「霞が関を去ろうと思う」の官僚はなぜ就活を失敗したのか
霞が関を去ろうと思うというブログが話題になっていたので、みなさんの中にも読んだ方がいらっしゃると思います。

キラキラ感満載の国家公務員総合職試験ガイド
私自身は国家公務員になったこともなろうと思ったこともないのですが、なんとなく辞めたくなるその気持ちはわかりますし、ネットの声もどちらかと言うと同情の声が多いようです。
なぜ去ろうと思ったかかという中で、8点の問題点をあげています。
①意思決定が科学的でない
②勉強しない
③仕事での成長が期待できない
④固定化されたキャリアパス
⑤PCがゴミ・環境もゴミ
⑥マネジメントという概念がない。
⑦クビにできない
⑧昇進が一律
これは、地方公務員・民間企業にもだいたいあてはまるので、公務員の特徴をしいてあげれば、③PCがゴミ・環境もゴミでしょうか。セキュリティの確保の名目かなにかで、やたらスペックの悪いパソコンが支給されます。インターネットとも接続できず、探し物をするために専用のパソコンを使ったりします。霞が関はそんなことはないのかな。
あと④は、ふつうの民間企業には固定化されたキャリアパスはあんまりなくて、多くの人事異動は玉突き人事なので、固定化されていなきゃいないで悲惨です。
⑦は民間、とくに大企業も同じで、だからこそ会議室でいびり倒して自主退社に追い込むという悲劇がそこかしこで起きています。
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書き手の方は、とても頭のよい方なので、想定される意見に対する反論もしっかり書いています。
あなたが積極的に動けていないせいなのでは→動いた結果、想像の斜め上を超越してしまう出来事が最近生じた
そもそも公務員になったのが間違いなのでは→然り。昔の自分をひっぱたきたい。
でも、これも民間企業にも当てはまります。
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なぜこの書き手の方が「昔の自分をひっぱたきたい」という状況に追い込まれてしまったのか。予想できる原因は、大学や大学教授が学生に対して、いまだになんにも就職のアドバイスをしていないんだなあということです。
就活では、学生たちは勝手に未来を想像して、キラキラした志望理由、御社(御庁?)第一、死ぬまで働きます・・・等々述べます。就職先とのだまし合いの悲しい就活はいまだに続いているようです。だって、一生添い遂げる相手なんだもん。でも、結婚と一緒で、一方的な幻想はすぐに冷めてしまいます。なんでうちのお父さんとお母さんは仲が悪いのに結婚したんだろう?と思っている若い人がいると思いますが、まあ、そういうことです。
定年すら視界に入ってきている年代のぼくですら、現代日本で20代のファーストキャリアは終身雇用の職場に行ってはいけないとわかるのですが、現代の学生も職場紹介パンフレットの文言を真に受けて就職してしまっているのでしょうか。それとも諦観でしょうか。書き手の方の経験は、その諦観の斜め上を行ってしまったということでしょうか。
いずれにせよ、この書き手の方に学生時代の時点でアドバイスをしてあげる人がいなかったのが悔やまれます。ほんとに優秀そうなので。

夢は大樹のように膨らむ国家公務員ガイド
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これから就活する若者は、しっかりと情報収集しないと、スキルを身につける機会を逸して組織の言うとおりに働いて、その組織と心中する以外に道がなくなっていた、ということのないようによくよく考えてみてください。
(それに今はスキルさえあれば転職はとても容易だし、よい時代になったものです。)
草葉の陰から応援申し上げます。
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