アゴラ 言論プラットフォーム https://agora-web.jp 経済、ビジネス、情報通信、メディアなどをテーマに、専門家が実名で発言することで政策担当者、ジャーナリスト、一般市民との交流をはかる言論プラットフォーム ja Mon, 13 Jan 2025 03:34:40 +0000 https://agora-web.jp/img/logo-for-smartnews.png アゴラ 言論プラットフォーム https://agora-web.jp/img/logo-for-smartnews.png 法政大学ハンマー問題 私見:日本へのバッシングが起きかねない事件 society 法政大学のクラスで仲間外れにされたと思った韓国の女子学生がクラスメートにハンマー攻撃をして多くのけが人を出した事件ですが、私はこの事件は慎重にことの成り行きを見ています。 日本人同士のいじめが原因の事件と違い、外国人学生

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法政大学のクラスで仲間外れにされたと思った韓国の女子学生がクラスメートにハンマー攻撃をして多くのけが人を出した事件ですが、私はこの事件は慎重にことの成り行きを見ています。

法政大学多摩キャンパス 法政大学HPより

日本人同士のいじめが原因の事件と違い、外国人学生がその加害者である点からその動機が明らかになった場合、日本へのバッシングを含め想定以上のことが起きかねないからです。

いずれ動機は判明するでしょう。その際に仮に非日本人という差別意識が若干でもその理由に含まれているならそれは相手及び相手国が大きく盛り上がるきっかけを作ってしまいます。これは相手国の国民がどう捉えるか、あるいは初期のSNSなどへの反応次第なので予見しずらくそれ故に要注意だと思います。

例えば日本国内では中国人やベトナム人による犯罪事件がしばしば起きますが、もはや日常茶飯事的なところもあるし、同胞同士のトラブルが原因の場合も多く、小さな事件は話題になりません。警察庁の資料によると令和2年のデータですが、外国人の検挙数は11756人で国別でみるとベトナム36%、中国23%、フィリピン7%、ブラジル4%であとは非常に小さな数字です。ちなみに韓国は3%です。多くが窃盗であり、それが国際間の問題になることはあまりありません。

ところが人が絡む問題、それも事故ではなく故意である場合、人々の反応は急激に鋭くなるものです。

中国で昨年あった2つの事件、蘇州で日本人のスクールバスが襲われて日本人親子がけがをし、中国人女性がなくなった事件、もう一つが深圳で日本人学校に通う日本人児童が襲われ死亡した事件がありました。前者の事件は初公判が9日に行われましたが、日本のメディアには非公開です。(たしか日本国総領事は法廷傍聴をしていると理解しています。)後者の事件の初公判は1月24日でこちらの方のインパクトがより大きいと思います。ご記憶にあるかと思いますが、それらの事件後に多くの日本人駐在員の家族に動揺が走りました。帰国したり単身赴任などに切り替える措置をした方もいるやに聞いています。

どこの国においても外国人の居住の立場は弱々しく、裁く側のルール適用もより厳格になりやすと思います。外国人はお客様であり、居住については一種の仮免許のような立場故に少しでもルールに逸脱した場合は国外退去を命じ排除しやすくすることはあるでしょう。スリランカ人の名古屋入管での死亡事故は非常に大きな話題となりましたが、排除する側の論理と人権問題が真正面からぶつかったケースではなかったでしょうか?

では外国人が絡む事故や事件がどこの国でも同じような反応をするのか、というとかなり違うというのもまた事実です。例えば昨年バンクーバーで飲食店に勤める日本人の若者が帰宅途中に殺害されました。その後、その現場には数多くの花束が飾られ沈痛なムードもありましたが、ひと月もすればほぼ何もその痕跡はありません。

個人的には東アジア、つまり日中韓のセンシティブな国際関係を背景に憶測や話が増幅されたり、はたまた事実無根の噂話がSNSで一瞬にして情報展開されることでことを複雑にしやすいと思います。

ましや韓国は今、国がどういう状態がさっぱりわからず、私から見れば泥沼国家にしか見えません。そこにもってきて日本人にいじめられてハンマーを振り回す暴挙に出たというのは一部報道にあるように犯人の女子学生がかなり変わり者だったようなので、仮にいじめられていると妄想していただけだったとしても悶々とする韓国社会には刺激的であろうと察します。

もちろん、私は最悪のケースを思っているだけで問題の原因が究明され、関係者同士の理解が進めばそれがベストだと思います。ただ、往々にしてこの手の情報は途中で尻切れトンボになるのです。するとSNSなどで事件の事実だけを知っているけれどその後、情報がアップデートされず、感情論が先行することが時折おきます。私はそれが怖いのです。

一度出た噂話は火消してもとに戻すのは極めて難しいものです。そういう意味で今回の事件は小さな案件ですが、小さいからこそ私は慎重な対応が求められると思うのです。

あと、付け足しですが、大学側に学生カウンセリングの仕組みがどこまで浸透していたかもありそうです。カウンセリングにもいろいろありますが、留学生が抱える悩みを聞いてあげるような仕組みを持つ大学カウンセリングの仕組みはそう多くはないと思います。大学は留学生頼みとされるところも増えてきていますが、そのあたりの環境整備にも力を入れなくてはいけないでしょう。

では今日はこのぐらいで。

編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2025年1月13日の記事より転載させていただきました。

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https://agora-web.jp/archives/250112202309.html https://agora-web.jp/archives/250112202309.html Mon, 13 Jan 2025 03:00:04 +0000 Mon, 13 Jan 2025 01:10:06 +0000
イタリア教会「同性愛者も神父になれる」 column バチカン・ニュースが11日報じたところによると、イタリア教会司教会議は新たな神父養成指針を発表した。この指針には、虐待防止、女性や心理学専門家との協力強化、さらには同性志向を持つ人々の聖職への道についての規定が含まれてい

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バチカン・ニュースが11日報じたところによると、イタリア教会司教会議は新たな神父養成指針を発表した。この指針には、虐待防止、女性や心理学専門家との協力強化、さらには同性志向を持つ人々の聖職への道についての規定が含まれている。この指針は1月9日に施行され、当面の間3年間有効だ。2006年版の指針に代わるもので、バチカンの承認を受けて制定された。

ドイツ教会での神父叙階式(2020年7月10日、バチカン・ニュースから)

神父養成指針で注目される点は、性的指向に関する神父養成の規定が緩和され、同性愛者は今後、原則として神父職から排除されることがなくなる。バチカン・ニュースによると、「養成過程において同性愛的傾向が話題となる場合、その判断をこの側面に限定するのではなく、他の候補者と同様に、その若者の人格全体の中での意義を理解する必要がある」という。ただし、同性愛者の神学生に対しても、異性愛者の神学生と同様、性行為は禁止される。2016年にバチカンが発表した指針では、「実践的な同性愛者」や「根深い同性愛的傾向を持つ者」、また「いわゆる同性愛文化を支持する者」は、原則として神父職から除外されることになっていた。

新指針では、数年間にわたる養成期間中に、「個々の性的成熟への成長が重要な役割を果たす」と強調されている。「現代の社会文化的状況は、その矛盾や曖昧さとともに、この分野でより真の成長を遂げるための特別な機会を提供する」と説明。これらのテーマが現在自由に取り組まれていることは、神父候補者が人間的、心理的、霊的にさらに成熟するための良い前提条件を形成しているという。司教たちは、養成課程における率直な議論を推奨している。候補者は自己を構成するすべての要素、性的指向を含む人格全体をますます自覚し、それを統合し、十分な自由と落ち着きをもって対処できるようになることが求められる、というのだ。

聖職者の未成年者への性的虐待問題については、指針では「法的な次元に限定されるべきではなく、法的責任や制裁の可能性を判断するために弁護士に委ねるだけでは不十分である」と強調。法的な対応に加えて、虐待の経緯、原因、そして「個人および社会、共同体、教会の文脈」を理解することが必要だと指摘している。神父養成では国家レベルの児童保護基準を考慮に入れるべきと主張。特に神父候補者の選考に際しては、彼らの過去に特段の注意を払う必要があり、「いかなる形でも犯罪やこの分野での問題のある状況に関与した経歴を持っていてはならない」と強調している。

世界に14億人以上の信者を抱える最大のキリスト教派、ローマ・カトリック教会の総本山バチカン教皇庁のヴィクトル・マヌエル・フェルナンデス教理省長官は2023年12月18日、「同性カップルもカトリック教会で祝福を受けることができる」と表明した。フェルナンデス枢機卿が署名し、教皇フランシスコが承認した政策表明文では、「不規則な状況にあるカップルや同性カップルを祝福する可能性について」と問題点を明確にしたうえで、「同性カップルも教会内で今後祝福を受けることができる」と強調し、「結婚の秘跡に内在する祝福との混同を避けるため、教会での儀式的枠組みの祝福とは区別しなければならない」と説明し、「教会の公式の婚姻サクラメントとは違う」とわざわざ述べている。

教理省は2021年2月、「神の計画に従って明らかにされたものとしては客観的に認識されない」として、「同性パートナーシップの祝福は許可されていない」と宣言してきた。それを23年12月、「聖職者は祝福を願う同性カップルに対し、教会の公的な儀式外ならば祝福を認める」と述べたわけだ。

そして今回、ローマ教皇のお膝元のイタリア教会司教会議が神父になろうとする聖職者に対しても同性愛者を聖職から排除しないという新しい指針をまとめたわけだ。ただし、正式に決定するまでに3年間という期間を置いている。ローマ・カトリック教会ではこれまで性モラルについて公に協議することは少なかったが、聖職者の未成年者への性的虐待問題が至る所で発覚し、大きな社会問題まで発展してきたことを受け、聖職者になろうとする神学生時代から「教会と性問題」について理解を深める必要性が出てきたからだ。

ちなみに、バチカンには同性愛クラブが存在すると久しく囁かれてきたが、それを裏付ける出来事が起きたことがある。バチカンの教理省高官(当時43)が2015年10月、記者会見で自分が同性愛者だと告白したのだ。ローマ教皇フランシスコ自身が2013年6月6日、南米・カリブ海諸国修道院団体(CLAR)関係者との会談の中で、「バチカンには聖なる者もいるが、腐敗した人間もいる。同性愛ロビイストたちだ」と述べている。

また、オーストリアのローマ・カトリック教会サクト・ペルテン教区のクラウス・キュンク司教は「神学セミナーや教会聖職者の一部に同性愛的(ホモセクシュアル)な雰囲気を感じることがある。彼らは特定な人物に強い関心を示す」と述べた上で、神学セミナーや修道院で同性愛者のネットワークが存在すると指摘。「彼らが教会や修道院で拡大、増殖していった場合、教会や修道院の存続が危機に陥る」と警告を発したことがある。 いずれにしても、ローマ・カトリック教会と「同性愛問題」は久しく隠蔽されてきたテーマだ。

編集部より:この記事は長谷川良氏のブログ「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2025年1月13日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。

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https://agora-web.jp/archives/250112202338.html https://agora-web.jp/archives/250112202338.html Mon, 13 Jan 2025 02:55:34 +0000 Sun, 12 Jan 2025 21:12:22 +0000
毎日新聞『被災者をたたく人間を能登ウヨと呼ぶ。被災者を匿名で背後から撃つ卑劣と陰湿』 column 昔から分断を煽る新聞 毎日新聞『被災者をたたく人間を能登ウヨと呼ぶ。被災者を匿名で背後から撃つ卑劣と陰湿』 書きました。 能登半島地震で被災し、窮状を訴え、行政への不満を口にする能登の人々が、SNS上で陰湿、卑劣な非難や

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昔から分断を煽る新聞

毎日新聞『被災者をたたく人間を能登ウヨと呼ぶ。被災者を匿名で背後から撃つ卑劣と陰湿』

 

井上英介 on X: "書きました。 能登半島地震で被災し、窮状を訴え、行政への不満を口にする能登の人々が、SNS上で陰湿、卑劣な非難や誹…

1月11日の毎日新聞に、能登半島地震に関連して匿名の被災者への取材が行われ、『こうした被災者をたたく人間たちを、一部でネトウヨをもじって「能登ウヨ」と呼ぶ。」「被災者を匿名で背後から撃つ「能登ウヨ」の卑劣と陰湿に、負けないで欲しい」などと、徳島支局長の井上英介氏によって記述されたコラムが掲載されています。

『能登ウヨ』という蔑称が広まった発端と毎日新聞記事の被災地分断記事

archive.md

『能登ウヨ』という蔑称が広まったのは、このアカウントが2024年10月以降に「能登ウヨ連」という語を用いて盛んに発信したことが捕捉されたことが発端です。

SNS上での初出は既に削除されていなければ別のアカウントによる2024年4月以降の多数の発信が見つかりますが、フォロワー数が6万超えの割にはまったく拡散されておらず、能登半島・石川県在住者らの目に留まることはなかったようです。

以下のアカウントの発信の拡散力が大きいので、このアカウントが「能登ウヨ」と書いたことが取り上げられてそのような用語が使われていることの認識がさらに広がりました。

毎日新聞の当該記事に対して「境遇が似てますが勝手に私と決めつけ発信する方へは、法的に対応致します」と書いてます。

なお、このアカウントに毎日新聞の当該記事を書いている井上英介記者がX上で接触している様が見られます。記事中にスマホ内の画像として掲げられているものは、このアカウントが投稿した画像と同じものです。

そして、このアカウントは「能登ウヨ」という言葉が広がっていることに心を痛めたユーザーが、能登の飲食店を応援するために民間が興った能登の美味しいものをポストしてバズろうと企図して「能登ウマいヨ」というポジティブなワードを広めようとした動きに関しても「能登コワイヨ」というハッシュタグを使っていました。

このアカウントへの要求やその主張への論評が全て正しいわけでもなく、広大なネットには不見識な者が沢山いるために、投稿が拡散されると「集中的に攻撃されている構図」が出来上がるのは世の常です。

が、「攻撃されている者が被害者であり正しい」ということでもないというのは、兵庫県知事選挙に関するSNS上の言説でも指摘されていたことです。

果たして、このような用語法を「正当な批判への切り替えし」として取り上げるべき実態はあるのでしょうか?単に被災地を分断することになってるでしょう。

「被災者を叩く」要素の無い論評にも「能登ウヨ」という言葉が無秩序に使用されてる様子は、少しXで検索すればわかるはずです。

「被災地での分断を煽る」は、当の毎日新聞が東京日日新聞時代からやってきたことでしょう。

対抗としての『能登ウマイヨ』『のと活』への経緯と、能登半島の食紹介の運動

【電子版】「能登ウヨ」から「能登ウマイヨ」へ - 異端審問官城 - BOOTH
能登半島地震の「災害史」の一つー情報災害についての考察です。能登半島地震における被災者へのバッシング=「能登ウヨ」という蔑称の出現過程と、その蔑称が #能登ウマイヨ というグルメ紹介のポジティブワードへ塗り替え克服されていく様子を記録した一冊となります。
【増補改訂版】令和6年能登半島地震にかかる風評・ 流言・誤解の記録検証について - 異端審問官城 - BOOTH
発災以来に、能登半島地震にまつわり生じた風評・流言・誤解を「もう一つの震災被害」として検証・記録していきます。検証するデマ等は以下の通りとなります。 目次(2024年7月27日時点) 1.地震直後も道は空いていた、渋滞は嘘だ 2.被災地への救助部隊派遣が遅いし少なすぎる、政府の怠慢だ 3.石川県は最初ボランティアに来る...

「能登ウヨ」に心を痛めた方が能登半島のおいしいものを食べて欲しいと思い、ある種の対抗としての『能登ウマイヨ』『のと活』というワードを作ったことの経緯と、それを腐す人らの記録。そして、被災から現在進行形での流言や誤解、風評加害を記録している方が居るので、紹介しておきます。

世の情報は「〇〇が足りない・不十分」というものに注目されがちですが、そうした情報は「無限の要求」に過ぎなかったり、一部を切り取ったもののケースが多いです。

それより伝えられるべきは「ここまで復興できている」「今はこうした支援目メニューがある」といった内容であり、本質的な復興や支援に繋がる情報発信のはずです。

つまり、現地や周辺自治体、石川県とその近県のコンテンツについて、他の地域の方が消費する事を促すものや、現在の行政サービス等の情報です。

そうした投稿をいくつか引用して本稿を締めようと思います。

目的別・令和6年(2024年)能登半島地震に関する情報 | 石川県

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※編集部注:1200円の間違いです。

編集部より:この記事は、Nathan(ねーさん)氏のブログ「事実を整える」 2025年1月12日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は「事実を整える」をご覧ください。

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https://agora-web.jp/archives/250112203524.html https://agora-web.jp/archives/250112203524.html Mon, 13 Jan 2025 02:50:15 +0000 Sun, 12 Jan 2025 20:59:10 +0000
共産党、SNS工作にさらに力を入れるってよ column きょうは朝日新聞の記事から。 【「自力不足が深刻化」共産、衆院選総括で 「SNSに強い党」掲げる】 共産党は10日、東京都内の党本部で第4回中央委員会総会(4中総)を開き、11日に採択予定の決議案を提示した。昨年10月の

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きょうは朝日新聞の記事から。

【「自力不足が深刻化」共産、衆院選総括で 「SNSに強い党」掲げる】

共産党は10日、東京都内の党本部で第4回中央委員会総会(4中総)を開き、11日に採択予定の決議案を提示した。昨年10月の衆院選での議席減について、「最大の要因は自力の不足にあり、この弱点から目を背けてはならない」と認め、「SNSに強い党をつくりあげることは不可欠の課題」とした。

決議案は党員の減少傾向を踏まえ、「自力不足の深刻化が党活動の量的レベルのみならず質的レベルにまで影響を及ぼしている」と指摘。「宣伝、組織活動は落ち込み選対(選挙対策)体制がつくれないなどの事態も生まれている」と危機感を示した。SNS戦略室を立ち上げ、講座の実施などで発信を強化するとした。

今夏の参院選では比例区で5議席の獲得を目指すとし、衆院選から約1・9倍となる650万票以上の獲得を掲げた。選挙区では埼玉、東京、京都で現有議席を維持し、神奈川や愛知、大阪などの複数区での議席獲得を目標にする。(小林圭)

(2025/1/10 朝日新聞)

日本共産党というと北朝鮮からの指示に従っているのか、福島の風評加害活動だけでなく、あきたこまちRに対する風評加害も酷いものです。

品種改良時に放射線が使われただけで「放射能汚染米」などなど言いたい放題。科学的知識がわずかでもあればこのような与太話には引っかからないのですが、社民党や日本共産党やれいわ新選組や参政党を支持するような人はこの手のデマに簡単に騙されるようです。

それで日本共産党はSNSに強い党を作り上げるんだそうですよ。

これまでも日本共産党は党員をネット工作に動員するということをアピールしていましたはずなんですが……。

SNSとヤフコメで頭のおかしな主張をしている連中のことですかね?

ヤフコメはかつてのTwitterキュレーションチーム(笑)のように左翼的言論ばかりを優遇するようなあからさまに偏った検閲を長いこと行っていた過去がありますのでそういうコメントを投稿する人ばかりが残ったという事情もあるんでしょうけど。

たしかに日本共産党は党員の超高齢化と新たなカモ…党員を確保しようにもターゲットが相当程度頭が悪くないと無理です。

特にネットが普及したことにより若い人達は情報の比較がすぐに容易に行えるため日本共産党が党員を金蔓として搾取して党中央が贅沢暮らしをする典型的なマルチやカルトの構造であることに気付かれますし、マルクス主義なんてものがそもそもの妄想でしかない事に気付かれるなどの事情もあるでしょう。

若者が足りなくて困った日本共産党が考え出したネタの一つが志位るずでした偏差値28軍団として有名です。

党員を使い捨ての金蔓としか考えないため「利用価値がなくなったら使い捨てにする」ということを何十年も前からくり返す体質でした。

ガチガチの共産党の活動家である志位るずメンバーについて普通の経営者ならばリスクを考えて絶対に雇用したくありません。

下手をすれば党内に勝手に活動組織が作られて経営を乗っ取られかねないんですから。(活動家を入れて内側から組織を乗っ取るのは関西生コン、解同、共産党の得意技)

案の定志位るずメンバーのその後は非常によくありませんでした。

相手が相当に頭が悪くないと新規の党員を引っかけられないのが日本共産党です。

志位るずはマスゴミの全面的なバックアップもあり多少はうまく行ったのでしょうが、共産党は所詮は党中央の老人達がいつまでもそのポストにしがみついて貴族生活を送る組織です。

そんな老人達が考えついた新たなネタが「選挙ギャルズ」でした。

【「選挙ギャルズ」 13日 国会前で 抗議行動とパレード】

「戦争むりぽん、平和らぶい、人権バリ守る」。参院選で立憲野党勝利のため、今までにないポップさでSNSや全国各地を盛り上げた「選挙ギャルズ」が13日、東京都内で国会前抗議行動とパレードを計画しています。

選挙ギャルズは声明で、「わたしたちは、この国の未来の方向性をにぎる『政治』に対して強い違和感を感じています」と強調。「いい意味で空気を読まず、臆せずに本気で声をあげ、仲間と全力で目の前のことに向き合うことで楽しむ、それが『ギャルズマインド(精神)』です」と訴えています。

共同代表のさきギャルさんは「みんなぁ~!参院選終わったけど、憲法改悪はむりぽんすぎるから、ウチらの自由と人権守るために引き続きアクション起こしてくよぉ~!?13日は、全国の平和ギャルズ集まってギャルズバイブス(やる気)ぶちかまそっ!」と全世代のギャルに向けて参加を呼びかけています。

「黙ってらんない#国会前ギャルズ」=午後3時30分~、国会前で。「ラブピパレード」=午後5時~、日比谷公園中幸門から銀座方面に向けて出発予定。

持ち物はサングラスとピンク色の何か、アゲな(ハイテンションな)気持ちです。

(2022/8/10 赤旗)

「若い女の子を使えば若者を引っかけられる」超高齢化している共産党の党中央の老人達がその程度の理解で考えついたのでしょう。

オヤジ構文全開で選挙ギャルズのSNSは加齢臭がキツすぎてお話にならず、すぐに日本共産党の仕掛けだと広まってしまい、ブームを作り出すことに失敗したと考えた日本共産党は実質たった1ヶ月で選挙ギャルズを放棄しました。

党員を簡単に使い捨てにする体質ゆえか、失敗したと思ったらあっさりと切り捨てる体質はさすがだと思います。

日本共産党はJCPサポーターズというのを立ち上げてネット工作にさらに力を入れています。

JCPサポーター
#JCPサポーター始めました。

ネット工作の心得的なものがあったりしたのですが、

「これ見ると比例は日本共産党一択かな」 「共産党支持者じゃないけど、これは大事」

など、共産党員ではないフリをしてSNSで工作して一般人を騙そうという指南がされています。

冒頭に取り上げた記事では共産党がSNSにさらに力を入れて「SNSに強い党」を作っていく方針だそうですが、SNSは「何を発信するか」の方が重要です。

SNSを使って一般人を騙していこうとかそういうのってかえって逆効果になると思うのですが、 超高齢化している党中央は時代についていけてないですし、党中央に意見を言おうものなら即除名追放が日本共産党です。

世間の認識との乖離に気付くことなどできないでしょう。

編集部より:この記事は茶請け氏のブログ「パチンコ屋の倒産を応援するブログ」2025年1月12日のエントリーより転載させていただきました。

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https://agora-web.jp/archives/250112205024.html https://agora-web.jp/archives/250112205024.html Mon, 13 Jan 2025 02:45:20 +0000 Sun, 12 Jan 2025 20:58:37 +0000
社会保険料と消費税を「社会保障税」に column 最近は石破首相も全世代型社会保障とか歳出改革とかいい始めたが、具体策は何もない。問題があまりにも大きく複雑な利害対立がからむので、どこから手をつけたらいいかわからないからだ。 社会保険料を「社会保障税」に そこで改革の第

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最近は石破首相も全世代型社会保障とか歳出改革とかいい始めたが、具体策は何もない。問題があまりにも大きく複雑な利害対立がからむので、どこから手をつけたらいいかわからないからだ。

社会保険料を「社会保障税」に

そこで改革の第一歩として、社会保険料を社会保障税と改称してはどうだろうか。労働者が給与から払う保険料は、英米では給与税(payroll tax)と呼ぶ。年金は「長生き保険」などといわれるが、長生きはリスクではない。医療保険の40%以上が老人医療に使われているが、老化もリスクではない。

保険料と呼ぶと将来の給付で元が取れると思いがちだが、公的年金は次の図のように45歳以下は必ず損する金融商品である。

医療費は健康保険料の4割が老人医療費に取られ、毎年10兆円も高齢者に「支援金」などの名前で仕送りを強要されている。これを「健康保険」と呼ぶのは不当表示である。年金と健康保険を合わせて社会保障税と呼ぶのが実態に合う。

消費税を「第二社会保障税」に

もう一つの問題は消費税である。これも税収23兆円のうち、地方消費税を除く17.2兆円はすべて社会保障に使われるので、社会保障税と呼んだほうがいい。特別会計と一般会計を同じ名前にするのはおかしいという批判があるなら、消費税を第二社会保障税と呼び、全額を社会保障に使う目的税として運用で紐づければいい。

一般会計だから厳密な意味での目的税ではないが、社会保障支出は消費税収よりはるかに大きいので、消費税の使途を社会保障に限定しても財政は制約されない。これで「消費税は社会保障に使われていない」というれいわ新選組などの議論はなくなるだろう。

これで最低保障年金が可能になる。これは基礎年金を税に置き換える大改革だが、消費税を社会保障税と改称すると、年金保険料を社会保障税に置き換えるだけなので抵抗は少ないだろう。

ただ基礎年金勘定は25.6兆円だから、消費税収(地方消費税を除く)だけでは8兆円ぐらい足りない。生活保護4兆円も社会保障税にし、過剰給付になっているマクロ経済スライドを厳格に運用すれば税収中立にできる。

超党派で「最低保障年金」の実現を

最低保障年金は民主党政権で提案され、河野太郎氏も国民民主党も共産党も賛成している。立憲民主党の野田代表は、これを立法化したときの首相である。これによって就職氷河期の高齢フリーターにも月額6~7万円の最低所得を保障できる。

これは世代間対立ではないので、シルバー民主主義はそれほど大きな障害にはならない。むしろ消費税の増税で内閣が倒れたトラウマが政治家にも国民にも大きく、消費税を増税する政党がない。野党はみんな減税を提案している。これを打開しないと最低保障年金は不可能である。

その第一歩として社会保険料80兆円と消費税23兆円をまとめて社会保障税と呼べば、保険料を消費税に置き換えるのは同じ税の中のやりくりになる。第二社会保障税の増税は国会の同意が必要だが、「社会保障税は総額で管理し、すべて社会保障に使う」と法律に書けばいい。

税制の専門家には怒られそうな暴論だが、大事なことは社会保障の保険という擬制をやめ、税負担としての性格を明確にすることである。税としては逆進的で穴だらけの社会保険料より消費税のほうがはるかに公正で、徴税コストも低い。

できれば社会保障税は歳入庁で一括して徴収することが望ましいが、それは不可欠の条件ではない。今でも保険料と消費税は一体運用しているので、その実態に合わせるだけでいい。

河野氏が最低保障年金を提案しているので、これに賛同する政治家が超党派で集まり、まず社会保障税を提案してはどうだろうか。もちろん大改革なので1年や2年ではできないが、毎年3兆円以上増える社会保障支出を考えると、のんびりはしていられない。

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https://agora-web.jp/archives/250112162142.html https://agora-web.jp/archives/250112162142.html Sun, 12 Jan 2025 22:01:25 +0000 Mon, 13 Jan 2025 02:30:10 +0000
インドネシアのBRICS加盟と石破首相の「給食支援」問題 column 1月6日、インドネシアがBRICSの正式メンバーになることが発表された。すでに「パートナー国」となることが、他の8カ国とあわせて、発表されていた。その中には他のASEANの地域大国であるマレーシアやタイもいる。 ただし実

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1月6日、インドネシアがBRICSの正式メンバーになることが発表された。すでに「パートナー国」となることが、他の8カ国とあわせて、発表されていた。その中には他のASEANの地域大国であるマレーシアやタイもいる。

ただし実際には、インドネシアの国力は、それらの二カ国と比しても群を抜いている。そのインドネシアの実力を高く評価する形で、BRICS側がインドネシアを正式メンバーとして迎え入れたいという率直な態度をとったということだろう。

インドネシアは現在、GDPランクで16位の地位にある。南アを除く他のBRICS4カ国とG7諸国に次ぐ経済規模を誇っているのが、インドネシアだ。BRICSが特別視したことに、違和感はない。

経済成長率が5%近い。人口は2.7億人を誇り、増加率は鈍化してきているとはいえ、まだ増加し続けている。インドネシアのGDPは、5年程度のうちに韓国のGDPを抜き去る可能性がある。恐らくは20年もすれば日本のGDPも抜くだろう。

ASEANにおけるインドネシアの存在感も圧倒的だ。東南アジアの最有力国である。BRICSは、インドネシアを正式加盟国とし、マレーシアとタイをパートナー国としたことによって、ASEAN全域に、強烈なラブコールを送った。これは特に中国にとって大きな意味がある。

もちろんインドネシアは、欧米諸国と敵対的な関係に入りたいと思っているわけではない。バランス外交の道筋として、OECDへの加盟も目指している。

インドネシアに実力がなければ、欧米諸国の嫌がらせにあって、BRICS加盟は、OECD加盟への足かせになったかもしれない。しかし現実のインドネシアの実力を考えれば、BRICSに入ったのであれば、これは是非OECDにも入ってもらわなければ困る、という流れになるだろう。

そうした情勢の中、石破首相がインドネシアとマレーシアを訪問した。インドネシアでは、OECD加盟申請の後押しを約束したという。妥当な姿勢だろう。

首相官邸HPより

残念なのは、「日本もインドネシアの給食制度の支援をしたい」と石破首相が表明したことだ。SNSなどでは、かなり否定的な反応が見られる。子どもの貧困が広がっている日本が、なぜインドネシアの給食制度を支援できるのか、というわけである。

日本の給食制度をふまえて、日本人がインドネシア人と協働できる余地があるのであれば、それは良いことだ。ただ、67歳の石破首相や、他の外務官僚の頭の中に、万が一にも、日本は先進国で、インドネシアは発展途上国、という意識が過剰に存在しているなどということがあったら、懸念しなければならない。

BRICSは、インドネシアを正式加盟国として認め入れた。だがG7諸国のほうだけは、頑なに「まだまだいつまであってもインドネシアは発展途上国だ」と力説し続けるのだとしたら、これは由々しき事態である。

インドネシアとマレーシアは、イスラム圏の有力国でもある。私は、過去1年以上にわたり、ガザ危機対応の機会に、日本はインドネシアやマレーシアなどと連携を深めていくべきだ、と書いてきた。

行方の見えない「ガザ危機」で、これから起こりうる「3つの主要なシナリオ」(篠田 英朗) @moneygendai
ガザ危機の行方が見えない。人道危機が深刻化する一方、戦争の終わりは見えない。4日間の休戦によって、人質の一部の交換解放が行われた。良い兆しではある。だがこれがどのような中期的・長期的な政治的展開につながっていくのかは、依然として不透明なままだ。
篠田英朗「ガザ危機に直面する日本が追求すべきこと」(ROLES Commentary No. 21)
【編集部付記】本稿は5月12・13日にヨルダン・アンマンで開催された第1回「日本・中東戦略対話(Japan-MiddleEastStrategicDialogue)」への登壇に際して、著...

その意味では、石破首相の姿勢は評価したいが、もう少し明示的にやってほしかった気もする。ガザは議題になったというが、ともに事態を憂慮している姿勢を、もっと見せてほしかった。

いずれにせよ、ASEANを軽視する選択肢は、日本には残されていない。ASEANの主導国であるインドネシアを、大国とみなして重視する以外に、日本がとれる態度はない。

考えなければならないのは、「支援」というよりも、世界の諸問題にともに立ち向かう「パートナーシップ」の構築だ。国民にも、そのことがはっきりとわかる外交を心がけてほしい。

篠田英朗国際情勢分析チャンネル」(ニコニコチャンネルプラス)で、月2回の頻度で、国際情勢の分析を行っています。

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https://agora-web.jp/archives/250112123317.html https://agora-web.jp/archives/250112123317.html Sun, 12 Jan 2025 22:00:11 +0000 Sun, 12 Jan 2025 20:26:30 +0000
ホンダ&日産提携問題の本当の課題は何か?そして落合陽一氏の会社の話も… column 要点まとめ 日産の経営危機をきっかけに、自動車業界の真の課題である「自動運転技術への投資不足」と、それに伴う戦略の再考が重要視されている。短期的にはハイブリッド技術を活かしつつ、長期的にはEV化と自動運転への対応が急務。

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要点まとめ

日産の経営危機をきっかけに、自動車業界の真の課題である「自動運転技術への投資不足」と、それに伴う戦略の再考が重要視されている。短期的にはハイブリッド技術を活かしつつ、長期的にはEV化と自動運転への対応が急務。さらに、社会全体での協力体制や、効率的な経営環境の構築が日本の自動車業界の将来を左右する。

自動車業界に興味を持ってある程度ニュースを見ていた人からすると「イマサラ」感があった日産の経営危機ですが、結構世の中的には予想外にショックが大きかったのが意外だったというか、「このままでいいのか日本!?」みたいな機運が高まってきているのを感じています。

「このままでいいのか?」っていう機運が高まること自体はすごく良いことだと思いますが、ただなんか「何を真剣に考えるべきで、課題がどこにあるのか?」をちゃんと考えないと、ただ感情的に罵り合いをしてるだけで「意味のある議論」は皆無みたいなことになりかねませんよね。

というわけで、今回は日産&ホンダの経営統合に至った自動車業界の流れのざっくりした解説と、そこで「何を真剣に考えるべきなのか」についての掘り下げを行います。

今回、日産の件が話題になってからSNSを見ていると「あまりにも基本的な情報から間違ってる」話が多いので、この記事では専門的な細部のことは多少丸めてしまいつつ、大きな全体感を捉えられるように書いていくのでご了承ください。

一言でまとめると、「日本企業の課題はEV(電気自動車)じゃなくて自動運転とかの投資の方!!」ってことです。

「今まさに重要な話」なのでぜひ年末年始のお時間ある時に読んでいただければと思います。

一個前の記事で書いた「汚職大国中国ならではの意思決定の一貫性」に対してどうやって対抗するのか?という話も、特にEV(電気自動車)関連の問題もあって直接的に関係している部分なので、ご一緒にお読みいただければと。

「マジモンの汚職大国」=中国の”本気”が見られる名著の紹介と、それに日本はどう対抗すべきか?という話。|倉本圭造
今年の年末年始に時間がある時に読むのにすごいオススメな本を紹介したいんですが・・・ この本↓、単純にめっちゃ面白い上に、中国という国の実像についてものすごく考えさせられるし、その上で日本はどうやってこの「困った巨人」と付き合ったり対抗したり競争したりしていけばいいのか・・・について本気で考えるためにものすごく重要な情...

で、さらに、タイトルの落合陽一氏の話って何???って感じなんですが、日産とホンダに限らず日本の自動車業界の今後みたいな話をする時に、落合陽一氏の会社ピクシーダストテクノロジーズがナスダック上場するも即上場廃止にしちゃって云々・・・といったトラブルにまつわる「今の日本の経営環境のどこが問題なのか」という共通の課題が浮かび上がってくるという話を最後にちょこっとだけ追加したいと思っています。

1. 日産の苦境は、”EV化”の流れに乗り遅れたからではない

まずこれ、すごく大きな誤解なんですが、日産が苦境に陥ったのは世界のEV化についていけて無い日本自動車メーカーの失策ゆえ・・・ではない、というところが注意が必要です。

むしろ日産は日本メーカーの中で最もEV化に熱心だった企業と言っても過言ではなく、逆にいうとそこでトヨタやホンダが持ってるハイブリッドがあまり強くない(一応あるけど色んな主力車種には幅広く展開できてない)事が、「今の」日産の苦境の一因になっている。

巷では「EVは終わった」とか逆に「世界は一気にEVに向かう」とか両極端なことを言われていますが、これはどちらも間違いで・・・

単純に言うと、「コロナ前後」ぐらいの時の日本メーカーがノンビリ構えていた時代に比べると圧倒的に世界のEV化は加速して、日本メーカーも「ヤバい」と思って挽回しようとしてはいる。

一方で、2023年前半ぐらいに熱狂されてたような「このまま世界を一気にEVが制覇するぜ!」という感じでもなくなってきており、欧米の各社も野心的なEV化目標を撤回する発表をしていて、そして直近でハイブリッドに強みがある日本車メーカーは次々と過去最高益を出したりしている。

で、「直近で」日本メーカーがあまり電気自動車を出してないのは、生煮えで出しても儲からないから、戦略的に「そこには現時点では出ていかない」感じになってるんですよね。

勿論各社それぞれのチャレンジはしていて、特に車体のプラットフォームの設計ごとEV専用にしないとテスラやBYDには勝てない・・・みたいな話で地道にそういう専用設計を立ち上げて巻き返しを図ろうとしていたりする(これには4−5年とかかかるらしい)。

EV専業で突き抜けたテスラやBYDに現時点で生煮えにガチンコ勝負をしても分が悪いのは明らかで、そこでまっすぐ戦いを挑むことで業績が急激に悪化している欧州メーカーに比べると、ハイブリッドという強みを活かして「ガチンコ勝負」は避けた状態を維持して最高益を連発している日本企業の方がよほど良い状況にある。

テスラやBYDとガチンコ勝負をして利益が減ったら、EV化やその後の自動運転などへの投資もできなくなるわけなんで、現時点で日本メーカーが「ハイブリッドを利用して儲けまくる」事には大変意味がある。

そして、世界の「EV化への転換」が一年でも二年でも遅れたらそれだけ「残存者利得戦略」的に有利な場面は生まれるわけで、日本は長期的視野でEV用の専用設計などを詰めていくのはやりつつ、短期的にはEVでは勝負しない事に合理性は明らかにある。

このあたり、「EVなんか使いものになるかよバーカ!」っていう議論も、「日本企業はEV化に遅れてるからもう駄目だ」もどっちも間違ってるんですね。

こないだホンダの担当者の人がニュースで、

EV化の流れが”どういうスピードで進んだとしても”対応できる態勢を敷きながらシフトしていく

…と言っていたのがまさにそれで、

・テスラやBYDに対して勝ち目のない戦いを強いられている欧州メーカー ・製造ラインがフル稼働してることが前提の前のめりな積極投資を続けており、電気自動車の普及スピードが少し予測と外れる遅さになると結構財務的に厳しくなる可能性もあるテスラやBYD

…に比べると、現時点で日本企業が取りうる選択肢としては、「正解」の道を選んでいるとは言える。

日産はその「日本車メーカーの正解」に乗れてないからこそ苦しくなった、という理解が一応はまず必要です。

今回の提携でも、まずはホンダのハイブリッド技術を利用して日産が「アメリカで」ちゃんと売れる車をとりあえず揃えるってことが直近で重要な提携アイデアになってるという話を聞きました(でも日産も一応ハイブリッド持ってはいるんで、こういう事が本当に必要なのかどうか、ただの噂レベルの話かも)。

ちなみに東南アジアなどの市場占有率が高い市場において、EVを望む顧客にとりあえず売るためのツナギのEV車種がなくていいのか、みたいな個別の問題はありますし、トヨタなどは色々と緻密に対策を始めてる分野だと思いますが、まあ話が複雑になるので割愛します。

2. 問題は自動運転その他の先進技術の方!!!

じゃあ日本車メーカーに問題ないのか、っていうと問題は大アリで、

その先にやってくる自動運転その他の先進技術の方で、ちゃんと時代の変化に応じた投資が行われているのか?

こっち↑にこそ真剣に危機感持った方がいいと思います。

なんか「日本車メーカーに批判的な人たち」が、ハイブリッド関連の「明らかに日本メーカーにとって合理的な戦略」ごと否定してEVの事ばかり批判するので、余計にこの「本当の課題」が覆い隠されてしまっている面があるのではないでしょうか。

テスラやBYDとは成り立ちが違うんで、「ハイブリッドからの段階的シフト」自体は圧倒的に合理性がある選択なんですよ。

その部分の「合理性」まで無理押しに破壊しようとする論調が強くなりすぎると自動車メーカー側の姿勢も防衛的になっちゃって、本当に重要な自動運転関連の技術ギャップに対してどう取り組んでいくのか?という課題に対する動きが鈍くなりがちな面がある。

だからこそ、

「全部さっさとEVにしろ!」vs「いやハイブリッド時代を経る方が重要だ」

…みたいな論争はさっさと終わりにして、

どうやってテスラやBYDやグーグルのwaymoみたいなのに自動運転技術で対抗していくのか?に議論を徹底的に集中するべき

…だと思います。

「状況を見つつEV化にヌルヌルと粘り腰でシフトしていく」のは、技術面というより「自動車メーカーの経営という巨額の固定費がかかる特殊なジャンルの専門知」が必要な分野で、外野が何か言ってても的を得たものになる可能性は少ない。

一方で、「日進月歩の自動運転技術」に対する対抗・・・っていうのは、オールドタイプの自動車業界の「中の人」の知見だけでなく、グローバルな先進事例を参照して機動的に巨額投資を行っていく事が必要な超重要なチャレンジとしてある。

ここの分野について、日本企業の動きがどうも鈍いように思うのは結構前から気になっていて、散発的に色んな投資をしてみてるけど、「やってみてるだけ」みたいな感じなんじゃないかという懸念があるんですよね。

グーグルのwaymoみたいに巨額投資してとにかくいっぱい走らせてデータ取ったりしてるのにどうやって対抗するつもりなのか、あるいはテスラみたいに「既に売ってる自社の車」からどんどんデータを取り込んでAIを鍛えまくるみたいな事をやってる感じがしない。

たまに「実証実験」のニュース流れるけど、その動画を見てるだけでも、そこで実現してる技術がどうもかなり米国・中国勢に劣後してるんじゃないかという印象がある。

特に、chatGPT型のAIが従来の自然言語処理技術(NLP)を全く一気に全部時代遅れにしてしまったような変化と同じようなものが、自動運転でも起きつつあるはずなんですよね。

今までの運転アシスト的な「高速道路のレーンチェンジをうまくやってくれる」みたいな単機能でソフトウェアをどうこうする世界じゃなくなって、莫大なデータを処理してAIが「人間の脳と同じ方法で運転技術自体を習得しちゃう」みたいな方式がスタンダードになってきている。

多分、日本メーカーもわかってるし、それへの対応を始めてはいると思うんですが、この分野の投資額が全然全く呆れるほど足りていない感じがする。

こないだホンダが一兆円もの自社株買いを発表しましたが、なんかそんなこと今してる場合なの?っていうのがすごい疑問なんですよね。(”現時点では危機どころかめっちゃ儲かってる”事を意味してるニュースではありますが)

「ROE経営が大事なんです!」もいいけどさ、ちゃんと必要な投資を自分でやる「お金使う才能」がないのは致命的なんじゃないでしょうか。

一兆円なんて、本格的にAI開発競争するなら一瞬で溶けてなくなるような額で、「今このタイミング」で無駄に放出しちゃっていいの?っていうのがすごい疑問。

株主側から見ても「今このタイミングで必要な投資」を決定して、それで自動運転技術で堂々とテスラや中国勢やwaymoに並ぶ会社になってくれたほうが、たった一兆円の自社株買いでちょこっと株価上がるとかよりよほど意味があるはずです。

その点、「ROE経営」みたいな教科書的なルールに官僚的に従うのではなく、延々と配当を行わずに今まで巨額投資をし続けてきたアマゾンのような精神を見習うべきタイミングが「今」ここにあるんじゃないんでしょうか?

3. オールジャパン(笑)でやる事も必要かも

なんかこの「オールジャパン」って言葉が揶揄されるネタみたいになっちゃってる時代ではありますが、自動運転しようと思ったら「社会の側の協力」が必要なので、そこで今必要な投資ができるように、社会全体でのバックアップが必要なタイミングではないかと思います。

自動運転のニーズとかガチで今後の人手不足社会日本ではあっちこちにあるので!!!

そこでオールドメディアとかも巻き込んで「自動運転の時代が来ました!」って盛り上げて、地方部の事例からどんどん「実際にやる」をやっていかないと・・・既に無人タクシーが普通に走ってるアメリカや中国に勝てるわけがない。

でもここで、アメリカでも無人タクシーが暴動で焼き討ちされたりしてる例もあるんで、いかに「一般の社会との親和感を維持したまま実現できるか」が重要ではあるんですよね。

なんか、「巨大IT企業が何者にも邪魔されずにバタバタと全てをなぎ倒してディスラプトする」形じゃないと先進技術など実現できない・・・と最近の事例だと思っちゃうんですが・・・

でも、2007年にiPhoneが発売されるよりも8年も前に普通に携帯でインターネット接続ができた神秘の国が極東にあったことを思い出しましょう。

「そういうタイプのイノベーション」をむしろ日本はちゃんと地道にやることが大事なように個人的には感じてます。

「ちらほらとやってみた」レベルの実証実験にとどまらず、いかに「中国やアメリカに対抗できるレベルにするか」については、「オールジャパン」のサポートと、あと真剣に考え尽くされた巨額投資が「今このタイミングで」まじで必要だと思います。

繰り返すようですが、「EV化の遅れ」なんて別にそれほど大した問題じゃなくて、むしろ日本企業は現時点でかなりうまくやってる部分でもあるんですよ。

そうじゃなくて、”AI化”で根底的に技術が変わっちゃうタイミングの自動運転技術において、「今ちゃんと巨額投資をして追いつけるか」みたいなのはものすごい重要だと思います。

「無意味な論争」してないで、「ピンポイントで必要な」方向に知恵を持ち寄れるようにする事が必要なタイミングなんですよ。

4. あとは”マネシタ電器”方式も大事かも(笑)

とはいえ、今の日本企業のトップの人ってちょっと「ガンガン拡大期」でなく「リストラ均衡期」みたいな仕事をしてきた人も多くて、「巨額にお金を使う」ってことに慣れてない部分もあるのかもと思うんですよね。

「新しい技術選定をして巨額を使う」ってなかなか難しくて、本当に有望な技術と「荒唐無稽なトンデモ」って見た目はすごい似てて、なかなかそこで確信を持って一つを選んで巨額を突っ込む決断はしづらい。

本当はここで独自の技術の方向をリスクを取って決断できたらそれが一番良いけど、それができずにズルズルと少額の「やってるフリ」投資しかできないようであれば、逆にいっそ徹底して「マネシタ電器方式」でやるのがいいように思います(笑)

「マネシタ電器」っていうのは、昭和の時期に今のパナソニックが”松下”電器だったころ、ソニーが「モルモット」となって色んな先進技術を形にし、それに対して松下は後追いで徹底的に「マネ」をして、あとは経営力と地道な販売力で勝負をする・・・みたいな戦略を取っていた頃の話ですね。

AIの進展は日進月歩すぎて、しかもものすごいスピードで進歩しているから、「一年前の超超最先端」を今なら結構普通にそこら辺のアマチュアでも再現できちゃったりする時がある。

先進技術の囲い込みに対してオープンソース化で対抗するムーブメントも起き続けるので、「先行する技術競争」をちゃんと冷静な眼で見ながら、「ある程度方式が固まってきた」時点で巨額投資を行ってドンと追いつこうとするのもそれほど無理なことではない「空隙」が生まれうると思います。

自力で最先端技術選定が「固まる」までの競争に参加するのはもう諦めちゃって、その間は「アーリーアダプター」に普及してから少し苦戦しているEVを尻目にハイブリッドを売りまくって「投資の原資」を真剣に溜め込んでおいて、どこかで

ガチのマネシタ電器戦略

…で追いつく・・・ような決断が必要なのではないでしょうか。

5. ホンハイが買った方が良かったのでは?という話について

台湾の鴻海が買うのでは?っていう憶測が流れていて(実際はそこまで具体化しきってる話ではなかったそうですが)、そっちの方がいいんじゃないの??って思っちゃう人が多いのはわからんでもないんですが・・・

ただ、鴻海に買ってもらったシャープも一時期は良かったけど最近はちょっと業績落ち込んでたりして、「短期的に持ち直す」のは「黒船統治」がいいけど、長期的にちゃんと勝ち筋を見出すには「日本勢でまとまる」ことが必要になる面もあるなと思います(ゴーンも最初は良かったけど長期的に見ると禍根を残した部分も結構ありそうですし)。

鴻海が買うと、とにかく「鴻海側のEV参入のためのネタ」として使われるんで、それが良いか悪いかは微妙なところだと思いますね。

日産は過去のエンジン車のガチファンみたいなのも沢山いるし、今NISMOとか案外良いクルマ出してるんだよ、て言ってるマニアの人のコメントとかも最近見ましたし。

そういう部分での「カルチャーギャップ」を丁寧に扱わないと延々と揉めて余計に成果が出しづらくなったりするかも。

だから、

・ホンダと日産がちゃんと提携して遠慮せず物を言い合って決断するのが最上 ・次に鴻海に買ってもらってとにかくEV化に全力で舵を切るのもまあ悪くない可能性はあった ・ホンダと日産がプライド競争でグダグダと対立し、結局時間とお金を浪費するだけで終わるのが最悪

という感じなのかなと思っています。

だから「ちゃんと提携できれば」「当たり前の提携仕事をやりきれれば」可能性は十分あるはずの選択ではあるんですよ。

5. 「田舎連合」vs「首都圏連合」の後者はちゃんと「まともな仕事」ができるようになるか?

繰り返しますが、「ちゃんと当たり前のことをやれば」、それほど悪い選択ではないのではという感じではある。

でもその、日産とホンダとか本当にちゃんと一緒にやれるの?っていうのは確かにすごい不安ではあるんですよね。

「巨額投資」が必要な分野が目白押しな状況の中で、規模を大きくすること自体は間違ってない。

「日産とホンダには全くシナジーがない、追い詰められてヤケクソになって経産省が無理やりくっつけたんだ」

ってカルロス・ゴーンがブルームバーグのインタビューに答えてましたけど、その動画最後の方まで見たら感情的反発は徐々に収まって「長期的にはシナジーもあるだろう」みたいなこと言ってました。

韓国には二大自動車メーカーの現代と起亜ってのがあったんですが、アジア通貨危機の時に起亜が破綻して現代が吸収して一社だけの巨大会社になったんですよね。

結果として、電動化投資とかの基礎部分は共通化しつつも、「目先を変えて売る」という販売面はバラバラにやってうまく行ってる面もあるらしく、そういう統合は「一つの定番」としてある感じではある。

20年前から、グローバル競争をするには日本の大企業は”小さすぎ”てガチの巨額投資競争に参戦できない、って色々批判されてたんですが、20年たって後追いの「改革」が始まりつつある、ということなのかも。

日本の自動車メーカーは、スズキ・マツダ・スバルが徐々にトヨタと関係を深めていく一方で、三菱・日産・ホンダがグループになるってことですね。

なんかこれ「田舎連合」と「首都圏連合」って感じがしますが(笑)

「田舎連合(豊田・浜松・広島・群馬?)」の方はなんだかんだ大丈夫という感じがするんですよね。

トヨタってほんとやっぱちゃんと経営されてる感あるんで・・・

ほんの一例!なんですが、例えば無駄な会議が多いとかいう「あるある」的な不満があった時に、トヨタって「じゃあ会議減らそう。どうやって減らすか考えよう」ってちゃんと誰かが言い出して公式に方針として採択されて動き出す感じがあるんですよね。

でも「首都圏連合」の方は、ホンダも日産も中の人がネットで時々「愚痴」言いまくってるのを見るんですが、「愚痴いう」だけでその先がないっていうか、ああいうの本当に良くないな、という感じがします。

しっかりしろい!流れは自分たちで持ってくるもんだろがよ!by宮城リョータ

良くも悪くも「田舎」はガッチリと協力しあうカルチャーが残ってるが、「都会」の方はなんかバラバラになっちゃって、ただ自分の狭い職分だけに引きこもって愚痴だけ言って、まあまあの給料を現時点ではもらえてるぬるま湯状態で茹だっている・・・みたいな状況が放置されがちな現状があるんじゃないかという感じがする。

ただ、いざ日産が本当に「存続の危機」レベルになることで、ホンダ側がちゃんと「主導権取るぞ」という事が明確になった事自体は良かったんじゃないでしょうか。延々と揉め続けるよりは。

日産の社長さんとか、あとニュースでたまに見る「日産社員のつぶやき」みたいなのの危機感のなさっぷりが本当に大丈夫かな?と思わないでもないんですが・・・

そういう意味では、今回の日産の件で「日本の自動車メーカーヤバいんでは?」というイメージが世間一般に流布して、お尻に火を付ける効果があるとしたらそれは大変重要なことだと思いますね。

「ちゃんとやらなきゃ駄目なタイミング」なのを自覚して、しっかり変わってもらえるようにしていきましょう。

6. 「落合陽一氏の会社」の問題にも繋がる話

で!最後にちょっとだけ、今SNSで話題になってる「落合陽一氏の会社」の問題に触れたいんですが・・・

さっき「田舎連合」の方はまあなんとかなりそうだけど「首都圏連合」の方は、本当にちゃんと「仕事する」モードになれてるのか?っていう疑問にかなり近い印象だったのが、落合陽一氏の会社ピクシーダストテクノロジーズがナスダックに一瞬上場したかと思ったら即廃止になっちゃって・・・という例に近いものを感じるんですよね。

それについて、落合氏自身が大きな動画連載を持っているNewspicksが、かなり詳細に掘り下げたレポートを出していてめっちゃ勉強になりました。

NPレポート | 落合陽一氏のピクシーダスト、1年で上場廃止になった真相 - NewsPicks
落合陽一氏がCEOを務めるピクシーダストテクノロジーズが、2023年の上場から1年余りでNASDAQ上場廃止となった。実は2023年、日本企業に突如としてNASDAQ上場ブームが吹き、それはあっという間に去った。なぜブームは終わったのか。ピクシーを含め徹底取材すると、思いがけない真相を目撃することになった。 ▼前編は...

かなり詳細に取材していて良い記事でした。NP契約されてる方はぜひご覧いただくと良いと思います。

一番核心的な部分の話の手前でペイロールに入っちゃうんだけど、一応無料のYouTube版もあります。

前後編あって、そもそもナスダックって日本の市場よりよほど「上場すること自体は簡単」だけどブランドネームだけはピカピカにあるので、日本で上場できないレベルの会社が無理やりナスダックに上場して大々的に「ナスダック上場しました!」という風にやる風潮があって、徐々にアメリカでも問題視されていたそうです(それが前編の内容ですがこれもすごい面白かったです)。

で、上記リンクは「後編」の方でいよいよピクシーダストテクノロジーズについて色々と詳細に取材されてるんですが・・・

なんか、SNSで落合氏は一部に妙に強烈なアンチの人がいるんで、事の詳細は別としてこの話がめっちゃ炎上してるのを見るんですが、Newspicksの取材した結果を見ると、むしろ問題はコンサル出身のCEOのM氏の問題がすごい大きいような感じでした。

(もちろん、落合氏がどれほど実態として関与しているかは別として、CTO職を持って広告塔にもなってる以上、その会社で起きた問題には全て責任を持つべき・・・というレベルの責任は落合氏にもあると思います)

でもなんか、落合氏個人の問題というより、さらには(ちょっと甘いかもしれませんが)CEOのM氏個人の問題というより、「首都圏の会社環境」がごく一部を除いて「ちゃんと仕事できる状態」になってないんじゃないの?っていうような、なんかそういう機能不全を感じる部分はどうしてもありましたね。

(すいません!後日追記で訂正なのですが、落合氏はCTOでなくCEOで、M氏はCEOでなくCOOだそうです。ならもうちょい説明責任果たしてくれてもいいのでは?という感じありますね。田舎では”共同体”のパワーで実現している倫理を、都会ではこういう”ガバナンスの論理”を厳密化することで乗り越えなくてはいけないのかも)

「地道な課題」に人々の気持ちを集中させて突破するというより、なんかフワフワと各人が「それっぽいイケてる仕事をやってる自分」を感じたくてバラバラに個別の蛸壺の中で動いていて、誰もその蛸壺を壊そうとしない、みたいな。

ピクシーダストテクノロジーズは消音技術に強みがあって、ナスダックに行くみたいな派手なことをせずに、もっと地味で長期的に握れるタイプの資金調達をして、無駄な広告費をかけずに、その一点突破でディープテックを完成させれば、JR東日本とかから100億円とかの取引も可能になる、みたいな話になっていたらしく、でもそこでそういう「地道なこと」に行かずに・・・みたいな難しさがあるんですね。

それと同時に、例えばオシャレ家電的なプロダクトを売るにしても、WEB広告やるならそれ専業のガチな会社があって、それは「コンサル業界」の異常に高額なフィーとは全然違う相場感で動いている世界があるんだけど、なんかそこに、INCJ(悪名高い”政府系ファンド”)とか、アクセンチュアとかマッキンゼーとかが良くない意味で関わってきて、それで「ちゃんとやるべきことができない」形になってしまう。

さっきの「田舎連合」vs「首都圏連合」みたいな話でいうと、そもそもピクシーダストテクノロジーズが愛知県(というか浜松から岐阜までいたる中京エリア)にあったら、

「まだ利益出とらん会社が、なんで東京ミッドタウンみたいなええとこにオフィス構えとるの?もっと公営のインキュベーション施設とか、安上がりなとこにしとかな、余計な金が飛んでくがね!」

「いやいや、あんた、ヘアケアのオシャレ家電売るには、ガチで安くウェブ広告回してくれる会社が必要だがね!なんでそんだけ高額なコンサル頼まにゃあかんの?Mさんの古巣やでって、そりゃあちょっとおかしいんとちがう?」

「ディープテックの独自技術があるいうとるけど、そしたらなんとかJRさんの要求水準クリアしてでっかい契約取るのが一番大事やろうがね!海外展開やら雑貨展開やら、そんなん今いっぺん全部やめて、資金尽きるまでその技術を徹底して磨かにゃあ、どえらい失敗するに決まっとるがね!」

…みたいな方向に行っただろうという事は「中京の会社なら間違いなくこーなる」というレベルの話であり、落合氏やそれに共鳴して参加していた技術者の皆さんも、そっちの方が「楽しい!やったるぜ!」みたいな感じになったのではないかと思います。

なんかそういうところで「ガバナンス」が効いてなくて、「本当の課題に向き合えてない」ところが、全部じゃないけど一部の「首都圏の会社」にはあるんじゃないか?っていう印象はどうしてもありますね。

繰り返すようですが、落合氏本人に責任がないかっていうと、「広告塔になってCTO(←訂正・CEO)もやってるなら、その会社に起きた事の全てに責任を負うべき」というレベルでは責任あると思いますけど、より重要なのは落合氏が一人でなんとかしようと思っても無理、というレベルの課題が今の東京にはあるように感じる部分はあるんですよね。

それがこの、「ちゃんとガバナンス効いてる状態で仕事できてるのか?」という部分で、なにかちょっとオカシクなってる部分があるのでは?っていうところなのではないかと思います。

「日産&ホンダ」の提携も、プランとしてはまあまあ世の中で思われてるほど悪くないはずではあるものの、こういう「各人が蛸壺の中で文句だけ言ってる」みたいな状況を超えて、横断的に協力しあえるのか?っていうこの点だけはすごい不安ありますね。

そういう意味では、「日産ヤバいんでは?」っていう印象が世間に広がってお尻に火がつく事自体は、大変良いことのように思いました(実際の手元資金の額を見ると世評のように「すぐ潰れちゃう!」ってほどヤバいわけでもないようにも思いますが、それはさておき)。

長い記事をここまで読んでいただいてありがとうございました。

ここからは、最近十数年使った炊飯器が壊れまして、新しく買ったんですが、十数年の間に「業界模様」が全然変わってて驚いたという話をします。

全体として、

・東芝・パナソニック・日立・・といった”総合家電メーカー”の存在感減少 ・『象印マホービン』・『タイガー魔法瓶』の二大「なにわの中規模メーカー」の存在感が激増 ・一時期流行った「オシャレ家電」も徐々に退潮(その分普通の家電もだいぶんオシャレになった)

全体として、「総合家電メーカー」に対抗する平成時代の定番成功パターンであった「オシャレ家電(でも保温できませんみたいな)」ではなく、「地方発でそのプロダクトに真剣に向き合ってる企業」が伸びてるというのは大変健全なことのように思いました。

僕はコンサル業のかたわら、趣味で色んな個人と「文通」しながら人生考えるっていう仕事もしてるんですが(ご興味があればこちらから)、それで繋がってるある「伝統的な電機メーカー」勤務の女性は一度「オシャレ家電炊飯器」を買ってはみたものの、やはりかなりはやく壊れちゃったし、保温できないし、そもそもボタンのところの文字盤の塗装とかがすぐ消えてきちゃって「うちのメーカーじゃありえん」って笑ってましたw

なんかそういう「平成時代の徒花」的な、「あまりに昭和型に古い体質の家電メーカーに対抗するための徹底したオシャレ路線」みたいなものが、一巡してトレンドから外れてきてるのを感じるんですよね(で、普通の家電がそもそも結構オシャレ感あるものになってきた)。

この「古くてダサいけど質実剛健」vs「新しくてオシャレだけどどこか軽薄」みたいな平成時代風の対立構図が徐々に無効化してきて、「普通にオシャレだけど実はすごく真剣にやってるから質も伴ってる」みたいなゾーンが新しく生まれつつあるんじゃないか?って感じるんですね。

そういう「変化」は社会全体で起きていて、例えば「本当に美味しいコーヒー店」が、昔みたいに「こだわってます!」風じゃなくてかなり見た目もオシャレ風で軽々しく淹れてそうな店の方が美味しいことが増えてるのでは?という話とか、最近マニュアル車の運転でヒールアンドトゥの練習してるんだけど、解説動画をYouTubeで漁ってると「超うまい人」は一番ヘラヘラしてる感じがする・・・みたいな話も含めて、今日本社会に起きている「新しい変化」について考察する記事が以下に続きます。

(お知らせ)2025年2月7日に新刊出ます。過去一番の「ほんとうに全力を尽くして良い本を作れた」と感じています!販促上少し良い効果があるらしいので、ぜひアマゾンで予約していただけると嬉しいです。よろしくお願いします!

つづきはnoteにて(倉本圭造のひとりごとマガジン)。

編集部より:この記事は経営コンサルタント・経済思想家の倉本圭造氏のnote 2024年12月28日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は倉本圭造氏のnoteをご覧ください。

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https://agora-web.jp/archives/250112083620.html https://agora-web.jp/archives/250112083620.html Sun, 12 Jan 2025 21:55:15 +0000 Sun, 12 Jan 2025 12:20:12 +0000
中野サンプラザ!継承されないDNA と決定的な問題点 society (前回:不可解なサンプラザ問題!DNAとレガシーはどうなったの?) 中野区が示した中野サンプラザの「DNA」の説明は、物理的なデザイン要素に焦点を当てていますが、その内容にはいくつかの問題点が見受けられます。 「中野サン

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mizoula/iStock

(前回:不可解なサンプラザ問題!DNAとレガシーはどうなったの?

中野区が示した中野サンプラザの「DNA」の説明は、物理的なデザイン要素に焦点を当てていますが、その内容にはいくつかの問題点が見受けられます。

「中野サンプラザの記憶の継承」(P3)を引用します。

「展望エリアとアトリウム空間をつなぐ斜めのラインを形成することにより、現中野サンプラザのシンボリックな三角形のフォルムを想起させ、中野サンプラザの記憶・DNAの継承を表現するデザインとする。」

中野駅新北口駅前エリアの市街地再開発事業の進捗について(中野区議会資料/2024年6月19日)

中野区の解説は、具体的な建物の形状やデザインに過度に依存しています。三角形のデザインはシンボリックであるかもしれませんが、これをもって「DNAの継承」と主張するのは、あまりに表面的です。

「DNA」とは、シルエットの外観の特徴や形状を指すものではありません。物理的な形状だけでなく、その場所が持つ歴史や記憶、社会的な影響力など、もっと包括的な意味を持つべきです。サンプラザが持つ本質的な機能や社会的な役割、歴史的に見た価値を含めなければ意味がありません。

歴史や役割とはどのようなことを指すのでしょうか。中野サンプラザは1973年に「全国勤労青少年会館」として開館し、地域文化の発展に大きく寄与してきたという事実があります。多くのアーティストや観客に利用されてきたという具体的なエピソードを挙げることで、より説得力のある説明が可能になるはずです。

中野サンプラザは、コミュニティの核としての役割 多目的ホールとしての特性を活かして、コンサート、展示会、会議など多様な用途に対応してきました。つまり、地域住民の交流の場だったのです。これらの役割は、建物の形状ではなく、その空間が持つ社会的な価値によって実現されてきたものです。

さらに、若者文化の発信地として、また地域文化活動の拠点として上げてきた実績は、建築デザインには表現できない重要なレガシー(遺産や伝統)です。DNAやレガシーは、その場所が果たしてきた役割や社会的・文化的な影響を含む広い概念であり、これを踏まえた具体的な説明が求められるはずです。

尾藤 克之(コラムニスト・著述家)

2年振りに22冊目の本を出版しました。

読書を自分の武器にする技術」(WAVE出版)

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https://agora-web.jp/archives/250112100705.html https://agora-web.jp/archives/250112100705.html Sun, 12 Jan 2025 21:50:56 +0000 Sun, 12 Jan 2025 10:20:38 +0000
ぶらり欧州の旅:パリ編③ 野菜の魔術師のミシュラン三つ星レストラン column 出口里佐です。 パリ後、今回はいよいよ三つ星です。ミシュランの三つ星は、そのために旅行する価値のある卓越した料理と定義されています。1か月前に予約したときからとても楽しみにしていました。 (前回:ぶらり欧州の旅:パリ編②

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アルページュHPより

出口里佐です。

パリ後、今回はいよいよ三つ星です。ミシュランの三つ星は、そのために旅行する価値のある卓越した料理と定義されています。1か月前に予約したときからとても楽しみにしていました。

(前回:ぶらり欧州の旅:パリ編② エッフェル塔の見える絶景レストラン

4. アルページュ

アルページュは、ロダン美術館の向かいに位置していて、周りは閑静な雰囲気です。

アルページュの建物。右手にエントランス。

ウエルカムプレートとテーブル毎に違う野菜がオブジェのように。

今回は6年ぶりに3回目の訪問で、レストランの内装も、サービスも随分変わっていました。アルページュのシェフ、アラン・パッサール氏は、野菜の魔術師といわれるほど、野菜をレスペクトした料理で世界的に高い評価を得ています。

最初のアミューズは、野菜をカットしただけのもの。アルページュの野菜なので、これだけでご馳走。

ランチのメニューは、野菜だけのコース、肉も魚もあるコース、そのほか、アラカルトで、前菜、メイン、デザートを選ぶ、選ばないを、自分で組み立てられるプランがありました。今サイトを見ると、10月の秋メニューに比べて、値段が少し上がっているような気がします。

野菜のブイヨンと、具も野菜。色々な野菜の旨味が凝縮されています。

野菜のコースだと、物足りないかもという考え(しかしこれは間違いと後でわかりました)と、肉の焼き具合を勉強のため見てみたいという気持ちがあり、アラカルトで選ぶことに。アラン・パッサールシェフは、以前は「肉の魔術師」とも呼ばれていた方で、肉の火入れにも注目です。

前菜は、野菜のカルパッチョのハーフと、野菜のお寿司のハーフ。ハーフでお願いしたのは、値段もハーフにしてくれました。ハーフで一人分くらいのボリュームです。メインは、仔羊の背肉(キャレダニョー)、デザートは以前その食感の軽さに感動した、ミルフィーユに。

野菜のカルパッチョ。柑橘系で出汁のような旨味のドレッシング。

野菜のカルパッチョの美しさに驚き。野菜はアルページュの菜園から運ばれてくるそうです。ドレッシングは、出汁の様な旨みを感じつつ、ポン酢の様な柑橘の爽やかな味も。

野菜のお寿司。カラマタ種の黒オリーブのソース。野菜とごはんとソースが混ざりあって、ホッとする味わい。

野菜のお寿司の酢飯のお米は、日本のコシヒカリを使っているとか。ただし、イタリアのリゾットの様に洗米しないで炊いた感じの、なんとなくざらっとした食感。きっとフランスの野菜にはこういうのが合うのでしょう。

ソースは、カラマタという種類のブラックオリーブから作った旨みの強いもの。お醤油の代わりだから、ブラックオリーブを使ったのかなと思いました。野菜、ご飯、ソースが一体となって、やっぱり久しぶりのご飯はホッとして、美味しいなと、自分は日本人だと再認識。この時、旅は10日目で、白いご飯も10日間ぶりでした。

仔羊の背肉のロティ。

メインの仔羊は、切り分ける前に、2人分くらいのローストしたばかりの塊を持ってきて、見せてくれました。外側は良い感じに焼けていました。

仔羊と人参のソース。まろやかで優しい味わいのソース。

そして、5分後に、一つ目のお皿です、と登場。メインに一つ目って、二つ目があるの?と思いましたが、とりあえず一つ目を。カットされた断面は、理想的なピンク色。肉汁が見えて、キラキラしています。一口食べると、外側がカリッと、また肉質も良いからか、柔らかで、食べやすかったです。

ソースは珍しい、人参のソース。仔羊のジュだけのソースよりも優しい味わいでした。あまりに美味しかったので、帰国してから、仔羊の塊を買ってきて、ソースの再現に挑戦してみたくらいです。

仔羊とジュのソース、蒸し野菜。

二つ目のお皿がやはり登場。もうお腹いっぱいでしたが、せっかくなので。こちらは仔羊のジュのソース。付け合わせにカブなどの蒸し野菜。アルページュの野菜なので、蒸しただけで、ご馳走なのです。

デザートのミルフィーユは、高さ30センチ位の巨大なタワーでした。思わず、スタッフさんに、これは10人分?と聞いたほど。隣のテーブルに、日本人の若い女性が2人いらしたので、食べるのを手伝ってもらえませんか?とお願いしたところ、快諾していただきました。

巨大なタワーのようなミルフィーユ。中には梨のピュレ。左手奥にお口直しのイチジクの葉のグラニテ。爽やかでした。

おふたりとも可愛らしい雰囲気で、まだ20歳前とか。調理師学校の生徒さん達で、フランスに一年研修に来ているそうで、アルページュに食べにきたのも勉強のため。フランス語でオーダーして、えらいな、羨ましいなと思っていました。このミルフィーユの味とレストランでしか食べられない超軽い食感を覚えて、いつか作るときの参考にしてくださいね、と話しました。

アルページュのスタッフにミルフィーユを切り分けるのを頼んで、別のお皿に綺麗に盛り付けてもらいました。彼女達は、野菜だけのコースを召し上がっていましたが、コースの感想を聞くと、決して物足りないということは無く、満足でしたと話していました。未来のパティシエールさん、キュイジニエールさん達、頑張って欲しいです。

ミルフィーユは、もちろん美味しかったです。ケーキ屋さんで売っているのとは違って、パイ生地は、持ち帰りしたらすぐに崩れてしまいそうなくらい、繊細で、舌の上でふわりと溶けてしまいそうな軽さです。

アルページュの定番、リンゴの薔薇のタルト。

最後はアルページュの定番、リンゴの薔薇。薔薇の花びらのようにリンゴを美しく仕立てています。

ルサージュの工房による刺繡が施された壁面。薔薇のタルトも見えます。

今回私が予約したのは、地下のサロンで、壁面全体に、アルページュの野菜や果物の料理の刺繍が施されていました。最後にいただいたリンゴの薔薇もありました。ルサージュという、シャネルなどハイブランドのオートクチュールの生地にも使われる、刺繍の工房による作品だそうです。

このサロンは、前回6年前にはなく、コロナ禍の頃にリノベーションされたそう。お料理を待つ間、壁の刺繍を観ているだけでも豊かな気持ちになります。フランスの最高の刺繍職人の作品に囲まれて食事ができるのは、アルページュでしかできない経験です。

会計は一階でと言うことで、階段を登っていくと、アラン・パッサールシェフがそこに!私のメインは仔羊と分かっているらしく、仔羊は、どうでした?と聞かれました。火通りが完璧でした!!(こうして書くと偉そうですね)と答えると、とても嬉しそうでした。シェフはとても日本びいきで、日本にも何度も来ているそうです。

フランス料理の世界で巨匠といわれる、パッサールシェフに歓迎していただいたのには、大変恐縮しましたが、嬉しかったです。料理人ではなくても、料理学校で1年半、専門的に学んだことのある人間としては、神様のような存在です。

ロダン美術館の庭で、考える人。

素晴らしい空間で、美味しいものを食べて、アラン・パッサールシェフと話して幸福な気持ちになったので、お向かいのロダン美術館でアートを観たい気分になり、立ち寄りました。

超人気のパン屋さん、ポワラーヌ。伊勢丹新宿のフランス展などでもクッキーが販売されたりします。

サンシュルピス教会。この近くのショコラトリー、パトリック・ロジェに行きました。

その後、ボンマルシェまで行き、お目当てのハーブティーを見つけて、リュクサンブール公園までまた歩いて、さらにサンシュルピス教会近く、ショコラトリーのパトリック・ロジェでチョコレートを少し、ポワラーヌでスプーン型クッキーをお土産に。お土産買わない主義は、この日だけ返上です。

パトリック・ロジェ店内。ハロウィンの頃でしたので、かぼちゃ型や、魔法使いの帽子も。

気が付くと1万歩も元気に歩いていました。三つ星レストランでの食事は、やはり、お店を出た後に何かが変わっているのかもしれません。

パリは、観光名所を回るだけだと1回で良いかもしれません。しかし、季節ごとに変化のある料理を味わえる、お気に入りのレストランが何軒かあると、また絶対戻ってきたいなと思います。

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https://agora-web.jp/archives/241228182854.html https://agora-web.jp/archives/241228182854.html Sun, 12 Jan 2025 21:40:33 +0000 Sun, 12 Jan 2025 10:25:23 +0000
九州の小京都 日南・飫肥のまちなみを歩く。 column 12月上旬、6年ぶりに宮崎県の南部・日南を訪ねました。 旅の始まりは宮崎空港から。 宮崎空港駅から普通列車「サンシャイン・ミヤザキ」(イケザキじゃないよ)号に乗って一駅、田吉駅で下車。そこから日南線に乗り換えて宮崎県の県

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12月上旬、6年ぶりに宮崎県の南部・日南を訪ねました。

旅の始まりは宮崎空港から。

宮崎空港駅から普通列車「サンシャイン・ミヤザキ」(イケザキじゃないよ)号に乗って一駅、田吉駅で下車。そこから日南線に乗り換えて宮崎県の県南部を南下していきます。

ビニルハウスの向こうに見える空港の景色。

日南線と宮崎空港線の乗換駅、田吉駅はローカル色満載の駅。寂しいですが駅の向こうに宮崎空港が見えるので飛行機好きの方はそれなりに楽しいと思います。

飫肥って読める…?

トコトコと列車に揺られてやってきたのは日南市の中心駅、飫肥駅です。

さて問題。「飫肥」何と読むでしょう。

……

………

正解は、

「おび」でした。読めないですよね。

日南市は飫肥町や油津町を含めた4町村が1950年に合併してできた町です。昭和の大合併の先駆けとなった町で合併の際は新市名で大いにもめたらしいですが、日向の南、日本の南で日南という全く新しい地名を生み出して決着したそうです。

飫肥という地名は平安時代には存在していたそうで、詳細は不明ですが「大火(おおび)」から来ているのではないかといわれています。「飫」は「食べ飽きる」の意味の字ですが、超えるほど食べて食べ飽きてしまったのか…それほど食料に困らない肥沃な地ということなのかと思いましたがそういうことではないようです。

飫肥は江戸時代、飫肥城のもとで栄えた城下町でした。重要伝統的建造物群保存地区に指定されており、昔ながらの街並みが保存されています。

古民家をリノベしたカフェへ

飫肥の街並みの中心部にある「こだま」さんは明治時代に建てられた薬問屋「小玉家」をリノベーションしてつくられたギャラリー兼食事処です。ちょうど着いたのがお昼時だったので見学がてら立ち寄ることにします。

物腰の柔らかい奥様に案内されて通された部屋は二間続きの畳の間。実家に帰ってきたような懐かしさを感じさせます。

棚に置かれた薬箱が、ここがかつて薬問屋だった名残。下毒丸、痰咳丸など各種の薬が用意されています。

お庭を眺めながら食事をすることもできました。

いろいろと旧家を眺めて回っていたら食事がやってきました。こちらで頂いたのは宮崎名物チキン南蛮。やわらかな若鶏の肉にタルタルソースが絡まっていい味出してくれています。これも宮崎名物のマンゴージュースも絶品でした。

裏手には立派な土蔵が。こちらはカフェになっていました。 今度来たらここに寄ろう。

飫肥の中心だった飫肥城跡へ

宮崎名物を堪能し、こだまさんを辞去。裏手にあった蔵カフェをのぞいて、いよいよ飫肥城の近くに向かって歩いていきます。

飫肥はかつて伊東家の城下町として栄えました。一時期は九州全土の制圧を目論む島津家と確執があり戦いの舞台ともされてきた場所です。現在、城はありませんが広大な城跡が伊藤家の権威を物語っています。

四隅に建つ杉の木を対角線で結んだとき、 その交叉点となる場所に石が埋められています。

白壁の隅に杉の木が建っています。この杉は四隅に立っており、その交叉点上に石が埋められています。これらの杉は「しあわせ杉」と呼ばれており、この交叉点に立つと四隅の杉から幸せのパワーがもらえると言われています。その説明の立て看板を見てすぐこの場所に立ち、しばらくの間パワーを独り占めしていました。

小村寿太郎記念館。

城内には明治時代に外交官として活躍した小村寿太郎生誕の地の碑が建てられています。城の外には記念館もあり、小村が町を代表する偉人であり今日もなお讃えられていることがわかります。

飫肥城の目の前に広がる小京都

飫肥城を出てすぐ、東南側にかつての城下町の様子を偲ぶことができる街並みが広がります。この風情ある町並みは九州の小京都と呼ばれ親しまれています。

ここは横馬場通り。かつて武家屋敷の並んでいた城下町です。こんな風情ある町並みを歩いていると江戸時代にタイムスリップしたかのような錯覚に陥りますね。

ここはかつて飫肥の上級家臣だった伊藤伝左衛門の邸宅。これをリノベーションして「茜さす飫肥」として一党貸しの宿泊施設としています。

武家の世界に思いを馳せながら、かつて武士たちが住んだ家からゆっくり庭を眺めることができるなんて、なかなか他ではできない宿泊体験です。宿泊者がいないときは敷地内に入り、庭園をゆっくり見ることができます。

かつて町の学校としても活用された振徳堂

城跡の東、武家屋敷を抜けた先にある木造建物は振徳道とよばれる教育施設。1831年に飯肥藩13代祐相公により開校され、孟子の教えにあたる「又従而振徳之」から振徳堂と名付けられました。学校として多くの優秀な方が輩出されており、先に名前の出た外交官、小村寿太郎もここで学び知識を蓄えたと言われています。

いかにも寺子屋!といった室内。日本の南の端から出世を祈願しつつ勉学に励み、のちの日本社会を築いていきました。

戦後学校としての役割を終え、一時期保育所として活用されました。時代を通じて教育に深く携わってきた建物です。古の偉人たちが学び育っていった学校で育てられた子供たちもさぞ立派な大人になっていったことでしょう。

石垣の下で鯉およぐ城下町。

平日の城下町は静かで人混みもなく落ち着いて街を歩くことができました。みなさんもゆったり飫肥の城下町の散策を楽しんでみてはいかがでしょうか。

編集部より:この記事はトラベルライターのミヤコカエデ氏のnote 2025年1月11日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はミヤコカエデ氏のnoteをご覧ください。

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https://agora-web.jp/archives/250112091303.html https://agora-web.jp/archives/250112091303.html Sun, 12 Jan 2025 21:35:52 +0000 Sun, 12 Jan 2025 10:27:21 +0000
アメリカ合衆国で実施されている安楽死制度 society 安楽死といえばスイス、オランダ、ベルギーなどが有名ですが、アメリカ合衆国においても安楽死が実施されていることはあまり知られていません。今回は、アメリカ合衆国の安楽死制度について考えてみます。 安楽死は、積極的安楽死(医師

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andrey shalari/iStock

安楽死といえばスイス、オランダ、ベルギーなどが有名ですが、アメリカ合衆国においても安楽死が実施されていることはあまり知られていません。今回は、アメリカ合衆国の安楽死制度について考えてみます。

安楽死は、積極的安楽死(医師により致死薬を投与)と 自殺幇助(医師が処方した致死薬を患者が自ら摂取)に分けられます。ちなみにスイスで実施されているのは後者です。

アメリカ合衆国で実施されている安楽死は、後者の自殺幇助のみで、10州とコロンビア特別区で実施 されています。なお、アメリカ合衆国ではこの自殺幇助を尊厳死(death with dignity)と呼んでいる場合があります。日本の尊厳死(延命治療の中止)とは定義が異なりますので注意が必要です。

日医総研リサーチレポート(2011年)のデータを基に、アメリカ合衆国の安楽死制度を表にまとめてみました。参考資料として、スイス、オランダ、ベルギーのデータも追加しました。

注目するべきことは、アメリカ合衆国で法制化しているすべて州において、安楽死の対象者を「余命6ヶ月以内」と規定している点です。

私は以前の論考において安楽死を次に3つに分類することを提案しました。

安楽死A:余命6か月以内と診断されている癌などの患者を対象 安楽死B:徐々に進行し回復の見込みのないALSなどの神経内科疾患の患者を対象 安楽死C:うつ病などの精神疾患、認知症の患者を対象

アメリカ合衆国では安楽死Aのみが実施されていることになります。重要なことは、年数が経っても対象が恣意的に安楽死BやCに拡大されていない点です。これは、法律の条文に「余命6ヶ月以内」と記載されているためと考えられます。

安楽死の議論では、しばしば「すべり台」の危険が指摘されています。これは、一度安楽死を認めてしまうと、際限なくその対象者が拡大されてしまうリスクを意味しています。

ところが、既に述べたようにアメリカ合衆国ではそのような現象は起きていません。一方、スイス、オランダ、ベルギーではすべり台現象が起きています。これは、これらの国の法律には「余命6ヶ月以内」という規定が記載されていないためと考えられます。スイスでは法律自体が存在しません。これでは、際限なく対象者が拡大されてしまっても仕方がありません。

安楽死反対派は、このすべり台現象を根拠として安楽死を容認できないとを主張します。しかし、アメリカ合衆国ではこの現象は起きていません。したがって、日本で安楽死制度を作るのであれば、法律の条文に「余命6ヶ月以内」という規定が記載されるべきであると私は考えます。

アメリカ合衆国での安楽死法の採決方法は、住民投票を採用した州は3州のみで多くはありませんでした。しかしながら、日本では国民投票を採用することが望ましいと私は考えます。なぜならば、安楽死の是非には正解はないと考えられ、国会の採決で決めることは日本の国会議員には荷が重すぎるからです。

この問題に正面から取り組める胆力のある国会議員は、日本には多くはないように私は思います。批判を恐れて、いつまでたっても採決されないことが予想されます。現に、尊厳死の法制化は放置されたままです。国会議員の仕事は、国民投票のための下準備をすることだと私は考えます。安楽死の是非を決めるのはあくまでも国民であるべきです。

【関連記事】

安楽死の是非に正解はあるのか?①安楽死の是非に正解はあるのか?②安楽死の是非に正解はあるのか?③安楽死の是非に正解はあるのか?④

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https://agora-web.jp/archives/250110213539.html https://agora-web.jp/archives/250110213539.html Sun, 12 Jan 2025 21:30:00 +0000 Sun, 12 Jan 2025 11:51:48 +0000
火災そっちのけで海外視察:ロサンゼルス市長(民主党)に消防予算削減で批判の嵐 column 米カリフォルニア州ロサンゼルス近郊で発生した大規模な山火事を受けて、民主党のカレン・バス市長の責任を問う声が高まっています。バス市長は「消防局の対応能力に問題はない」と釈明していますが、被害は拡大を続けており「過去最悪」

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米カリフォルニア州ロサンゼルス近郊で発生した大規模な山火事を受けて、民主党のカレン・バス市長の責任を問う声が高まっています。バス市長は「消防局の対応能力に問題はない」と釈明していますが、被害は拡大を続けており「過去最悪」とも言われる状況に批判が強まっています。

2024~2025年度の市予算において、バス市長が主導して消防局の予算を約1700万ドル(約27億円)削減したことが批判されています。さらに大規模火災が始まりそうな時期にバス市長がガーナを訪問していたことも問題視されています。帰国後、空港でのインタビューに応じた際、市長は一切質問に答えず、さらに批判が高まっています。

x.com

バス市長は「グリーンニューディール」計画の実現を優先するため、市の防災予算を削減しました。その結果、消防士が不足する事態を招いています。

x.com

予算削減だけでなく、バス市長の政策全般に批判の声が高まっているようです。

x.com

バス市長の政策によって行政が停滞し、さまざまな不幸が重なりました。

環境のためなら人間の安全も顧みなかったようです。

こんな状況でも民主党はなぜトランプ氏が支持されたのかいまだに分かっていないようです。

それでもバス市長はロサンゼルス市民の結束を訴えています。

ロサンゼルスのカレン・バス市長

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https://agora-web.jp/archives/250112212735.html https://agora-web.jp/archives/250112212735.html Sun, 12 Jan 2025 21:25:27 +0000 Sun, 12 Jan 2025 21:47:20 +0000
アート・バーゼル・パリ@グラン・パレ(パリ8区) column “アート・バーゼル・パリ”2024、スタート。 3度目にして、ついに、エフェメールではなく本家のグラン・パレで開催。グラン・パレ、一層美しくなった。明るさが、昔と違う。 今年もまた、ものすごい熱気のコレクターズデイ。過去

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“アート・バーゼル・パリ”2024、スタート。

3度目にして、ついに、エフェメールではなく本家のグラン・パレで開催。グラン・パレ、一層美しくなった。明るさが、昔と違う。

今年もまた、ものすごい熱気のコレクターズデイ。過去2回よりもさらにヒートアップしている感じ満載で、”こんな混んでる初日、初めて!”と目を丸くしてる、ビューティフルピーポーたち。

だって、こんな楽しい”近現代美術館”、そうそうないもの。そりゃぁ、みんな、来たいよね。コレクターやギャラリー関係者だけでなく、純粋なアートファンも。

テンションマックスで2時間半にわたる、アートとのご機嫌な時間。

今年は、シュルレアリスム100年なので、デ・キリコ、エルンスト、マグリットらの作品も多い。

ホックニー、ビュラン、塩田、ウファン、オトニエル、バスキア、トゥオンブリー、ミロ、カルダー…。

あぁ、お金持ちだったら全部買って、プライヴェートコレクション作るのになぁ。

ワクワクのオンパレードの中、”もしも一つもらえるなら”は、スーラージュのクロドの横に飾られた、青の表情が美しいニコラ・ド=スタール。

あー、でも、毎年とっても楽しみにしているLVのアーティー・キャプシーヌから、フランク・ゲーリーとコラボした一連作品から、フォンダシオンルイヴィトンをイメージしたミニバッグもとっても素敵。

色も質感もかわいらしすぎる。

なんと愛らしい、アーティーキャプシーヌ❤️ LVマークの質感、フォンダシオン・ルイ・ヴィトンのものと同じよね

こちらの香水デザインを投影したもの

しばらくこのコーナーから離れられなくなる。ゲーリーコラボは、パリのフォンダシオンだけでなく、ビルバオのグッゲンハイム、LAのウォルトディズニーコンサートホールをイメージしたものもあって、どれもキュート。

こちらも、フォンダシオン〜からのインスピレーション

こちらのアーティー〜は、グッゲンハイムイメージ うん、わかるね

ゲイリーといえば、魚(彼は魚座) これ、クロコに刺繍を施してる。すごい…

楽しくて興奮し、休憩なしの2時間半。ふと気づくと、足も腰も震えるほど痛くて、へとへとになって退散。毎年、アート業界を流れるものすごい勢いに押し倒される感覚。

今日、もう一度行けるといいな。

編集部より:この記事は加納雪乃さんのブログ「パリのおいしい日々6」2024年10月18日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は「パリのおいしい日々6」をご覧ください。

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https://agora-web.jp/archives/250112115726.html https://agora-web.jp/archives/250112115726.html Sun, 12 Jan 2025 21:25:20 +0000 Sun, 12 Jan 2025 12:17:08 +0000
トランプ次期米大統領を迎える欧州 :EU、NATOは結束できるか column 昨年11月の米大統領戦でトランプ前大統領が勝利し、欧州各国は1月に発足する新政権への対応を迫られている。2017年から4年続いた第1期目で、トランプ氏は自国の利益を優先する「米国第一」主義を掲げ、欧米諸国で構成される北大

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昨年11月の米大統領戦でトランプ前大統領が勝利し、欧州各国は1月に発足する新政権への対応を迫られている。2017年から4年続いた第1期目で、トランプ氏は自国の利益を優先する「米国第一」主義を掲げ、欧米諸国で構成される北大西洋条約機構(NATO)の加盟国に対して防衛費支出の倍増を要求して欧州政界を慌てさせた。

トランプ氏公式HPより

トランプ氏の再選が確定した後の11月7日、欧州連合(EU)加盟国と英国など近隣諸国40か国以上で構成される「欧州政治共同体」首脳会議がハンガリー・ブタペストで開催された。マクロン仏大統領は、「我々は欧州の利益を守るために準備をしなければならない」と結束を呼びかけた。

一方、10月にNATO事務総長に就任したマルク・ルッテ氏はトランプ氏が1期目で「強力な米国の指導力を示した」とNATO加盟国に対する軍事費用負担増額の要求を好意的に表現した。来年の再就任時には「前よりも強くなり、前より団結している同盟が新大統領を歓迎することになる」。

危機感を持って欧州の利益を守ろうとするのか、それとも協調路線に比重を置くのか。どちらの路線も維持しながら進むしかないのだろう。現状を俯瞰してみたい。

ウクライナ戦争はどうなる?

欧州にとって最大の懸念事項となるのが、2022年2月に始まったウクライナ戦争の行方である。大統領選挙中にトランプ氏は「24時間以内に」戦争を終わらせると発言しているが、そのために何をするのかは不明だ。ウクライナへの武器供与の停止やプーチン露大統領と取引をして、停戦に持ち込むなどの選択肢が噂されている。

先の欧州政治共同体の会議の場で、ハンガリーのオルバン首相はウクライナ支援の再考や早期停戦を提案した。「欧州に住む人はなぜこの戦争の財政支援をするのか、その目的は何かを理解できていない。どの制裁が効果的なのかもわからない」。

会議に参加していたウクライナのゼレンスキー大統領は、即時停戦は「危険すぎる」と反論した。停戦を急ぐと、ロシアがこれを悪用し、占領が永遠に続くと警告した。「即時停戦は戦争の現実を知らない空想家による発言だ」。

ハンガリーはウクライナのNATO加盟に反対しており、オルバン首相は7月にはプーチン大統領と会合の機会を持った。NATO内の不協和音が聞こえてくる。

英国を筆頭に欧州主要国の指導者はトランプ政権発足後もウクライナへの支援を続けると約束しているが、焦点はウクライナへの武器供与額が最大の米国がどう出るかだ。独シンクタンクの調べでは、ロシアの侵攻開始(2022年2月)から2024年6月までの間、米国によるウクライナへの武器ほか機材の供与総額は555億ドル(約8.47兆円)に上っている。

ウクライナは対ロシア戦争で「勝利計画」を発表し、これをてこに念願のNATO加盟を目指す。10月、ルッテ事務総長は「現状では全面的に支持できない」としたもの、加盟までの過程プロセスは「不可逆的」とする立場を改めて表明した。

ウクライナ戦争解決案の1つとして、トランプ氏はウクライナが少なくとも20年間は加盟しないと約束する代わりに米国が継続して兵器を供給する道を考慮に入れているという(米ウォールストリート・ジャーナル紙、11月6日)。ウクライナには到底受け入れられない提案に思えるが、どうなるか。

トランプ氏の外交政策を阻む要因とは

英国の外交ジャーナリスト、マーク・アーバン氏がトランプ次期大統領の外交政策にとって障壁となる5つの項目を挙げている(英タイムズ紙、2024年11月9日)。

①予期せぬ国際的な事態の発生。2023年10月7日、イスラム抵抗運動組織ハマスによるイスラエルへの攻撃は複数の国に拡大した。紛争がさらに激化する可能性がある。

②プーチン大統領が対ウクライナの軍事上の優位性を誇張し、これを信じたトランプ氏がプーチン氏に妥協することで停戦実現を急ぐ可能性。「プーチンに負けた弱い大統領」と見なされるだろうとアーバン氏は指摘する。

③米国の軍事力の弱体化。中国と一線を交えることになった場合に十分な対応ができない程度にまで余裕がなくなっているという。

④膨らむ負債。現在までに35兆ドル(約5342兆円)に達し、これはGDPの123%相当だ。トランプ次期政権が減税を実行すれば、数字は上昇する。さらに大きく増えるようだと軍事予算の拡充などが不可能に。

⑤貿易戦争。選挙戦中、トランプ氏は中国からの輸入品への関税を60%に上げ、他国にも追加の関税をかけると述べた。そうなれば、インフレ率が上がり、他国からの反撃も発生し、サプライチェーンが大打撃を受ける。アーバン氏は、トランプ氏による「MAGA(アメリカを再び偉大な国にする)」の実現化ははかなり難しいだろうと予測している。

核兵器禁止条約を考える

昨年10月、ノーベル平和賞は被爆者団体の全国組織「日本原水爆被害者団体協議会(被団協)」が受賞したことが発表された。被団協は核兵器廃絶と原爆被害への国家補償を柱として活動しており、ウクライナ戦争でロシアが核兵器の脅威をちらつかせる中、タイムリーな受賞となった。

国連が「核兵器禁止条約」を採択したのは2017年である。「核兵器の非人道性」を根拠に、核兵器の開発、製造、保有、使用を禁じる初めての国際条約で、2021年に発効した。62か国が参加するが、米国、ロシア、中国などの核保有国及び日本は不参加である。被団協は条約成立の推進力となった。6月には、条約発効に尽力したオーストリアの外交官が書いた本の邦訳版「核兵器禁止条約『人道イニシアティブ』という歩み」(白水社)が出版されている。ご関心のある方には閲読をお勧めしたい。

以前、筆者はBBCが1945年8月の広島と長崎で被爆者となった人々の証言を集めた番組「アトミックピープル」を放送したことを紹介した。この中に出演した被爆者の一人が、中村キヨミさん(100歳)だ。長崎では毎月9日、原爆がさく裂した午前11時2分に平和公園内にある「長崎の鐘」を鳴らすイベントが行われている。

10月2日、筆者は長崎を訪れ、中村さんと一緒に鐘を鳴らした。中村さんは被団協とは別組織になる長崎県被爆者手帳友の会のメンバーである。

(「メディア展望」12月号掲載の筆者記事に補足しました。)

編集部より:この記事は、在英ジャーナリスト小林恭子氏のブログ「英国メディア・ウオッチ」2025年1月11日の記事を転載しました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、「英国メディア・ウオッチ」をご覧ください。

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https://agora-web.jp/archives/250111210123.html https://agora-web.jp/archives/250111210123.html Sun, 12 Jan 2025 21:20:18 +0000 Sun, 12 Jan 2025 11:49:12 +0000
2025年確定申告トラブル発生:e-Tax 定額減税の罠 economy 令和6年分確定申告(2025年3月提出分)をe-Taxで実際にやってみました。 【目次】 0:00 令和6年分 確定申告の注意点 3:00 実際にe-Taxでやってみた 8:12 定額減税が反映されたか確認 9:16 調

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令和6年分確定申告(2025年3月提出分)をe-Taxで実際にやってみました。

【目次】

0:00 令和6年分 確定申告の注意点 3:00 実際にe-Taxでやってみた 8:12 定額減税が反映されたか確認 9:16 調整給付金をもらった妻を人数に入れる? 11:22 103万円超の配偶者は? 11:59 調整給付金をもらった会社員・個人事業主は? 12:36 個人事業主の専従者給与は?

公認会計士・山田真哉氏が、税金・ビジネス・投資・経済の得する情報や、国のややこしい制度などを解説する「オタク会計士ch【山田真哉】少しだけお金で得する」。チャンネル登録をお願いします。

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https://agora-web.jp/archives/250112110502.html https://agora-web.jp/archives/250112110502.html Sun, 12 Jan 2025 21:10:54 +0000 Sun, 12 Jan 2025 12:23:24 +0000
贋作の5億円の絵画を応接室に飾っていた社長はアホなのか? column 絵画やアンティークコイン、ワインといった実物資産には偽物疑惑が常に付きまといます。以前、オークションで競り落とした1950年代のイタリアワインをワイン仲間と飲んだ時、そのフレッシュな味わいから全員が詰め替えられた偽物だと

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Antonio_Diaz/iStock

絵画やアンティークコイン、ワインといった実物資産には偽物疑惑が常に付きまといます。以前、オークションで競り落とした1950年代のイタリアワインをワイン仲間と飲んだ時、そのフレッシュな味わいから全員が詰め替えられた偽物だと確信しましたが、証明することはできませんでした。

絵画に関しては作家さんが所属するギャラリーから直接購入すれば、贋作(偽物)をつかまされるリスクはありません。昨年、購入した作品も韓国のアートギャラリーに行って、購入した作品の作家さんにもお会いしました(写真)。

 

絵画の贋作については、かつてこんな話があったと聞きました。

オーナー企業の社長さんが5億円の絵画を画商から購入して自社の応接室に飾っていた。数年後、その社長が亡くなって飾ってあった絵画を鑑定に出したところ、贋作であることがわかったというのです。

この社長さんはインチキ画商に贋作をつかまされたお人好しなアホ社長だと社員は思ったらしい。果たしてそうなのでしょうか?

絵画のような実物資産には不動産のような登記制度がありません。だから応接室に飾ってあった絵画は、その社長さんが5億円で購入した作品とは限りません。

もしかしたら、社長さんは絵画を2枚手に入れて、本物を自宅に持ち帰り、意図的に贋作を飾っていたのかもしれません。

その場合、本物はどこに消えたのかは亡くなった社長しか知りません。もしかしたら売却して現金化されているかもしれません。

今となっては真実がどこにあるのかわかりませんが・・・。

ただ、もしこの社長さんが上記のように売り抜けていたのだとすると、アホではなくかなりしたたかな経営者ということになります。

このように実物資産には、金融資産や不動産には表には出てこない「不思議な世界」が存在します。

金融業界出身の真面目な私にとっては驚くようなことが、これ以外にもまだまだたくさんありそうです。

編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2025年1月12日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

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https://agora-web.jp/archives/250111205914.html https://agora-web.jp/archives/250111205914.html Sun, 12 Jan 2025 21:00:09 +0000 Sun, 12 Jan 2025 12:32:54 +0000
「義務感」教育:やらされ感満載の高校生や大学生 society 「何のために学校に行くのですか?」という問いに対し、小学生なら「親に行けと言われた」という答えでもまぁ笑ってそうだね、と流せますが、中学高校になれば自分の頭で少し考えてもらわないといけません。ましてや大学生に「なぜ大学に

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「何のために学校に行くのですか?」という問いに対し、小学生なら「親に行けと言われた」という答えでもまぁ笑ってそうだね、と流せますが、中学高校になれば自分の頭で少し考えてもらわないといけません。ましてや大学生に「なぜ大学に行くのですか?」に対して本音は「就職のため」で大学は社会人になるための通過点の一部だと思っている人もいるでしょう。

文科省が10年ほど前に調査したデータでは大学進学理由は「大学で過ごすこと自体が人生経験として重要だと思ったから」が74%となったと報告されていますが、たぶん、この設問がいくつかから選択する方式だったと思われ、高校生や大学生が理念的にこう答えておくのが正しいという回答をしたのだろうと察しています。

recep-bg/iStock

私だってそれぐらいの年の頃は同様のアンケートなどでは本音などあまりちゃんと答えなかったと思います。自分の行動や考えとは別にこのアンケートに対する模範解答をするという姿勢です。よって私はこの手のアンケートの信憑性は一定程度疑っています。

「義務感」教育とは私が思った言葉ですが、生徒や学生側から見た教育はやらされ感満載なのだろうと想像しています。なんでこのテストをしなくてはいけないか⇒それは成績に直結するから⇒成績が悪ければ上級校進学や就職に響くから、という発想は基本的に受動的姿勢です。

大学生が勉強をどれぐらいしているか、国立教育政策研究所が2016年に調査したデータを見ると授業が週20時間に対して予習復習で費やすのは5時間しかありません。大学教育は基本が授業時間に対して予習と復習を同じ時間だけかけるというのがもともとの文科省にあった前提です。つまり週20時間のクラスなら更に20時間の予習と20時間の復習の合計60時間が前提でした。

特に大学は専門的な分野を学んでいくので先生の講義を予習なく突然聞いて試験直前に誰かに講義ノートを借りるという勉強の仕方では大学生としての本質的な知識や学びはほぼ出来ません。

ただ、教育には二面性があるのも事実です。小学校から大学まで共通するのは知識の詰め込みという実務的教育と組織の中に於いて自分を育てたり情操教育を受けるといった社会順応性と適応性を磨く部分です。上述のアンケートで大学生が「人生経験として重要だと思ったから」というのはまさにこのことでしょう。

また高校大学あたりの体育会系の厳しいクラブ活動により精神力が磨かれるというのもあります。昔は体育会系は就職に有利と言われたことがありました。学業は劣っても規律や努力、試練に対する耐性などを評価したわけです。ところがそういう方が企業である程度の役職になると命令調になりブラック企業とかパワハラ問題が生じやすくなることもあるでしょう。

採用面接で晴れて採用となってもしばらくしてから「あれ?」ということはしばしばあります。レジメにエクセル得意だと書いてあったよね?だけどエクセルの表には生データだけで計算式がどこにも入っていないじゃない?とか。料理できるといったよね?だけど炊飯するのに米に洗剤入れて洗うのはお願いだからやめてくれない?とか。君はもう無理。残念ながらもう来なくていいと言ったら両親が日本から駆けつけてきて「お願いですから再考を」と。親ばかにもほどがあるといった具合です。

「義務感教育」でなければ「体裁教育」とでも表現できるかもしれません。レジメには最終卒業学校は書きますが、その時の学業成績は一般には書きません。ですので面接する方は努力した人なのか、要領よく生きてきた人なのか破断できません。

面接で私が重きを置くのはその人がどんな生き方をしてきたかを自分の口で喋ってもらうことです。惰性の人生なのか、自分で開拓してきた人生なのか、面接官から見ればそんなのは3分で見抜きます。「体裁教育」とやらされ感の中で受動的教育の人は私の面接では落ちます。

今後、AIが教育の分野にも当然浸透していきいます。勉強したい人には非常に高い効率で勉強できる一方、ずるをしようと思えばいくらでもできる、そんな教育の二分化が今後もっと明白になってくるかもしれません。

では今日はこのぐらいで。

編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2025年1月12日の記事より転載させていただきました。

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https://agora-web.jp/archives/250111205952.html https://agora-web.jp/archives/250111205952.html Sun, 12 Jan 2025 03:00:51 +0000 Sun, 12 Jan 2025 01:39:19 +0000
今週のおすすめ記事(1月1日〜1月12日) column 遅くなりましたが、あけましておめでとうございます。本年もどうぞアゴラをよろしくお願いいたします。 アゴラでは日々多くの記事を配信しており、忙しい方にはすべてを追うのは難しいかもしれません。そこで、今週の特に話題となった記

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https://agora-web.jp/feed-for-gunosy https://agora-web.jp/feed-for-gunosy Sun, 15 May 2016 09:09:45 +0000 Sun, 15 May 2016 09:09:45 +0000
第1党に躍進した「自由党」キックル党首の名前はスロべニアから column オーストリアで10日、極右政党「自由党」のキックル党首と中道右派政党「国民党」のストッカー党首代行の間で連立交渉が始まった。 自由党は昨年9月29日の国民議会選挙で同党としては初めて第1党に躍進。一方、国民党は第2党に後

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オーストリアで10日、極右政党「自由党」のキックル党首と中道右派政党「国民党」のストッカー党首代行の間で連立交渉が始まった。

自由党は昨年9月29日の国民議会選挙で同党としては初めて第1党に躍進。一方、国民党は第2党に後退した。紆余曲折があったが、ファン・デア・ベレン大統領が第1党の自由党のキックル党首に連立政権の交渉を要請したばかりだ。このコラム欄でこれまでの経緯は報告済みだ。

名前の由来がスロベニアだったことが判明したキックル党首、FPO公式サイトから

キックル党首の自由党主導の連立政権の発足が現実味を帯びてきた。ドイツでは来月23日、ショルツ連立政権の崩壊を受け、早期連邦議会選挙が行われるが、隣国オーストリアで極右党主導の政権が誕生する可能性が高まったというニュースが伝わると、極右政党「ドイツのための選択肢」(AfD)の躍進を恐れる他の政党の間で強い反発と懸念の声が出てきている。

ドイツだけではない。欧州各国でオーストリアの自由党主導政権の誕生に警戒の声が高まってきている。10日はウィーン市中央の英雄広場で自由党主導政権の発足に反対するデモ集会が開かれた。

ところで、欧州のメディアではここにきて自由党党首のキックル党首(56)のプロフイールに強い関心が寄せられている。例えば、ドイツ民間放送ニュース専門局の著名なコラムニスト、ヴォルフラム・ヴァイマー記者は人物評欄でキックル党首を紹介している。

そのような中で、オーストリア民間放送OE24は10日、ヘルベルト・キックル党首(Herbert Kickl)の名前はオーストリアの名前ではなく、スロベニアから由来したもので、その意味は「女性のスカート」という内容の記事を掲載した。

ニュース源はドイツのライプツィヒの「名前研究センター」の名義学者ユルゲン・ウドルフ名誉教授だ。同教授によると、キックル党首の名前は出生地であるケルンテン州のフィラッハ(Villach)にその由来がある。キックルというの名前はケルンテン州で比較的多く見られるという。「同州にはスロベニア由来の名前が少なからず存在する。この名前もそうだ、疑いようがない」と主張している。

「この分野の標準的な資料によれば、簡潔に記されている。Kikel,Kikelj,Kiklはスロベニア語のkikel,kikla(婦人用スカート、シャツ)に由来する。また、スロベニア語の語源辞典によれば、kiklaは婦人用スカート、18世紀にはkikla,kiklezaは女性用スカートとなっている」という。同教授は「この名前の最初の使用者は服装に基づき、スロベニア語の言葉で名付けられた。キックル党首の名前は間違いなくスロベニア起源だ」という。

ちなみに、ユルゲン・ウドルフ(81歳)氏はライプツィヒの「名前研究センター」の創設者だ。彼はゲッティンゲン大学でスラブ語学とフィン・ウゴル語学を専攻した後、ライプツィヒ大学で名前学の教授を務めた。65歳の時に大学を退職した。著書には2007年の「名前の本─その起源と意味』などがある。

ここで断っておくが、当方は「キックル党首の名前がオーストリアから由来していないこと、その語源はスロベニアで女性のスカートを意味していたこと」を書くことで、キックル党首を侮辱したり、中傷する意図はない。OE24関係者もそうだろう。

ただ、外国人排斥、移民・難民に対して批判的な自由党の党首自身がその家系を辿っていくと、オーストリアの隣国スロベニア出身であり、その名前はそれを証明しているということだ。自由党に批判的な人ならば、「それみろ、キックル党首よ、あなたの祖先も移民出身者だった」ということになるが、欧州では移民出身者ではない政治家、人間のほうが少ないのではないか。

話はすこし飛ぶが、俳優で日本でも人気のあるアーノルド・シュワルツェネッガー氏がカルフォルニア州知事だった時、米大統領に立候補することを考えたが、米国籍を有していても米国内で出生していないため立候補する資格がなかったという話を聞いた。何もキックル党首のことを意識して言っているのではない。移民出身者は政治家になれないとすれば、多くの優秀な人が政治家の道を失うことになる。

編集部より:この記事は長谷川良氏のブログ「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2025年1月12日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。

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https://agora-web.jp/archives/250111210017.html https://agora-web.jp/archives/250111210017.html Sun, 12 Jan 2025 02:55:11 +0000 Sun, 12 Jan 2025 01:38:24 +0000
「ホワイト企業」に入ると後悔するタイプ economy 黒坂岳央です。 昨今、とにかくブラック企業が糾弾され「仕事が難しくない」「労働時間が短く、休日が多い」という会社こそがホワイトで素晴らしい、という風潮を感じる。 人それぞれ、会社に求めるものは違うので文句をつけるつもりは

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黒坂岳央です。

昨今、とにかくブラック企業が糾弾され「仕事が難しくない」「労働時間が短く、休日が多い」という会社こそがホワイトで素晴らしい、という風潮を感じる。

人それぞれ、会社に求めるものは違うので文句をつけるつもりはないのだが、世の中には明確にホワイト企業と相性が悪い人間がいると思っている。それこそまさしく筆者のことであり、今後就職や転職でホワイト企業を検討する人の参考になればと思い執筆を決めた。

Yuto photographer/iStock

ホワイト企業に合わないタイプとは?

早速結論から言えば、ホワイト企業に合わない、入るべきでないタイプを言語化すると「自走できる能力があり、成長意欲が高く、独立志向の人」ということになる。

その逆に指示待ちを好み、成長より安定性や居心地を求め、将来的に独立する気はゼロという人にはホワイト企業は向いているだろう。具体的に話したい。

たとえば「サラリーマンは安定して給料をもらいながら、技術を学ぶ場。将来はフリーランスや経営者になって好きな仕事にフルコミットしたい」こうした考えを持つ人はまったく合わない。

ホワイト企業は仕組み化や業務の分業、労働環境が完全に整えられており、個人の意欲で好きに仕事はできない。権限も完全にわけられており、属人化が起きないようになっているためだ。

一方でベンチャーや中小企業だとまったく事情が異なる。筆者がいた経理部の先輩は経理財務だけでなく、自主的にデータベースやネットワークを率先して勉強することで、常に全社的な視点を持ってものや情報、人の動きなどすべてを把握した上で設計をしていた。これほど組織横断的なスキルや視点を持つことができるのは、ベンチャーや中小企業ならではである。

自分はまったくホワイト企業が合わなかった

筆者は中小零細から東証プライム上場企業まで働いてきた。最後に働いた会社は典型的なホワイト企業で、残業をすると上司から早く帰れと言われ、有給休暇が残ると人事から「必ず消化してください」と依頼が飛んでくる。社内教育も充実していて、会社の支払いで英語の講座を受講したり、リスキリングもでき、MBAも取らせてくれる。

それまではずっとベンチャーや中小企業で働いてきたので、ホワイト企業の素晴らしさに最初は感動した。しかし、すぐに自分にはまったく合わないと悟ることになる。

自分としてはとにかく若い時期に少しでもビジネススキルや労働市場で価値のある経験値を稼ぎたいのに、思うように仕事をやらせてもらえないという感覚を覚えるのだ。

意欲は大変高いのにその情熱をぶつける場を取られるというか、「やる気があるのはいいことだが、君が一人で全部仕事をやってしまうと他の人はやることがなくなってしまうよ」と笑われてしまう事もあった。

できれば、残業して忙しい日中に集中できない仕組みをしっかり理解して次につなげたいと思っていたので、ノー残業デーや有給休暇消化の奨励も自分には仕事のじゃまをされているように感じてしまった。

筆者のようなタイプにはホワイト企業は明確に合わない。この場合、悪いのは自分であって会社ではない。要するに相性の問題なのだ。

本当は怖いホワイト企業

「自分は短時間労働で休日もしっかり取れ、仕事も簡単で楽々定時で終わるので恵まれている」といった自慢をされることがある。これは余計な老婆心かもしれないが、自分にとっては逆に心配になることもある。

確かにサラリーマンとしては大変恵まれた環境だろう。しかし、どんな会社でも仕事である以上は必ずそこで働く誰かは忙しいのが普通である。「自分は忙しくない」というのはいわば戦力外通告に近いケースも有る。

責任ある仕事を任されず、頭脳労働というより単なる作業ロボとなれば確かに仕事は楽ですぐ終わるだろう。しかし、そのまま年を取れば「年齢不相応の低くて浅いスキルと経験の中高年」が出来上がってしまうことになるので、いざ会社が傾いて転職を余儀なくされた時は厳しい立場に置かれる可能性がある。

自分はとても臆病者な人間なので、もしもそのような立場に置かれると大変不安になるだろう。

人生は何が起こるか分からない。勤務先が倒産してしまうような事が起きても、困ることがないよう常に市場ニーズの高いスキルを伸ばせる会社で働きたいと思ってしまう。そう考えると、必ずしもホワイト企業はすべての人におすすめできるとは考えられず、人によっては仕事はチャレンジングだが、成長できる中小企業の方が向いていることもあり得るだろう。

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