パチンコがからむ殺人事件:国は早急に対策を !

2017年03月07日 14:00

画像出典:写真AC

ここ数日間の間に、パチンコがからむ痛ましい殺人事件が2件も起こりました。

1件目はこちら。
23歳の孫が89歳の祖父を殺害し、年金2万3千円を奪いパチンコ代に使ったという事件。
東京・調布市の殺人事件 金の無心を断られ殺害か(Yahoo!ニュース-TOKYO MX)

そして2件目はこちら。
日頃から金に困っていた42歳の容疑者が、近所に住む83歳と80歳の老夫婦を殺害した事件。
容疑者は生活保護を受給しながら、パチンコをしたり、スナック等で飲食もしていた模様です。
名古屋市夫婦殺害:近所の男自首、強盗殺人容疑で逮捕(毎日新聞)

本当に痛ましい事件で、被害者のご冥福を心からお祈り申し上げます。

そして、最も考えなくてはならないのは、「再犯防止」ではないでしょうか。
この2件の事件を元に、私なりの見解を述べます。

1)ご家族がパチンコ依存症の当事者に金銭を度々せびられている場合

全く同じような状況で、この事件を「他人事ではない」と絶望しておられるご家族は、
全国にまだまだ沢山おられることでしょう。そしてこの様な事件が起きると、益々お金を渡してしまうかもしれません。今回の事件は、孫である容疑者はおそらくパチンコ依存症だと思われます。

では、ご家族はどうすれば良いのか?
答えは「まず、適切な相談機関に相談してください。」ということです。このように当事者が重症化している場合、家族だけでなんとか解決しようとするのは不可能です。

ただ、現状では精神保健センターなどの相談機関に相談したとしても、
「お金を渡してはいけない。」
「本人を連れて来なさい。」
と言われるだけで、結局ご家族は「それができるくらいなら・・・」と、益々絶望してしまうかもしれません。

そう、現状の最大のネックは、「口だけアドバイス」しかなく、一緒に動いてくれる機関が殆どないことです。

まずご家族がギャンブル依存症の家族の自助グループなどに通い、知恵と対処法を学んで距離をとっていくことは不可欠ですが、その他に、国として、早急にやらなければならないのは、当事者と家族の間に介入し、当事者を病院や回復施設などの治療に繋げ、家族が安全に暮らせる環境を整える役割を果たす介入者(=インタベンショニスト)を養成すべきです。

現在、この役割を私たちが試行錯誤の上果たしておりますが、包丁を突きつけられたり、逆に自分にナイフを突き刺したりする人もいるので、警察と連携をしながら、慎重にことを運ばねばなりません。私たちは、今まで蓄積してきたノウハウを、多くの自治体に知って欲しいと願っています。

また、全国どこにでも呼ばれれば駆けつけなくてはならず、圧倒的にマンパワーが足りません。国にはこの介入者の養成に、早急に乗り出して欲しいと願っております。

2)生活保護受給者に依存症が疑われる場合

この事件は、ある意味「新幹線焼身自殺」と類似の事件と言えます。あの事件でも生活保護費12万円では生活が苦しく自殺を図ったとされていますが(一人が巻き添えになり死亡)、後に、近所の人や実姉より、パチンコや競艇、さらにはお酒好きで、借金があったと、証言されています。

東海道新幹線火災事件(Wikipedia)

今回の事件も、スナック等にツケがあり、パチンコにも通っていたという証言もあり、動機の解明には十分な深掘りを望んでおります。捜査の進捗を見守りたい所ですが、生活保護を受給しながら、ツケなどの借金をしてまで、お酒やパチンコに興じるということは、十分に依存症が疑われます。

国はこれまで生活保護を受給している方で、依存症が疑われる方に対するフォローを十分に行っていません。これは国の怠慢ではないかと思っております。

生活保護とパチンコの問題は度々取り上げられますが、例え、パチンコ禁止といくら言ったとしても、行き届くものではないですし、対策になりません。

また現在は、窓口担当者が「ギャンブルやっていないですね!」と、厳しく注意をするために、依存症で悩んでいる方が、生活保護費が支給停止になるのでは?と恐れ、行政に相談できないという悪循環が生まれています。

当会にも、行政に相談できない方から、「保護費を1日で使ってしまった。つらい・・・パチンコがやめられない。」と、電話相談が寄せられることが度々あります。

国は、この様な重大な悲劇が2度も、しかも1年半という短期間に起きていることを、真摯に受け止め、生活保護を受給している方で、依存症が疑われる方に対しては、自助グループ、病院、回復施設などに繋げていくべきと考えます。

依存症さえ回復すれば、社会復帰が果たせる方はいくらでもいます。
実際、依存症回復施設では、そのような事例には事欠きません。

ただここでも足りないのは、生活保護窓口担当者の介入スキルです。そして回復施設等ともっと連携していくべきです。国には、窓口担当者の研修を早急にやって欲しいと考えます。

IR推進法が通過して以来「カジノができたら治安が悪化する」と騒ぐ国会議員がおられますが、現在、パチンコでこれだけ治安が悪化しているのだという事実の方に目を向け、一刻も早く対策に着手して欲しいと、心から願っています。


編集部より:この記事は、一般社団法人「ギャンブル依存症問題を考える会」代表、田中紀子氏のブログ「in a family way」の2017年3月7日の記事を転載しました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は「in a family way」をご覧ください。

アゴラの最新ニュース情報を、いいねしてチェックしよう!
田中 紀子
一般社団法人「ギャンブル依存症問題を考える会」代表

関連記事

アクセスランキング

  • 24時間
  • 週間
  • 月間

過去の記事

ページの先頭に戻る↑