真の王者はFacebookである。

・eBayはSkypeを手放し、マーク・アンドリーセンが手に入れる
 →ウェブがPCからモバイルに完全に移行しているのは周知の事実。AppleやGoogleの動きを見れば一目瞭然だろう。いわゆる携帯電話はデータ中心のモバイルインターネット時代に突入し、電話ではなくリアルタイムコミュニケーション(音声、メッセージ、フィード)に変わる。

・ソーシャルブラウザ、それは新しいモバイルインターネット時代のブラウザ
 →マーク・アンドリーセンが開発するブラウザはモバイルIEでもモバイルFireFoxでも、モバイルSafariでも、Chromeでもない。それはブラウザを超えたFacebookウェブである。

マーク・アンドリーセン、マーク・ザッカーバーグ、ニコラス・センストロムの3人の組み合わせは、Facebook、Social Browser、Skype、という真のモバイルインターネット時代のウェブの未来を垣間見せる。

その未来の世界はFacebook Webであり、Webを社会基盤とし、そこで生活する人々、経済活動する人々の基盤となるだろう。
大げさに言えば、マイノリティ・リポートで見せた未来世界の一部がこの組み合わせで実現できてしまうだろう。

さて、残念ながら今の日本にこのようなビジョンを描けるようなウェブ企業は存在しない。梅田望夫氏ではないが、今の日本のウェブは残念だ。まったく幼稚で特にオールド世代(45歳~60歳)の経営層にいる人たちは絶望的なくらいウェブリテラシーが低い。また大企業の組織は、もはや脳死状態であり、ウェブというフロンティアで生き残ることはできないだろう。さらにこの世代が最大のガンであるのは、それ以上の歳の人たちはウェブのイノベーションには無関心だが、オールド世代は直接の脅威と捉え、若い世代のイノベーションをつぶす力を持っているからだ。しかし日本にも希望があり、このアゴラの読者や起業を目指している多くの若い力が存在するのも事実であり、70年代、80年代生まれの人たちがきっと立ち上がってくれるだろう。楽天、サイバーエージェント、mixi、GREEを筆頭に彼らの周りにいるエンジニアや投資家は常にチャンスを狙っている。この世代がもう少し資金と経営決裁権を持てるようになれば日本のウェブもだいぶ変わるだろう。2010年ウェブはますますグローバルなコミュニケーションの場として広がるのだからオールド世代に出番はない。

というわけで、マーク・アンドリーセンがどのようなブラウザを設計するのか、Facebookがどのようなウェブを作り上げていくのかiPhoneやAndroid以上に興味のあるところだ。この予想のつかないエキサイティングな未来を今年最大のニュースにしたい。

Googleがウェブをもう一つの地球としてマスタープランを描き、クラウドコンピューティングとChrome OSを推進する中で、Facebookはウェブをもう一つの地球として捉え、そこに新しい社会基盤、すなわちウェブ国家を構築していくという戦略の違いが鮮明に見えるではないか。

起業家 渡部薫
RainbowAppsプロデューサー
Search “kaoru watanabe” on Facebook、Twitter、LinkedIn

※追記
ここでいうオールド世代(45~60歳)は一般的な範囲で、もちろんこの世代でもITとウェブセンスのいい人たちはたくさん存在する。いわゆるITを駆使した知的生産性が低い人たちを指し、ウェブイノベーションを受け入れないばかりか、それに恐怖する人たちである。恐怖に対抗する唯一の手段が見て見ぬ振りをすることだからだ。

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