バロンズ:米株高とオマハの賢人、その勢いは続くのか

バロンズ誌、今週のカバーはコロナ禍で学校再開を取り上げる。9月に入れば、全米約5,600万人の小学生から高校生までが新学期を迎える。一部は毎日通学し、一部は在宅を余儀なくされ、その他はリモートと通学を掛け合わせる見通しだ。ただ、学校再開のリスクは明確で、次の新型コロナウイルス感染拡大の中心地となりかねない。とはいえ、学校閉鎖のコストも大きいはずだ。学校は見過ごされがちだが、経済の重要な歯車の歯だ。

働く親には児童保護施設の側面を持ち、新学期セールなど小売業が頼る柱であり、且つ給食など食料供給の面で重要な役割を担う。コロナ禍でのリセッションはジョージワシントン大学のタラ・シンクレア教授いわく”学校閉鎖による景気後退”の一面があったが、今後の再開の手法がどのような影響を与えるのか。詳細は、本誌をご覧下さい。

当サイトが定点観測するアップ・アンド・ダウン・ストリート、今週は米株高のけん引役を紹介する。抄訳は、以下の通り。

カバー写真:Acumen_/Flickr

米株高の星はテクノロジー、テスラ、アップル―Tech, Tesla, and Apple Star as Stocks Keep Rising.

米株相場は険しい懸念の壁を上り続け、S&P500種株価指数は21日にコロナ禍以降で2回目の最高値更新を達成、新型コロナウイルス感染拡大に伴う経済活動の停止で3月までに52%急落したが、今では年初来で5.2%高という状況だ。

アップルやテスラなど最高値を更新する銘柄がけん引し、ナスダックは年初来で26.1%高を遂げ、アップルの時価総額は1対4の株式分割を発表する直前に2兆ドルを突破した。

一方で、ダウは年初来で2%安とアップルを抱えながらプラス圏を回復していない。金融、エネルギー、資本財銘柄を多く抱えるためだ。

米株相場と割高な米株銘柄は、経済動向と相関性が経たれたかのようだ。S&P500 の2020年予想株価収益率(PER)は26倍で、2021年の予想PERも21倍、2022年の予想PERも20倍だ。

ルーソールド・グループのジム・ポールセン主席投資ストラテジストは、割高でも投資家が正気を失ったわけではないと指摘する。確かに26倍は割高だが「米株のバリュエーションは過去の強気相場と変わらない」ためで、90年代や2000年初め、2009年頃も26倍だったという。また、ポールセン氏いわく「企業はパンデミックを受けてコストを急速に削減し効率を最大化させてきており、経済が回復すれば利益が急増する期待がある」という。

テスラ株は8月17日週に24%高を達成、2,094.98ドルと引け値の最高値を更新、時価総額は3,820億ドルに膨らんだ。そのテスラは、アップルと同じく8月31日に1対5の株式分割を行う。ウォール街のほとんどが418ドルで2020年の取引を開始したテスラ株の急騰を予想しなかったが、ジャナス・キャピタル・グループの元最高経営責任者(CEO)、ゲイリー・ブラック氏はテスラの株式分割を予想した一人だ。8,000人以上のフォロワーを有するブラック氏は、S&P500の構成銘柄組み入れを見込む。また、テスラ株の目標株価を2,350ドルから2,700ドルへ引き上げた。

チャート:S&P500

出所:Stockcharts

政策金利が向こう数年にわたって過去最低で推移し続ける見通しのなか、配当が確保される銘柄は投資家にリターンをもたらすだろう。金利以上の配当利回りを付与する銘柄であればなおさらで、低金利は力強い金融動向と配当の安定を意味する。コロンビア・フレクシブル・キャピタル・インカム・ファンドの共同マネージャーであるデビッド・キング氏は、イールド・ギャップが投資戦略に役立つと語る。同氏によれば「配当利回りが同社の社債利回りを上回る銘柄は、抗えないリスク/リワードの側面をもつ」という。必ずしもその銘柄がアウトパフォームするとは限らないが、効果的でリスクを抑制できるためだ。

例えば製薬大手ジョンソン・アンド・ジョンソン(J&J)の場合、配当利回りは2.7%と同社の10年物利回りの1%の2倍以上だ。キング氏によれば、こうしたイールド・ギャップは将来の増配に悲観的であることを示唆する。しかし、J&Jは年初から配当を6%引き上げ、過去5年間の配当利回りも6%だ。そのほか、メルクやファイザー、エディソン・インターナショナルも利回りは3%、4%、5%と高い。

ウォーレン・バフェット氏は8月30日で90歳になり、バークシャー・ハサウェイでの輝かしいキャリアは55年に及ぶ。同社は彼の子供であり、可能な限り率い続けていくのだろう。とはいえ、バフェット・プレミアムは消え、投資家は同氏の引退を予想する。バークシャー・ハサウェイのクラスA株価は31万1,000ドル付近だが、株価純資産倍率(PBR)は1.2倍程度だ。直近の1.1倍より改善したが、それでも過去数年平均の1.4倍を上回る。
エドワード・ジョーンズのアナリスト、ジェームズ・シャナハン氏は同社の投資判断を「買い」とし、しかも「今でも割安」と指摘、その理由として2021年の好業績を予想する。

足元で、投資家はバークシャー・ハサウェイの自社株買いに安心感を覚えている。4~6月期には51億ドルと、2019年全体分を上回った。7月もその流れを続け、20億ドルを下回らない水準にある。

アップルの株高も、バークシャー・ハサウェイ株を押し上げよう。バークシャー・ハサウェイの時価総額は1,200億ドルを超え、同社の自社株時価総額の25%を占める。

投資家はバフェット後を考えつつあり、バフェット氏自身は抵抗していたが、配当利回りは2%付近になると予想され、投資判断の「買い」を維持するだろう。ただ、もちろん営業効率の改善が進められるだろう。バフェット氏はリモートで開催された5月の株主総会で、バーリントン・ノーザン・サンタフェ・レイルロードや自動車保険会社ガイコの分割について、否定した。

しかし、バークシャー・ハサウェイの投資家は同意していない。ウェッジウッド・パートナーズのデビッド・ロルフ氏は「物言う投資家の圧力は圧倒的で、バフェット氏後のバークシャー・ハサウェイのコングロマリット自身の文化や構造が長きにわたり存続するかは、バフェット氏の後は不透明」と指摘する。今存在するリターンは、今後も続くかどうかは今後の体制次第だ。誰の脳裏にも「永続するものはない(Nothing lasts longer)」との言葉がちらついているのではないだろうか。


投資を巡る環境が目まぐるしく変わるだけに、オマハの賢人=ウォーレン・バフェット氏がいつも正しいとは言えないでしょう。しかも、インフレを含めずっと昔から投資を長く続けていればリターンが大きくなるのも頷けます。ただ、バフェット氏はアップルに長く投資しなかったように、自身が理解できない分野への投資は及び腰だった――現代の投資家は少なくともネットで検索すれば概略を理解でき、投資も円滑に進められるのでしょうが、果たしてどちらが正しい投資判断を下してきたのか。それは、ロビンフッドを含め様々な側面で理解できるのでしょう。


編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK –」2020年8月22日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。