市民セクターの閉鎖性-松本孝行

2010年02月03日 16:31

 年末に投稿しました、社会起業家の誤った認識に、たくさんの反応をいただきました。特に堀江貴文さんがブログに取り上げていただいたこともあり、社会起業家とは何か、社会起業家と言う生き方は是か非か、という議論が起こったように思います。

 それ自体、私は大変うれしかったのですが、残念なことに肝心の社会起業家や社会起業家支援者、NPOなどの反応があまり芳しくありませんでした。


 堀江さんや他のブロガーの方たちが社会起業家にネガティブな反応を示したことで、「IT起業家にはわかりっこない」とか「あいつらとは違うんだから放っておけ」という声も多く、社会起業家やそれを支援する市民セクターの人たちの内向きな反応は大変残念に思います。

 しかしこういった反応というのもある意味当然かもしれません。NPOについては特にそうですが、元々内向きな組織が大変多いのが特徴です。例えば、NPOを構成しているメンバーの所属を見てみると、面白い事実がわかります。内閣府のNPOホームページにある、市民活動団体の活動・組織運営等(PDF)を見てみます。

 例えば、一つの区市町村の区域内での活動しか行っていないという回答が54.7%と半数を超えています。これは日本のNPOや市民活動は非常に狭い範囲で行われている場合が多いことを指していると言えるでしょう。また、メンバーの個人宅や勤務先等に事務局を置いていると答えた割合が52.5%とこれも半数を超えています。市民活動というよりも、個人やサークル活動に近いと言えるかもしれません。

 そして面白いのがスタッフについてですが、常勤スタッフを全く抱えていないという回答が60.4%と6割を超えています。また、女性が多い団体が53.3%男性が多い団体が27.3%となっており、NPOなどの市民活動は女性が中心に行われているのです。

 一番面白いのが、年齢構成と職業です。年齢構成を見てみると、30代以下の常勤及び非常勤スタッフを抱えているNPO・市民団体は20%以下です。逆に60代以上のスタッフを抱えているNPO・市民団体は55.7%と半数以上となっています。職業を見ても、一番多いのが家事従事者で次が年金生活者・定年退職者と成っています。

 つまり、今の日本におけるNPOや市民活動団体の所属する市民セクターは小さな団体が乱立し、活動範囲を狭く設定し、そして老人と専業主婦によって構成されているのです。そんな市民セクターが今回のような社会起業家の議論に乗ってこないのはある意味当然なのでしょう。自分たちの仲良しグループ以外の活動には興味がない、そういうことなのかもしれません。

 アメリカでは700億ドルの規模を持つ基金、ビルアンドメリンダ財団がNGO・NPO、社会起業家に資金援助をしています。この基金は世界一の富豪であるビルゲイツが親・兄弟の勧めによって設立したものです。その後、ビルゲイツに継ぐ富豪のウォーレン・バフェットもこの基金に寄付を出しています。ビルゲイツが400億ドル、バフェットが300億ドル出してくれたおかげで、アメリカでは市民活動が活発です。

 藤田さんや堀江さんが言う「お金をたくさん儲けて、その後社会貢献に使う」という方向性はまさにこのビルアンドメリンダ財団と同じ方向性です。この考え方に反発して、どうして日本の社会起業家・NPOが活動を広げられるのでしょうか。NPOを初めとした、市民セクターの方々にはもっと広い視野を持って活動して頂きたい、そう願います。

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松本 孝行
セカンドチャンス 代表

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