日本の不動産市場に漂う不安感

2019年02月18日 14:00

日本の不動産に黄色信号が灯っているのではないか、という見方がぽつぽつ出てきています。これは日本だけではなく世界中の話で日本独特の事情ではないのですが、不動産マーケットはどうしてもドメスティックなイメージが付いて回るので判断を見誤るときがあります。すこし、グローバルな観点から考えてみましょう。

日本の不動産を支えるのは一般個人の住宅需、法人需要、および外国からの投資の三種類のセグメントがあると考えています。これをもう少し違った切り口で見ると居住地としての実需と賃料収入からリターン(利回り)を考えた需要に分けられます。

(写真AC:編集部)

(写真AC:編集部)

まず一般個人の住宅需要については当然ながら実需となります。その代表的指標の一つに初月契約率というのがあり、70%が好不調の判断ポイントとされます。それが2018年度の首都圏のそれはわずか62.1%で27年ぶりの低い水準で終わっています。理由はマンション価格の高騰で手が出るはずだったあの物件もこの物件も2割、3割と値上がりしている、という事態に購入予定者が首都圏から外れてしまったことがひとつ、あります。結果として都心からかなり離れてでも駅近で妥協ということが起きています。そこで厚木あたりですら億ションが出ているのです。

もともと人口減で総需要は下落の一途。さらに派遣の方などが住宅ローンをアレンジしにくいということも手伝って「結婚して、子供作って、家買って…」という標準的ライフパターンが崩れています。他方、高齢者で駅から遠い地域にお住まいの方が駅近のマンションに引っ越したいという需要はあります。便利さ、老後の人生をより楽しむため、セキュリティなどその理由は多く、結果としてマンションの一定の需要はあると思いますが、中期的には相当減るとみています。

首都圏において新築戸数は2000年代が年7~8万戸、2018年が37,000戸、多分ですが、2030年には20,000戸水準になるかもしれません。代わって中古住宅が脚光を浴びる可能性は高いと思います。

ではもう一つのリターン(利回り)をベースにした需要です。こちらはどれだけ人が集積し、一定の不動産からどれだけの売り上げや収益が見込めるか、という数字に基づいて計算します。例えば外国人が多く集まるエリアの不動産収益率は極めて高く、家賃も高く取れます。観光地としては東京より大阪、京都の一部地域の方が熱いかもしれません。ただ東京は都市としての成長性があり、そこに人が集まるからお金も落ちる、だから不動産価値も維持される、ということになります。

利回りは不動産投資家にとって最重要指標。また東京不動産市場は巨大で売買が容易、外国人規制もほとんどなく、誰でも参入できるところでより健全な価格体系が形成されているとみています。ターミナル駅を中心に官が主導や支援する開発も多く、次なる大規模開発地候補を探す動きが出てくると思います。ここには投資マネーが大挙して入りやすく、収益だけを支えとする不動産投資ファンドも参入しやすいというメリットがあります。ここがグローバルな観点です。

ただ、個別エリアでは渋谷再開発についてはさほど評価していません。土地そのものに開発限界があります。新宿周辺はまだいけます。とくに代々木は昔予備校の街として知られていましたが、今は完全な下火でつまらない駅になってしまいました。ここは再開発を仕掛けるべきでしょう。山手線内の大穴です。渋谷が早晩限界になるので第二のITタウンとして生育させる基本素地はあります。新大久保は開発が始まっているので少しずつ様相が変わるはずです。

日本の不動産全体を俯瞰すると一部地方ではブームが起きているところもありますが、外国人投資家の動向はある日突然、手のひらを反すようなこともあるのであまり期待しすぎない方がいいと思います。東京、大阪、名古屋、京都、福岡、このあたりが私が安定しているだろうと思うエリアです。横浜は人は多いけれど不動産の魅力としてはやや違和感がある思います。

またその中でも価格が上がるエリアは駅近で遠くても徒歩10分以内(できれば6-7分がベター)です。それ以外は50年後に耕作放棄地ならぬ空き家住宅街が生まれる可能性はあり得ます。道路一つ隔てただけでまるで価値が違う絵面もありそうです。

まだら色、これが将来の日本の不動産を占うひとでしょうか?

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2019年2月18日の記事より転載させていただきました。

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