アークヒルズ・スペイン坂のアジサイ(紫陽花)が、梅雨入り待たずに見頃を迎えている。4月の暖かい気候(夏日の影響も)が影響しているようだ。今回は、アジサイをテーマに記事を構成してみたい。なお、本記事のタイトルを簡単に読めた方は、最後に紹介している質問を解いてもらいたい。全問答えられれば、かなりのレベルにある。
今回は、田代幾美さん(会社員、ブロガー・「100歳以上生きる!!」)と、伊東稔さん(漢検2級、整体師、カイロプラクター)に、漢字に関するエピソードを伺った。なお、伊東さんの近著には『ねこ背を治す教科書』(ソーテック社)がある。
全国に存在するアジサイの名所
「この等期日線図からすると、2018年のあじさい前線は平年より早く北上していますね。アジサイは暖地の海岸線に自生するガクアジサイの変化したものといわれています。自生するものではなく、主として東北地方中部以南の庭園などに植栽されている落葉低木といわれています。元々は暖かい地域の海岸線に自生していたガクアジサイが、アジサイに変化し、人の手により植栽されて日本中に広がりました。」(田代さん)
「今では夏の訪れを告げる代表的な花として知られています。名前の由来、当てはめた漢字の由来が面白いアジサイですが、全国で愛でられる花の一つであることは間違いありません。周りの風景に溶け込んで、植え込みの花のように扱われるかもしれませんが、ふと目にした時にちょっと足を止めて鑑賞してみてはいかがでしょうか。」(同)
全国のいたるところに、アジサイの名所がある。伊豆半島の「下田公園」には、約15万株300万輪、100種以上のアジサイが植えられている。この時期、東京ドーム7個分の敷地をアジサイの花が埋め尽くす光景は圧巻。筆者の自宅の近所であれば、豊島園の「アジサイ祭り」、府中市郷土の森博物館の「アジサイ祭り」もメジャーである。
「わたしは、アジサイといえば、鎌倉の明月院を思い浮かべます。明月院は、神奈川県鎌倉市山ノ内にある臨済宗建長寺派の寺院です。山号を福源山と称し、本尊は聖観音、開基(創立者)は上杉憲方、開山(初代住職)は密室守厳(みっしつしゅごん)。アジサイの名所として知られており、『あじさい寺』の通称があります。」(伊東さん)
「花のシーズンにはたいへんな混雑をみせます。この寺でアジサイを植えたのはさほど古いことではありません。第二次世界大戦後に、物資や人手が不足して参道を整備する杭が足らず、杭の代わりに「手入れが比較的楽だから」という理由で、アジサイを植えたものが次第に有名になったといわれています。」(同)
次の漢字が解けたら漢検1級レベル?
漢字好きの皆さまに、田代さんと、伊東さんから例題がある。漢字の読み方と、漢字の意味が全問わかればかなりのセンスの持ち主だ。2人によれば漢検1級レベル(あくまでも勝手認定ですが)とのこと。ぜひ、チャレンジいただきたい。
五月雨(サミダレ)
→陰暦五月ごろに降る長雨。梅雨。
水無月(ミナヅキ)
→陰暦六月。「無」は現代語「の」の意味で使われる。雨が多い「水の月」という意味。
時鳥(ホトトギス)
→杜鵑、杜宇、蜀魂、不如帰、時鳥、子規、田鵑などの別名もある。
隠元豆(インゲンマメ)
→サイトウ(菜豆)、サンドマメ(三度豆)の別名もある。
蚕豆(ソラマメ)
→野良豆、夏豆、天豆、四月豆、高野豆の別名もある。
竜髭菜(アスパラガス)
→和名をオランダキジカクシと言い、マツバウド(松葉独活)の別名もある。
陸蓮根(オクラ)
→英名はokra。オカレンコンとも読む。アメリカネリの和名もある。
大蒜(ニンニク)
→日本では臭いの強いネギ類の野蒜(ノビル)と区別するため大蒜(オオヒル)と表記した。
蕃茄(トマト)
→唐柿、赤茄子、蕃茄、小金瓜、珊瑚樹茄子の別名もある。
桜桃(サクランボ)
→セイヨウミザクラの別名。また、その実。
蛞蝓(ナメクジ)
→実は貝の仲間。殻は退化している。
蝸牛(カタツムリ)
→陸に棲む巻貝の通称。
蚯蚓(ミミズ)
→「目見えず」からメメズになり、転じてミミズになったとも言われる。
黴(カビ)
→菌類の一部の姿を指す言葉。音読みはバイ、ビ、マイ、ミ。
まとめ
梅雨の季節に、私たちを楽しませてくれる大定番の花、「アジサイ」。名前の由来に想いを馳せながら鑑賞するとさらに楽しくなる。また「アジサイ」は、中国では外来種であるライラックだったという説もある。アジサイの可憐な咲き姿とともに、歴史のロマンを感じる。6月になれば梅雨のシーズン。家族サービスにアジサイの名所はいかが?
尾藤克之
コラムニスト