解散を急ぐ本当の理由はなんだろうか

早川 忠孝

首相官邸サイト(編集部)

どんな風に解散の大義を語られるつもりか分からないが、やはりここは批判しておかなければならないだろう。

先週末の世論調査を当てにしての解散だということになると、連休明けから自民党バッシングがまた始まり、自民党や安倍内閣に対する支持率が急落することもあり得る、と覚悟しておくことである。

じりじりと支持率が低下していくのか、それとも釣瓶落としのようにストンと落ちてしまうのかは分からないが、これで折角の内閣改造が元の木阿弥になってしまうことにもなりかねない。

大義のないことはやるべきではない。

横綱が、横綱相撲を捨てて肩透かしや引っ掛け相撲をやるようになったら、もはや本物の横綱とは認めてもらえなくなる。美しい国を目指しておられたはずなのにずいぶん美しくないことを考えられるものだ。

2020年東京オリンピックを目前にしているのに、まあ、なんと汚いことを。
山下選手の怪我した肢を一切狙わないで勝利を逃してしまった外国の柔道選手がいたが、優勝は逃したがそのスポーツマンシップやフェアプレイ精神は世界の人々に大きな感動を残した。

まあ、安倍総理がすべての名誉をかなぐり捨ててでも目前の勝利に拘らざるを得なくなった、というのは、それだけ安倍総理や安倍内閣が深刻な問題を抱えているからだろうと推測するが、北朝鮮のミサイル発射や核開発が問題ならば今の時点での衆議院解散は選ばないはずである。

多分、極めて私的で、かつマイナーなことで窮地に追い込まれている、というのがこの時期の解散を急ぐ本当の理由なんだろうと思っている。

解散風が吹き始めると大抵の問題は国民の念頭から一時的に消えてしまうのだが、まさかもりやかけの問題で解散を打つとは、ちょっと信じられない。実際にはまだ解散になったわけではないが、安倍総理が与党の幹部に年内解散を示唆して、現実に公明・創価学会の幹部が臨戦態勢に入った、というのであれば、無理筋の解散であってもこれを止める有効な手段はない。

精々が、選挙が終わった後の憲法改正の発議の段階で解散権の制限を憲法の明文で規定すべきではないか、という議論を提起するだけで終わってしまう。

安倍総理は、本当に衆議院を解散するつもりか。

まあ、解散するんでしょうね。
いやはや。


編集部より:この記事は、弁護士・元衆議院議員、早川忠孝氏のブログ 2017年9月17日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は早川氏の公式ブログ「早川忠孝の一念発起・日々新たに」をご覧ください。