まだ民間で消耗してるの?(4) 公務員のモチベーションは「不正」な発注を生む

2021年02月07日 06:00

今日は、役所の仕事のなにが楽しいのかということをみなさんにお伝えできればと思います。今回の記事を読んでいただければ、公務員の仕事のモチベーションの源泉がよくわかると思います。

sharaku1216/iStock

残業代がモチベーションの人もいるが・・・

公務員の基本的な性向として、「余計な仕事は絶対にしたくない」というものがあります。

残業を稼ぐというモチベーションはなくはありませんが、ほかの職場同様、働き方改革が進んだおかげでサービス残業が増えていると思います。公務員の仕事は合理化しにくいのです。

10年ほど前にはさいたま市の職員が1873時間の残業をつけて年収が1600万円近くになったことが話題になりましたが、今どきはふつうありません。

さいきんは「経費が1000万円余分にかかっても、残業したくない」というモチベーションのほうが高いです。つまり、発注が工事だとすると、どんな小さな工事でも設計事務所やゼネコンに丸投げすることが正解になります。

どうしても入札を回避したい

公務員の発注は公明正大でなければなりません。そのためにも、発注の際は基本的には入札が義務づけられています。

けれども、入札ははっきりいってめんどくさいのです。

まず、どんな業者が見てもわかるように契約書や仕様書が書かれなければなりません。見積も自分で作ります。へんな金額をつけて不調に終わったら、また入札しなければなりませんから。業者が決まるまで、1か月とか2か月とかかかるのもめんどくさいです。

どの役所も、小さな金額の案件や突発的な修繕などをスピーディーに発注するために、金額が低ければ、随意契約(業者を指名して入札を経ずに発注契約すること)にできます。随意契約ならば、馴染みの業者に頼めますし、入札の手はずも整えずに済みます。

でも見返りが欲しいわけではない

馴染みの?と聞いて、癒着関係が・・・と思われるかもしれませ。田舎の自治体ならまだあるのかもしれませんが、都市部ではキックバックをもらうということは難しくなっています。では、なぜ随意契約にこだわるかというと、ようは見知らぬ業者が入ってきてほしくないのです。

氏素性のわからない業者は、ちゃんと仕事してくれるかわからないし、なにより自治体に提出する書類や手はずなどもわかっていませんので、一から教えなくてはなりません。

しかも、担当自治体職員も数年で部署をころころ変わっているので、提出書類などをわかっていない場合もあります。馴染みの業者さんだとそれもわかっています。

なので、どうしても決め打ちして発注したいという誘惑にかられます。

なにがなんでも随契にする!

発注金額が何千万円とかになってくると最初から諦めますが、数百万円くらいだと、なんとか随契にもっていこうと、分割して発注します。

たとえば、公営住宅のリフォームをしようとすると、床だけ、壁だけ、天井だけ・・・、というように分けて発注します。しかも、契約部門にバレると入札逃れだと指摘されてしまいますので、時期をずらして発注します。(役所は縦割りなので、他の部門の不正にはふつう容赦しません)

もちろん、相見積もりはしなければなりませんので、受注業者に別の業者の見積もりまで出してもらいます。

とうぜん甚だしくコストアップする

こうするとどうなるかというと、工事費がとてつもなく高くなります。市価の5倍とかになります。(役所の工事は小さい工事でもゼネコンに投げてしまうので、そうでなくても割高です)けれども、そんな金額で発注しても、役所の中で困る人はいません。

ここまでくると、むしろ入札したほうが早いんじゃないか?と思われますが、なぜか「入札は悪だ」くらいの思い込みです。実際はどうなんでしょうか。

このようにして、その自治体の発注先は、馴染みの業者ばかりになってしまうのです。なにか癒着しているのではないかと思われますが、金銭的な癒着というより、たんにめんどくさいからという理由の癒着なのです。(もちろん、金銭的な癒着関係もまだまだひどいですが、それは政治家と地元業者の共栄関係の範疇になる場合が多いです)

こうして予算は肥大化していきます。

役所の中の人のモチベーション

別に給料は増えも減りもしないので、こういった方向に職員のモチベーションが向かいます。「めんどくさいを回避する」モチベーションです。

不正ではないということになっていますが、情報開示請求をされたらどうなるのでしょうか。ちなみに、役所の人はあんまり情報開示請求されることがないので、作業に慣れておらず、開示の請求がくると嫌がります。

こんなかんじで、役所の中では、税金とは何かということも深く考えず、市価とかけ離れた発注が、今日も繰り返されているのです。

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元教員、ギジュツ系個人事業主

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