安倍首相の消費税引き上げ早期表明を支持する理由

八幡 和郎

安倍首相がきょう15日、臨時閣議を開き、予定どおり引き上げる考えを重ねて示し、消費の冷え込みを抑える対策に万全を期すよう指示するという。

経済財政諮問会議で発言する安倍首相(6月、官邸サイトより:編集部)

前回の引き上げのときや、引き上げを見送ったときは、消費税を上げると不景気になるという宣伝が流布されすぎた。そういうもとで引き上げたら、心理的に景気が悪くなるのは避けられない。

その意味で、やや不意打ち的に決定を行うことは、私も提唱していた通りだ。引き上げ反対派のいうような経済理論が正しいかどうかは結局のところ分からない。

ただ、国際社会が日本の財政赤字を危惧していることは確かだし、非常識で大胆な経済政策採っていると、状況が悪化しだしたら、一気に不信感が増大して金利が上がる。

私はそういう心理的な側面は無視するべきでないと思う。ベーシックインカムなども面白い発想だと思うが、それは、もう少し小さい国でやってみてうまくいってから大きな国でやるべきだと思う。新しい技術による手術でもはじめは成功率が低く、徐々に改良されて成功率が高くなるのであって、理論上、上手くいくはずではだめなのである。

私はアベノミクスも同じ理由で心配してきた。アベノミクスは成否の可能性半ばの「賭け」だとし、「とりあえず、やってみるという真珠湾攻撃と同じ」「世界の常識に反した一か八かにかけてみるというのは、わが民族が好きな思考」といったことがある。

金融政策と財政政策による第一の矢と第二の矢に比べて産業政策などによる第三の矢が迫力がないので不安があるという理由だ。それはいまでも変わらず、産業競争力の強化や少子化対策など大胆さにかける。

ただ、幸いにも世界的な好景気に支えられて結果オーライだったのだと思う。

幸い、現在はまだ世界経済も堅調だし、新陛下の即位や東京五輪という日本独自の好材料もあるのだから、いま、増税しなければいつできるのかと思う。

政府は、中小の小売店の買い物で使える「ポイント制」の導入、これまで禁止されていた消費税還元セールの事実上の解禁など、住宅や自動車の購入者に対する減税の拡充、増税の影響を受けやすい中小の小売店への支援策として、現金を使わないキャッシュレス決済をした人にその後の買い物で使えるポイントを付与する制度の導入、価格表示を「税抜き表示」でなく、本体価格に消費税分も加えた「総額表示」を推奨することも検討しているという。そうして、景気の後退を防ぐために政府が全力を上げていると見せることが大事だ。

軽減税率は良い制度かどうかは議論はあるが、ヨーロッパ各国などで普通に機能しているのだから、制度的に無理があるというのはおかしい。

コンビニのイートインなど困難などなにもない。どうして区別するかはいろんな方法があるが、店で買ったものでなくても自由に飲食できるなら別だが、そうでないなら、2%払っていることを確認・立証できるシステムを導入する。自分でイートインコーナーで開封することを禁じる、レシートを第三者も見えるところに置くなどすればいいだけだ。