バロンズ:オミクロン株感染拡大でも、サンタ・ラリー突入へ

バロンズ誌、今週のカバーはオミクロン株の感染拡大を挙げる。米国を始め世界中でオミクロン株がコロナ感染の主流となっているが、投資家は一向に意に介していないようで、S&P500は12月23日に過去最高値を更新して引けた。2020年3月のように「まずは売って、それから考えよ(sell first, ask questions later)」の状態にはなく、株価はFedの金融政策と業績に従って推移するのだろう。実際、南アフリカや英国での感染者動向をみると、感染しやすい反面、重症化を回避している。何より、mRNAベースのワクチンを接種完了あるいはブースター接種した人々の間で、軽症で済んでいた。米食品医薬品局(FDA)は、ファイザーやメルクの飲み薬の緊急使用を承認した。投資家は、オミクロン株感染拡大でも不安に陥る必要はないだろう。年明けの注目イベントの日程などを含めた詳細は、本誌をご覧下さい。

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当サイトが定点観測するアップ・アンド・ダウン・ウォール・ストリート、今週はカバーと同様に強気な米株市場を取り上げる。抄訳は、以下の通り。

オミクロン株の感染者数は増加中、インフレも上昇中、それでもサンタクロース・ラリーを夢見る投資家―Omicron Is Surging. Inflation Is Rising. But Investors Are Dreaming of a Santa Claus Rally.

サンタクロースからのプレゼントなのか、あるいは根拠なき熱狂なのだろか?

新型コロナウイルスの感染者数が再び増加するなかで、S&P500はクリスマス直前に過去最高値を更新して引けた。しかも、コロナ禍で大幅安に陥っていた銘柄が、今回の上昇をけん引した。オミクロン株の確認を受け、感謝祭明けから急落した反動だろう。

チャート:新型コロナ感染者数は12月22日に24.3万人と2021年1月以来の高水準となるも、死者数は1,522人とデルタ株が感染拡大した今年の秋を下回り、入院者数も急増せず。

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(作成:My Big Apple NY)

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(作成:My Big Apple NY)

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(作成:My Big Apple NY)

12月20日には、マンチン上院議員が1.75兆ドルの歳出法案「より良い再建法案」に反対を表明したため株価の下落を後押ししたが、投資家にしてみれば予想の範囲内だった。

航空株、ホテル銘柄、クルーズ関連株はクリスマス直前に週初から2桁の反発を遂げ、米株市場はオミクロン株の感染拡大を乗り越えたようにみえる。エバーコアISIでヘルスケア担当のアナリストを務めるマイケル・ニューシェル氏は、米国の新規コロナ感染者数は25万人で頭打ちになったと予想する。

少なくともオミクロン株を初めて検出した南アで死者数は比較的わずかにとどまっており、米国でも感染者数は頭打ちになったと想定されることはグッドニュースだ。何より、FDAはファイザーのコロナ向け飲み薬の緊急使用を承認した。この飲み薬は入院と死亡のリスクを89%低減させ、同じく承認されたメルクの飲み薬より効果は3倍も高い。

こうした潜在的なグッドニュースは、1年でも最も素晴らしいタイミングにやってきた。12月27日から1月4日はサンタ・ラリーの時期にあり、 同時に年末に損失を確定させ利益や配当にかかる税金を打ち消すタイミングであり、場合によっては1月の上昇に乗り遅れまいと、税務上の売りに押された敗者を買い上げるパターンがみられる。

しかし、インフレは消費者にとって恐ろしい悪材料となりうる。個人消費は11月に前月比0.6%増加したが、PCEデフレーターも同0.6%上昇していた。つまり実質ベースの個人消費は低迷し、個人所得に至っては同0.4%増と物価の上昇率を下回る伸びにとどまる。

チャート:米国渡航者数やモビリティ動向、米国人のWithコロナ浸透を示唆

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(作成:My Big Apple NY)

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(作成:My Big Apple NY)

エバーコアISIによれば、家計の純資産は10~12月期に15%増とインフレ率を上回るペースで拡大したという。株高や住宅価格など、資産価格の上昇がけん引したためだ。資産を持つ者にとっては、少なくとも喜ぶべき材料といえる。

――今年もコロナ禍に振り回された1年となりましたが、東京五輪を開催し、利上げを開始した英国やテーパリング加速に踏み切った米国を含め、中銀が正常化に向かう年となりました。タリバンによるアフガにスタン陥落など地政学的なリスクに見舞われつつ、米株市場は前年に続き2桁のリターンを遂げること間違いなし。一方で前回のバロンズ誌抄訳でお届けしたように、2022年は2020~21年のような大幅高は見込めないものの、堅調なペースを維持する見通しです。

果たしてこうした予想が的中するのか否か、来年もこちらでじっくり米株動向を向き合っていく所存です。本年もありがとうございました。当ブログでは年内あと数本投稿する予定ですが、本年も大変お世話になりました。来年も引き続き、どうぞ宜しくお願い致します。どうぞ素晴らしい年をお迎え下さい。


編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK –」2021年12月26日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。