バロンズ:中間選挙を迎える今年、5~11月は押し目買いの好機に

バロンズ誌、今週のカバーは小売業界を直撃する盗難・万引き増加と業績への影響を取り上げる。

2019年頃から小売業者を狙った集団による悪質な窃盗・万引きが多発するなか、スーパーマーケット大手クローガーのロドニー・マクマレン最高経営責任者(CEO)は21年9月、粗利益率低下の理由と指摘。電気小売大手ベスト・バイのコリー・バリー最高経営責任者(CEO)も21年11月、投資家会合で盗難問題が財務を圧迫していると説明した。

さらに、薬局チェーン大手ウォルグリーンズ・ブーツ・アライアンスのジェームズ・ケホー最高財務責任者(CFO)は、1月の決算発表に絡むカンファレンス・コールにて、集団窃盗や不法行為によって失われた在庫が「過去2年間で52%増加した」と報告し、小売業界が直面する深刻な問題として提示した。窃盗や万引きが多発する理由として、重罪と判断され刑罰が重くなる窃盗額の最低額が全米50州のうち39州で引き上げられたことが挙げられよう。気になる詳細は、本誌をご覧下さい。なお、筆者は2021年6月、この問題についてこちらにて取り上げ背景や理由など詳しくお伝えしています。

franckreporter/iSrock

当サイトが定点観測するアップ・アンド・ダウン・ウォール・ストリート、今週は中間選挙前の米株相場見通しを取り上げる。抄訳は、以下の通り。

投資家よ、用心せよ:米株市場はまもなく年内の安値を試す展開へ―Investors, Beware: Stocks Are Approaching the Worst Part of the Year.

「5月に売り逃げろ(Sell In May And Go Away)」の投資格言が示すように5~10月の軟調な6ヵ月を意識したのか、あるいは夏枯れに伴う株安を先取りしたのか、1~3月期に米株相場は下落した。

同時に、5月と言えば中間選挙の半年前にあたる。ストック・トレーダー・アルマナックによれば、5月から半年間にわたる米株相場のリターンは大統領の任期4年間で最も弱く、特に民主党大統領では特に下落が目立つ。

加えて、足元で米連邦公開市場委員会(FOMC)が積極的な金融引き締めを進める見通しだ。一連のネガティブな材料を判断すれば向こう半年への期待がしぼむ半面、この時期が株高へのプロローグとも捉えられよう。「5月に売り逃げろ」は、まるで農家の年鑑にある言葉のようだ。しかし、ルーソールドのダグ・ラムジー最高投資責任者(CIO)によれば、1926年以降、大統領の任期2年目にあたる年のS&P500の平均リターンは5~10月の半年間で2.2%高にとどまる。逆に、大統領3年目を挟む11~4月の半年間の平均リターンは13.9%高だ。小型株はより顕著な差が生じ、5~10月の平均リターンは2.5%高のところ、11~4月は19.2%高だった。

ストラテガス・リサーチによれば、1962年以降、中間選挙の年に米株相場は大きく下落する傾向があり平均19%安となり、選挙を予定しない年の13%安より下落率が大きい。ただし、谷深ければ山高しというわけで、その後の上昇率は平均で31.6%に及ぶ。

こうしたパターンにつき、ストラテガス・リサーチは政治が影響していると分析する。金融や財政など政策が中間選挙前に引き締め寄りにシフトする傾向がある半面、以降は米大統領選を控え共に緩和的に転じるためだ。

ラムジー氏は、いささか皮肉な見方を有する。新政権や再選されたばかりの政権に対する失望は就任2年目に高まり、投資家は11月の選挙前に不満を爆発させる傾向にある。その結果、4年周期の中で中間選挙以降に最も株価が上昇しやすくなるというわけだ。加えて、ラムジー氏は中間選挙前の6ヵ月間の米株安を「弱気キラー」の時期と位置付け、長期的な下げ相場のクライマックスにあたると分析する。S&P500は1960年以降、14回にわたり19%以上も下落したが、そのうち10回は中間選挙年にあたり、1974年、1982年、2002年などそのうち8回は5~10月の間に底打ちしていた。

チャート:S&P500、中間選挙前の1年間は下落する選挙後の1年間は上昇する傾向あり(後述)

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(作成:My Big Apple NY)

中間選挙の年に下落する場合、年初の1~3月期からマイナスでスタートすることが多い。今年はというと、ダウを始めS&P500、ナスダックなど全て下落。ストック・トレーダーズ・アルマナックの編集者、ジェフリー・ハーシュ氏は「今年の動向は、過去のパターンと不気味に符合する。戦争、インフレ、景気後退、利上げなどは中間選挙での共通のテーマだ」と指摘する。

1938年以降、中間選挙年の1~3月期にマイナスだったのは10回で、そのうち7回は年末でも陰線引けしていた。例外の3つのうち1938年は、不景気からの急回復を果たした。1942年は第2次世界大戦中で、ミッドウェー海戦の年にあたる。1982年には高インフレ後の景気後退を経て、長期の強気相場が産声を上げた。

では今、どのように長く辛い米株相場をしのげばいいのだろうか?

債券という選択肢が挙げられよう。ビアンコ・リサーチのグレッグ・ブラハ氏によれば、米10年債は1990年以降、3~4月に1年で最悪の時を迎え、5~9月に最良のリターンを叩き出してきた。ただし、ブラハ氏は比較的少ないサンプルであると注意を促すとともに、今年はインフレ高進を始めパンデミック、戦争などの要因で短期的にボラティリティが高くなると警告する。

仮に歴史が繰り返されるならば、今年の夏は米株の強気派には忌まわしい夏となるだろう。また、ラムジー氏によれば「米株相場のバリュエーションは未だ割高で、さらにFedは金融引き締めにシフトしつつある」。とはいえ同氏が指摘する通り循環的な下落局面という、理想的な買い場がやってくる見通しだ。問題はそのタイミングで、買い急ぐべきではない。

――今年の1~3月期、ダウは4.6%安、S&P500は4.9%安、ナスダックは9%安で幕を閉じました。中間選挙を迎える年に、20年1~3月期以来の下落率となっています。ストック・トレーダーズ・アルマナックが正しければ、その年はマイナスで終わる公算が大きい。ただし、1962年以降、中間選挙から1年後のS&P500のリターンはというと15回中全勝で、平均リターンは16.3%高と、中間選挙を挟まない年の平均6.4%高を大きく上回りました。半年後のリターンも全勝で、平均15.1%高です。

直近の動向をみると様相が異なり、2006年から2014年までは中間選挙前のリターンに軍配が上がっていました。しかし、現代と同じく高インフレに喘いだ1978年でも半年後のリターンは9.2%高、1年後は9.3%高でした。1982年に至っては半年後のリターンは23.0%高、1年後は22.3%高に及びます。アノマリーだけで判断するならば、年内の下落局面は絶好の買い場となる見通し。問題はいつ、どの銘柄を選ぶかでしょうが、懸念材料であるインフレ高進やFedの保有資産の縮小を含めた金融引き締め、ウクライナ情勢緊迫化だけでなく、4月から開始する決算シーズンを見極める必要がありそうです。


編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK –」2022年4月10日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。