Google 人類史上最も重要なエネルギー企業になる(かも)- 渡部薫

2010年01月08日 21:03

「米グーグル、エネルギー事業への本格参入に向けて認可を申請」というニュース池田信夫氏のTwitterから流れて来た。

昨年末に、2009年ウェブの最大のニュースはマーク・アンドリーセンとしたが、2010年ウェブの最初で最大のニュースはGoogleエネルギー企業になる、にしよう。

Google がエネルギー企業になる予感は、2006、2007年頃からあった。このころから本格的に始まったクラウドコンピューティング化によって、Googleの事業戦略上最も重要なことは、検索技術開発でもなく、広告でもなく、AndroidでもChromeでもなく、エネルギーの確保になった。(※ Googleにとって技術開発は命であり引き続き最重要である)


有名な話では、Googleのデータセンター運営コストの7割くらいは電気代だということで、ここ数年Googleのデータセンターは電力発電所の近くか、電力を極力安く卸してくれる地域に建設されている。また2006、 2007年頃米国のロサンゼルスでは電力不足に陥り、インテルの工場に電気が送られないなどIT企業にとって致命的とも言える事態も起こっていた。 Googleにとって自分たちの電力を安定確保しなければ、事業を拡大する上で電力不足が唯一の障害になる事が明らかだった。2004年に GoogleがIPOしてからGoogleにはあらゆる企業が羨む資本(資金)と優秀なエンジニアが集まり、ウェブサービスも順調に拡大していた。

Gmail を始めとする今でいうGoogle Appsという検索以外のクラウドコンピューティング化を加速させたのもこの時期からだろう。そしてこれまでの常識では想像できないような巨大なデータセンターを建造していくことになる。データセンターに関しては徹底した秘密主義を通していたGoogleだが、最近ではその情報も出始めた。現在のデータセンターは第5世代まで進化したようだが、第4世代のコンテナ型データセンターの紹介ビデオがここにあるのでその規模の大きさや技術について知るにはちょうどいいだろう。
(ちなみにある資料によれば2009年の段階でGoogleは300万台以上のサーバを保有しているらしい。2008年度の日本のサーバ出荷台数が55万台なのでいかにすごい台数かわかるというものだ)

これを見るとわかると思うが、もはやGoogleにとって事業拡大の障害というのは「電力の確保」でしかない。資金も人的リソースも無限に手に入れられるGoogleでも、データセンターを運営するための電気を無限に手に入れることはできないのだ。

そして必然的にGoogleの事業戦略はインターネットやウェブから電力の確保というエネルギー戦略に移行していくことになる。
Googleは以下のような取り組みを始めた。

・データセンターの電力消費量の最適化(電気エネルギーをかぎりなく100%CPUに使うこと)
・一般家庭の電力消費量を見える化し、無駄な電力消費を抑えようとスマートメーターを開発
・非効率な電力送電網を次世代送電網に換えるスマートグリッド構想(オバマ政権の元で推進中)
・電力発電所の側にデータセンターを構築し送電ロスと電力消費の効率化を図る
・グリーンエネルギー開発に乗り出し、化石燃料以外の自然エネルギーを推進する

などだ。
これらを並べてみるとGoogleはグリーンエネルギー推進企業で、地球にやさしいエコ企業に見えるが本質はそうではない。極論すると単に自分たちがエネルギーをほしいだけだ。大半のエネルギーは化石燃料から作られるので、今のうちからエネルギー確保をしておきたいだけである。

なぜなら、世界のあらゆる産業は今後もっとすさまじい勢いでコンピュータパワーを必要とするからだ。これはクラウドコンピューティングパワーと言っていい。スマートフォン化が進めば進むほど、クラウド側でアプリケーションや情報処理をしなければならない。医療やバイオ、ゲノムが進めば進むほど膨大なデータをクラウドで処理しなければならない。あらゆる家電製品、自動車、金融システムは今では想像もできないくらいのトランザクションとコンピュータパワーによる処理能力を求められる。メディアはグローバルに情報配信するようになりその主役はHDクオリティの動画となれば、その動画を処理し、世界中に配信するためのデータセンターのパワーはいくらあっても足りない。ダークサイドでいえば、戦争やテロもコンピュータパワーをベースにした対応が迫られるだろう。

このような世界がすでに見えているのであれば、Googleがエネルギー産業に参入するは安易に想像できるし、これからやろうとすることも見えてくる。
記事によればまず電力販売会社になるようだが、それはとっかかりに過ぎないだろう。まず最初にやりたいことは、あまりにも無駄が多すぎる送電システムの入れ替えと産業界で消費される電力の見える化だろう。これによって10~20%でも電力消費量が抑えられればその分Googleの使える電気が増える。

さらにエコとかグリーン運動が盛んになれば化石燃料から作られる電力を、その電力発電所の側になるGoogleデータセンターが独占できる(極論)。原子力発電などもひっそりとコンピュータパワーを作り出すための電力として建造されていくだろう。

次の段階はまさしくGoogleそのものがエネルギー企業になることだ。しかしそれは電力を作り出し、電気を売る企業ではなく、電気エネルギーをコンピュータパワーとして売る企業の姿である。そう、まさしくそのときにインターネットはエネルギーと融合されたエネルギーインターネットという新しいエネルギーを生み出すだろう。そして電気は送電の際にその多くを漏電(ロス)し、送電効率が悪いがコンピュータパワーに変換されれば、地球の裏側に送ってもロスはない。これが次世代インターネット網の破壊的イノベーションになるだろう。さらに電気はワイアレス(無線)で送る事が出来ない。しかしこれも電気がコンピュータパワーに変わった後はワイアレスブロードバンドで送る事ができる。そう、これがiPhoneやAndroidが目指しているモバイルインターネット(スマートフォンとクラウドコンピューティングがシームレスにつながった端末とその世界)である。

その世界の行き着く先は、極端に言えばこんな世界。電気エネルギーの移動コストが0になった世界だ。
その時Googleは人類史上最も重要なエネルギー企業として君臨しているかもしれない。(仮説)

ネオと同じく、みんな「そんなバカなっ!」と思ったかな~?
という未来が来ても、もう不思議じゃなくなって来た。

追記
併せてこの記事を読めばいかにGoogleがすごいかよくわかる。
グーグル? すごいとは思わないね。井上雅博ヤフー社長が漏らした本音

追記2
ほぼ100%言いたい事を理解してくれて、Twitterで要点を140文字以内にまとめてくれた方がいたので紹介。陰謀説とかコメントしているのは筋違い。高校生レベルの物理学の基礎知識があれば電流と電圧、電力の違いがわかるだろう。重要なのはここ↓

akoustam
発電所の隣に巨大なデータセンターを作って、電力消費最小のシンクライアントからクラウドで使いこなすことで、擬似的に「最小の送電損失で世界中に電力を供給する、しかもワイヤレスで。」という考え方か…良い勉強になった。

これに↑もう一つ付け加えるとすれば、この仕組みによって電気と同じくあらゆるプロダクトに最適なコンピュータパワーを送ることができるようになること。照明と電子レンジの消費電力が異なるのと同じこと。なぜ家電メーカーが多様な家電製品を作れるようになったかよく考えてみればわかる。

あとコンピュータパワーが電気に変わるわけではない。コンピュータパワーが電気の上位インフラになる可能性があるということ。

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起業家 渡部薫

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