【映画評】隠された時間

2017年08月22日 06:00

母親が他界し、義父と共に離島に引っ越してきた少女スリンは、家にも学校にもなじめず、孤独な毎日を送っていた。そんなある日、ソンミンという少年と出会う。親がおらず施設で暮らすソンミンと次第に心を通わせるようになったスリンは、ソンミンと彼の友人らと一緒に、立入禁止区域にある洞窟に足を踏み入れることに。だが、ソンミンを含む少年3人が一瞬にして姿を消す謎の失踪事件が発生する。手掛かりもなく捜査は難航するが、ある日、スリンの前にソンミンと名乗る見知らぬ青年が現れる…。

孤独な少女と、満月の夜に行方不明になり突如大人の姿になって現れた少年の交流を描くラブ・ファンタジー「隠された時間」。神隠しやパラレルワールドなどの不思議要素を含むが、違う姿で現れた少年を、孤独な少女が唯一の理解者として守ろうとするピュアな初恋の物語だ。謎めいた洞窟と卵型の不思議な物体は、異世界への入り口なのだが、行った先は時間が止まった世界。なぜ3人の少年たちが選ばれたのか、時間経過に気付く月の変化がなぜ起こったのか、などの理由は曖昧なまま。スリンとソンミンという、共に孤独な子どもたちの淡い初恋を際立たせるために、ご都合主義の設定が続いていく。

本作の主要な見所は、イケメンスターのカン・ドンウォンが、外見は大人だが心は13歳の少年というピュアな難役を演じることで、それはなかなかフィットしていた。子どもが大人になる設定の映画では、名作「ビッグ」がすぐに思い浮かぶ。大人と子ども、男と女、人間と動物が入れ替わるといった、いわゆる“入れ替わりもの”では、そのギャップで笑わせるコメディーが多いのだが、本作はどこまでもシリアスで笑いの要素はない。新人監督のオム・テファは、あくまでも繊細さや純粋さを描こうとしたのだろう。スリンの人生には常にソンミンが寄り添い、時空を超えて二人は共にある。カン・ドンウォンのファンにはたまらないであろう、ロマンティックな作品だ。
【50点】
(原題「VANISHING TIME」)
(韓国/オム・テファ監督/カン・ドンウォン、シン・ウンス、キム・ヒウォン、他)
(ファンタジー度:★★★★★)


この記事は、映画ライター渡まち子氏のブログ「映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評」2017年8月21日の記事を転載させていただきました(アイキャッチ画像は公式YouTube動画から)。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。

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