ひろゆき氏の事実誤認ツイートから考える教員採用難の深刻さ

ひろゆき氏のわいせつ教諭再逮捕に関する感想のツイッターをもとにした事実誤認の記事が配信されて、いろいろな意味で話題になっている。

ようするに、このわいせつ教諭の「再逮捕」は、かつてわいせつ容疑で逮捕されたのにふたたび教壇に立ってしまったという意味でなく、今回初めて逮捕されていろいろ余罪が出てきたので再逮捕となったいうことなので、教員免許は取り消しようがなかったということらしい。

ひろゆき氏 わいせつ教諭再逮捕で事実誤認 文科相を「アホ」呼ばわりはブーメラン確実(デイリー新潮) - Yahoo!ニュース
 1月13日、産経新聞の朝刊に「女児3人にわいせつ容疑 29歳小学校教諭を再逮捕」の記事が掲載された。ひろゆき氏がTwitter上で紹介した電子版の記事と同じものだ。 「警視庁が1月12日、やはり

もととなったのは事件は、以下の記事にある。

教え子の女児3人に強制わいせつ容疑 小学校教諭再逮捕
東京都板橋区の小学校で教え子の10代女児3人にわいせつ行為をしたとして、警視庁捜査1課は、強制わいせつ容疑で、板橋区立小学校教諭の高橋慶行被告(29)=別の強制…

事実誤認はしっかり訂正してほしいが、そもそもわいせつを繰り返してしまう教員が紛れ込んでしまうのはひじょうに深刻である。こういった事件によって、ますます若者の教職離れが深刻にならないか心配である。

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令和の学校環境はなかなかのものがある

現在の学校環境はなかなかにハードである。労働法などの法律は守られないわ、パワハラは横行するわ、いじめ自殺はなかったことにしてしまったりするわ、不祥事を隠ぺいするわで、なかなかの無法地帯となっている。

小6タブレットいじめ自殺事件 元校長がひっそり「栄転」していた

小6タブレットいじめ自殺事件 元校長がひっそり「栄転」していた | FRIDAYデジタル
昨年11月末、東京・町田市立の小学校に通っていた6年生女児の自殺が判明したのは9月13日。同校は、政府が打ち出したGIGAスクール構想の先進校だった。元校長の五十嵐俊子氏は渋谷区教育長になっていた。

「神戸教員いじめ事件」大バッシングを受けた加害者たちの「その後」

「神戸教員いじめ事件」大バッシングを受けた加害者たちの「その後」(秋山 謙一郎) @gendai_biz
やはり、もう、教壇に二度と立つことはないのだろう。犯した罪は、それだけ大きかったということだ。

守られているが、守られてはいけない人まで守られてしまっているので、民間企業に行ける程度の能力がある人物が、好き好んでいく職場ではなくなってしまっているということである。

だから、教員のなり手が減少しているのだ。

教員採用は昔からかなり問題を抱えていただろうが、20年くらい前はあまりにも就職状況が悪かったため、そういった中では教育公務員は比較的良好な選択肢として捉えられていて、それなりの人材の流入もあった。

しかし、現在はそのような採用における前提条件は、ない。

こうして、教員の劣化→職場環境の劣化→教員のさらなる劣化→職場環境のさらなる劣化→・・・となる。

このループを断ち切るのは容易ではない。公務員の強力すぎる身分保障は、日本に数多ある暗部の、最も深いもののひとつだろう。

そもそも問題が認識されていない

先日、講師として東京からはるばるいらした東京学芸大学の先生と話したが、教え子の半分も教員にならないという。教授は「こんなに安定しているのにもったいない」と嘆いていたが、これは学生の判断のほうが正しい。

たしかに、自分もよっぽどのことがなければクビにならない。しかし、パワハラして懲戒を受けても、児童生徒のいじめ自殺をつっぱねても、居座ってしまうどころか栄転すらしてしまう職場環境である。

それにこれからの時代、20代の大事な時期を特定の職業スキルの形成に充てられなければ、人生の大きな損失になってしまう。一般的に、民間→公務員より、公務員→民間のほうが適応するハードルははるかに高い。(日本が諸外国のように破綻国家になった場合、とにかく公務員でよかったねという可能性はあり得るが。)

今どきそんな職場に入りたいという前途ある優秀な若者がいるのだろうか。(それをわかったうえで奉職する若者にはほんとうに敬意を表する。)

自治体にもよるだろうが、採用試験に携わった校長たちは、面接の段階ではもはや選びようがないと口々に言っている。ましてや、療休や退職などで欠員が出れば、代打の教員の質を選べる余地はほぼない。それゆえ、問題を抱えた人物も入り込む余地がじゅうぶんにあるのだ。その種を蒔いたのは自分たちだという自覚はないが。

それに文科省の対応は、キラキラしていてどこかお花畑的で、そもそも問題点がどこにあるのか正しく認識しているとは思えない。

参考:「教師を再び憧れの職業に」 文科相、検討本部設置を表明 教育新聞