まずFP(ファイナンシャルプランナー)がお金持ちになりなさい

FP(ファイナンシャルプランナー)という資格があります。お金の専門家として個人の資産運用アドバイスをするのが仕事です。いつも不思議に思うのは、FPの人たちはお金の専門家であるにもかかわらず、自分自身のお金の不安を解消して経済的に豊かに暮らしている人があまりいないように見えることです。

確かに、FPの人たちはNISAやイデコといった税制優遇の細かいルールや、年金の賢い受け取り方といった知識や情報は継続研修などを通じて常に最新の情報をアップデートしているようです。

しかし、お金を増やすために必要な情報を収集して自ら実践すると共に顧客に提供しているのかというと、心もとない感じが否めません。

自分自身の資産運用も積極的に行っているように見えない人がほとんどなのです。

私はお金のアドバイスをする人は情報提供する人たちより「お金持ち」でなければ、アドバイスに説得力がないと思っています。

それは肌が荒れた美容部員や自分のウエイトコントロールさえできないトレーナー、あるいは服装のセンスの悪いファッションコーディネーターに説得力が無いのと同じです。

ちなみに、「お金持ち」というのは、単にたくさんのお金を持っている人ではなく、お金の束縛から解放されて自分のやりたいように自由に使える立場にある人のことです。

私はFPの資格を持っていないので真相はわかりませんが、FPの人たちが「お金持ち」になれない理由の1つは、FPの人たちの思考が「リスク回避に偏り過ぎ」だからではないかと思います。

失敗を恐れるばかりリスクテイクを避けるような行動をしてしまい、それが資産を増やすチャンスを逃しているのではないでしょうか。

その結果、リスクを取って収益を増やすことよりも支出を減らすことばかり考えて、縮小均衡の節約志向に陥っているように見えます。

金融商品の重箱の隅をつつくようなルールの変更に詳しくなるよりも、金融商品に留まらない幅広い投資対象の収益機会の情報を貪欲に集めて取捨選択していく方が遥かに資産を増やすのには役立ちます。

お金の専門家を自負するのであれば、まずFP自らがお金持ちになって少なくとも経済的な面のロールモデルになることが必要です。

現役時代にコツコツ貯めた資産をリタイアしてから取り崩して、お金のやりくりを何とかしながら節約生活をしているお金の専門家にアドバイスして欲しいと思う人はいないはずです。

資格を持たないくせに勝手なことを書きました。FPの皆さまからの率直なご意見をお待ちしています。

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編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2025年12月8日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。