バロンズ:春の到来に合わせ、投資家の見通しは強気一色

バロンズ誌、今週のカバーはビットコインをめぐる企業の姿勢を取り上げる。ドルは2回の世界大戦や世界恐慌を経て生き残り、インフレにも打ち勝ってきた。事実上のグローバル通貨にふさわしてきたわけだが、果たして我々は政府の裏付けのないデジタル通貨が必要なのだろうか?暗号資産ビットコインの時価総額は、過去1年間で1,000%も急増し1兆ドルを突破した。

経済的転換点を迎えつつあるといえ、モルガン・スタンレーのような大手金融機関は、投資家にビットコインのポートフォリオ組み入れを推奨する。さらにテスラやマスミューチュアルのような企業はビットコインを大量に保有し、ペイパルのデジタル・ウォレットを通じて取得することも可能で。スクエアうあロビンフッドなども、追随する状況ビザやコインベース・グローバルは、ビットコインのデビットカードを誕生させる方針だ。

それでも、ビットコインが普及するには障害が立ちはだかり、技術的な障害や不安定な価格、各国ごとの税制の違いなどが含まれ、政府も違法なビットコイン使用により金融政策や金融規制が脅かされることを懸念する。さらに、ビットコインの採掘には膨大な電力を消費するため、二酸化炭素も排出する有様だ。そんなビットコインをめぐる展望と企業の姿勢については、本誌をご参照下さい。

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当サイトが定点観測する名物コラム、アップ・アンド・ダウン・ウォール・ストリート、今週は米株高に焦点を当てる。抄訳は、以下の通り。

成長の季節が訪れるに合わせ、投資家の希望は満開に―Investors’ Hopes Are in Bloom as a Season of Growth Arrives

「春に成長が訪れるぞ!」とは、映画”チャンス(Being There)”に登場するキャラクター、チョンシー・ガードナーもとい庭師のチャンスの言葉だ。彼は様々な誤解により経済界の立役者に見出され、ついには大統領に経済政策を進言するまでに至ったのは、ストーリーの通りである。

新緑の芽生えは、間違いなく成長の印だ。さらに追加経済対策で何兆ドルもの投じられ、金融政策は超緩和的で、米国民の3分の1が少なくとも1回ワクチンを接種したならば、経済成長が花開いても不思議ではなく、むしろ満開になりうる。経済動向をみると米1~3月期の実質GDP成長率は、ニューヨーク地区連銀によれば前期比年率6%を達成する見通で、米3月雇用統計はグッドフライデーの日に爆発的な増加を果たし、住宅は市場も活況に沸き在庫不足に直面するほどだ。

米株相場はこうしたポジティブな動向を見過ごすことなく、ダウ平均とS&P500は史上最高値で取引を終え、ナスダックも2月につけた最高値まであと1.4%に迫る。米債相場は景気拡大と折り合いをつけ始め、3月に一時1.78%をつけてから金利は落ち着いた推移にとどまる。

同時に、投資家のムードも春の到来に合わせ大幅に改善し、恐怖指数と呼ばれるVIX指数はコロナ禍以前の水準を回復し4月9日には16.69まで低下した。インベスターズ・インテリジェンスの調査では、「強気」と回答した投資家は60.8%に及ぶ一方で、「弱気」との回答は16.7%にとどまる。なお「強気」が60%を超え、強気と弱気の差が40ポイントに拡大する際は、市場のピークを表すことが多い。

VIX指数と言えば、UBSグローバル・ウェルスマネジメントのマーク・ハーフェレ最高投資責任者いわく、大口投資家がVIX指数が3ヵ月先に25以上となるコール・オプションを4,000万ドル相当取得したらしい。恐らく、インフレ急伸と成長加速に加え、新型コロナ変異種の蔓延を意識したのだろう。

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チャート:追加経済対策成立に合わせVIX指数の低下し、S&P500は上値拡大 作成:My Big Apple NY

景気の急回復に視点を戻すと、ジェフリーズのエコノミスト・チームは、4月の非農業部門雇用者数(NFP)につき300万人突破を見込む。ただし、コロナ禍で失われた約850万人もの雇用を回復するに長い道のりとなるだろう(筆者注:米3月雇用統計のNFPと20年2月のNFPとの差は約840万人であり、バロンズ誌はこれを指していると思料。筆者の場合は、20年3~4月のNFPの減少幅と20年5月以降のNFPの増加幅で比較)。

労働市場が急速に回復すれば、Fedの超緩和策は予想より早く終了するに違いない。パウエルFRB議長は資産買入の縮小を考えてすらいないと発言していたが、バンク・オブ・アメリカのエコノミストは、下半期にテーパリングを示唆し始め、22年1~3月期に着手し年末に終了させると見込む。しかし、Fedは米国債の発行高が過去1年間で26%も拡大するなか、テーパー・タントラムに陥るリスクを回避すべくテーパリングを調整する余地もある。

一方で、ストラテガス・セキュリティーズを率いるジェイソン・デセナ・トレナート氏は、バイデン政権が提示する増税といった財政圧迫が追加経済対策などの効果を低減させると予想。その上で、2007~09年の後に訪れた「長期停滞(secular stagnation)」に陥るリスクを警告する。そうした考えを行き過ぎと捉えるならば、成長の春を楽しむべきだろう。

――財政拡大路線でも、増税が提示され米長期金利は比較的安定した推移にとどまっています。そのお陰で、グロース株からバリュー株への資金流入の流れが一服、投資家がグロース株に戻ってきました。有名なことわざに「4月の雨は5月に花を咲かせる(April Showers May Flowers)」というものがありますが、逆に投資格言「5月に売り逃げろ(Sell In May)」につながるのか、あるいはこのまま上昇気流を維持するのか。米国でワクチンが普及するとはいえ、変異種に取るコロナ感染者の増加は気掛かりではあります。


編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK –」2021年4月11日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。