バロンズ:3月FOMC、ウォール街が注目するポイントとは

バロンズ誌、今週のカバーはコロナ後の世界を取り上げる。世界保健機関(WHO)が新型コロナウイルスをめぐりパンデミック宣言した20年3月11日以降、米国は経済活動の停止に直面し、約2,000万人が仕事を失い、S&P500は20年2月19日の高値から同年3月23日までに34%も急落した。しかし当時、米連邦準備制度理事会(FRB)とトランプ前政権が急速かつ劇的に支援策を提供し、ワクチン開発は記録的なスピードで実現。米経済はかつてない速さで急回復し、米株相場は最高値を更新し続けている。

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コロナ禍で規制緩和の解除が視野に入ると同時に、正常化に向かいつつあると言えよう。しかも。米国の貯蓄率は20.5%と極めて高い水準を維持し、バイデン政権下で成立した追加経済対策で現金給付1,400ドルという恩恵もある。Fedのゼロ金利政策も長きにわたって続く見通しであれば、一般消費財のほか、エネルギー関連や資本財、金融関連などバリュー関連へ資金流入が加速するのではないか。詳細は、本誌をご覧下さい。

当サイトが定点観測するアップ・アンド・ダウン・ウォール・ストリート、今週は16~17日開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)を取り上げる。抄訳は、以下の通り。

ウォール街が次回FOMCで注目するポイント―Here’s What Wall Street Will Focus on Next Week as Fed Rate Panel Meets

コロナ禍で突如、米国は20年4~6月期に景気後退入りした。同時に、Fedがゼロ金利を再導入したお陰で、家計資産は株高を支えに急増した。ゼロ金利が奏功し金融システムの巨額の資金が流入、企業や信用市場を補強してきた。FRBによれば、家計純資産は20年10~12月期に前年同期比10%増の130.2兆ドルと、前期比6.5兆ドル増となり、過去最高を更新した。

JPモルガン・チェースのエコノミスト・チームに言わせれば「家計見通しは、貯蓄より資産価格に左右されることを浮き彫りにする」ものだ。

しかし、Fedの奮闘は実体経済にあまり影響を与えてない。資産効果はしばらくの間、不在であるためだ。むしろ多くの利益は貯蓄にまわっただけでなく、同時に億万長者に偏った事情もある。

米株相場は前週、米長期金利の上昇が重石になり特にナスダックで顕著となったが、それでも4週ぶりに反発し3.1%高で引けた。ダウとS&P500は12日に過去最高値で引け、それぞれ4.1%高と2.6%高で取引を終えた。興味深いことに、S&P500と米10年債利回りは52週での最高を同時につけ、米10年債利回りは1.62%でNY時間を終えた。ルーソールド・グループのダグ・ラムジー最高投資責任者(CIO)によれば、過去こうした事態が発生した場合は米株にマイナスに作用してきたという。

敢えてリスクを取った表現を使うならば、今回は違うかもしれない。米10年債利回りとS&P500の上昇は、1.9兆ドルに及ぶ巨額の追加経済対策と、ワクチン普及という二輪建てによる力強い成長の表れと言えよう。また、足元の金利上昇は、実質金利によるものだ。米10年債利回りは過去1ヵ月間で0.41ポイント上昇したが、米10年物インフレ連動債利回りも0.37ポイント上昇していた。

チャート:米10年物BEIは上昇中 作成:My Big Apple NY

その結果、FOMCが直面する状況は大いに変化したと言える。ゼロ金利政策や資産買入規模を変更しそうにないが、むしろ市場の注目は経済金利見通しだ。2021年の米成長率見通しは間違いなく前回の4.2%から引き上げられよう。何より、FF金利見通しがどうなるかで、前回20年12月時点では2023年まで0.25%と、ゼロ金利の維持が示されていた。

チャート:前回20年12月FOMCでの経済金利見通  作成;My Big Apple NY

しかし、DWSグループのクリスチャン・シャーマン米国担当エコノミストは、ユーロダラー先物が2024年までにFedが25bpの利上げを少なくとも5回織り込んでいると分析する。2024年はまだ先の話のようにみえるが、仮に利上げのサインが盛り込まれれば、米株市場は反応するに違いない。

――以前にこちらでご説明した通り、Fedがオペレーション・ツイストに踏み切る可能性は低いとみています。経済金利見通しでは、タカ派がFF金利見通しを上方修正するにとどめ、結果的にはゼロ金利を維持する見通しとなるのでしょう。仮に今後の見通し修正で動かすならば、インフレ予想ではないかと。2022~23年の物価見通しが2%を超えてくるようであれば、年内あるいはその翌年に利上げに動くとみられ、ゼロ金利解除の示唆と受け止められそうです。

もう一つ付け加えるならば、全米経済研究所(NBER)による景気後退終了宣言が注目されます。金融危機当時は。2010年9月20日に「2009年6月」と発表、その間にFedは量的緩和第一弾につき、2010年6月で幕引きしました。当時は2009年7~9月期からプラス成長に転じ2010年末まで続けていたため、景気後退収束観測が高まっていたものです。追加経済対策もあって、NBERがどこで線を引くのかも、今後の金融政策を占う上で重要なピースとなり得ます。


編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK –」2021年3月14日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。