原爆投下を肯定する中国の「明日は我が身」

2016年04月12日 18:30

主要7カ国(G7)外相会合に参加した外相らが広島平和記念公園を訪問したことを受けて、中国政府は日本の戦争責任を強調する見解を表明した。

陸慷外務省報道局長は「我々は、被爆地訪問を計画した日本政府の目的が、自らが軍国主義の道を再び歩まない決意表明であることを望む」「(広島、長崎への原爆投下について)罪のない日本の国民が被った苦痛に同情するが、日本の軍国主義分子の頑迷な幻想を徹底的に打ち砕いた」とした。

だが、朝鮮戦争では、マッカーサーが中国の多くの都市を核攻撃しようとし、なんと、原子爆弾26発を使用することが計画されていた。トルーマンは時期尚早としてこれを却下し、独断で実行しかねない元帥を解任した。しかし、トルーマンもアイゼンハワーも休戦に応じないなら使用はあるとして脅していたのである。

核保有国となった中国は、自分は攻撃対象にならないと思っているが、むしろ逆で、アメリカにとって局地戦で使うことはデメリットが大きすぎ、将来において万が一使用があるとすれば、中国の世界制覇の野望が露わになったときでないかと思う。

いま中国は危ない橋を渡っている。「一帯一路」などという夢に酔う習近平は、戦前の日本が大東亜共栄圏を唱えて世界秩序に挑戦したことの轍を踏んでいるように見える。

大東亜共栄圏は、一言で言えば、太平洋の西半分の秩序は日本に任せて欲しいということだった。習近平の「太平洋は中国とアメリカという二つの大国にとって十分広い」という妄言はまさにそれと同じ発想だ。

安倍首相は「戦後70年談話」で、「(世界恐慌で欧米が経済のブロック化を進めるという事情はあったが、日本は)満州事変、そして国際連盟からの脱退。日本は、次第に、国際社会が壮絶な犠牲の上に築こうとした新しい国際秩序への挑戦者となっていった。進むべき針路を誤り、戦争への道を進んで行きました」と語っている。

私はこれこそ、中国に対する友人としての遠回しの警告だったと理解している。もし、大東亜共栄圏を唱え、それを正義だと信じて行動したことを阻止するためにアメリカが核兵器を使ったことを肯定するなら、一帯一路を唱えて南沙で軽はずみなことをするなど膨脹主義に傾く中国にも核兵器の使用が容認されることに繋がる。

そういう意味で、日本国民としては、中国人に対して、広島の教訓を肝に銘じ恐れるべきは、あなた方だと教えてあげたい。

大東亜共栄圏もそこに盛られた理想は美しかった。しかし、世界はそう見てくれなかったし、政府は軍部がこのくらいならいいだろうと独走するのを抑えられなかった。そして、ある日、ハル・ノートがやってきたときには、もう遅かったのだ。


編集部より;この原稿は八幡和郎氏のFacebook投稿にご本人が加筆、アゴラに寄稿いただました。心より御礼申し上げます。

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八幡 和郎
評論家、歴史作家、徳島文理大学大学院教授

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