ベトナムでの米朝首脳会談は何を期待するのか?

2019年02月22日 14:00

2月27,28日に開催されるベトナムでの米朝首脳会談に関して昨年のシンガポール会談ほどの盛り上がりを見せないのは何故でしょうか?数多くのニュースをチェックしても今回の主題が何で、駆け引きの中身と落としどころ、それによる影響の可能性を報じているものはあまりありません。

私はもともと二度目の米朝首脳会談は米中貿易交渉に一定の決着がついた後に中国と外交的下地を作ったうえで交渉するものと期待していました。ところが米中貿易交渉は現在、佳境に入っているものの最終決断となるトランプ大統領と習近平国家主席の会談は目先、組まれていません。トランプ大統領は首脳会談の席が決着の場と言っていますので少なくとも2月27,28日には間に合いそうにもありません。

(写真AC:編集部)

(写真AC:編集部)

次に今回の会談は何が主題なのか、であります。もともと「完全かつ全面的に検証された非核化」を目指していたのですが、19日にトランプ大統領が「北朝鮮の非核化について『(弾道ミサイル発射や核の)実験がない限りは急がない』」(日経)と発言しています。これにより今回の会談の成果は大きなものにはならないと判断せざるを得ません。

もともとは米朝首脳会議で非核化確認→制裁緩和ないし解除→南北の戦争状態終結→駐韓米軍を含むアメリカの東アジア政策の見直しという大枠の構想があったと思いますが、「思ったより時間がかかる」というスタンスに切り替えたものと思われます。

北朝鮮は核以外に何もない、と言われています。これを方程式にすると、北朝鮮―核=ゼロ となり、更に組み替えると 北朝鮮=核 となり、非核化とは北朝鮮の存在を否定することを意味しています。北朝鮮の存在否定といっても2500万人の人口と国土と未開発の資源がありますので実態としては金王朝の存在否定ということになります。

ところが歴史的に振り返ると冊封関係を理由に中国との関係が深い朝鮮半島の北部が半島全体を支配しやすい構造になっています。(中華思想は円を描いており、中心に近いほど思想上、重要となっています。よって朝鮮半島に中国が強い影響力を持ち続けるという前提に立てば北朝鮮が主導するのが自然な流れとなります。これは政治的というより民族的、儒教的、歴史的立場に立つものと考えます。)

トランプ大統領が仮にこの歴史的背景を理解しているとすれば北朝鮮には段階的緩和策を提示する方針変更を行った可能性は大になってきます。

では今回はどんな言質をとるのでしょうか?豊渓里と寧辺の核施設の廃棄検証やミサイル施設の破棄が進んでいるかどうか、という点に留まるのではないでしょうか?想像できるのは「金正恩委員長は私とのシンガポールでの約束を確実に履行してことが今回分かった。あいつは本当にいい奴だ!」というツィッター声明でしょうか?どう見てもわざわざトランプ大統領が会うほどの成果はないはずなのです。

それにもかかわらず会談をする理由をどこに求めるか、であります。私は北朝鮮の周りの国との外交戦略ではないか、と考えています。

中国にはアメとムチで貿易交渉がうまくいけば北朝鮮の影のコントロール権を与える、韓国には北朝鮮との和平を通じて韓国に恩を売り、米軍駐留費をもっと巻き上げ、何かあれば撤収するぞという脅しをかけ続ける、日本には「ほれ、ロケットはもう飛んでこなくなっただろう」と安倍首相のポイントゲットのアシスト役を買って出るわけです。これだけでアメリカはどれだけ儲けることができるでしょうか?日本がアメリカ製の戦闘機を買う一翼も担っています。これらを合わせると東アジア諸国から巻き上げた金額は巨額となるはずです。トランプ大統領がビジネスマンと言われる所以であります。

トランプ大統領は政治家ではありません。ビジネスマンです。駆け引きの中に必ずマネーが見え隠れします。マネーのにおいがしないところにはトランプはあらず、なのです。いや、別にトランプ大統領に限らず、ブッシュ元大統領もマネーは大好きでした。アメリカの体質なのでしょう。

ただ、マネーぐらいで平和が維持できるならそれに越したことはない、ともいえるのだろうと思いますが。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2019年2月22日の記事より転載させていただきました。

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