朝日新聞の前川英雄視は軍部独走礼賛の再現だ

八幡 和郎

衆議院インターネット中継より(編集部)

先週金曜日(7月21日)のフジテレビ系「バイキング」で話したことを補足して紹介する。

稲田防衛相は自発的に辞任したほうがよい。そうしたら政治生命は残るが最後まで粘ったらそれが危ない。10日間だけのことだから臨時代理でも良いのだ。誰か横滑りさせて10日だけほかの大臣を滞留している高齢の政治家にさせれば喜ぶし在庫対策にもなる。

内閣支持率を上げるためには、政権のイメージを変えるためには菅長官が大胆にイメージを変えるか、政府報道官の仕事を別の大臣にさせるか、交代すべきだと思う。聞かれた質問に必要なことだけを答えるスタイルは飽きられた。先回りをしても説明する方が良い。

ただし、稲田防衛相を追い込むようなリークが制服組から出ている印象あり。稲田さんの不徳のいたすところではあるが、どうも、前川喜平がヒーロー扱いされてから、気に食わない政治家をつぶすために部下の官僚が不確かな内部文書をリークすることに抵抗感がなくなっているようだ。これはまさに、前川喜平を英雄視する馬鹿どもについて心配していたことだ。こういう自分の党派的な利益のために原則を曲げるようなことを許す風潮が文民統制を崩さないか心配だ。(テレビではいわなかったが)まさにいつか来た道。朝日新聞は戦前の過ちを繰り返そうとしている。

外交では分かりやすいヒットが出てない。本当はEUとのETP交渉の妥結は大ヒットで、外国のマスコミでは大きく取り上げられているが、日本のマスコミはヨーロッパのことに関心がないので、取り上げない。

経済はそこそこうまくいっているが、これ以上、支持率向上の材料にはならない。地方創成、教育改革あたりで思い切った政策提言が必要。

閉会中審査での与野党質問時間は、与党も聞きたいことがあるのなら時間を要求するのは当然。野党は総理がいいたいことは質問しないのだから、総理が説明したいという趣旨からすれば与党の質問に時間をとる必要があるのは当然。最終的に7:3になったのは妥当な妥協だろう。

坂上忍氏と東国原氏が、われわれは自民党がいやなのではない。野党がもうひとつだから自民党のなかでの対抗勢力が出てくれることを期待したというような趣旨のことをいい、「八幡さんは自民党寄り」と振ってきたので、「私は民進党好きですよ」といったのたのだが、これは、以前から東国原さんなどと意見が違うところだ。

そこで、テレビでは言ってないが補足するとこういうことだ。私は党内抗争で政権が代わるような旧い55年体制の政治に戻るべきでないと思う。基本的に、与党内の党内の抗争で総理が交代するなどというのは、先進国で滅多にない。アメリカ大統領でも党内で現職大統領に対抗馬が出ても成功することはほとんどない。それが正常だ。

安倍内閣が信任を失ったら、民進党を中心とした政府にしたほうがよいかどうか国民が考えるのが筋だ。民進党が代表を変えるか、政権再編で新党になるべきだ。

そして、次の選挙では野党に負けそうになったときに、与党内でも交代論が出てくるというのが先進国の政治だ。

石破茂は国会での質疑で「野党の後ろに国民がいるのを忘れてはならない」とかいったが、これは無茶苦茶だ。野党こそが国民代表という朝日新聞的というかボリシェビキ的独善論理に乗っかられてしまっている。石破氏はそこまでいうなら、党をさっさと出て政界再編の旗を掲げれば良い。

加計問題では、ふたつの議論があった。ひとつは、準備が足りなかったという京都産大の副学長会見について、政権を救うための助け船というような指摘もあったが、「愛媛県は10年間訴え続けたのに対して、こちらは1年。努力が足りなかった」と京都府の山田知事がいうように、一年遅らせばできるのかということについてだって疑問で、もともと無理がある話だ。

森友小学校でも分かるように、先生を揃えて、校舎も建設して、確実に開校できるという準備がない限りは文部行政では認可が下りない。(ぎりぎりまで最終判断を引き延ばしていろいろ条件をつける。そしてそれを円滑に進めるために天下りの押しつけも出てくる)。

前川喜平が守りたかったのは、そういう恣意的な行政なのである。

また、東国原氏は自由競争にすればいいとおっしゃる一方で、需要予測に応じて認める論理は肯定されていたが、需要予測に応じてという論理は一貫してとられているわけでない。法科大学院だってそうだし、たとえば、英文科や仏文科で学んだことを生かせる仕事の需要で定員が決まっているものでない。教育学部でも教員の定数よりはるかに多くの学生が学んでいる。

結局は後ろにいる業界が新たに認めないと抑制されたり、学界のボスどもが弟子を送り込むポストが欲しければ増やしてるだけだ。