高齢者の最低賃金を大幅に引き下げれば日本は甦る! --- 林 けんいち

いらすとや(編集部)

多額の貯金と、逃げ切り世代の充実した年金により豊かな老後を過ごされる高齢者も多くいるが、暮らしに困窮する高齢者も大勢存在する。彼らは働きたくても仕事がない。高齢者の仕事はそう簡単に見つかるものではないからだ。

最低賃金は労働者を守るための制度だと思われがちだか、実は全くの逆で多くの人から労働機会を奪い、極めて弱者を苦しめている。

昨年度(2016年)の最低賃金の全国加重平均額は823円。

高齢者でなくとも現役世代を雇える金額が、どんな人を雇う場合も絶対に払わなければいけない金額になってしまっている。

これでは誰が好き好んで高齢者を雇うというのだろうか?

中には社会経験豊富な高齢者を若者のフリーターより信頼できると判断する企業も一部は存在するし、特定の技術を持ったその業界の経験者を必要とする仕事なら別かもしれないが、普通に新しい仕事をはじめる場合、やはり若いほうが覚えるのも早いし、必ず続けるとは限らないが長く働いて責任のある仕事を任せる事が出来る可能性も高い。

最低時給に少し色をつけた時給で現役世代を雇えるのなら、あえて高齢者を雇う企業は、そう滅多にあるものではない。

なので当然、高齢者はどんなに困窮して働きたくても仕事なんて見つからない。

安い時給で働くのは感覚的には可哀想に思えるかもしれないが、ちゃんとその立場にたって考えてみればそうでないことくらい想像できるだろう。仕事が見つからなければ収入はゼロなのだ。安くともゼロよりは少しでも稼げる方がいいに決まってる。

そしてさらに仕事がないと、とにかく暇だ。しかしヒマを潰すにはお金がかかる。そもそも家にいるだけで電気代もかかってしまう。

でも、やはり働き口などそう簡単に見つかるわけがない。。。

が、最低賃金が撤廃、もしくは大幅に緩和されればどうだろう?

時給300円なら現役世代を1人雇う金額で高齢者を約3人雇うことが出来る。

体力を大きく消耗しない単純作業の人員なら、時給が900円ほどかかる現役世代1人よりも高齢者3人を選ぶほうが生産性が高くなる業種・企業はたくさんあると思われる。

現状では人件費を抑えるために海外に工場などを移転する企業は後を絶たないが、それにも歯止めがかかる。いや、日本に工場を戻す企業も出てくるだろう。中国なども人件費はどんどん高くなっているのだから。

日本だけで最低賃金を定めても安い人件費を求めて雇用は海外に流出するし、結局雇用自体が減ってしまって誰も救われない。

現在、65歳以上の高齢者人口は3392万人。総人口に占める割合は26.7%になる。50年後には2.5人に1人が65歳以上、4人に1人が75歳以上にも推移する。

言うまでもなく現在の制度では国家が持たない。

しかし、高齢者が安い賃金で働く労働者となれば、そこから税収も生まれる。安い賃金の労働者を使うことによって企業も利益を上げ法人税も増える。

そして日本の労働者は優秀である。高齢化により、仕事のスピードや体力は落ちても日本人の几帳面さを求め海外からも工場の誘致も十分に見込めるだろう。土地の値段の高さも、彼らの求める高齢者人材は地方に多いのだから、そこまでネックにはならないだろう。

日本が再び、世界の工場として繁栄する事も不可能ではない。

現役世代の仕事も、体力を要さない単純作業は高齢者に奪われてしまうだろうが、元々、海外にどんどん奪われていくものではあるし、すべてが高齢者に取って替わられる訳ではない。なら企業の利益も上がり、海外からも工場の誘致などが増えれば、現役世代が担う仕事自体も新しく生まれていくだろう。

企業が安い賃金を求め新興国を渡り歩いていくのも限界がくるだろう。その国々もどんどん豊かになっていくのだから。

そんな時に、世界で最初に超高齢化社会に突入する日本が、真面目で几帳面な高齢者を安価な労働者として世界に開放すれば、日本は再び経済大国として甦ることも夢ではない。

林 けんいち
インターネット通信販売・飲食店経営を経て現在はフリーランスの営業・ライター活動に従事。
個人ブログ:非常識バイアス