その「ブラック」はどこが「黒い」のか

2017年03月25日 06:00

中尾自作のポートレート(上場企業人事責任者のため写真非公開)

「ウチの会社、超ブラックで・・・」。飲み屋に行くと、周囲の席から、会社でなかなか言えないようなことを吐き出している会社員の声が聞こえてくる。「ブラック」の定義は難しいが、自社を「ブラック」だと認識した場合、なにに留意すべきなのだろうか。

今回は、上場企業に勤務する人事マンでありながら、ベストセラー作家でもあり企業向けの研修講師などをつとめる、中尾ゆうすけ氏(以下、中尾氏)に話を聞いた。

■ブラックのどの部分を見るのか

――まず、中尾氏は、ブラック企業に就職してしまった場合、判断は早めにした方がよいと主張する。理由は次のとおりである。

「ブラック企業に長くいると、心身を壊す可能性が高いからです。もしそうならなかったとしても自分がブラックな人間に育ってしまいます。基本、早々に縁を切るのがよいでしょう。ただし、ブラック企業とはどのような企業のことをいうのか、それは理解しておかなければなりません。」(中尾氏)

「以下のような2社があったとします。A社(残業が毎月150時間以上あるが、残業代はしっかり払われる)、B社(残業は毎月20時間程度だけど、基本給が残業代込みで実質10時間程度しか払われていない)。」(同)

――この2社を比較してあなたはどう思うだろうか?。A社で長く働いていたら、相当キツイ精神状態に陥ってもしても不思議ではない。

「どの部分がブラックなのか、見極める必要があります。たとえば過剰残業の原因は、(1)人員不足、(2)無茶な納期設定、(3)上司の管理不足などが考えられます。(1)人員不足が原因なら、会社は早々に人材の補充をするべきです。それをわかっていながら補充もしない、募集もしないなら、ブラック企業かもしれません。」(中尾氏)

「(2)の納期が無茶な設定であるなら、納期設定の是正が行われれば、ホワイトになれる可能性は十分にありそうですが、会社の問題というより組織の問題です。(3)の上司の管理不足の場合、ブラックな企業というより、マネジメントの問題です。」(同)

――このような場合、就業規則を再確認しておきたい。B社はA社に比べれば残業時間は少ないが、制度上ブラックである可能性が高い。制度を変えることは、労組があれば改善される可能性はあるが、もしなければ、そう簡単には変わらない。

「ブラック企業」といっても、会社そのものがブラックなのではなく、会社の機能の一部がブラックであることも多い。ブラックな部分が改善すればいい環境になる可能性はある。

■仕事がつらければ我慢しない

――これから、新入社員が入社するにあたり、気をつけるとしたらどのような点だろうか。

「新入社員の立場では、できることに限界がありますが、つらい時ははっきりとつらいと言い、上司に改善を求める必要があります。言いにくかったら先輩に相談し、一緒に上司に相談してもよいでしょう。一番よくないのは我慢し続けてしまうことです。」(中尾氏)

「過去には、長時間労働に起因する悲しい事件や痛ましい事件、目を覆いたくなるような報復といったニュースも多数目にしました。そのようなことにならないよう、勇気を出して自ら声を上げましょう。命より大事な仕事なんてないのですから。」(同)

――「うちの会社、ブラックかも」と思ったら、「何がブラック」なのかじっくり考えよう。アクション次第で環境が是正されるのなら素晴らしいことだ。しかし、会社には組織慣性があるから変わろうとする時には何らかの抵抗(目に見えない暗黙的な抵抗もある)があるものだ。決して簡単ではないことも覚えておきたい。

参考書籍
1割の「できる人」が大切にしている仕事の「基本」』(ぱる出版)

尾藤克之
コラムニスト

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