アゴラ 言論プラットフォーム https://agora-web.jp 経済、ビジネス、情報通信、メディアなどをテーマに、専門家が実名で発言することで政策担当者、ジャーナリスト、一般市民との交流をはかる言論プラットフォーム ja Sat, 13 Dec 2025 08:00:05 +0000 https://agora-web.jp/img/logo-for-smartnews.png アゴラ 言論プラットフォーム https://agora-web.jp/img/logo-for-smartnews.png トランプ氏、ベネズエラへの陸上攻撃を明言:次に狙われるのは「キューバ」か column トランプ大統領は、ベネズエラに対する軍事的圧力を一段と強める姿勢を鮮明にしている。ホワイトハウスで記者団に対し、トランプ氏は「陸上でも開始する。かなり近いうちに始まるだろう」と述べ、ベネズエラへの陸上作戦の可能性を明言し

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トランプ大統領は、ベネズエラに対する軍事的圧力を一段と強める姿勢を鮮明にしている。ホワイトハウスで記者団に対し、トランプ氏は「陸上でも開始する。かなり近いうちに始まるだろう」と述べ、ベネズエラへの陸上作戦の可能性を明言した。政権はすでに、同国の石油部門に関与する船舶や海運会社、さらにマドゥロ大統領の親族を標的とした新たな制裁措置を発動している。

こうした動きの背景には、単なるベネズエラ問題にとどまらない、より広範な地政学的構想があるとの見方が強い。とりわけ注目されているのが、「次のターゲットはキューバではないか」という観測だ。

トランプ大統領 ホワイトハウスXより

ニューヨーク・タイムズ紙の分析によれば、現在トランプ政権で国務長官兼国家安全保障担当大統領補佐官代行を務めるマルコ・ルビオ氏は、ベネズエラに対する軍事的圧力強化の主要な設計者である。表向きの目的はマドゥロ政権の排除だが、それは同時に、ルビオ氏が長年抱いてきた別の目標――キューバ体制に決定的な打撃を与えること――を実現する手段にもなり得るという。

ルビオ氏は2019年、NPRのインタビューで、ベネズエラ政権交代によってキューバが弱体化するのであれば、それは「歓迎すべき副産物だ」と語っている。「共産主義独裁にとって悪いことなら、私は支持する」との発言は、彼の基本的な姿勢を象徴している。さらに非公式の場では、ベネズエラとキューバの関係を断ち切ることが、ハバナ政権に「壊滅的な結果」をもたらすとの構想を繰り返し語っていたとされる。

この路線を強く後押ししているのが、トランプ氏と近い関係にあるサウスカロライナ州選出のリンゼー・グラハム上院議員だ。グラハム氏は、マドゥロ政権を「麻薬国家を運営する三流独裁者」と批判し、ベネズエラがロシアやヒズボラと連携し、麻薬取引や犯罪の温床になっていると主張する。そのうえで、「マドゥロ政権が終われば、次はキューバに焦点を当てるべきだ」と明言し、キューバを「テロ支援国家に指定された共産主義独裁国家であり、ロシアの長年の顧客国家だ」と位置づけている。

政権内部でも、キューバへの強硬姿勢は共有されつつある。ランドー国務副長官は、NATOとEUの関係を批判する文脈の中で、欧州諸国が「共産主義キューバを支持している」ことを米国の安全保障に反する行為として名指しで非難した。これは、対キューバ政策を単なる中南米問題ではなく、「西洋文明を守る戦い」の一環として位置づける政権の世界観を示している。

ベネズエラへの陸上攻撃が現実となれば、それは地域秩序に大きな衝撃を与えるだけでなく、冷戦後も生き残ってきたキューバ体制に対する圧力を決定的に強める可能性がある。トランプ政権の次の一手が、カリブ海の島国キューバに向かうのか――その行方は、米州全体の安定を左右する重大な分岐点となりそうだ。

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https://agora-web.jp/archives/251213071105.html https://agora-web.jp/archives/251213071105.html Sat, 13 Dec 2025 08:00:05 +0000 Sat, 13 Dec 2025 07:12:30 +0000
中国への警戒心:危険な領域に入ってきている習近平政権 column 今年の漢字に「熊」が選ばれたそうです。1年前にも当地で「日本で熊問題が起きている」と話題になったのですが、今年のヒートアップぶりは凄かったと思います。もちろん、その被害もあるのですが、報道各社がこれでもか、これでもかと熊

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今年の漢字に「熊」が選ばれたそうです。1年前にも当地で「日本で熊問題が起きている」と話題になったのですが、今年のヒートアップぶりは凄かったと思います。もちろん、その被害もあるのですが、報道各社がこれでもか、これでもかと熊出現を報じたインパクトにより印象が残りました。日本人はなぜ熊の報道に興味を持つのか、ふと考えると天気や地震の報道と同じなのではないかと思うのです。つまり自然とどう向かい合うのかということが国民レベルで共有されるのですね。海外ではそれらを災害というひと括りにしますが、日本は自然との共生が前提に立っているように見えます。とはいっても熊との共生はちょっと勘弁ですが。

では今週のつぶやきをお送りいたします。

株式市場の光と影

これだけ上場銘柄があれば上がる株、下がる株は当然あります。そしてリーディングセクターと称するけん引役が先頭交代制で引っ張り上げることで長い上昇トレンドを作ることが重要です。北米を見ている限りAI関連は踊り場なのか、終わりの始まりなのか判断に苦しむところにあります。今週決算発表になったテック大手が一様に冴えない結果となり、手じまいが出てくる可能性を見ています。データセンターについてもネガティブなニュースが散見できます。

日本は利上げ期待から金融セクターがリード、また泊原発の再稼働も見えてきたことで原発関連が引き続き賑わうかもしれません。東証はもう1つ上場廃止が一つのブームで25年は120社程度と大きく増え、26年度は東証の上場基準抵触絡みでもっと増えるとみています。これは数年前、このブログで東証は30%近い上場企業削減をすべし、と述べたその流れが実現しつつあると考えています。また新規上場の審査は厳しく、ひと昔前の「IPOで一儲け」という安直若手経営者は締め出される時代となりました。

気になるのは金(ゴールド)が極めて強い値動きを続けていることです。金を買う理由はドル不信が前提にあるので金の不気味なほどの高騰は世界の不和の予兆とも言えなくはありません。ここでいう不和とは必ずしも戦争を意味するのではなく、経済的な混とん、例えばサプライチェーンの寸断であるとか、国家が保守的になり反グローバルな政策を展開することで世界規模の経済がシュリンクすることを意味します。個人的には「大戦間経済」と称される1920年代から30年代の暗黒の木曜日を含む大不況とその後のブロック経済についてもう一度紐解く価値はあるのかなと考えています。今が1929年の秋と似た状況になければよいのですが。

中国への警戒心

私はなるべく感情移入しないで物事を見るようにし、薄口な評論をするように心がけています。中国のことを書いても「お前は左か?」と思う方も多いと思いますが、今の時代、右とか左とかは重要ではなく、ケースバイケースで冷静な判断をするかが重視されます。そんな中で以前から中国についてブレないで思い続けていたことがあります。それはずばり「習近平氏は経済オンチである」という点です。いくら国家指導者と言えどもマルチタスクをこなせるスーパーマンはほとんどいないわけでその代わりブレーンを置くわけです。ところが権力者が圧倒的なパワーを持つとブレーンがブレーンの役割を果たせなくなります。習氏の場合はこれがもうずっと続いているのです。

習近平国家主席 中国共産党新聞より

最近感じる中国の対外政策の姿勢とは「驕り」「傲慢」「過信」であり国内で山積する問題を対外政策において強弁を振るうことでストレス発散させ、国内向けに誤ったイメージを植え付ける傾向が再度高まっているように見えるのです。ただその発信エネルギーが習近平氏の権力にあやかるように見えるところが以前との相違で、危険な領域に入ってきているように感じるのです。

欧州が憤慨しています。中国が発表した対EUの貿易黒字は47兆円規模にもなり、この驚愕の数字にマクロン大統領が「耐え難い」とし、フォン デアライアン欧州委員長が「転換点」と発言しています。またメキシコが最大50%の輸入関税を課すことを決め、中国に大きな影響を及ぼすとされます。アメリカに流れる安い中国製品の「バックドア(裏口)」と称されていただけにシェインバウム大統領は思い切ったアメリカ寄りの判断を下したと言えそうです。様々な形で中国包囲網が出来上がればいくら中国が不平不満を述べても「遠吠え」となり窮地に追い込まれ中国苦境の悪循環が加速度的に進みかねません。

トップの評価

バークシャーハサウェイのCEOであるウォレン バフェット氏が95歳になり退任するにあたり後任にグレッグ アベル氏を指名しています。その交代時期が迫る中、アベル氏が率いることになるバークシャーに対する評価は「売り推奨」。厳しい門出となりそうです。もっともバフェット氏を「投資の神様」とみる人も多い中、カナダ人のアベル氏と比べること自体無理強いな話ですが、企業のリーダーシップとはナラティブな過去の栄光より将来に向けた期待であるべきです。

同様に取りざたされているのがアップルの人事で、スティーブ ジョブズを引き継いだ実務派のティム クック氏は地味ながらも会社規模をはるかなレベルに引き上げてきました。ただ、在任期間が長い上にアップルがテック企業として華があったかといえば目立たない存在であったことは確かです。そのクック氏も来年あたりに退任の話が出てくる可能性が高まっています。バークシャーもアップルも既に大幹部と称される人材が流出し始めており、防戦を強いられそうな勢いです。

顔役となれるほどの企業経営者は圧倒的な安定感と期待感を提供します。アマゾンのジェフ ベゾス氏が抜けた時、個人的にアマゾンの破竹の勢いは止まるだろうと予想しましたが、実際に株価もその後大きく跳ねることはありませんでした。最後の大物とされるJPモルガンのジェームス ダイモン氏もそろそろではないかとされます。私が見る大物企業経営者とは「物語(ナラティブ)が作り出す偶像」だと思います。これだけの苦境を乗り越えてここまで大きくしたというストーリーこそが投資家を心地よくさせるのでしょう。創業者や名物経営者のもつグッドウィル(無形資産)とも言えるのかもしれません。

後記 新会社を設立した関係で銀行に法人口座を一つ作ることにしたのですが、そのプロセスに正直驚きを隠せません。私も最後に法人銀行口座を作ったのはひと昔以上前なので、今ではこれほどの詳細な資料を要求されるのか、と思っています。取締役全員の人物チェックもあり、担当窓口が全部で10種類は下らない申請書関連書類を一旦受領したのち独立した銀行のコンプラ部署がそれを再チェック、問題点や修正事項が指摘され、私に補足説明や追加資料を要求します。口座ができるまで実質一か月。ここまでガチガチにプロセスするとなれば銀行管理コストも高いだろうな、と思います。その担当者から「ホリディシーズンなのでビールと飯でも」とのお誘い。銀行持ちのこの飯代も月々の口座使用料に跳ね返るのだろうな、と思うと複雑な気持ちであります。

では今日はこのぐらいで。

編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2025年12月13日の記事より転載させていただきました。

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https://agora-web.jp/archives/251212212326.html https://agora-web.jp/archives/251212212326.html Sat, 13 Dec 2025 03:00:26 +0000 Sat, 13 Dec 2025 01:06:52 +0000
新教皇、トランスヒューマニズムを批判 column ローマ教皇レオ14世は10日、サン・ピエトロ広場での一般謁見で‘トランスヒューマニズム‘の思想に言及し、テクノロジーによって永遠の命を得ようとする一部の裕福なアメリカ人の考えを批判した。 レオ14世は「真の人生とは、地上

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https://agora-web.jp/feed-for-gunosy https://agora-web.jp/feed-for-gunosy Sun, 15 May 2016 09:09:45 +0000 Sun, 15 May 2016 09:09:45 +0000
災害が起きても気にならない立憲民主党 column さて、青森で震度6の地震が一昨日ありました。 立憲民主党は災害が発生する度に政府批判と 自分達は仕事をしているアピールをしようと役人などに迷惑をかけてきました。 でありながら自分達は実態はなんにもしていないということが多

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さて、青森で震度6の地震が一昨日ありました。

立憲民主党は災害が発生する度に政府批判と 自分達は仕事をしているアピールをしようと役人などに迷惑をかけてきました。

でありながら自分達は実態はなんにもしていないということが多かったのです。

今回、KSL-Live!さんで取り上げていますが、

【炎上上等】津波警報中にパーティー写真投稿!立憲民主党に災害対応は無理?地震より自己アピールの国会議員たち【KSLチャンネル】

立憲民主党 早稲田ゆき衆議院議員 Xより

ということで震度6の地震の後で津波警報も出ていたはずですが、 そういうことへの注意喚起や被災地への配慮など全く無く、 浮かれていたようです。

ちなみに立憲民主党の野田佳彦代表は 彼が総理の時、2012年5月6日に 茨城県つくば市や筑西市、栃木県真岡市などで 竜巻が発生し、特につくば市では 死者1名、住家全半壊250棟の被害をもたらし、 大規模な長時間の停電も発生し、 炊き出しなども行われていました。

この時は5月3日~6日にかけて東北で集中豪雨被害も発生しており、 石巻の仮設住宅付近で子供が水死する事件も起きていました。

そんな中で野田佳彦は何をしていたかというと 当時の首相動静から。

まず5月4日 午前10時現在、公邸。朝の来客なし。 午前11時51分、公邸発。同54分、東京・永田町のザ・キャピトルホテル東急着。同ホテル内の日本料理店「水簾」で古賀伸明連合会長、増田寛也元総務相と会食。 午後1時2分、同ホテル発。同4分、公邸着。 5日午前0時現在、公邸。来客なし。 5月5日 午前10時現在、公邸。朝の来客なし。 午前中は来客なく、公邸で過ごす。 午後も来客なく、公邸で過ごす。 6日午前0時現在、公邸。来客なし。 5月6日 午前10時現在、公邸。朝の来客なし。 午前中は来客なく、公邸で過ごす。 午後も来客なく、公邸で過ごす。

……しっかりと5月の連休を休暇として利用していました。

編集部より:この記事は茶請け氏のブログ「パチンコ屋の倒産を応援するブログ」2025年12月12日のエントリーより転載させていただきました。

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https://agora-web.jp/archives/251212212433.html https://agora-web.jp/archives/251212212433.html Sat, 13 Dec 2025 02:50:33 +0000 Sat, 13 Dec 2025 02:43:28 +0000
OTC類似薬も保険適用除外できず、ますます続く維新の大ピンチ… column 維新、OTC類似薬の保険適用除外を断念 追加負担求める方向で調整 | 毎日新聞 定数削減もダメ、OTC除外もダメ…。与党デビュー国会は、ほろ苦どころかけんもほろろ…。https://t.co/BUqUhYr3Ey — 新

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維新、OTC類似薬の保険適用除外を断念 追加負担求める方向で調整 | 毎日新聞

定数削減もダメ、OTC除外もダメ…。与党デビュー国会は、ほろ苦どころかけんもほろろ…。https://t.co/BUqUhYr3Ey

— 新田 哲史 (@TetsuNitta) December 12, 2025

OTC類似薬については小さく品目を除外するより、大きく括って追加料金を取る方向に舵を切ったということでしょうが、これで充分な削減効果を出せずに社会保険料が下がらなければ

「維新が余計なことをして負担だけが増えた」

という批判の矢面に立つことになる。そしてその可能性は高い。

苦しい。。

2025年10月 連立に合意した自民・維新 吉村・藤田両代表と高市総裁 維新の会SNSより

編集部より:この記事は、前参議院議員・音喜多駿氏のブログ2025年12月12日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は音喜多駿ブログをご覧ください。

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https://agora-web.jp/archives/251213023635.html https://agora-web.jp/archives/251213023635.html Sat, 13 Dec 2025 02:45:35 +0000 Sat, 13 Dec 2025 02:39:06 +0000
賃金を上げるには「金銭解雇の法制化」が必要だ column 「解雇をしやすくすれば、賃金は上がる」。 一見すると逆説的なこの主張に、違和感を覚える人は多いだろう。しかし、海外の労働市場を見渡すと、日本だけが特殊な構造を抱えていることが浮かび上がる。 なぜ日本では、人手不足でも賃金

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「解雇をしやすくすれば、賃金は上がる」。

一見すると逆説的なこの主張に、違和感を覚える人は多いだろう。しかし、海外の労働市場を見渡すと、日本だけが特殊な構造を抱えていることが浮かび上がる。

なぜ日本では、人手不足でも賃金が上がらないのか。その答えは「残業」でも「景気」でもない。日本の賃金停滞を生んだ構造的要因とは何なのか。

動画を見れば、雇用政策の見え方が変わるはずだ。

☆★☆★ You Tube「アゴラチャンネル」のチャンネル登録をお願いします。またSuper Thanksでチャンネル応援よろしくお願いします!!

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「大企業でゆるく働く」はコスパよりむしろリスク economy 黒坂岳央です。 「大企業に入って、そこそこの給料をもらいながら、言われたことだけを最低限こなして定時で帰る」 一見すると極めて合理的であり、コストパフォーマンスに優れているように見える。少なくともこれまでの時代はこのワー

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黒坂岳央です。

「大企業に入って、そこそこの給料をもらいながら、言われたことだけを最低限こなして定時で帰る」

一見すると極めて合理的であり、コストパフォーマンスに優れているように見える。少なくともこれまでの時代はこのワークスタイルが正しかった。

日本の大企業の給与テーブルは、依然として年功序列の色が濃い。死に物狂いで成果を出した同期と、適度に力を抜いて毎日飲み歩いている自分とで、手取り額に大差はない。時給換算すれば、明らかに後者の方がROIは高い。「窓際族は勝ち組」がネット上で取り上げられるのも、この短期的な合理性に基づいているからだ。

しかし、時代は変わった。これからはこの「大企業のコスパ戦略」は、破綻リスクが高い「時限爆弾」である。もちろん、中小企業には倒産や低賃金といった別のリスクがある。だが、大企業特有の構造的リスクが存在するのだ。

筆者は東証プライム上場企業や外資系企業を複数渡り歩き、現場のリアルを見てきた。その経験から私見を述べたい。

kuppa_rock/iStock

大企業で稼げるのは「社内通貨」

大企業は中小零細企業より給与が高く、億の資金が動くダイナミックな仕事も出来る。「仕事と給与の魅力」という点で規模は大きければ大きいほどメリットがあるように思えるだろう。

ところが、この大企業勤務が「誰にとっても仕事量、内容より給与コスパがいい」と感じるのは若い頃に限定される。若いうちは「言われたことだけ」をこなすだけでも誰にも咎められることは少ない。だが、そのツケは中年以降利息付きで支払いが待っている。

大企業で市場価値のあるスキルと経験を意識してつけなければ、新人が20年間経って稼げるのは、社内調整力や社内ツールの操作スキルといった「社内通貨」だけになる。当然、その会社の通貨は一歩会社の外に出れば、紙切れ同然だ。

もちろん、大企業は単純作業だけではなく、「高値で売れるスキルと経験」の宝庫でもある。筆者は会計の専門家だったが、大企業だけでよく使う会計スキルやITシステムなどの経験があり、同僚は「次のプロジェクトでこのポジションを経験できるのはおいしい!」などと常に自分自身の市場価値について日常的に話が出ていた。

要は自分が仕事に「給与以外の何を求めるか?」こそが大事なのだ。

大企業の「金の足枷リスク」

大企業の給与システムはある意味、残酷だ。

市場価値が低いままでも、社歴を重ねればある程度、年収が上がってしまう。例えば、市場価値は400万円の実力しかないのに、社内では800万円、1,000万円をもらえてしまう。

これこそが「金の足枷」となる。 この状態になると、転職市場に出れば年収が半減するため、今の会社にしがみつく以外に選択肢がなくなる。住宅ローンや教育費を「割高な給与」前提で組んでいるため、もはや逃げ場はない。

もちろん、別に悪いことをしているわけではなく、大企業は実力以上の高給を与えてくれているので、見方を変えれば天国ともいえる。だがこの話は「今後もそれが続けば」という前提だ。令和で起きている黒字リストラの敢行を見る限り、状況は厳しくなっていくのではないだろうか。

マイホームリスク

また、大企業ならではのリスクは他にもある。筆者がかつて在籍した外資系企業での実話だ。海外本社から大規模な改革が通達され、複数のオフィスが統合されたのである。

悲惨だったのは、その拠点の近くに「庭付き一戸建て」を購入していた子育て世代だ。「この会社で定年まで働く」という前提で、長期住宅ローンを組んでいた彼らは、突然の遠方への引っ越しか、退職かの二択を突きつけられた。

結局、子供の転校や配偶者の仕事の都合で引っ越しを選べず、転職を余儀なくされた同僚を何人も見てきた。その時、「年齢相応の社外で通用する市場価値」を持っていなければ、安く買い叩かれるか、未経験の職種でキャリアをリセットするしかない。実際、非正規雇用を選ばざるを得ない人もいた。

突然の外資化リスク

リスクはまだある。大手企業は突然外資系になることがあるのだ。

近年の円安により日本企業は外資にとって「割安な買い物」になった。ある日突然、M&Aで親会社が変わり、上司が外国人になることは十分にあり得る。

そこで問われるのは「今までどれだけ会社に尽くしたか」ではなく、「あなたは何ができるのか(What can you do?)」という一点のみだ。勤続年数は関係ない。若ければ可能性にベットしてもらえることはあるが、そうでないなら「この仕事がやりたければ、相応のスキルと経験値を稼いでこい」となる。だが、若い頃の積み上げがなければその経験値を稼ぐために必要な経験がない、となりがちだ。

また、筆者は転職面接で、突然外資になったという元日本企業にいったことがある。面接してくれた現場担当者は「先月から上司が外国人になり、彼は日本語がまったくわからないのですべて英語でコミュニケーションとなります。私も慌てて英語を勉強中です。入社後、英語でのコミュニケーションは大丈夫でしょうか?」と質問されたのが印象的だった。彼にとっては青天の霹靂だっただろう。

会社ではなく自分のために頑張る

筆者はひたすら危機煽りをしたいわけでも、大企業でぬくぬくとせず、会社のために死ぬ気で働けと言いたいわけでもない。むしろ逆だ。勤務先などどうなるかわからない。代わりの勤務先はいくらでもある。だから何より、「価値あるスキルと経験値を求めて、もっと自分のために必死に働くべきだ」と言いたい。

「頑張る」とは、長時間労働ではない。その会社でしか通用しない社内通貨を20年稼いでも無価値だ。そうではなく、とにかく市場価値を意識したスキルと経験値こそ意識するべきだ。

そうやって培ったスキルや実績があれば、仮に明日会社が倒産しても、あるいは理不尽な転勤を命じられて辞めることになっても、翌日には他社からオファーが来る。20代というポテンシャルにベットしてもらえるボーナスタイムの間に「強い人材」になることを強く勧めたい。

皮肉なことに、「いつでも辞められる力」を持った人間こそが、会社からも「最も手放したくない人材」として評価され、結果的に社内での自由と居場所を確保することにつながるのだ。トータルだとこれが一番コスパがいいだろう。

2025年10月、全国の書店やAmazonで最新刊絶賛発売中!

なめてくるバカを黙らせる技術」(著:黒坂岳央)

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https://agora-web.jp/archives/251212011602.html https://agora-web.jp/archives/251212011602.html Fri, 12 Dec 2025 22:00:02 +0000 Fri, 12 Dec 2025 09:42:21 +0000
「令和人文主義」ブームへの期待と批判について ≒『批評』は死んだのか?問題 technology 「令和人文主義」というムーブメントがあるらしく、ちょっとそれについての話を聞いて下さい。 キッカケとしては、最近、x(Twitter)とかのSNSで出会っていたら明らかに「敵同士」になっていたような人とも対話できるように

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「令和人文主義」というムーブメントがあるらしく、ちょっとそれについての話を聞いて下さい。

キッカケとしては、最近、x(Twitter)とかのSNSで出会っていたら明らかに「敵同士」になっていたような人とも対話できるようにするというコンセプトの

「敵とも話せるSNS」=「メタ正義をベタにやるコミュニティ」=「めたべた」

というのを主催していまして、結構な人数入ってくれて毎日ワイワイと色んな話をしているんですね(ご興味あれば以下リンクからどうぞ)。

サイトについて
「メタ正義をベタにやるコミュニティ」(めたべた)では、どんどん治安が悪くなる”オープンなSNS”からの避難所を提供します。 突然罵倒されたりしない安心感のもとで自分の気持ちを吐き出したり、立場の違いを超えて意見を交換したりといった、昔の「ネット黎明期」にはあった可能性を再度信じられる場を目指します。 そうすることで、罵...

参加してくれている人の中には、いわゆる「党派的」な言葉でいえば右の人も左の人もノンポリの人も、もう引退した世代の人から20代の大学生まで、金持ちそうな人もそうでない人もいるんですが・・・

そうやって「話題を共有」しながら生きていると、普段は「xの自分のクラスタ」にはいない人が普段どういうものに接しているのかがわかってきたりするんですが、そこで

「令和人文主義」ブーム

…というムーブメントが話題らしいという話を聞きまして・・・

上記の「敵とも話せるSNS」の中でもファンが多い発信者としては、

・コテンラジオ(深井龍之介さん) ・ゆる言語学ラジオ(水野太貴&堀元見さん) ・三宅香帆さん

などがその主要プレイヤーと思われているようです(他にも色んな方の名前があげられています)。

この言葉は、哲学者の谷川嘉浩さんという方が提唱者らしく、以下の朝日新聞の記事や、ご本人のnoteで詳説されていました。

深井龍之介、三宅香帆…新世代が再定義する教養「令和人文主義」とは:朝日新聞
■Re:Ron連載「スワイプされる未来 スマホ文化考」(第9回) いま、令和人文主義が席巻している。代表的なのは、株式会社COTENの深井龍之介さん、株式会社baton(QuizKnock)の田村正資…
時代の兆候としての「令和人文主義」。あるいは、なぜ突然そんな用語をつくったのか。|谷川嘉浩
令和人文主義と突然言い始めた谷川です。 このワードに惹かれて読んだ、私を知らない人に向けて自己紹介をすると、哲学の学位取得者で、今も大学の先生をしています(芸大でデザイン実技教えてます)。最近は一般向けに語ることが多いんですけど。 令和人文主義となぜ言い始めたかというと、2016年以降くらいに活動し始め、令和開始く...

上記の谷川さんのnoteには、そのコンセプトにかけた意図みたいなのを説明したポッドキャストへのリンクもあったので2つとも聞きました。

提唱さんの谷川さんの説明において、「令和人文主義」の特徴としてあげられているものとして印象的だったのは、

・「人文知ギョーカイの内輪トーク」的な難解な文体ではなく広く平易に読まれる書き方・表現方法をする。 ・主要な読者・受け手は、大学生ではなくむしろビジネスパーソンが想定されている。 ・政治的な話題を扱う時でも、いわゆる右vs左的な党派的な色を薄めて話す能力がある。 ・専門書というより新書、そしてYouTubeやポッドキャストなど多面的な展開によって、人文知のリーチを広げようとしている。 ・「アンチ人文アカデミア」的なことをわざわざ言ったりしない。 ・一方で、「ビジネスに役に立つ!」的なアピールもしないで、むしろ「人文知の楽しさ」を主観的に楽しめる余裕を大事にしたいという姿勢がある。

…という感じだそうです(確かに、挙げられているお名前の方々にはめちゃ当てはまる感じがしますね)。

今回記事はこの「令和人文主義」ムーブメントの背後にあるものについて考えを聞いてほしくて書きます。

特に、「令和人文主義」に否定的な人たちは、伝統的な「知識人像」とか、「いわゆる批評というもの」の価値を貶めているのではないか、みたいな事をいう流れもあるようなので、そういうところについても考えたい。

0. はじめまして!の方向けの簡単な自己紹介

本題に入る前に、「はじめまして!」の方に一応自己紹介をすると、自分はもう40代ついに後半になってしまった人間で、大卒後は外資コンサルからキャリアをスタートしたんですが、そういう「グローバルな発想」と「ローカルの実情」の間のギャップに思いなやみ、プロフィールにあるような色々と紆余曲折を経て、今は主に中小企業向けのコンサルタント兼「思想家」を名乗らせてもらって仕事をしています。

「思想家」を名乗っている理由は、実際に「グローバルvsローカル」の問題を実地に解決していくには単なるハウツー的な話ではダメで、ある種の巨視的な視野で「一貫した世界観」を再提示して社会を動かしていくことが必要だと考えているからで・・・

その「成果」的な話でいえば、地方の中小企業でここ10年で150万円ぐらい平均給与を引き上げられた事例などもあって、そういう「実地に日本で何が起きていてどうすることが必要なのか」という体感の話と、「インテリの議論」をいかに接続するかが自分のメインの主題となっているという感じなんですね。

活動と思想をまとめた著書としてご興味があれば、とりあえず最新の以下などを読んでいただければと思います。

論破という病

また、noteの中でも時々アカデミア寄りの「思想」っぽいジャンルの話はしており、特に以下の記事などは、「令和人文主義」にも名前があげられている朱喜哲氏の著作「フェアネスを乗りこなす」などを引用しながら、「アカデミアと現実社会の間」について考える記事として当時結構読まれました。

ナチスの諸悪の根源は『悪の凡庸さ』なのか?問題を、東浩紀の思想(訂正可能性の哲学)から考える。|倉本圭造
年末年始に、普段時間なくてなかなか読めないタイプの本を読もうと思って、色々と人文社会学系というか、いわゆる『文系の学問』の本を何冊か読んでました。 そしたら、ある種の文系の学問世界における「今のトレンド」が色々と感じられてかなり有意義だったんで、今回はその話をします。 テーマは、時々「対立関係」として捉えられること...

普段は自分は「アカデミア的な意味での人文知」とはかなり遠いスタンスで仕事をしていますが、上記記事とかを読んでいただくとそれに対する尊重心はちゃんとあると思っていただけると思いますし、その上で日本社会と人文知との関係性をより良くするために何が必要なのか?という考察を読んでいただければと思います。

僕は普段からnoteとしてはありえない長文を書きがち人間なんですがw、多分ジャンル的に「長文読むのへっちゃら」な人が対象読者になると思うので、ちゃんと意を尽くして書きます。

1. 「2010年代型啓蒙主義的ビジネス書ブーム」とその後の「教養マウンティングの欺瞞」

上述の「敵とも話せるSNS」でこの話題に行きついたのは、まず古賀史健さんがフジテレビ問題について切り込んだ以下の本が話題だったからなんですね。

「集団浅慮」(ダイヤモンド社)

この本は、「集団浅慮」というアメリカの社会学者の概念を使って、フジテレビ問題を分析する、という構成でできています。

フジテレビ問題の報告書を改めて読み、内部でどういうことが起きていたのかを詳述しながら、「むしろ優しい配慮をしている」ようなフリをしながら余計に人権侵害的な方向に突き進んでしまう理由について述べられていて、大変プレーンでわかりやすい文体も含めて良い本だったと思います。

一方で、この本の「構成の仕方」が、個人的にはものすごく「懐かしい」感じがしたんですね。

古賀史健さんは2013年に書かれた大ベストセラーの「嫌われる勇気」の著者でもあるんですが、「集団浅慮」は「あの時代の空気」をすごく感じる本だった。

どういう部分にそう感じるかというと、

・日本社会にある問題を一点集中的に「ここが問題だ」と取り上げて… ・欧米のアカデミックな知的権威の文脈を導入して明確な回答を示す!

という構成の部分です。

ぶっちゃけた言い方をすると、「欧米の知的権威」が「水戸黄門の印籠」のように出てくる話の構成ということになるでしょうか。

こういう筋立ては明快だし、読んでる時は

「そうだ!これこそが問題だし、そしてこうすればよかったのか!わかったぞ!」

って感じるんですよね。

一方で、「嫌われる勇気」を読んで、人間関係の悩みが解決したぞ!っていう人もあまりいないんじゃないかという部分も正直あって、こういう「構成」自体が、

・そういう世界観で生きられる人っていうのはそもそも日本社会で恵まれたポジションにあることが前提だったのでは? ・そういう欧米の枠組みでは割り切れないリアルにぶつかってる自分にとって、そんなに「クリアーにわかりやすく」解答を話されても困惑するだけなんですが・・・

…という齟齬を生んでいたところがあると自分は考えているんですね。

というか、当時の僕が読者としてこういう本に接していた素直な感想として、すごく「本を読む読者として楽しい、意味があると感じる」と同時に、とはいえ「そうはいってもねえ」という自分のリアルに対する答えは誰も与えてくれない・・・という一種相反する違和感を消せずにいた。

とはいえ、この「啓蒙主義的ビジネス書」のレベルだとまだ、「現実の課題へのソリューションの提供」という形で対応されていて、それによって「我々の日常」と「人文知的な権威」が直結するのか!という興奮があったんですけど・・・

このブームがさらに推し進められて、だんだんその「リアルな課題」とのカップリングも消えてきちゃって、「単なる教養主義マウンティング」的な様相になってきた流れがあったんだと思うんですよね。

単に「俺はビジネスできるだけじゃなくてこんな難しい本も読んでるインテリなんだぜマウンティング」のために消費されていく「ビジネスパーソンの仕事に役立つ哲学の本」とか「なぜ一流の人材は哲学を読むのか」とか(2つとも今適当に考えた題ですけどw)そういう感じの本が大量生産される流れがあって。

そういう「教養主義の欺瞞」が嫌気されていく中で、新しく2010年代後半に別の風潮が出てきているのだと個人的には総括しています。

ちなみに、この「教養主義の欺瞞に対する批判」というのは、むしろ「本式のアカデミア的人文知の内側」から出てきた流れでもあって、それが「令和人文主義」を作ったというのはこの言葉の命名者の谷川嘉浩さんもポッドキャストや記事などで話されていました。

「教養主義の没落」 竹内洋 大正教養主義の成立と末路ー近代日本の教養幻想 松井健人

これらの↑学術書で、そもそもの「教養主義」的なものは、大正時代にあったとされるオリジナルな美談の時点からして「単なるマウンティング」行為にすぎなかったのだということが暴かれて、そして「それとは違うなにか」を求める動きに繋がったのだそうです。

2. 「教養主義の欺瞞」から生まれた2つの潮流

上述のように、「単なるマウンティングのために難しい話してる」型の教養主義に対する批判あるいは反省が、2010年代後半以後「新しい潮流」を生み出したと自分は考えていて・・・

それが、

A・トランプ時代の「ポスト・トゥルース」ムードの中でのストリートファイト型「お前のリアルをお前の言葉で語れよ」系(箕輪厚介さん系) B・「単なるマウンティングのネタ」ではなく、「ビジネスに役に立つ」とかも無理して言わずに、ちゃんと人文知の良い部分をそれ自体素直に楽しみ、皆と共有していきたいという”令和人文主義”

の2つなんだろうなと。

「嘘くさい権威的知性の押し付け」に対して、「知的権威からの借り物の言葉じゃなくて、お前のリアルを”お前の言葉で”語れよ」型のぶっちゃけたストリートファイトに行くのか?(A)

それとも、「マウンティングのため」とか「明日の仕事に役立つ」とかの卑小な目的に限定されないで、人文知の中にある本当の良さを一般の人でも理解できるように語っていこうというムーブメントに行くのか?(B)

ぶっちゃけ「書き手」としての僕自身は、ある種の人文知への敬意はあれど実際のメンタリティとしては「A」の方に属していたところがあって、今まであまり令和人文主義の方々の活動は見ていなかったんですよね。

(これは案外、「令和人文主義」的なインテリのありかたが軽薄なものにすぎないと批判するタイプの、「オールドスクールな知識人の価値」を信じたい人も、たとえば東浩紀さんをはじめとして「A」に属するような自意識の人も多い実情はあったと思います。また、令和人文主義の代表的存在とされている三宅香帆さんの”考察する若者たち”を読んだら案外にも、権威付けされた言説よりも本当に個々人のリアルな気持ちをそのまま認めていけるようになろう!・・・みたいなメッセージがあったという意味で”A”の要素もあったと思います)

でも、僕が主催する「敵とも話せるSNS」で色んな参加者の人が「令和人文主義」のコンテンツをワイワイ楽しんでいるのを見て、

なるほど、令和人文主義ブームがあることの価値ってたしかにあるな!

って最近すごく思いましたw

なんというのかAの方のストリートファイト型ポスト・トゥルース時代の風潮は、何らか「本当にオリジナルで現場発のリアリティを掴まなくちゃ」という意志がある事自体はすごく大事なことだと思うのですが、一方である種の

「知的な良識」みたいなものに思う存分ツバを吐きかけられる社会的現状

みたいなことについてはダダ崩れに容認しがちっていうか「っていうかしゃあねえじゃん!」って言って終わってる面があったなと思うのでw

「A(ポスト・トゥルース型ストリートファイトの世界)」ばかり触れたあとに久々に「B(令和人文主義)」風のコンテンツに触れてみると、「おお、良識が良識のまま通じるぞ!」っていう当たり前の安堵感みたいなのがある。

ポスト・トゥルース型のなんでもありの世界はそれはそれで不健全な面もありますよね、という結構当たり前の話をちゃんとしてくれる勢力がある程度の部数の本やらコンテンツをちゃんと売って存在感を発揮してくれていることの意味・・・というのは、これはもう頭を下げて敬意を示すしかないなと。

3. 令和人文主義は『正社員サマの哲学』にすぎないのか?

とはいえ、令和人文主義に対しても色んな批判があるようで、僕の主催する「敵とも話せるSNS」で話題になってた記事としては、こういうのがありました。

「令和人文主義」に異議あり! その歴史的意義と問題点|文学+WEB版
【評論】小峰ひずみ 〇「令和人文主義」とは?  「令和人文主義」という言葉が最近、注目を浴びています。哲学者の谷川嘉浩さんが提唱された言葉だそうです。谷川さんは朝日新聞に「深井龍之介、三宅香帆…新世代が再定義する教養「令和人文主義」とは」という関連記事を寄稿されてもいます。この「令和人文主義」は「読書・出版界とビ...

(普段”界隈”の議論に触れてないのでこの記事がどれだけインパクトあったかわかりませんが、結構”いいね”の数も集まってるから一応広く読まれてるものと考えていいはず?)

ただ個人的には、上記リンク先記事は結構”特殊な批判”をしている感じがして、そもそも「人文知」に経済学・経営学の話が一切入ってこないのもイビツなように思うし、こういう世界観の限界を人間は20世紀のアレコレで気づいて、その反省から「より広い」範囲の”現場”との双方的連携で乗り越えなくちゃいけない時代なのだと感じました(とはいえ筆者の少し懐かしいような”熱い思い”自体は正直かなり刺激を受けて、考え方は違うけど俺もガンバるぜ!と思いましたw)。

一方で、上記記事ほど特殊なロジックでなくても、もうちょっと一般的な意味で「令和人文主義」に対する批判というのは結構あるように思うんですね。

それは、「令和人文主義」が、本来あるべき「知識人がやるべきこと」を非常に限定的なものにしてしまってるんじゃないか、という批判です。

ネットのどこかで「すごい悪口のセンスw」と思ったのが「正社員サマの哲学サロン」みたいなことを言ってる人がいて笑っちゃったんですけど。

令和人文主義のスターたちの結構な部分の人たちは「結構良い会社とかアカデミアの正社員」だったりとかして、普通に個人の生活は安定してる立場の上で、「余技」として、

「ちょっと面白い話があるんだけど聞いてくれない?」

みたいなサロンを主催して、同じく「安定した立場」の人の余暇を潤している・・・みたいな批判は、めちゃくちゃ意地悪く言うと成立するのかもしれない。

いみじくも「知識人」を名乗るのならばッ(そもそも彼らは名乗ってすらない感じですがw)!、例えば非正規で働いている不安定な立場の人とかがこれだけいる現状の中で「なにかせねば」と思わないと知識人足り得ないのでは?というのは、非常にオールドスクールな思い込みのようで、一定の考える余地があるテーマなのかもと僕も思います。

4. 「批評」は死んだのか?問題

なんかこう、「古きよき知識人」の『ザ・批評』ってう、ある種の神格化されたジャンルっていうのがあったんですよね。

吉本隆明さんとか、江藤淳さんとか、柄谷行人さんとか、最近ではギリギリ東浩紀さんぐらいまで「継承」されてきたような、色んなことに対して「個人の意見」を表明してるだけなんだけど、それがそのまま「社会へのアクション」そのものになっているような?

それこそサルトルとかレベルの歴史的人物のイメージを自らが体現しようとするような、「社会についてなにか語ること」自体がそのまま、人々がどういう風に動けば社会をより良いものにできるのか?についてのオープンな議論のハブとなるような、そういう空間の価値が信じられていた過去があったんですよね。

だから、さっきも書いたけど東浩紀さんとかは、(半分冗談みたいな感じで言ってて別に心底否定してる感じではないと思うけど)「令和人文主義」的なお行儀の良さを批判し、「ポスト・トゥルース型ストリートファイトの中でなんとか価値を生み出そうと藻掻く」ことが大事なんだ、というようなことを言っているところがある。

そういう意味で、令和人文主義への批判については、

・本来「知識人」がこの社会の中で果たすべき役割は、もっと大きなものであったはずなのでは? ・そういう「要素」が社会の中から消えてしまったら、この社会を根底から捉え直して「良い」方向に動かす重要な機能が失われてしまうのでは?

…という問いかけ自体は、結構真剣に考えてみても良いような感じがします。

…とここまでが「自分なりの状況整理」って感じなんですが、ここから結局今起きてることの本質に関する私見と提言みたいな話に入ります。

5. カリスマ独裁からバケツリレー方式へ

最近、僕の本業(どっちが”本”かは別としてw)である経営コンサル業の中で、随分前から持っている問題意識として、

もうソンさんとかイナモリさんとかヤナイさんとかナガモリさんとかみたいな存在に頼りすぎるのは良くない時代なのかも

…みたいな認識があるんですよね。

上に書いた人たちはだいたい70代前後ですけど、そこを境として、「カリスマ」が全権奮って統治していて、後継者を立てよう立てようとしたけど結局我慢できなくなってずっと実権握ってるみたいなタイプの経営者が、下の世代にはあまりいなくなっている。

で、最近では、粉飾決算疑惑で大問題になっている”ナガモリさん”のニデックみたいに「カリスマ独裁」の弊害が現れてきちゃってる例もチラホラありますよね。

もっと下の世代になればなるほど、「チーム」で仕事しているというか、経営者も一つの「機能」になり、色々なタイプの人材との相互補完性の中で一つの「価値」を生むようになってきている。

いろんな意味で社会が複雑化してきて、また同時に色んな意味での”チェックアンドバランス”がガバナンスとして整備されることによって、「今70代前後の人みたいな独裁的な経営者」像が成り立たなくなってきている。

そういう「カリスマ独裁」ではなくて、「色んな機能を持った人たちがバケツリレー方式で一つの価値の連鎖を作る」ことが必要な時代になっているのだと思います。

要するに、「知の巨人!」サマがなにか言って、それを弟子たちがありがたく奉戴して、それでなにか社会運動が巻き起こって社会が変わる・・・というモデル自体が既に無理がある時代なんじゃないか、ということです。

そういう「カリスマ独裁」型ではなくて、「バケツリレー型の価値連鎖」で同じことをやるんだ、でかいクジラ一匹でなく小さい魚が寄り集まった「スイミー」方式でやるんだ・・・という風に考えた時に、令和人文主義は「その必須不可欠な部品を提供してくれている」と考えられるのではないでしょうか?

6. 「部品」を供給すれば、誰かが「実装」してくれる。バケツリレー方式の”ペイフォワード”を信頼できるか?

最近、コテンラジオさんが「プロジェクト・ジェンダーインクルーシブ」っていうのを始められていて、ジェンダー論についての人文知的蓄積を結構コストかけてポッドキャストに集大成的にまとめて、それを個人は無料だがクローズドな紹介制、企業は有料で・・・とかなんかかなり複雑な仕組みで配布を開始してるんですよね。

で、僕の『敵とも話せるSNS』の中でも紹介権を数名分持ってる人がいて、希望者を募って聞いているスレッドがあったんですけど・・・

そのSNSには分類としては「結構右の人も結構左の人も」いるから、かなりガチな「フェムテックアクティビスト」みたいな活動を長年やられている方もいて、それでコテンラジオのそのコンテンツを聞いていて、なんか「辛くなった」みたいな事をおっしゃっていて。

そこには色々な感情があると思うけど、「自分たちがずっと言ってきたことが聞き入れられなかった中で、なんかこういう”ビジネス的に構造化”してちゃんと話すと伝わる層もいるんだろうなということ」自体のショックとか、そういう事を色々と話されていて。

「自分たち内部の言葉」だけでなくて、それがちょっと「ビジネス寄りなフォーマット」で表現されることの異文化衝突というか、フリクションというのは実際あると思うし、そういうイベントがあることで、「今まで聞いてもらえなくて辛かったという思い」みたいなのが止まらなくなるような部分もあったり・・・

なんかまあそこには色々な一言で言えないドラマがあるわけですけど、とはいえ引いた目で冷静に語るとすれば、「ガチのアクティビストの内側の言葉」が、一旦クッションされて、「ビジネスフォーマット的な表現方法による人文知」に置き換えられることの価値っていうのはあるな、というようにすごく感じました。

多分一時は、「長年真剣に活動してきた当事者」的観点からすると「イシューを簒奪された」ように感じるかもしれないけれども、それでもそこに「令和人文主義的なニュートラルさ」が噛み込むことでより広い範囲につながるということはありそう。

こういう風に「令和人文主義が媒介」することによって、本来「つながるはずのなかった繋がり」が実現することが、ほんとうの「バケツリレー」が成立するために非常に重要なことだと思うわけです。

心底に「切実な思い」を秘めたアクティビストの人や、ジェンダー論のアカデミアの人と「直」につながるにはカルチャーギャップが大きすぎるけれども、「コテンラジオのカルチャー」となら繋がれる層というのはたくさんいるはず。

そこに「ニュートラルな媒介者」がいることによって、「知恵」自体が伝播し、

じゃあうちの会社で何ができるか考えよう

…という動きのところまで「壮大なバケツリレー」がつながるようになる。

その「媒介者としての役割」を果たすためには、令和人文主義的な「ニュートラルな作法」が絶対的に必要であり、古風な「知の巨人」幻想からするとある種”浅薄に”見えるその作法自体が、むしろ「より広い範囲へのバケツリレー」のために必要なプロトコルなのだ、と言えるはずです。

7. 発信者の世界観の内側からは”全く見えていないところ”まで届かないと本当の変化は起きない

「本を出版する」ことの本当の価値は、「書き手の想像もしなかったところに届く」ことですよね?

よもやこんな人が自分の本を読んでいるとは思いもしなかった!という人が、ちゃんと出版社から出て図書館に収蔵されるようなプロジェクトが回っていくにつれて自分の言説を手に取ってくれるようになり、突然長文の感想メールが届いてびっくりしたりする。

このプロセス全体を見ていると、確かにその「コンセプトのコア」の部分については「書き手」の方が詳しいが、その「実装面」においての課題とか現状の事情とかについては「読み手」の方が”圧倒的に”詳しいのだ・・・という理解が大事になってくるんですね。

話の流れ的にジェンダー論の話を例にとっているけれども、自分は「女性の社会進出」を考えるにあたって、現状のジェンダー論を主導しているグループが、「日本社会や日本企業がどういう論理で動いているのか」に対して理解が薄すぎるし、理解する必要があるとも思ってないようなところがあるのに大変問題意識があるんですよ。世界観が狭い。

結果として「欧米のめちゃくちゃ恵まれた一部の会社の事例」を持ってきて「アレみたいにできないのは日本の意識が低いからだ」みたいな暴論を振り回して全力でジェンダー論への憎悪にガソリンを注ぎまくるようなことをしてしまう。

言説が「ジェンダー論自体に興味ある人の範囲」にしか届いていないので、「そういう人たちのスコープ」でしか話せない。結果としてその「内輪」の話を「社会全員がそのまま丸呑みにしろ!少しでも理解違いがあるのは許さないぞ!」というようなムーブメントになってしまう(少なくともそう見えてしまう)。

一方で、これが「アクティビストやアカデミア」からの「直の接触」ではなくて、「令和人文主義的ニュートラル化」を経たコンテンツがバラバラに市中にばらまかれた時に、

たまたまそれを読んだ人は、”たまたまジェンダー論にもちょっと興味がある”、ある地方の中小企業の経営者(だったり企業の人事担当者だったり学校の先生だったり)」

…するかもしれない。

この時に、「ジェンダー論の知見」と、「日本の地方の中小企業において典型的に今見られる経営課題」的なものに対する読者側の『専門知識』を、

ちゃんと”対等なもの”として”尊重”して見られるかどうか?

…こそがこれからの時代に本当に「バケツリレー」がつながるためには大事なわけです。

そこの「”対等な”知識交換」が成立するようになれば、日本の中小企業という「ローカルな個別課題に対しての深い専門知識」と、「人文知」的なものを深く繋いで、そこに新しい価値が生まれる。

それが「よくある対処法」として定式化されてくれば、そこに本当の「ブレイクスルー」が生まれる。

実際、昨今の日本の中小企業の「人手不足」感はマジでやばくて、

・「雇った若手がやめない」 ・伝統的に男しかやらなかった職業に女性が主体的に参加してくれる

こういう構造↑を作り上げることは、経営上「ものすごい重要課題」になってきています。

それができるかどうかでその会社のコスト構造が心底大転換して、競合に対する圧倒的コスト優位性につながる可能性があるぐらいの超重要イシューになっている。

例えば、この記事↓のような事例が今の日本には頻出していて、クライアントの経営者に話すたびに「うちの業界もそうですよ」と笑っていたりする。

平均年齢34歳の左官会社 常識「塗り替えた」存続危機からの復活劇 | 毎日新聞
 建設業の倒産が増えている。特に職人を抱える専門業者が、人手不足で経営難に陥るケースが目立つ。そんな中、昔ながらの左官のしきたりを見直し、復活を遂げた会社もある。

運送業でも建築業でも小売業でもサービス業でも、あと山小屋みたいな特殊な業態でも、ちゃんと丁寧に説明する、理不尽を言わない、女性も普通に働ける環境にする・・・という「モダン化」を丁寧にやることで、競合優位性が俄然高まる構造になりつつある。

「ジェンダー論の研究者」は、「ジェンダー的な課題」について他人より圧倒的に詳しいだろうけれども、「日本の中小企業において生起している独自の課題とかそこで何がボトルネックになっているのか?」という点について、

自分たちは何も知らないし、そこで学ぶべき課題がある

…ということを、忘れてしまいがちなところがあると思います。

これはジェンダー論の話に限らず、何らかのアカデミックな知見をより広い範囲に活かすという時には常に問題になる現象だし、以下記事などに書いたようにそもそも「外資コンサル」的な手法と日本社会の間にすら常に存在する課題としてある。

(月末会員限定記事)『減速ギア人材』という生き方とキャリア論|倉本圭造
(トップ画像はウィキペディアにある”減速ギア”の写真) 月三回の記事の一回分は「購読者向け」の深い話にした方が、せっかく購読してくれてる人にも嬉しいと思うので、そういうコンセプトにしています。 今月に日本や世界であった色んな出来事を振り返りつつ、僕自身の近況も振り返りつつ、面映ゆいようですが「倉本圭造の思想の現在地...

そういう時に、欧米の事例を持ってきて「アカデミア内の内輪の言葉」で殴れば平民どもは平伏して従うべきだ、ぐらいに思ってる(のではないかと誤解されている)ことが、日本だけでなく欧米でも、一種の強大なバックラッシュに繋がってしまっている時代ですよね。

本当は「ローカル社会側の、それぞれの現場」にも「それぞれの専門家」がいるのであって、そこと「対等な関係性」を無数に取り結ぶことこそが今求められているのだ・・・という方向への転換が必要なんですね。

そして、「中小企業側の事情」にフォーカスがビタッとあたったコミュニケーションができれば、そこから先は、

(たとえば)”マイクロアグレッション”という人文知的な概念

を真剣に「現場レベルで実装」し、女性を増やそうとしたけど社食にオッサン向けドカ食いメニューしかないとか、そもそも女子トイレがないとか、そういう「細かいこと」をいかに積み重ねられるかという流れをエンパワーすることができるようになる。

8. 「知の巨人」がなんでもできるわけではない。日々の仕事をしている人たちの無数の集積に敬意を

結局古いタイプの「知の巨人」は、自分は「普通の市井の一般人よりも”あらゆる尺度で”賢い」と自他ともに思ってたところがあって、それが限界を生み出してたんですよね。

「ある特殊な知的議論の分野」においては”専門家”でも、だからといって例えばある商品を仕入れてどういう値付けをすればいいのか?ということについて何十年と毎日考えている人よりも「その分野についても賢い」と考えることは、人間の本来的・本質的な「ほんとうの多様性」に対する冒涜だったわけです。

そういうところで、「知の巨人」を過剰にカリスマ視するから、その「固定的で閉鎖的なビジョン」を無理やり現実社会にねじ込もうとして、柄谷行人氏の例のアレみたいなことになってしまう。

「令和人文主義的なニュートラルなプロトコル」が「人文知」を徹底的にバラ売りし、「思いも寄らないところで思いも寄らない人が読む」形にすることで、

「閉じた知識人の世界」と、「多種多様な現場の知」が、非中央集権的な形で結びついて、一個ずつの「リアルな」変化が起きていく・・・そういう「バケツリレー」方式が実現できるかどうか?

結果として、

「そうか、中小企業において実現可能な範囲とコスト構造において、ジェンダーインクルーシブ化を進めることで人材難を乗り切れるパッケージ的な施策としてはこういうのものがあるのだな!」

…という、

「大きな知」と「現場の知」が本当の意味で『対等』に直結したブレイクスルー

…が起きれば、そこから先はSNSで百万回罵りあっているよりもスムーズに物事は変わっていくでしょう。

そこにこそ本当の「革命」はある。信じて進みましょう。

「知の巨人」を解体することは、それを「小人さんたちの集合体」で再構築しなおすことで、柄谷行人さんみたいな失敗を次はしないで済むようにするための重要なチャレンジなのだということですね!

それは柄谷行人さんを侮辱しているのではなくて、彼のような20世紀の巨人の価値を自らの心底においてほんとうに重視しているからこそ、「じゃあ次は別のやり方でやらなきゃ」となることこそが「本当の敬意と知的誠実さなのでは?」ってことですね。

9. 批評は死んでない。ただ幻想が死んだだけ

そういう意味では、「批評」は死んでない。単に「偉そうな高齢男性の独善性」に幻想を見るのをやめただけです。

もっと多種多様な現場の知が対等に結びつくニュートラルで分散的なプロトコルの先にこそ、本当の「20世紀の批評が目指した」連携の道は生まれてくるのだと信じていきたいですね!

(以下、お知らせ3点の後もう少しだけ続きます)

お知らせ1

この議論にピンと来た方は、ぜひ以下の著書などをどうぞ。

論破という病

お知らせ2

また、文中で何度も触れてきた「敵とも話せるSNS」も、まだまだ参加者募集中です!↓

サイトについて
「メタ正義をベタにやるコミュニティ」(めたべた)では、どんどん治安が悪くなる”オープンなSNS”からの避難所を提供します。 突然罵倒されたりしない安心感のもとで自分の気持ちを吐き出したり、立場の違いを超えて意見を交換したりといった、昔の「ネット黎明期」にはあった可能性を再度信じられる場を目指します。 そうすることで、罵...

大真面目な話もしょうもないことも、「x(Twitter)で出会ってたら絶対敵同士だった」人も含めてワイワイ話しながら生きていくことで、

「人間って本来もっとわかりあえるはずだったんだな」を再発見できる場

…となりつつあります。

週2−3回は僕自身が「ダイジェスト」を発行してSNS内部の議論を「メタ正義」に統合するような考察を配信しているので、「ROM専(読むだけ)」のご参加でも価値を感じていただけると思います。(というつもりで入ってめちゃ発言する人もたくさんいますw)

お知らせ3

また、上記SNSとは別に、多種多様な個人と「文通」しながら人生を考えるという奇特なサービスもやってます。「話に行ける思想家」とアレコレ話してみませんか?→こちらからどうぞ。

長い記事を・・・(ってジャンル的にこの話題に興味ある人にはへっちゃらな文字数だったかもしれませんが)読んでいただきありがとうございました。

ここからは、もう少し普段はしない「哲学・思想」的な言葉をあえて使って、現代人類社会におけるこれからの「日本の知」の可能性、みたいな話をさせてください。

言ってみれば「ポスト・ポストコロニアリズム」みたいなことを日本はやるべきだ、という話になります。

東浩紀さんの「ゲンロン」で、ロシア現代思想を扱った時に、ロシア文学は「グローバルに語り得ないものをグローバルに語るためのフォーマット」として歴史的に機能してきているのだ、という話があって、すごいナルホドと思ったんですよね。

それは、ロシアという場が、欧米から見ると「悪い場所(ポジティブな意味で)」であって、例えばフランスなどではただコンセプトとして堂々とポーンと投げ出してしまえばそれだけで通じるようなことが、「辺境」においてはそうではない。

しかしそういう「難しさ」を抱えている土地だからこそ、「西欧中心主義的なフォーマット」が本当のリアリティにおいて取りこぼしている課題を、「グローバルにわかる形」で再度語り直すための言語を作り出すことができるのだ、それこそが「ロシア文学」が世界中に愛されている理由なのだ・・・みたいな話でした。

僕はそういうのの「日本バージョン」というのがありえると思っていて、そうやって「自分たちの特殊性」にキチンと立脚し、それを徹底的に「レペゼン」していく姿勢を崩さないことによってのみ、本当に「日本発」で世界的に意味がある、今の人類社会の現状に対してリアルなインパクトを持つ言説というのが可能になると思っています。

そういう「ポスト・ポストコロニアリズム」的な日本発の知性のありかたについての構想を聞いて下さい。

つづきはnoteにて(倉本圭造のひとりごとマガジン)。

編集部より:この記事は経営コンサルタント・経済思想家の倉本圭造氏のnote 2025年11月30日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は倉本圭造氏のnoteをご覧ください。

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https://agora-web.jp/archives/251212094307.html https://agora-web.jp/archives/251212094307.html Fri, 12 Dec 2025 21:50:07 +0000 Fri, 12 Dec 2025 10:13:40 +0000
日本一早いビジネス書ランキング(2025年)を作成 technology 今年は久しぶりにビジネス書ランキングを発表したい。コロナ禍で中断していたので、6年ぶりの再開である。今回、ランキング作成の際に使用したのは概ね1年以内に発刊もしくは献本された本になる。ランキングの根拠としては、アゴラのア

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https://agora-web.jp/feed-for-gunosy https://agora-web.jp/feed-for-gunosy Sun, 15 May 2016 09:09:45 +0000 Sun, 15 May 2016 09:09:45 +0000
秋の東京・六義園 紅葉の庭園散歩 column 11月24日、東京都北区の駒込駅に来ました。紅葉見物日和のこの日、前日に浅草界隈を散歩するツアーに参加し、せっかく東京に来たのだから、東京の紅葉を見物したいと思いここにやってきました。 今回の旅の目的地は駒込駅にほど近い

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11月24日、東京都北区の駒込駅に来ました。紅葉見物日和のこの日、前日に浅草界隈を散歩するツアーに参加し、せっかく東京に来たのだから、東京の紅葉を見物したいと思いここにやってきました。

今回の旅の目的地は駒込駅にほど近い場所にある庭園、六義園(りくぎえん)。東京を代表する紅葉スポットの一つです。

六義園は元禄時代(17世紀末)、徳川綱吉の寵愛を受けた大老格、柳澤吉保が自ら設計、工事の指揮をとり、7年の歳月をかけて造り上げた回遊式庭園です。「六義」とは中国の詩の分類法に倣った和歌の分類法の六体に由来したものだそうですが、和歌に疎いので申し訳ないですがよくわかりません。浜離宮や旧芝離宮などと同じく、都立の文化財庭園として親しまれています。

六義園は中心に大泉水という大きな池があり、この池の周りを回遊する庭園です。東京の真ん中にこれだけ広大な緑地と池を持つ庭園があるなんて思わなかったですね。

六義園はツツジの咲く春も美しいようで、その他桜や椿、山茶花など多くの花が見られます。11月下旬はモミジなどの紅葉が美しく、この景色を見に多くの観光客で賑わっていました。欧米からの観光客も多くいたんですが、海外のガイドブックに載るくらい有名なんですかね。

滝見茶屋と呼ばれる四阿で渓流と紅葉の向こうに落ちる滝を眺めながら休憩します。どこか山の方にハイキングがてら紅葉狩りに来たのかと勘違いするような光景ですが、ここは東京都文京区です。

渓流に架かる橋も紅葉に彩られていて美しい。池のある所に水鳥あり。鴨が気持ちよさそうに泳いでいました。

陸地にもたくさんいる!!!

違う角度から見た大泉水。黄色に染まる木々の向こうにビル群がある様子を見てようやく、ああ、ここは都会の中なんだな、と気づかされます。

この日は天候に恵まれて風もなく波も穏やか。せせらぎの水面に映る紅葉の影も鮮やかです。

大泉水の畔(ほとり)にある吹上茶屋にある木には雪つりも作られていて、庭園では秋から冬に向けての準備が進んでいました。雪国でない東京で雪つりが見られるとは思いませんでした。

今年の紅葉はもう見ごろを終えてしまったと思いますが、写真で秋の残り香を少しでも感じてもらえたらうれしいです。気が早いですが、来年の紅葉見物の目的地のひとつとしてリストに入れてみてはいかがでしょうか。

編集部より:この記事はトラベルライターのミヤコカエデ氏のnote 2025年12月11日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はミヤコカエデ氏のnoteをご覧ください。

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https://agora-web.jp/archives/251212082601.html https://agora-web.jp/archives/251212082601.html Fri, 12 Dec 2025 21:35:01 +0000 Fri, 12 Dec 2025 09:25:09 +0000
医療崩壊の危機は診療報酬の単価調整で解決せよ column 大学病院、公立病院、さらには多くの民間病院が赤字続きで存続の危機にあるという報道が続いている。背景には、この数年で進んだアベノミクス失敗による超円安と、輸入依存の物価高騰──いわゆる悪いインフレ、スタグフレーションの影響

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y-studio/iStock

大学病院、公立病院、さらには多くの民間病院が赤字続きで存続の危機にあるという報道が続いている。背景には、この数年で進んだアベノミクス失敗による超円安と、輸入依存の物価高騰──いわゆる悪いインフレ、スタグフレーションの影響がある。医療機器は米国製が多く、病院給食に使う食材も輸入が多いため、円安の直撃を受ける。

デフレ期だった2010年代の為替レートは1ドル100〜120円だったが、現在は150円前後である。ドル建ての購入価格は実質5割増で、医療機関の負担増は避けられない。

これに追い打ちをかけるのが、少子化による医療人材の減少と、働き方改革による労働規制強化だ。人手不足が慢性化し、人件費は上昇する。看護師不足で病棟閉鎖に追い込まれる事例もあり、収入減とコスト増が同時進行している。

だが診療報酬改定は2年に一度で、急激なコスト増に追いつかない。さらに医療費は消費税非課税のため、仕入れにかかる消費税を患者に転嫁できず、常に“実質一割引き”でサービスしている状態だ。物価高で支払う消費税が増えるほど医療機関の損失は大きく、不公平と言わざるを得ない。

物価高、人件費増、消費税転嫁不能という三重苦により、病院もクリニックも青息吐息である。

医師会は診療報酬の引き上げを求めているが、2年ごとの改定では物価や為替の変動に機敏に対応できない。補助金などの公金投入も手段だが、立法と財源の確保が必要で容易ではない。

しかし、比較的簡単な解決策がある。診療報酬は「点数 × 単価(係数)」で決まるため、この単価を調整すればよい。単価は厚生労働省告示で定められているため、変更は比較的容易であり、最終的には閣議決定で対応できる。

実際、介護保険の報酬は地域の物価差を反映させる目的で単価を調整している。同じ仕組みを医療保険にも導入し、物価や為替変動に連動させればよい。

コロナ禍では使い捨て手袋や医療用マスクが一時10倍近くに価格高騰し、行政が現物支給で支援した。しかし、災害ではなく経済環境の継続的な変動に対処するには、持続的かつ機動的で、かつ受益者負担が適正に働く仕組みが必要だ。

単価調整は恒常的な医療費膨張を招くものではなく、物価上昇期には医療機関を救い、物価が下がれば元に戻せる。デフレなら単価を下げて国民医療費を抑制することも可能だ。自己負担が増えて生活が圧迫される場合は、高額療養費制度で救済できる。過剰な受診や“医者ショッピング”は、むしろ抑制されるべきだ。

単価改定は省令・告示で実施可能とされ、政治の判断があれば即応できる。政権、担当閣僚、代議士諸兄姉には、ぜひ早急な検討を望みたい。

診療報酬の算定方法 厚生労働省告示第五十九号 病院経営危機で神奈川県と医療関係団体が共同メッセージ 「このままでは立ちゆかない」

正義の言霊獣、イイフラシ ]]> https://agora-web.jp/archives/251212084018.html https://agora-web.jp/archives/251212084018.html Fri, 12 Dec 2025 21:30:18 +0000 Fri, 12 Dec 2025 12:59:04 +0000 本性をあらわにした中国 column 12月6日から9日まで台湾で開催されたアジアパシフィック腎臓病学会に招待されて行ってきた。3年連続で誕生日を台北で過ごすことになった。諸事情から数十年間、「台湾」という国名で学会を開催することが難しかったようだが、最近で

]]> 12月6日から9日まで台湾で開催されたアジアパシフィック腎臓病学会に招待されて行ってきた。3年連続で誕生日を台北で過ごすことになった。諸事情から数十年間、「台湾」という国名で学会を開催することが難しかったようだが、最近ではアジア・太平洋諸国が、「台湾」で開催することを問題視しなくなったようだ。

しかし、日本に対してだけでなく、台湾に対しても、度量の狭い中国からのこの学会への参加者は、5000人を超える参加者のうち1%未満だったそうだ。思い通りにならなければ、拗ねる、いじける、無視すると、まるで小さな子供のようだ。

それにしても、最近の行動は「ならず者国家・中国」の面目躍如といった感がある。平気で日本の防空識別圏に侵入した上に、自衛隊機にレーザーを照射する、ロシアと共に四国近海に戦闘機を並走させる、そして、日本が悪いと記者会見で非難する。

日本は戦争の準備をしているとか、反省がないとか海外に向かって吹聴している中国は、まるで、難癖をつけるチンピラのようだ。「日本に騙されるな」と海外に向かって発言するなど、個人レベルなら「絶交だ」と突き放したいくらいだ。

穏やかな表情で反論する日本の閣僚や総理が水戸黄門に見え、非難する中国の報道官や外相が水戸黄門・大岡越前や遠山の金さんに成敗される人相の悪い悪徳役人に見えてくるのは私だけだろうか?アメリカ国防省でさえ、中国を諌める発言をしている。

それでも、国内の自称有識者は、高市発言が悪いから撤回しろと騒ぎ立てている。そもそも、中国に台湾海峡を武力で封鎖し、武力で台湾を支配する意図がなければ、高市発言に対して「武力行使はしないから、そんな心配はありませんよ」と切り返せば済むだけのことだ。

まるで、痛いところを突かれたかのような過剰で情動的な中国の行動こそ、本音を突かれて動揺しているようにしか見えてこない。自国の経済不振を覆いつくすために、日本という敵を作って目くらませをしようとしているのだろうが、感情的な行動をとればとるほど、多くの日本人は団結して高市内閣を支えようとするだろう。

現に、高市内閣の支持率は調査機関によって異なるが、低くても60%台、高い調査では80%前後となっている。中国の目算ははずれで、中国に備えるための防衛力増強に賛成する割合が増えてくるだろう。以前にも書いたが、「北風と太陽」の童話を読んで欲しいものだ。チンピラの恫喝に恐れをなすほど日本人は軟ではない、

自分たちが追い出した「第2次世界大戦の戦勝国である中華民国」の正当な継承者と名乗ること自体、恥ずかしくないのかと思う。ウイグルの人は、チベットの人は、そして、香港の人は中国支配が及んで幸せになったのだろうか?今回の騒動は、ある意味で、中国の本性をさらけ出し、可視化する意味で、中国には大きなマイナスとなるであろう。

習近平国家主席 中国共産党新聞より

編集部より:この記事は、医学者、中村祐輔氏のブログ「中村祐輔のこれでいいのか日本の医療」2025年12月11日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、こちらをご覧ください

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https://agora-web.jp/archives/251211220023.html https://agora-web.jp/archives/251211220023.html Fri, 12 Dec 2025 21:25:23 +0000 Fri, 12 Dec 2025 08:47:19 +0000
台湾騒動は立民議員・マスコミのグッドジョブかも --- 田中 奏歌 column 激しくなる中国の脅しとマスコミ 中国の威嚇が見苦しいほど激しさを増している。以前から繰り返していた「沖縄は中国の属国(すなわち沖縄にも手を出す)」という主張も再び持ち出し、ついには自衛隊機への攻撃準備ともいえるレーダー照

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https://agora-web.jp/feed-for-gunosy https://agora-web.jp/feed-for-gunosy Sun, 15 May 2016 09:09:45 +0000 Sun, 15 May 2016 09:09:45 +0000
OTC類似薬の「保険適用除外」見送りで維新の医療改革がトーンダウン column 政府・与党は12日、市販薬と成分・効能が似た「OTC類似薬」を公的医療保険から除外する改革を事実上先送りした。維新が主張してきた「原則保険適用外」を断念し、追加負担を求めるだけの妥協案に後退したことで、OTC類似薬改革は

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政府・与党は12日、市販薬と成分・効能が似た「OTC類似薬」を公的医療保険から除外する改革を事実上先送りした。維新が主張してきた「原則保険適用外」を断念し、追加負担を求めるだけの妥協案に後退したことで、OTC類似薬改革は大きくトーンダウンした。与党入りした維新の影響力は限定的となり、「簡単な改革すら実現できない」との評価が広がりつつある。

政府・与党は、OTC類似薬の保険適用除外を見送り、保険給付を維持したまま患者負担を上乗せする方向で調整している。 日本維新の会は、これまで求めてきた「原則保険適用外」を断念し、「特別料金」として自己負担を増やす新制度を提言した。 12日、斎藤アレックス政調会長らが官邸で木原官房長官に提言を申し入れた。急激な患者負担増を理由に、除外案を取り下げたという。 特別料金の対象は、市販薬で対応できる症状の薬を基本とし、市販薬と同一成分の薬は少なくとも含める方針だ。 政府は年内に結論を出し、来年の通常国会で法案提出、来年度中の制度開始を目指す。 日経新聞の医師調査では、OTC類似薬の保険除外に病院勤務医の69%、開業医でも36%が賛成している。 「薬局で買うより安いから受診する」という行動が問題視されており、医療の非効率が指摘されている。 OTC類似薬の保険除外による削減効果は約5000億円とされるが、社会保障費140兆円全体から見れば第一歩にすぎない。 医師会や公明党の反発は強く、湿布薬のような低価値医療すら保険から外せなかった。 維新は与党内で主導権を握れず、改革は事実上骨抜きとなったとの見方が出ている。

OTC類似薬改革は、保険財政の無駄を削減する象徴的テーマだったが、与党内調整の結果、大幅に後退した。維新は保険適用除外を事実上棚上げし、追加負担という妥協案に後退したことで、存在感を示すどころか与党内の影響力の小ささを露呈した。湿布ですら外せない政治の現実は、社会保障改革の難しさを改めて浮き彫りにした。今回の先送りは、140兆円の社会保障費に切り込む機会をまた一つ逃したことを意味する。

令和8年度診療報酬改定に関する要望書を木原稔官房長官に手渡す日本維新の会・斎藤アレックス政調会長 同政調会長インスタグラムより

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https://agora-web.jp/archives/251212210825.html https://agora-web.jp/archives/251212210825.html Fri, 12 Dec 2025 21:15:25 +0000 Fri, 12 Dec 2025 21:19:46 +0000
海賊版漫画サイト対策 column 今期から知的財産戦略調査会 コンテンツ小委員会の小委員長に就任しました。事務局長をお願いした赤松健さんとともに、コンテンツ産業の成長産業化と、クリエイターはじめコンテンツ産業に関わる方々の収入が増えるよう、省庁横断・官民

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今期から知的財産戦略調査会 コンテンツ小委員会の小委員長に就任しました。事務局長をお願いした赤松健さんとともに、コンテンツ産業の成長産業化と、クリエイターはじめコンテンツ産業に関わる方々の収入が増えるよう、省庁横断・官民で協力して政策に取り組んでいきます。

第一回は、伊東 敦 株式会社集英社 社長室顧問/一般社団法人ABJ 事務局長 兼 広報部会長、福井 健策 弁護士(骨董通り法律事務所)、平井 佑希 弁護士(桜坂法律事務所)から海賊版漫画サイトへの対策について話を伺いました。

最近、オンラインリーディング型の海賊版漫画サイトによって問題が深刻化しています。スマートフォンなどで手軽にアクセスでき、多くのユーザーが利用してしまうため、そのアクセス数は非常に多くなっています。

例えば今回議論になった、とある海賊版漫画サイトは、作品掲載数が4000 作品、月間 3億アクセスを集めていました。

特に今回の議論では、海賊版サイトの「インフラ」として機能していた巨大CDN事業者(コンテンツデリバリーネットワーク事業者)に対する法的な責任追及において、世界的に見ても極めて画期的な判決を民間事業者の方々が勝ち取りました。今回の判決を大きな原動力として、対策を強化していきます。

なぜCDNが重要なのか?: 海賊版の心臓部

海賊版サイトは大量の画像データを配信しなければならず、通常のサーバーでは負荷に耐えられません。そこで、コンテンツを世界各国に分散し、配信を高速化・効率化するCDNを利用することで、単独では到底不可能な大量配信を実現しています。この仕組みが、海賊版コンテンツの爆発的な拡散を可能にしてしまっています。

民間事業者の方々は、著作権侵害の警告やアメリカでの情報開示命令を取得するなど、何度もサービスの提供停止をクラウドフレアに求めてきましたが、提供が停止されなかったため、やむなく提訴に至っています。

画期的判決の意義:クラウドフレアに「幇助責任」を認定

裁判所は、クラウドフレアが著作権侵害に対する幇助を行ったとして、その責任を明確に認定しました。この判決は、以下の2つの理由により、海賊版対策において極めて画期的なものです。

「大量配信」を可能にしたこと: CDNサービスによってオリジンサーバーの負荷が軽減されたことで、「普通ではできなかった大量配信」を可能にした。 「匿名による安心感」を与えたこと: サービス提供時に適切な本人確認を怠っていたため、サイト運営者に「身元が割れないという安心感のもと」配信を行わせていた。

クラウドフレアは、権利侵害通知の無視と本人確認の不足という対応によって、違法行為を積極的に助けていたと判断されました。

この判決が持つインパクト

著作権侵害に対する損害賠償請求がCDNに対して認められたのは、基本的には世界初と認識されており、この判決をテコにしてクラウドフレアに対して他の海賊版サイトについても対応を求めることが可能になります。

なお、この判決は、CDNサービス一般のイノベーションを阻害するものではなく、身元確認を怠り、権利侵害通知を無視したクラウドフレア特有の対応に対し責任を認めた「非常にバランスの取れた判決」であると考えています。

今後の展望:対策への決意

今回の画期的な判決は、今後の海賊版対策における大きな原動力となります。

私たちは、CDN対策に加え、運営者が逃避のためにドメイン名を頻繁に変えるドメインホッピングの問題、そして不正確な情報でドメイン登録を許しているレジストラの管理体制の是正にも、国際的な団体や関係省庁と連携し、多方面にわたって取り組んでいきます。

コンテンツ産業が日本の基幹産業であり、この問題は今後も新しく生まれる技術への対応も含め、官民連携で手を携え、対応を進めていく必要があります。皆様の大切なコンテンツが守られる世界を実現するために積極的に対策を進めていきます。

編集部より:この記事は、衆議院議員、小林史明氏(広島7区、自由民主党)のオフィシャルブログ 2025年12月11日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は小林史明オフィシャルブログをご覧ください。

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https://agora-web.jp/archives/251211215722.html https://agora-web.jp/archives/251211215722.html Fri, 12 Dec 2025 21:15:22 +0000 Fri, 12 Dec 2025 08:38:26 +0000
テレビ欄から激減の警察24時。マンネリとオワコンと言われる理由がこれだ technology かつてはテレビ欄の常連だった「警察24時」シリーズが、気づけばほとんど姿を消している。 なぜ、警察24時は作れなくなったのか。 なぜ、あれほど人気だった番組は“オワコン”とまで言われるようになったのか。 その答えを知れば

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かつてはテレビ欄の常連だった「警察24時」シリーズが、気づけばほとんど姿を消している。

なぜ、警察24時は作れなくなったのか。 なぜ、あれほど人気だった番組は“オワコン”とまで言われるようになったのか。

その答えを知れば、テレビの見え方が少し変わるはずだ。

メディア業界に精通し、放送・配信ビジネスの舞台裏を知り尽くす元テレビマン・下矢一良氏が解説するYouTubeチャンネル「下矢一良の正直メディア」。チャンネル登録お願いします。

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https://agora-web.jp/archives/251212113315.html https://agora-web.jp/archives/251212113315.html Fri, 12 Dec 2025 21:10:14 +0000 Fri, 12 Dec 2025 11:36:29 +0000
クレームを顧客満足度向上につなげる方法 economy 定期的に出かけている奈良のホテルに今回も予約して出かけました。部屋の檜風呂が気持ち良いのでとても気に入っています。もちろん「マリオットの奴隷」系列のホテルですから無料です。 3時にチェックインして早速お風呂に入ろうとした

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定期的に出かけている奈良のホテルに今回も予約して出かけました。部屋の檜風呂が気持ち良いのでとても気に入っています。もちろん「マリオットの奴隷」系列のホテルですから無料です。

3時にチェックインして早速お風呂に入ろうとしたら浴槽のお湯がぬるくて入れません。時間が経っても温度が変わらないのでフロントに連絡してみてもらいました。

すると、お湯を供給する設備に不具合があるとのことで夕食の外出中に修理をお願いしました。

結局夜までお風呂に入れず、せっかくの宿泊が勿体無いなたら思っていたら、夕方に連絡あって夕食後までに別の部屋に交換してくれることになりました。

荷物も全て移動させてくれた新しいお部屋はプレジデンシャルスイートという最高級のお部屋。150平米近いいつもの3倍くらいある広いお部屋を満喫できました。

お風呂も2倍くらいの広さで湯量も充分で大満足です。

クレームによって逆に満足度が上がるという経験をしましたが、これにはいくつかの理由があると思いました。

まずはトラブルに迅速に対応してくれたからです。夜になってから部屋を交換と言われても面倒くさくなってしまい断ったかもしれません。そうなれば、不満が残るだけです。

また、想定を上回る対応してくれたことも不満の解消につながったといえます。新しい部屋は、使い切れないほどの広いスペースで、ベッドルームもお風呂も広くとても快適でした。

トラブルには迅速に期待を超える対応をする。そうすれば逆に顧客満足度を高める効果があることを実感しました。

ただ、プレジデンシャルスイートルームを利用して思った事は、あまりに広すぎる部屋は逆に使い勝手が悪いということでした。

トイレに行くだけでも移動距離が長く、荷物があちこちに散乱してしまい忘れ物をしてしまいそうです。

貧乏性なのかもしれませんが、ジュニアスイート位の少し広めの部屋が1番自分には向いていると思いました。

ただ広い部屋に交換してくれたホテルの心遣いにはとても感謝しています。

編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2025年12月12日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

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https://agora-web.jp/archives/251211213813.html https://agora-web.jp/archives/251211213813.html Fri, 12 Dec 2025 21:00:13 +0000 Fri, 12 Dec 2025 09:42:45 +0000
伊藤詩織さんが「性的被害」を主張する映画が日本公開されて炎上 column いろいろ話題を呼んだ自称ジャーナリスト、伊藤詩織さんの映画「ブラック・ボックス・ダイアリーズ」がきょう日本でも公開されました。 伊藤詩織さん映画「問題解決せず」と弁護士が見解 「公益性ない」「重大な人権上の問題」http

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いろいろ話題を呼んだ自称ジャーナリスト、伊藤詩織さんの映画「ブラック・ボックス・ダイアリーズ」がきょう日本でも公開されました。

法的に多くの問題があるため、海外だけで公開され、日本ではこれまで公開できませんでしたが、どこを修正したのか明らかにしないまま公開されました。

https://twitter.com/tk84yuki/status/1998996258376327427?s=20

事実関係も曖昧で、不利な証拠を隠し、監視カメラの映像を無断で使うなど、ルールを無視した映画には、仲間もあきれています。

致命的なのは「同意なしに強姦された」という伊藤さんの主張が物的証拠でくつがえされたことです。

この事件には物的証拠がなく、検察も不起訴にしたのですが、それについて「慰謝料」を認めた民事訴訟の判決を根拠にして、マスコミが元被告の山口敬之さんを犯人扱いするのはよくない。伊藤さんの言い分を一方的に伝えるこの映画は上映中止すべきです。

 

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https://agora-web.jp/archives/251212044239.html https://agora-web.jp/archives/251212044239.html Fri, 12 Dec 2025 05:06:37 +0000 Fri, 12 Dec 2025 05:06:37 +0000
FOMCにみる2026年の混とん:分裂するアメリカの金融当局者たち economy アメリカ連邦準備制度理事会の連邦公開市場委員会(FOMC)で利下げを発表したパウエル議長。記者会見は東部時間午後2時半で遅れることはまずありません。パウエル氏が初めに声明文を読み上げ、その後、記者会見が行われます。記者が

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アメリカ連邦準備制度理事会の連邦公開市場委員会(FOMC)で利下げを発表したパウエル議長。記者会見は東部時間午後2時半で遅れることはまずありません。パウエル氏が初めに声明文を読み上げ、その後、記者会見が行われます。記者が座る前の方の席はほぼ指定席状態で「資質ある」記者達の質問が先に展開されます。ある意味セレモニー的であり、波乱は少ない、それが今まで展開されてきた流れです。

FRBパウエル議長 Federal Reserve Xより

ちなみに主要金融報道関係者の中でも最も優秀な記者が集まる中、ウォールストリートジャーナルのニックさん(Nick Timiraos)はほかの記者に比べレベルが一つ上で、いつも彼の質問はいぶし銀のような鋭さがあります。日本の記者のレベルも揚げ足を取るような質問ではなく、良い質問だね、と言われるようになってもらいたいものです。半年ぐらい前にこの記者会見の際に日経の記者(日本人)が質問した時はパウエル氏が質問の意図を理解できず、答えに窮したこともあります。

昨日の記者会見は前段となるこの声明文がいつもよりかなり長かった(=言い訳がましい)、これがまず第一印象。そしてパウエル氏の表情が実に冴えなかったのです。まるで病気ではないかと言うほどでかなりストレスを溜めた状態だというのは一目でわかりました。それはその30分前に流れた速報がそれを意味していたのでしょう。「0.25%利下げ」これはともかく「判断割れる」この見出しが大きく取り上げられたのです。

結論から言うと利下げは行いました。ですが、心底利下げを支持した人は思ったより少ない可能性があるのです。12人の投票者のうち、2人は明白に金利据え置きを、1人は大幅利下げを主張、また残り9人からも様々な意見が出たとされます。また投票権を持たない7人を含めた19名が参加する金利の先行きを示すドットプロットから非投票権者7名のうち4名が金利据え置きを提示しているように見えるのです。一方、大幅利下げを主張しているのはマイラン理事で彼はトランプ大統領の代弁者と言ってもよいでしょう。

パウエル議長がいみじくも述べたのが「失業率は悪化傾向、インフレ率も悪化傾向、だけど使える手段は一つだけ、ならばどうするのか?」というキャッチ22(身動きが取れない)のようなコメントです。失業率を良化させるには利下げによる効果が大きく、インフレ率を静めるには利上げが効果的なのです。

多くの政策決定者が金利の維持を主張したのは政府機関の閉鎖の影響で最新の統計データが取れなかったことも影響しています。パウエル氏もごくわずかなデータで判断せざるを得なかったと答えており、そのあたりの判断に至る苦渋も垣間見られました。今までのパウエル氏ならばデータが少なければ政策変更の判断は見送るケースが多かったのにもかかわらず、それでも利下げを敢行したのはトランプ氏への忖度というより市場の強い期待感というか規定路線にすらなりつつあった利下げをせず、据え置いた場合の市場へのインパクトを考えた可能性は絶対にないとは言えない気がします。それは年末を控え、企業決算、個人の所得税の締めが近づく中、年末の株価崩落は企業、個人ともにあまりにも影響が大きすぎることがあるのです。

パウエル氏が来年5月に退任します。パウエル氏も人の子、できれば自分が議長の時はきれいに仕事を収めたいと考えるでしょう。とすればあまり市場や権力にあらがわず、最も中立的かつ適正な判断を行い、リタイア後に歴代議長の比較話が出た時、悪評が立たないようにしたいという気持ちは当然あると思います。

では2026年の混とんの予感です。次の議長はまだ確定していませんが、最有力候補はハセット国家経済会議の委員長とされます。そのハセット氏、FOMCの直前にFOXニュースで0.50%の利下げはありうると述べており、トランプ氏の意向が強く出ていると言えます。

ただ、ハセット氏にしろ、他の有力候補者の誰が議長になってもその資質は十分とされ、また一旦議長になればそのかじ取りは外野から放言するのは全く違うレベルになり、取りまとめが極めて難しくなるだろう、とされます。

カナダが昨日金利を据え置きましたが、目先のベクトルとしてはフラットからインフレ対策でやや上向きとされます。EUも同様でありますが、それぞれの政策金利が2.25,2.15%というレベルに対してアメリカの3.75%は1.50%ベーシスほど高めにあります。私は最近、これをアメリカ プレミアムだと考えるようにしています。日本は逆に1.50%ほどマイナス プレミアムで日米のプレミアムギャップは3.0%ほどあるとみています。この金利プレミアムこそ経済を発展させる力、つまり国が持つ総合力なのだと考えています。

トランプ氏が関税を駆使することでドル安を容認するならば金利を下げる余地が出てきます。一方、アメリカ経済を真の意味で筋肉質にするには関税を取っ払ったほうがプレミアムは更に上昇する余地が出てくるでしょう。

2026年のアメリカ金融政策が混とんとする可能性の理由はここにみています。つまりどのようなアメリカを作りたいのか、です。真の意味で強いアメリカなのか、小手先のテクニックで見栄えだけを良くしたいのか、この議論であり、金融当局者が分裂するのはアメリカの未来像に対する理想と現実の激論であると私は見ています。

これらの状況からは少なくとも26年春までは金利は据え置き、その先は現時点では予見しにくいと私は見ています。

では今日はこのぐらいで。

編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2025年12月12日の記事より転載させていただきました。

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https://agora-web.jp/archives/251211214637.html https://agora-web.jp/archives/251211214637.html Fri, 12 Dec 2025 03:00:37 +0000 Fri, 12 Dec 2025 01:27:19 +0000
性的虐待訴訟で財政難に陥る米教会 column 世界で最も裕福なローマ・カトリック教会の教区の一つ、ニューヨーク大司教区が数々の性的虐待訴訟により財政難に陥っている。ニューヨーク大司教区は、虐待訴訟の和解に3億ドル以上を費やすという。「ニューヨーク・タイムズ」が8日報

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世界で最も裕福なローマ・カトリック教会の教区の一つ、ニューヨーク大司教区が数々の性的虐待訴訟により財政難に陥っている。ニューヨーク大司教区は、虐待訴訟の和解に3億ドル以上を費やすという。「ニューヨーク・タイムズ」が8日報じたところによると、この資金は、未成年時に神父や教会職員から性的虐待を受けた約1,300人への賠償に充てられる。

虐待訴訟で財政難にある米教会、ドイツ・カトリック通信から

報道によると、大司教区と被害者側の弁護士は、賠償問題を友好的に解決するための調停手続きの基本原則について合意したという。

ニューヨーク大司教区のティモシー・ドラン枢機卿は「私たちが繰り返し認めてきたように、未成年者への性的虐待は、私たちの教会に恥辱をもたらしてきた。信徒の教会への信頼を裏切り、若者の安全を確保しなかった聖職者の蛮行について、改めて赦しを請う」と述べている。

同大司教は、和解に必要な3億ドル以上の資金を調達するために、「大司教区は非常に困難な財政的決断をいくつも下した」と説明した。具体的には、教会従業員の解雇や、マンハッタンのファーストアベニューにある本部を含む不動産の売却が含まれていた。

米国で多数の虐待訴訟により深刻な財政難に直面しているのは、ニューヨーク大司教区だけではない。ニューオリンズ大司教区は、被害者との法廷での和解が成立した。合意内容によると、被害者数百人に約2億3000万ドルが支払われる。グレゴリー・エイモンド大司教は「このプロセスが終わったことを嬉しく思う」と述べている。

米国のカトリック教会は過去20年間、聖職者の性的虐待事件に関連して約50億㌦の賠償金を支払ってきたという。ジョージタウン大学の「応用使徒職研究センター(CARA)」が今年初めに研究結果を発表した。

50億㌦の金額には、被害者への賠償金、法的費用、治療やカウンセリングのための費用、さらには予防措置や研修の費用が含まれる。その中でも最大の割合は被害者への賠償金であり、次いで弁護士費用や裁判費用などの法的・防御費用が続く。総費用の約4分の1は保険によって賄われたという。

CARAの研究によれば、2004年から2023年の調査期間中、合計15,000件の信憑性のある告発が報告された。聖職者による虐待事件の80%は1990年以前の数十年間に発生しており、1970年代にピークを迎えた。2000年以降に発生した事件はわずか3%に過ぎない。被害者の5人に4人は少年であり、被害を受けた当時の年齢は半数以上が10歳から14歳、約5分の1が9歳以下だったという。

研究によると、告発件数4,490人の加害者に対して行われ、そのうち95%が神父、4%が修道会や霊的共同体の男性、1%が助祭だった。86%の加害者は、虐待が報告された時点ですでに死亡していたり、聖職を解かれていたり、現役を退いており、そのため司法手続きが難航するケースが多かった。さらに多くの加害者が複数の被害者を持っていた。

ところで、教会側が聖職者の未成年者への性的虐待の犠牲者に払う賠償金はどこからくるのか。教会は無数の不動産や建物を保持しているが、基本的には、信者たちの献金からだ。信者たちが献金する資金で聖職者の性犯罪への賠償金が払われていることになる。教会への信頼が崩れ、教会から離れていく信者が多数でてきたとしても不思議ではない。

編集部より:この記事は長谷川良氏のブログ「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2025年12月12日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。

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https://agora-web.jp/archives/251211214659.html https://agora-web.jp/archives/251211214659.html Fri, 12 Dec 2025 02:55:59 +0000 Thu, 11 Dec 2025 21:49:18 +0000