バロンズ:一部FOMC参加者、FRB議長人事を気にせずテーパリング加速を主張

バロンズ誌、今週は年に一度開催する国際ラウンドテーブルを取り上げる。今回のテーマは共産党創立100周年を経て、さらに改革を進める中国に。中国は習近平主席の下、耐性のある成長を目指し規制強化が進み、こうした影響が世界的に及んでいる。例えば、ネット小売大手アリババ・ホールディングスや配車大手の滴々、教育大手のニュー・オリエンタル・エデュケーション・アンド・テクノロジー・グループの株価動向は、MSCI中国指数が年初来で13%も下落する過程で、投資家にとって目を覚ます材料になったはずだ。初の正式な米中首脳会談が11月15日にオンラインで開催され、バイデン大統領はトランプ前政権が引き起こした苛烈な貿易戦争から一歩引き下がった半面、両国の競争は激化したと言える。そこで、今回の国際ラウンドテーブルでは、中国の見方を中心に専門家から見通しを聞いた。米中関係の緊張の糸がバイデン政権でもほぐれないなか有望な投資先はどこか、日本の半導体銘柄を含めた推奨銘柄の詳細は本誌をご参照下さい。

パウエル議長 FRB HPより

当サイトが定点観測する名物コラム、アップ・アンド・ダウン・ウォール・ストリート、今週は米連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策見通しと、FRB議長の人事を取り上げる。抄訳は、以下の通り。

FRB議長が続投するか否かは別として、Fedの一部はテーパリングの規模拡大を主張―Some at the Fed Want Bigger Reduction in Bond-Buying, New Boss or No New Boss

冬将軍が到来しつつある。カレンダーを見れば明らかなように感謝祭が近づいており、それと同時に西欧と米国の寒冷地で新型コロナウイルスの感染者が増加中だ。

大西洋側諸国でコロナ感染が再拡大している半面、金融市場はFedの金融政策に最大の関心を寄せている。金融市場がパウエルFRB議長の続投か否か結論を待つ間に、その他の米連邦公開市場委員会(FOMC)参加者は、インフレ高進を受けテーパリングの規模拡大を言及し始めた。こうした議論が主流になれば、Fedの利上げ開始も早まってもおかしくない。

19日、オーストリアで全面的ロックダウンの再開が報じられ、隣国ドイツでも同様の措置を講じる可能性が取り沙汰された。欧州では、オランダやデンマーク、ノルウェー、フィンランドでコロナ感染者が再び急増中である。過去のパターンをみると、欧州の感染拡大から数週間後に米国を直撃する場合が多く、米国にとっては無視できない問題だ。実際に、バーモント州やニュー・ハンプシャー州、ミシガン州、ミネソタ州、ウィスコンシン州などで北部では、感染者が急増しつつある。こうした動向に明確な反応を示したのが原油先物市場で米長期金利で、それぞれ経済活動の減速が意識された。

チャート:米国での1日当たり新規感染者数、再び7日平均で10万人に接近

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(作成:My Big Apple NY)

株式市場では、欧州株が下落した。一方で、米国ではテクノロジー株の比重が大きいナスダックは2日連続で過去最高値を更新して引けたが、ダウとS&P500は売り優勢となり、経済動向に敏感な中小型株指数は特に落ち込みが大きかった。

クラリダFRB議長は19日、「(12月14~15日開催のFOMCまでに)発表される経済指標を注視しつつ、足元で進行中のテーパリングにつき、ペース引き上げで協議することが恐らく適切」と発言した。同時に、クラリダ氏のFRB副議長としての任期が22年1月末に切れる点に留意したい。そのクラリダ氏は、セントルイス地区連銀のリサーチ・ヘッドを務めた経験があるウォーラーFRB理事や、現セントルイス地区連銀総裁で2022年に投票メンバーとなるブラード総裁と同じく、テーパリングの規模拡大に言及したことは注目に値する。また、セントルイス地区連銀は従来、健全なマネー動向を支持する独自の見解を述べるケースが多い。

FRB議長の座をめぐる争いには、別の要因が絡んでいそうだ。パウエルFRB議長や、次期議長の可能性が取り沙汰されるブレイナードFRB理事は、雇用の最大化と物価安定の達成に向け、そろって2%を暫く上回るフォワード・ガイダンス導入を支持した。一方で、外野から見た両者の主な違いは、従来のような中銀としての役割に関するものではない。

チャート:FOMC参加者の政策姿勢、タカハト表

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(作成:My Big Apple NY)

民主党の上院議員、シェルドン・ホワイトハウス議員(ロードアイランド州)とジェフ・マークリー議員(オレゴン州)の2人は、パウエルFRB議長の続投に反対で、気候変動対策をめぐりパウエルFRB議長の対応が十分ではないためだ。米財務省傘下の金融調査局が年次レポートで、気候変動問題につき「金融システムの脆弱性をもたらしうるが、潜在的なリスクを特定し、評価し、予想することは難しい」と結論付けたにもかかわらず、である。

 

Fed指導部の方向性に不透明性が強い状況下、FF先物は2022年6月の利上げを65%織り込む

ブレイナードFRB理事がFRB議長に就任すれば、利上げ開始のタイミングは遅れるかもしれない。しかし、インフレ更新は一過性ではなくなり、人格より重要な問題となっているのは明らかだ。

――パウエルFRB議長の続投問題は、週明けに持ち越しとなりました。ブレイナードFRB理事がFRB議長に指名されれば、利上げ開始が遅れるとの見方が優勢ですが、11月FOMC後の記者会見での利上げに慎重なパウエル氏の発言を振り返ると、どちらに転んでもそれほど大差はなさそうな気もします。ただ、中間選挙を11月8日に控えるため、どうせ実施するなら経済指標が好調な間に行っておくべきでしょう。仮に景気が堅調を維持するならば、テーパリングが終了する6月14~15日開催のFOMCでシームレスな利上げを開始し、中間選挙後の12月13~14日開催のFOMCで2回目を実施するシナリオが浮かび上がります。


編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK –」2021年11月21日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。