ベネズエラはこの先3年以内に完全に財政破綻する

2017年11月24日 11:30

中央に位置している人物がベネズエラのアイサミ副大統領。「麻薬密売組織のリーダー」とされる(Ei Paisより引用)

ベネズエラが現在抱えている債務は1500億ドル(18兆円)で、その内の700億ドル(8兆4000億円)が政府の国債とベネズエラ石油公社の社債、残りは中国とロシアからの融資などによるものだとされている。

ロシアは債務の再編に協力的な姿勢を示している。と同時に両国には債務返済の代わりに原油の輸出で負債を相殺するという手段も用いている。

しかし、それ以外の債権国やベネズエラ国内の債権者に対して、状況と今後の取り組みについて説明する会合が11月13日に首都カラカスにて開かれた。その会合には米国、パナマ、英国、チリ、コロンビア、アルゼンチン、日本、ドイツのそれぞれ代表が出席したという。ベネズエラ政府を代表して状況などを説明したのはタレク・エル・アイサミ副大統領とシモン・セルパ財務相の二人で質疑応答は予定に入っておらず僅か25分で終了したというのだ。その間に、チョコレートがサービスされただけだったという。その説明は主に負債の再編に取り組んでいることや、8月に米国が追加制裁として債券の取引を禁止したことがベネズエラに深刻に影響しているといったことに言及しただけだという。債権者にとっては全く不満足な説明であった。

この会合に出席を見合わした債権国もいた。その理由はタレク・エル・アイサミとシモン・セルパの両名が米国が制裁している人物リストに加えられていることから、彼らとの接触を避けたいとして出席しなかったという。特に、副大統領のタレク・エル・アイサミは麻薬の密売にも関与していると米国が判断している人物だ。

ベネズエラ政府が、つい最近解散したコロンビア革命軍(FARC)と麻薬取引をしていたというのは公然の秘密で、特にベネズエラの軍部がその首班になっているとされている。タレク・エル・アイサミ副大統領はそのリーダーのひとりだとされているのだ。マドゥロ大統領の夫人の甥っ子二人も麻薬に関与していたことが発覚し米国の麻薬取締局(DEA)に逮捕されたことがある。

ベネズエラの債務を再編することは混沌としており、ベネズエラの国家破綻の始まりだ、と隣国のコロンビア紙『Portafolio』の取材で指摘したのはカルロス・アンドレス・ペレス元大統領の政権で通産大臣、その後ベネズエラ中央銀行の部長も歴任したモイセス・ナイムである。彼は更に、「ベネズエラ政府には提案などはない。少なくとも負債の再編について明確にしてはいない。債務の交渉委員会は、それを提案するための技術上、法律上そして財務上において能力に欠けている。同委員会のメンバーの中には金融について信頼性と経験を持った人物が誰ひとりいない」と述べた。

また、彼は「通貨の価値は更に下落し、金融市場へのアクセスは遮断される。医薬品、食料、機械類などの輸入は更に難しくなる。ベネズエラは国際的に完全に孤立してしまう」と指摘した。これがチェベス体制の崩壊に繋がるのかという質問に対して、彼は「全て、ベネズエラの麻薬密売軍人の意向次第だ」と答えた。

軍人が主導して政権の転覆を図ることしか、現在のマドゥロ大統領が受け継いだチェベス体制は崩せない。チャベス体制が続く限り、ベネズエラは更に国際的に孤立し、益々貧困化して行くのは確かである。議会で、野党による民主的に政変を起こすことは不可能である。マドゥロ大統領とチャベス前大統領の時から恩恵を受けて来た軍人によって政府の主要組織は全て掌握されているからである。

財政上の歳入の90%近くは原油の輸出に依存している。チェベス政権時にはバレル115ドルであったのが、現在50ドルまで下がっている。

原油が下落し続けたことによって、ベネズエラの財政は急激に悪化。最近4年間の累積GDPは50%の減少を記録しているのである。しかも、悪いことにGDPの後退が慢性化しているということ。国内の産業はチェベスが実行した企業の国営化をもとにした社会主義政策で破壊してしまった。国内産業を発展させて経済を潤すということが出来なくなっている。

しかも、外貨を稼ぐ原油の輸出を担うベネズエラ石油公社(PDVSA)も債権者に償還できない社債を抱え、1990年代は日量320万バレルを採油していたのが、現在は200万バレルを切って195万バレルになっている。これまで2万人の従業員を解雇しているが赤字が依然続いている。チャベス政権の時から軍部から企業経営のできない人材を役員として採用し、縁故で採算性を無視した従業員の増加。この無謀な国策が1999年から始まったボリバル社会主義革命によってもたらされた結果が現在のPDVSAなのである。

マドゥロ大統領が政権に君臨している限り、ベネズエラの後退は留まることなく続くであろう。

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