トランプとポンペオ、韓国外相を叱る

2018年10月13日 17:00

怒って当然

「いったい何を考えているのか」

ポンペオ国務長官は康京和(カン・ギョンファ)外交部長官に激怒し、こう詰問したという。先月、文在寅大統領が訪朝した際、南北軍事合意書を締結した。この合意は非武装地帯(DMZ)の飛行禁止区域の拡大や監視所撤収、海上の軍事境界線付近の軍事訓練や艦艇の出入りを禁止するという内容のものだ。

ポンペオ米国務長官と康京和韓国外相(ツイッター、Wikipediaより:編集部)

これは韓国の事実上の武装解除であり、アメリカは偵察機飛行を制限され、北朝鮮を監視する手段を失う。ポンペオ長官が「何を考えているのか」と叱るのは当然だろう。

韓国外交部は「アメリカとは緊密に協議してきた、ポンペオ長官が激怒したという事実はない」とコメントした。しかし、韓国外交部の内部事情に詳しい消息筋は「アメリカとの事前の協議は充分ではなく、ポンペオ長官に内容は伝わっていなかった」と明かしている。 

韓国に「軍事主権がない」は本当か?

韓国には、朝鮮戦争以来、今日まで続く「戦時作戦統制権」というものがある。この規定により、朝鮮有事の際、韓国軍はアメリカ軍司令官の指揮下に入らなければならない。つまり、韓国大統領や韓国軍司令官は有事の際、軍の指揮権を失う。

アメリカはこの統制権によって、軍事決定権を持ち、同時に在韓米軍や韓国軍を守る義務を担っている。文大統領が勝手に、南北軍事合意書を締結したことはこうした両軍の取り決めや秩序を著しく破壊する行為であり、両軍を危険に晒す。

「戦時作戦統制権」について、誤解がある。これは韓国の軍事主権を奪うものではなく、米韓同盟の枠組みの中で、両軍の共同指揮権をアメリカ軍司令官に担当させているに過ぎない。NATO(北大西洋条約機構)の作戦司令官をアメリカ軍司令官が担当し、その指揮下にイギリス・カナダなどの加盟国の軍が共同軍に組み入れられる。イギリス・カナダなどの加盟国は軍事主権を放棄して、NATO軍に入っているのではない。米韓同盟と「戦時作戦統制権」も、NATOと同じ共同軍の形式なのである。

卑屈な自虐意識

ところが、韓国の左派は「戦時作戦統制権」が軍事主権を放棄したものであると喧伝する。文大統領は「統制権」の返還を公約に掲げ、大統領選を戦った。一方、韓国の保守派は「統制権」の返還は在韓米軍の撤退を誘発するとして、朴槿恵(パク・クネ)大統領時代の2014年に、返還の無期限延期に合意した。文大統領はその時、野党議員で、「軍事主権を放棄するようなことをして、恥ずかしくないのか」と与党を激しく批判している。

文大統領ら左派は「軍事主権を奪われた憐れな韓国」をデッチあげ、国民の反米感情を煽り、「米帝・植民地主義者」と戦うリーダーとして振る舞う。日本を「日帝」と批判する図式と全く同じで、その根底には、韓国特有の卑屈な自虐意識がある。慰安婦問題なども同じ図式だ。 

トランプの「承認」発言で、大騒ぎ

この卑屈な自虐意識がモロに現れているのが、トランプ大統領の「承認」発言を巡る韓国側の騒動だ。康京和長官は10日、「北朝鮮への制裁解除を検討している」と発言したのに対し、トランプ大統領は「彼らは我々の承認なく、そのようなことはしないだろう」と牽制した。

Gage Skidmore / flickr:編集部

これに対し、韓国では、トランプ大統領の「承認(approval)」という言葉に過剰反応し、与党議員らが「我々はアメリカの『承認』などなくとも、自分で決められる」と一斉に反発した。「共に民主党」の国会議員で、韓国国会外交統一委員会委員長の沈載権(シム・ジェグォン)議員はトランプ大統領の発言を「主権侵害」とするコメントを出した。

トランプ大統領の発言は韓国の主権を侵すものではなく、ただ、「国連安保理決議を遵守せよ」と勧告しているに過ぎない。北朝鮮への制裁決議は国連憲章第741条を根拠にした法的拘束力のある決議である。韓国だけで、勝手に制裁を解除することはできない。

「国連加盟国として、最低限のルールを守りなさい」というトランプ大統領の当然の叱責を、「主権侵害」だと言って大騒ぎすること自体が尋常ではなく、その過剰反応は自虐意識の現れと言う他にない。日本はいつも一方的にルールや約束を破られて迷惑しているが、アメリカもこのような国を相手に大変だろう。

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