バロンズ:Fedの大幅利上げにご用心、75bpも視野

バロンズ誌、今週はカバーにソーシャルネットワーク大手メタ・プラットフォームズを取り上げる。

旧フェイスブックは、米議会だけでなく利用者からもかつてない集中砲火を浴びている。本業も芳しくなく、投資家は巨額の利益を稼ぎ出す企業に返り咲くか疑問を持つ状況だ。デジタル広告に支出される4ドルのうち1ドルはメタが占め、同社を上回るのはアルファベットのみ。しかし、メタの稼ぐ力であるターゲティング広告は、アップルが2021年10月、プライバシー保護の観点から規制に乗り出した結果、もはや金の卵ではない。アップルの広告規制により、メタの2022年売上高は前年比100億ドル減、即ち2021年の売上の9%相当が失われる見通しだ。

それだけでなく、フェイスブックやインスタグラムは今やメタバースの分野を含め、TikTokとの競争にさらされている。株価は2021年9月から51%も急落したが、メタは起死回生を図れるのか。詳細は、本誌をご覧下さい。

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米金融政策は、予想以上にタカ派となる場合も―Here Come the Interest-Rate Hikes. They Could Be Even Worse Than You Expected.

「Fedと争うな」は、長きにわたり語り継がれるウォール街の格言だ。しかし、米国の中央銀行はインフレとの戦いに躊躇し、その指導力はまるで南北戦争時、リー将軍率いる南軍の攻撃をかわしきれずリンカーン大統領に解任された北軍の司令官ジョージ・マクレラン氏を彷彿とさせる。

米連邦準備制度理事会(FRB)の高官は前週、インフレ抑制キャンペーンを一段と強化し、パウエルFRB議長の発言は5月3~4日開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)で50bp利上げを確約したも同然だ。地区連銀総裁の一部に至っては、75bpという1994年以来行っていない大幅利上げを主張した。その結果、FF先物市場では5月に50bp、6月に75bp、7月に50bpの利上げを行いFF金利誘導目標を2.0~2.25%とする確率が87%(筆者がFF先物市場のデータを見た限りでは以下のチャートの通り85%)と、前週の16%から急上昇した。

チャート:7月までに最低1回75bp利上げを行い、2.0~2.25%となる確率は85%

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(作成:My Big Apple NY)

25bpの利上げを開始したばかりで、資産買入を3月まで行っていたこれまでのFedの慎重な金融政策とは 大違いだ。さらに5月FOMCでは、マクレラン流のやり方でパンデミック前から2倍に膨らんだ保有資産の縮小について方針を示すのだろう。一連の動向を受け、米株相場は総崩れとなりS&P500とナスダックは3週連続で下落し、それぞれ2.75%安、3.83%安で週を終えた。ダウ平均は4週続落し、1.86%安で引け。米短期債利回りも大幅利上げ観測を背景に急上昇し、米2年債利回りは前週に0.27ポイント上昇し2.713%、米10年債利回りは3%突破に迫る。

一部のFedウォッチャーは、さらに積極的な利上げを予想する。ムラの北米エコノミスト・チームは、6月、7月に75bp、9月、11月、12月に25bpの利上げを見込む実現すれば、年末までにFF金利誘導目標は3.0~3.25%となる。4月22日時点の2022年末の利上げ確率は、2.75~3.0%、3.0~3.25%で五分五分となり、2.5~2.75%の見方が大勢を占めた4月15日時点から一変した。

チャート:2022年末のFF金利、4月22日時点で2回の75bpを経て3%超えとなる確率は53%

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(作成:My Big Apple NY)

クリーブラント地区連銀のメスタ―総裁が22日にCNBCに出演して発言したように、Fedの目的は段階的な金融引き締めにある。しかし、年初来からの荒れ相場でポートフォリオが傷んだ投資家にとって、それは慰めにならない。本コラムで以前指摘したように、伝統的な株式60%、債券40%のポートフォリオはインフレ加速と金利上昇局面で大打撃を受けた。バンガード・バランス・インデックス・ファンド(VBAIX)は60対40の割合で構成されるが、4月21日までのトータル・リターンは8.8%安という有様だ。

5月3~4日のFOMC前に4月28日週は、ブラックアウト期間前にFed高官の発言が相次ぐ予定だ。それまでに発表される重要指標は、米第1四半期雇用コスト指数で、Fedもインフレ圧力を確認する上で注目しているに違いない。ドイツ銀行のエコミストは前年同期比4.6%と1991年以来の高水準を見込む。そうなれば、Fedが動かないはずはない。

――セントルイス地区連銀のブラード総裁の発言を受け、50bpだけでなく75bpの利上げの観測も台頭しつつあります。ただ、パウエルFRB議長は4月21日に50bpの利上げを「検討する」と述べた程度で、75bp利上げについてクリーブランド地区連銀のメスター総裁が22日に「その必要はない」と言及、「計画的」なアプローチを望むと語っていました。何より、アトランタ地区連銀のボスティック総裁は、ロシアによるウクライナ侵攻などを受け世界景気減速のリスクを理由に、力強い米経済がいつまで続くか不透明だとして、利上げに「慎重であるべき」と発言しています。Fedはビハインドザカーブだとの批判が多いものの、大幅利上げと保有資産の圧縮の影響は未知数で、確約したくない姿勢が伺えます。一方で、50bpの利上げを含め大幅利上げは景気減速あるいは後退局面での利下げ余地を作りますから、年末までに中立金利2.375%超えの水準まで引き上げるシナリオがFed内のコンセンサスなのでしょう。


編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK –」2022年4月24日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。