一律10万円再給付しかないのだ!

中沢 良平

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二度目の緊急事態宣言で、再度の定額給付金を求める声があがっている。

10万円再給付は必要か?という議論があったが、やっぱり必要な人には必要だろう。

ただ、配ろうにも、一律給付の他に方法がないというのが現状ではないだろうか。

給付金はなぜ遅れに遅れたのか?

昨年春の定額給付金は、経済的打撃の大きい世帯に30万円を給付することが検討されていた。しかし、結果はそうはならず、政治的な配慮で全世帯に10万円の給付がなされた。ではこれが、支給対象を絞り込んで30万円給付になっていたら、給付できたのだろうか。

<新型コロナ>30万円給付、どの世帯対象 年収ベース、住民税非課税という記事の中では、当初は30万円支給時にどのように支給対象を絞り込むのかという手はずが書かれている。

Q 支給の手続きは。
A 源泉徴収票や給与明細書など収入を証明できる書類を添付して、自治体に郵送やオンラインなどで申請する必要があります。受給条件の手続きの詳細は、政府が総務省に設置した本部で詰めていきます。

一律給付でもあれだけ時間を要したのに、このような手続きは現実にできたのだろうか。

役所に勤めている知人が言うには、給付金の担当部門は、徹夜が続き疲労困ぱいだったと言う。私も某役所を訪れたとき、給付金の担当部署の部屋の前で、若手職員がアルバイトの女性に詰められているところを目撃した。若手職員も経験がないのでどうすればいいのかわからないのだろうが、あまりに若手職員の頼りなさに女性の怒りもよくわかった。

また、多くの家庭で、前年度に比べて収入が増えるという珍事も発生した。ほんとうに困っている人にお金も渡せない国なのだ。

定額給付金は予想外に手間取った。

10万円給付金に“時間差”の意外な理由」が示すように、さまざまな理由で、給付は遅れに遅れた。ネット申請の対応が追い付かず、申請は郵送のみになった自治体も多い。

日本の役所では、各個人と銀行口座が紐づいていない、所得の把握もできないということになっている。マイナンバーと預貯金口座を紐づけると監視社会になるのがいやだと言われて政府が引き下がった結果、こんな簡単なこともできなかったのだ。

一般市民が所得や財産を把握されて困るとはどういうことか?そういう人は税務署には把握されていても平気なのだろうか。

また、収入を把握することなく、とりあえず困っている人に申請させ無条件に給付、次回の確定申告時に収入減がなければ返納という「所得連動型現金給付」という手法もあるが、これも平時から考えておかないと導入は難しいだろう。

なぜ簡単なことができないのか?

かつて経済産業省が情報大航海プロジェクトと謳って、150億円もの投資が行われたが、役所はまったく情報化しなかった。日本は失われた30年で、ICTも後進国になったのだ。

口座の紐づけどころか、給付金のネット申請すら不可能だったことからも、それは明らかだ。

できない日本を生きるしかない

私たちは、先進国から滑り落ちようとしている日本を生きている。

給付金も手作業で配らなくてはならない日本。

給付金をはじめとした借金は、将来国民全員で負担していくことになるのだろう。それは個々人で防衛していくしかない。

19日の閣議後の記者会見で、麻生財務大臣は再給付をするつもりはないと明言したが、それでもやはり、ほんとうに困っている人に現金を届けるためにも、もはや一律10万円再給付しかないのだ。

中沢 良平