国政炎上の陰で…テレビに映らない時こそ小池都政に要注意

2018年03月20日 06:00

Facebook「東京都知事 小池百合子の活動レポート」より引用

新年度の予算編成を諮る第1回の都議会定例会は、44年ぶりの全会一致で予算案が可決した昨年と打って変わり、小池知事へ批判が一気に高まる局面のはずだった。ところが、彼女はまだ悪運の強さが残っていたのだろう。財務省の決裁文書書き換え問題が勃発し、火だるまになったのは安倍政権のほうだった。テレビの政界ニュースは、いまや国政一色に染まってしまった。

以前、おときた都議(かがやけTokyo)の記事で、都議選当時は応援取材要員も駆けつけていた報道各社の人数が目に見えて減少したことが報告されていた。実際、報道量としてはいかほどの変化があったのか。朝日新聞デジタルと日経電子版で「都政」のワードを検索。今年度がスタートした2017年4月から今年3月まで、毎月ごとに「都政」の二文字が入った記事が何本掲載されていたかを比較したのがこのグラフだ(この3月はきのう19日まで)。

予想していたが、やはり昨年7月の都議選にかけての政局と、衆院解散の政局で小池さんの国政転出もささやかれた同9月からの10月にかけての2つの山が存在していた。しかし、希望の党が惨敗し、小池さんの政治的影響力が陰をひそめるのと同じく、報道量は一気に減少。朝日新聞デジタルに至っては「都政」の二文字が入った記事は、2月にはゼロだった。もちろん、都政に関する報道がゼロだったわけではなく、ひとつの目安として示したものだが、検索ワードを複数使っても概ね同様の傾向になるだろうと思われる。

こういう時だからこそ、陰に隠れてこっそり…とは言わないが、目立たないところで、姑息なことを考える人がいるのもまた世の常だ。特に小池都知事のように、マスコミの操縦術に長けた政治家をトップに据えているときは、露出量がグンと落ちた時こそ注意をしたい。

「凪の百合子」に問題の指摘が続出…

小池さんは、世間の耳目を集めたいときは、あらゆる手段を作ってテレビカメラ向けの「画作り」に乗り出してくるのは、すっかりおなじみだ。しかし、衆院選での国政関与で手痛い失敗をして、市場問題をはじめとして世間の矛先を向けられそうだった昨秋以降の局面においては、できるだけメディアの耳目を集めず、穏便に粛々と都政に取り組み、可能な限り、シレッと軌道修正をしたいところだろう。

実際、おときた都議も指摘するように、築地再開発のスキームは破綻の疑いが濃厚で、特別顧問廃止を巡って正当性の欠落や一貫性のなさがうかがえる。特別顧問廃止の問題については、やながせ都議(維新)も追及している

また、川松真一朗都議(自民)は、「議場外での発言はいまは慎む」という本人の意向でまだブログに書かれていないものの、ドワンゴの川上量生氏との“癒着”、あるいは、昨年8月の臨時議会での「やらせ質問」という2つの疑惑を追及。その模様がネットでも広がって一部で「反小池」のネット民の間では話題になっている。

さらに、これは小池さん本人のせいではないが、上田令子都議は、都が設立した独立行政法人の医療施設で行った人工心臓手術で、1年近くの間に5人の患者のうち3人が死亡した問題を取り上げている。もともと難手術なのかもしれないが、上田都議は、背景として、運営体制に問題があった可能性を指摘している。マスコミ報道で見かけない話だが、中身次第では、もっと騒ぎになってもおかしくない。

また、共産党が、渋谷区の岸体育館移転を巡る都の答弁が「虚偽」だったする疑いを追及。きのう(19日)都が「虚偽答弁にあたらないが、説明に丁寧さを欠く部分がありおわびする」と陳謝した様子は、NHKの首都圏ローカルで報道された(昨年の上半期なら全国ニュースだったかもしれない)。

逆に、小池都政ならではの前進した部分もある。このあたりは行政に詳しい書き手が多い、渡瀬裕哉さん主宰のUrbanFolksで専門的な記事が読めるが、下水道の民営化のような全国注目の案件から、職員の働き方改革のような地味でマニアックなものまで、いろいろと試行錯誤はされており、これらがどれだけ妥当なのか、政局に偏りがちなテレビの報道では、検証・分析されることはほとんどない。

テレビがいなくなった今こそ、ネットの都政ウォッチは重要

「テレビが取り上げない時こそ、都政に目を向けろ」と意識高いことを声高に叫ぶだけのつもりはない。一都民である私自身ももっと目を向けなければと思いつつ、安倍政権が倒れるかもしれない一大政局に直面しているいまは、そうそう都政の情報収集・分析に集中しづらい。ましてや政治の世界とは関係なく日常生活を送っている大多数の都民に、それを求めることは酷な話だ。

しかし、関心をも失ってしまうのは危険だ。都政の報道量が目に見えて落ちたいまのような「凪」の時こそ、そして、小池さんのように尋常でないタイプの知事だからこそ、「都民はもう都政に関心がないから…」と、好き放題にできると思わせてはなるまい。

メディア巧者の小池さんが姑息なことをするのかどうか。あるいは逆に日本のエンジンとしてふさわしい都市政策を行うのか。マスコミが「凪」の時だからこそ、ネットメディアの役割が重要だし、アゴラとしても各都議のエントリーなどを通じ、都民の関心が少しでも失われないようにしたいと思っている。

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新田 哲史
アゴラ編集長/株式会社ソーシャルラボ代表取締役社長/NPO法人ICPF 情報通信政策フォーラム理事

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