「串カツ田中」の「禁煙」というリスクテイクに拍手

日経ビジネスオンラインの記事によれば、昨年6月からほぼ全ての店舗で「全席禁煙」に踏み切った串カツ田中の売上が、2ケタ増になったそうです(写真も同記事から)。

禁煙を開始した昨年6月は、前年同月比97.1%と苦戦したものの、7月には101.9%に回復し、直近の12月は前年同月比で113.7%と好調に推移しています。

私は禁煙派なので、この成功例をマネする飲食店が増えていくことを歓迎したいと思います。

分煙というお店も最近増えましたが、ほとんどのお店できちんと分煙はできていません。コーヒーショップなどで禁煙席に座っても、喫煙者の煙を完全に遮断することは難しいのです。

喫煙するかどうかは本人の自由です。しかし、食事やお酒を飲んでいる時に横からたばこの匂いやツーンとする煙が流れてくるのは気分の良いものではありません。

喫煙する人は、喫煙する人だけでまとまってたばこを吸ってもらえば良いという考えです。他人に迷惑をかけない限り、喫煙する人の権利も認められるべきだと思うからです。

といっても、喫煙者が他人に迷惑をかけないのは現実的には極めて難しいと思います。喫煙室でたばこを吸っても、体や洋服に煙の粒子が付着してしまい有害物質をまき散らしてしまう「三次喫煙」というのもあるようです。

今回の串カツ田中の決断で素晴らしいと思うのは、分煙ではなく禁煙を選択したこと。そして、加熱式のたばこも含めて全面禁煙にしたことです。これは、来年施行される改正健康増進法よりも厳しい基準です。しかも、喫煙ルームすら設けないという徹底ぶり。嫌煙派のハートをガッチリつかむことに成功しました。

居酒屋系のお店で禁煙にするというのは、非常識で経営的には自殺行為というのが、業界の一般的な見方でした。3割と言われる喫煙者が来なくなり、サラリーマン層のようなアルコールを注文する客単価の高いユーザーを取りこぼすことになるからです。

そんなリスクを敢えて取り、一気に全てのお店で徹底した禁煙を実施した英断は、これからお店のイメージアップという大きなリターンをもたらすことになると思います。

禁煙派の皆さん、串カツ田中に行って応援しましょう!

■ 毎週金曜日夕方に配信している無料のメールマガジン「資産デザイン研究所メール」。メールアドレスとお名前を登録するだけで、お金の不安を解消するための具体的な方法をご紹介します。

■ 「初めての人のための99%成功する不動産投資」、シリーズ累計19万部となった「初めての人のための資産運用ガイド」など、今までに出版された書籍の一覧はこちらから。

※内藤忍、及び株式会社資産デザイン研究所、株式会社資産デザイン・ソリューションズは、国内外の不動産、実物資産のご紹介、資産配分などの投資アドバイスは行いますが、金融商品の個別銘柄の勧誘・推奨などの投資助言行為は一切行っておりません。また、投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2019年1月17日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

アバター画像
資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。