2020年の憲法改正の必要性がどれほどあるのか?

2017年05月04日 06:00

ついに憲法改正の時期を明言した安倍首相(首相官邸サイトより:編集部)

自衛隊違憲判決が出ない状況の下で、自衛隊を合憲の存在だと憲法に明記する必要性は?

長年私の中でモヤモヤしていて、何とかこれだけは解消できるようにすべきだろうと思っていたのが、憲法9条と自衛隊の関係であった。憲法学者の方々が自衛隊は違憲だと主張されるものだから、そうだよな、憲法の条文をそのまま読めばとても自衛隊を合憲とは言えないよな、とそれなりに苦しんだものである。

しかし、今はそういう苦しみはまったくない。

一部の学者の方が自衛隊は違憲だ、などと仰っても、いや日本の裁判所は絶対に自衛隊は違憲だという判決を出すことはないから、裁判所が違憲と言わない限りは合憲なんですよ、ご意見はご意見として承りますが、そのご意見は貴方限りの独自の見解ということになりますね。自衛隊違憲、合憲で角を突き合わせるような非生産的なことは止めておきましょうよ、ということになる。

私の中では、自衛隊はどこから見ても合憲の存在になり切ってしまっているから、今更憲法の明文の規定で自衛隊を合憲だと規定しなければならないという意欲が相当減退してきているのは確かである。

しかし、安倍総理はそうではなさそうだ。

2020年までに何としても自衛隊を合憲の存在だと明記するための憲法改正をやり遂げる、と宣言されている。
安倍総理はひょっとした相変わらず自衛隊違憲論の呪縛に縛られておられるのかも知れない。
かつての私と同じなのかもな、と思っている。

自衛隊違憲論の呪縛からすっかり解き放たれてしまった現在の私には、それほど優先度が高い憲法改正項目ではないが、安倍総理にとっては依然として結構重いようである。
自衛隊の存在を憲法の明文の規定で確認するくらいの憲法改正であれば、多分大方の国民は同意されるだろうな、と思っている。

現在、大方の国民が合憲だと見做している自衛隊を憲法の明文で合憲だと書くだけのことだったら、わざわざ口角泡を飛ばして異議を述べなければならないほどの理由がない。

そうですかね、というところである。

何故、私の中で自衛隊が合憲の存在になったのか。
社会党党首の村山富市氏が総理に就任して、自衛隊は合憲の存在だと認め、自衛隊違憲論の強力な主唱者であった土井たか子衆議院議員が衆議院議長に就任して自衛隊違憲論の主張を封印したことが直接の切っ掛けだった。
政治的な文脈で自衛隊違憲論が事実上封じ込められたので、その反射的効果で、自衛隊は私の中で合憲の存在になっていった。

憲法の明文の改正がこの間なされたわけではないが、憲法の明文の改正がなくても何ら差し支えない、という状態になったのである。ああ、こういうのを小林直樹さんは憲法の変遷と言うのだろうな、と私自身は思っていたのだが、安倍総理は自衛隊を合憲とするためには憲法改正の手続きがどうしても必要だ、とお考えになっているようである。

2020年を目指すのがいいのかについては色々議論はありそうだが、ダメですよ、と言うほどのことはない。
まあ、現時点で本当にどれだけの必要性があるのだろうか、という程度のことである。

憲法典に書かれていることだけが憲法ではない、という感覚

憲法が日本の最高法規範だ、と言われているが、国民の誰もが憲法に敬意を持たなくなり、憲法の明文の規定に反することが罷り通るような世の中になってしまえば、そういう憲法はもはや憲法規範としての価値を喪っており、憲法とか最高法規範とは言い難いのではないか、というのが私の問題意識である。

国民が最高法規範と認めないような憲法は、憲法ではない。
憲法は、国民がそれを憲法と認識するから憲法である。
憲法は国民の認識の中に存在する。
憲法典は、憲法の存在を確かめるための縁の一つでしかない。
憲法典に書かれていないようなことでも憲法の一部を構成することがある。

などなど、実にとりとめもないことをあれやこれや考えているところである。

大方の国民が自衛隊は合憲だと思っているから自衛隊は合憲なんだ、などと言ってしまえば実に身も蓋もない話になってしまうのだが、どうも私の思考方法の中にはそういう結論先行的な要素がある。

あれやこれや一応理屈をつけてみるが、私の頭の中に、自衛隊は合憲だという結論が先にあることはどうやら間違いなさそうである。


編集部より:この記事は、弁護士・元衆議院議員、早川忠孝氏のブログ 2017年5月3日の「憲法」関連の記事をまとめて転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は早川氏の公式ブログ「早川忠孝の一念発起・日々新たに」をご覧ください。

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