バロンズ:低金利環境で、存在感を放つ銘柄とは?

今週のバロンズ誌、カバーに通信大手2社、AT&T VS ベライゾン・コミュニケーションズを取り上げる。AT&Tは2015年7月に衛星放送のディレクTVを660億ドルで買収、2016年10月にはメディア大手タイム・ワーナーを1,060億ドルで買収すると発表するなど、矢継ぎ早にコンテンツに軸点を置いたサービスの多様化を図った。かたやベライゾンは5Gに着目し、通信ビジネスでの成長を目指す。両者の戦略は売上で如実に表れ、ベライゾンではワイヤレス・サービス部門が売上の71%を占めるに対し、AT&Tは40%にとどまる。米国人10人中、9人が携帯電話サービスを契約するなかで、一体どちらが投資に値するのか。詳細は、本誌をご覧下さい。

当サイトが定点観測するアップ・アンド・ダウン・ウォール・ストリート、今週は低金利時代に利するセクターと、FRB理事に指名されたスティーブン・ムーア氏に焦点を当てる。抄訳は、以下の通り。

低金利で、配当銘柄は上昇も—Low Rates Could Boost Dividend Stocks.

本当に、TINAが帰ってきたのだろうか?歌姫ティナ・タ—ナーの話ではない。There Is No Alternative to stocks=”株以外の選択肢がない”状況を指し、足元の金利低下局面での強気相場で広がりつつある言葉だ。S&P500は1〜3月に13.07%高と2009年9月以来の上昇率を達成すると同時に、2018年クリスマス・イブまでの弱気相場から劇的な回復を遂げた。ナスダックも16.5%高と、2012年3月以来の好成績をあげている。

米株高は金利低下局面で発生したとはいえ、米10年債利回りが短期債利回りを下回る逆イールドが発生するなど、世界景気の減速懸念が強まりつつある。米10年債利回りは、米連邦公開市場委員会(FOMC)が据え置き姿勢を表明したこともあり、過去2四半期で65bpも低下。投資家は、米10年債利回りが3ヵ月物米財務省短期証券(Tビル)の利回りがを下回った動きに懸念を強めたものだ。

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(作成:My Big Apple NY)

ルーソールド・グループのジム・ポールセン首席投資ストラテジストによれば、過去10回の景気後退局面では財政引き締め策の予兆があったという。ただし現状の逆イールドは異例のケースにあたり、税制改革法による財政刺激を受けるなかで発生した。

米10年債利回りが2018年10月に3.25%でピークをつけてから低下をたどるなか、市場は配当銘柄に着目するに違いない——BMOキャピタル・マーケッツは、そう考える。1992年以降、米10年債利回りの低下局面で、ダウ・ジョーンズ高配当株式指数はS&P500を上回るリターンを遂げてきた。配当銘柄は米10年債利回りが12ヵ月平均を下回って低下する場合に最も力強いパフォーマンスを達成しており、現状がそれに当たるという。景気後退に陥らないのであれば、配当銘柄は狙い目と言えるだろう。

エコノミストが政治的かつ論理的な見解で一致することは、非常に稀だ。しかし現在、その貴重な機会が訪れている。左はポール・クルーグマン氏から右はグレゴリー・マンキュー氏まで、スティーブン・ムーア氏がFRB理事に就任するべきではないと論じているのだ。

スティーブン・ムーア氏はエコノミストではないものの、減税や規制緩和などサプライサイド経済学を支持する経済評論家で、保守系シンクタンクのヘリテージ・ファンデーションでシニア・フェローを務めていた。金融政策となると、ムーア氏の見解は足元で変化が見られる。例えば、ムーア氏はかつて量的緩和がインフレを引き起こすとし、反対の立場をとっていた。しかし、足元でムーア氏は現状の金融政策が引き締め過ぎにあるといい、トランプ大統領に同調しパウエルFRB議長は辞任すべきとの論陣を張る。最近では、ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)紙に寄稿し、金融政策はボルカー時代の1979〜87年に回帰し商品先物価格に連動すべきと主張、共同で寄稿したルイス・ウッドヒル氏は足元の金融政策はデフレを引き起こすと警鐘を鳴らす。

しかし、ワシントン・ポスト紙のキャサリン・ランペル記者が指摘したように、こうした主張は正しくない。個人消費支出(PCE)デフレーターはコアと含めてもデフレの予兆はみられず、コアPCEは前年同月比1.8%上昇、ヘッドラインは同1.4%上昇とインフレ目標値の2%を下回りつつ、プラス基調を保つ。商品先物価格をみれば、1〜3月期に14.8%上昇し2009年4〜6月期以来の高い伸びとなっている。また、ボルカー氏率いるFedのように、商品先物価格を採用した様子はみられない。そもそも、当のボルカー氏自身はかつて商品先物価格を連動させたとの見方を否定していた。とはいえムーア氏の考え方は、かつて同氏が勤務していたWSJ紙の編集委員から支持を受けている。

金融危機の真っ只中でFRB議長を務めたベン・バーナンキ氏は、自身のブログで「金融政策とは98%が対話(talk)で、2%が行動」と語った。ムーア氏は商品先物価格と金融政策の連動を主張するものの、商品先物価格が上昇したようにはインフレ期待は上向かず、国際決済銀行が指摘する通り賃金も高齢者ほど下落がみられる状況で、どのような行動に出るのか。FRB理事に就任すれば、その手腕が試されよう。

——ムーア氏に関して言えば、今年の投票メンバーであるセントルイス連銀のブラード総裁が既にこう発言しています「委員会は大きく、19名の委員が存在するため、1人の見解が支配的になることはない」。ドット・プロットで長期的見通しを提示せず、2017年からハト派の立場を貫き利上げした時を除きFF金利見通しを据え置き続け、Fedの金融政策を先取りしてきたブラード総裁の言葉を、市場はどう受け止めたのか。少なくとも、昔のような“風見鶏”的コメントでないことは確かでしょう。

(カバー写真:RosieTulips/Flickr)


編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2019年3月31日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。