トランプ当選の「希望」を考える

2016年11月10日 08:00
kanawaza
トランプ当選の報を金沢で聞く。当選が確実になる前、能登半島でこんな光景を目撃した。日本海にさす夕日と、鉛色の空と海に漂う世紀末感、世界の終わり感が半端なかった。

国際教養学部の専任教員をしつつも、国際関係や、政治、経済に疎い方なのだけど、一市民としてコメントする。

まず、そもそもヒラリーってそんなに有利だったのか問題というのがあり。要するに、これは「欧米では」という言説を誤認する日本人問題と重なっており、インテリ中心に情報を収集していたらそうなるでしょっていうわかりやすい誤謬。

「今日までのあらゆる社会の歴史は、階級闘争の歴史である 」

高校時代に読んで衝撃を受けた、マルクス・エンゲルスの『共産党宣言』の重要なメッセージなのだが・・・。

階級闘争に限らず、人類の闘争は続いていることは明らかだ。暴力、武力を使うかどうかはともかく。

トランプの支持者も多様だが、ある意味、これはグローバル化、グローバル資本主義から取り残された人の革命とも言える。その一類型は黒人に勝てなかった白人たちだ。Brexitと論理は似ている。グローバル化の権化のような、アメリカでこのようなことが起こっているということ自体、興味深い現象であり、意識の高いビジネス書のように物事は進まないということが明らかになる。

ある意味、これは日本に置き換えると「マイルドヤンキー」革命だ(この言葉は嫌いだし、あの本は論理が破綻していると思うのだけど)。家族、仲間、地元を拠り所とする、しかし、羽ばたかない、羽ばたけない、上昇志向がない層(でも、安定は求める層)の革命だ。

マルクス・エンゲルス的な労働者による革命が起こってしまったという見方もできなくはない。

ただ、いかにもピケティ論的な格差に対する怒りのように見えて、それを扇動しているトランプ自体が超富裕層だというのも興味深い。彼は気持ちを代弁しているのか。それとも、単に上手く利用しているのか。

もっとも、トランプの掲げていたことの実現可能性は疑問だし、本当にやるのかと思ってしまう。そして、やれなかった、やらなかった時にクーデターが起こるのではないか、とも。彼は、大統領に「なる」ことが目的化しており、「やる」ことに対して無関心、無頓着のようにも思える。

日本は自立を迫られる。対米従属路線から決別するチャンスだとも言える。

いかにも左翼だと思われている私だが、三島由紀夫を激しくリスペクトしている。三島の論考を日々、楽しみに読んでいる。ボディビルに打ち込んでいるのも、文体改造を試みているのも、三島に対する憧憬からだ。

三島はどこまで本気だったのか、わからないが、常に米国との関係のあり方を考えていたように思う。

国や国民を守るのは何か?

そういうことも含めて、日本人は、日本は自立を迫られる。

トランプ当選に希望を見出すとするならば、民主主義や資本主義、国家のあり方がい直されることである。彼の排斥主義、あらゆる差別は許さない。ただ、この劇薬に絶望せずに、そんな希望を感じている。

金沢という東京から離れた場所であり、故郷の一つとも言える大好きな都市で、この報を聞き、少しだけ冷静になれた。

ここまで読んでくれてありがとう。


編集部より:この記事は常見陽平氏のブログ「陽平ドットコム~試みの水平線~」2016年11月10日の記事を転載させていただきました。転載を快諾いただいた常見氏に心より感謝申し上げます。オリジナル原稿を読みたい方は、こちらをご覧ください。

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常見 陽平
千葉商科大学国際教養学部専任講師

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