オンライン化に見る学校教育の「ほんとうの危機」

どこかの自治体の給食は、コロナ感染予防の名目で給食の簡素化が進みすぎてニュースになってしまった。

栄養教諭や調理員の方々には、直前の献立変更で多大な負担がかかっている。食材をキャンセルされた納入業者はどのような対応になるのだろうか。また、今後給食費の返金が問題になってくるであろうが、家庭への返金作業は、これらの決定をした教委ではなく、現場の教員や事務職員の負担になってくるはずである。

ようするに、役所が決定をギリギリまで引き延ばした結果、現場が振り回されているという状況だ。

給食に限らない。東京の自治体によっては、オリンピックの観戦をめぐって、何百台ものバスをチャーターしておいたにもかかわらず、ギリギリで観戦中止としてキャンセルしたという。

キャンセル料は税金から出すのか。それとも、免責事項でバス会社の負担になるのだろうか。それでは優越的地位の濫用ではなかろうか。

これは宿泊行事や遠足行事にも言える。

とにかく、教委および決定者がさまざまな決定をギリギリまで先延ばしにした結果、関係各所に多大な被害を振り撒いている。

以前からある事なかれ主義が可視化されただけ

ただし、これはコロナ禍だから可視化されただけであったように思える。

たとえば、公務員には年次休暇、年休というものがある。有給休暇である。この年休の取得にしても、教員は以前よりその書類づくりに多大な労力がかかるようになっている。

10年くらい前までは、このような紙を管理職に出せばことは済んだ。

近年の学校は、電子化というかICT化というか、その流れでこの年休の申請が、電子決裁となっている。

「校務支援システム」というものがそれなのだ。これは児童生徒の出席・成績、授業の進捗などが管理されているが、ここに教員の勤怠情報なども入力しなくてはならない。現場をよくわかっていないうえにITにも疎い教育委員会の職員が、ITゼネコンや教材会社に発注するのですこぶる使いにくい。プルダウンメニューがやたら多い。これで教員たちは管理職から日々決裁を受ける。

また、これとは別に役所内で使われている「勤怠管理ソフト」と呼ばれるものが別に動いている場合もあって、これにも入力が必要になってくる。こちらの時間管理のほうが厳密だと言われる。けっこうめんどくさい。

そして、驚くことに、紙の年休簿も残っているのである。

ようは、電子化して手間だけが増えるという、役所あるあるである。

そして、このふたつの電子決裁情報と紙の整合性を見るために、非常勤職員が雇われているという。まちがっていると服務事故だからだ。

学校によっては、内情をよく分からないまま採用された非常勤の教員が入力を間違え、服務事故を恐れる管理職から恫喝まがいの説教を受けることになる。数少ない非常勤教員は「二度と教員などやるか」となり、教員不足に拍車がかかる。

このように役所の業務は焼け太っているのだが、その被害者は現場の教員であり、なにより児童生徒である。書類ファースト・手続きファーストの役所ゆえ、忙しさは増しているのに、児童生徒にかかわる時間はさらに減っていくのである。

これはコロナ前からの禍(わざわい)である。