これからの1週間、北朝鮮に要注意

2019年05月25日 06:01

25日からトランプ米大統領が、令和初の国賓として4日間の日程で来日される。これは、「新しい天皇陛下のご即位と令和という新時代を祝福し、強固な日米同盟を内外に示すこと」が主たる目的であるとされているが、この首脳会談において北朝鮮問題や米中関係などが議題の中心となることは間違いないだろう。

もしこれが、一昨年の出来事だったとしたら、この1週間以内に北朝鮮は、中・長距離弾道ミサイル発射などの軍事的示威行動を行っていたに違いない。

朝鮮中央通信より:編集部

北朝鮮は、従来から軍事的示威行動を実施するような場合には、いつどこでどのような軍事活動を実施することが最も効果的か緻密に計算しており、強硬路線を突き進んでいる時期には、(日米韓などに関わる)大きな外交イベントが開催される時には必ずと言ってよいほど、顕著な示威活動を行ってきた。それは言わずもがな、このような時期が最も内外で注目されるということを熟知しているからに他ならない。

例えば、今回のような場合ならば、トランプ大統領が来日している間の弾道ミサイル発射などはさすがに「刺激的な挑発行為」として猛反発が予想されることから、離日した直後のタイミングなどで中・長距離弾道ミサイルの発射などを実施していたことであろう。

果たして現在の情勢はというと、米朝は引き続き対話路線を継続しており、これを破綻させることを双方は望んでいない。一方で、協議は停滞状態にあり、双方とも譲歩する気配がない。北朝鮮が今月初旬に、訓練と称して2回にわたり短距離弾道ミサイルと思しき飛翔体の発射試験を実施したのも、そこには米国に対して揺さぶりをかける示威行動の側面があったことは、拙稿「日朝会談は実現するだろう:北のミサイル発射の思惑を読む」及び「北朝鮮、一連の飛翔体発射の真の目的:韓国には極めて深刻な脅威」で述べたとおりである。

恐らく、今回の日米首脳会談後に両首脳は「北朝鮮に対する厳格な制裁の履行を再確認した」というような意思表示をするであろう。問題は、北朝鮮がこれに対してどのようなリアクションを行うかである。

例えば、トランプ大統領離日前にも「ミサイルの機動展開」「弾道ミサイルに関わるエンジンテストの準備」「黄海北方限界線(NLL)における警備艇の越境(韓国に対する挑発)」「北朝鮮国内における展示演習」などといったような示威活動が行われる可能性がある。現在、日米韓の情報機関はこれらの兆候に目を光らせていることであろう。

また、このような軍事活動だけではなく、北朝鮮の外交やこれに付随するメディアもこれから当分の間、日米に対する政治的プロパガンダを活発化させることが予想される。いずれにせよ、これからの1週間は特に北朝鮮の言動に注目しなければならない。そして、軍事的にも外交的にも北朝鮮への対応に振り回されないよう、しっかりと備えておく必要があろう。

鈴木 衛士(すずき えいじ)
1960年京都府京都市生まれ。83年に大学を卒業後、陸上自衛隊に2等陸士として入隊する。2年後に離隊するも85年に幹部候補生として航空自衛隊に再入隊。3等空尉に任官後は約30年にわたり情報幹部として航空自衛隊の各部隊や防衛省航空幕僚監部、防衛省情報本部などで勤務。防衛のみならず大規模災害や国際平和協力活動等に関わる情報の収集や分析にあたる。北朝鮮の弾道ミサイル発射事案や東日本大震災、自衛隊のイラク派遣など数々の重大事案において第一線で活躍。2015年に空将補で退官。著書に『北朝鮮は「悪」じゃない』(幻冬舎ルネッサンス)。

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