教員採用試験の倍率が過去最低:萩生田文科相は教育の成果をもっと誇るべき

2021年02月03日 06:00

コロナによって教育が変わろうとしています。GIGAスクール構想が最たるものです。でも、こういうのは、こんな緊急事態のどさくさに紛れてやるものなのかしら?と思います。日本の教育関係者は「流行と不易」という言葉が大好きですが、歪んだ学力低下論争のときを除いて「不易」はほとんど顧みられませんでした。

2019年度に実施した公立小学校の教員採用試験で、競争倍率は全国平均で2.7倍と過去最低だったことが発表されました。私の世代だと、教育学部なんて行って何になるの?と言われたくらい高倍率だったので、隔世の感があります。倍率よりも質が大事と言いますが、東京で言うと、学芸大学の学生が教員採用を避けるくらいなので、質も上がっているとは思えません。

なぜ教採の倍率が下げ止まったままなのでしょうか。それは社会、教育行政による現場への過剰な期待・負担から、生涯勤められるような安心感がないからでしょう。

anurakpong/iStock

日本の学校教育のレベルは高かった

OECD諸国の「人材の質ランキング」というものがあり、そこでは日本は世界第4位。けれども生産性は28位。日本人のほんらいの質は高かったのです。IMDの2019年の高度人材ランキングによると、日本は63か国中、35位。同調査の「有能な経営者ランキング」では日本の経営者は58位だそうです。

大学教育や社会人になってからの職業上の教育がまったくないという結果です。日本の上場企業のほとんどで、内部昇進者がCEOになることから、トップが社会人教育の必要性を感じていないのだと思います。ほんとうのところは、大学、企業や官庁の不作為を、小中学校といった公教育に責任転嫁されて、教育政策が迷走に迷走を重ねたのがこの30年だったのではないでしょうか。

古い学力がいらなくなった?

社会が「新しい学力観」が必要だと無責任なこと言って教育現場に責任転嫁をしているうちに、子どもたちは「古い学力観」すら覚束なくなりました。これから数年後には、学力低下によって公共インフラの維持もできない国に成り下がってるとは、文科大臣でも予想できなかったのでしょう。

就職氷河期あたりの影響もあって、水と空気と人材はタダ、みたいなところがあったと思います。どれもタダでないことをわれわれはこれから思い知ることになります。

日本人は卑下することが得意でそれはそれで美徳ですが、文科行政はその成果をもっと主張すべきだったと思います。

教員5478人休職とわいせつ教員

2019年度に教員は5478人休職しているそうです。多いのは精神疾患です。その際、臨時雇用の教員が当てられます。産休、育休の教員もカバーしなくてはなりません。つまり、臨時教員の質は本採用教員以上にまったく選べないという状況になっています。過去の経歴がちょっと怪しい人でも、臨時教員に採用せざるを得ません。だからこれからもわいせつ教員がまぎれこむ余地が大いにあります。

なぜ5478人も休職しているのか、ということを考えてほしいものです。もちろんその理由は、無理な政策の矛盾を現場でつじつまを合わせをしてるからです。教育行政は、実現不可能なカリキュラムも、無理難題を言う保護者対応も、コロナ対策も、学校の裁量を大切にすると言って現場に判断を丸投げしてきました。

教育行政は破綻しています。でも、学校現場にしわ寄せをして崩壊させた原因は、企業・官庁の責任転嫁でもあります。

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元教員、ギジュツ系個人事業主

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