ベネズエラ経済危機:一杯のカフェオレが1年半で100倍以上の価格に

2018年03月22日 06:00

掲げられたプラカードは「私の祖国は空腹だ」(finanzasより引用)

1999年、ウーゴ・チャベスがクーデターを敢行して政権に就いた時、1ドルは0.573ボリバルであった。あれから19年が経過した今、1ドルは260,000ボリバルを超えて通貨ボリバルは暴落してしまっている。昨年のインフレ率は2600%。食料や医薬品は不足したままである。

規定で保障されている最低給与は800,000ボリバル。即ち、3ドルの価値しかならない。3ドルで買える食品と言えば、卵12個と1キロの熟成し切って固くなっているチーズだけだという。ベネズエラの全国民が貧困に喘いでいるのである。

ベネズエラのハイパーインフレの推移を理解するのに、アルゼンチン紙『iProfesional』は首都カラカスのカフェテリアでのカフェオレの価格を例に挙げている。

2016年9月に450ボリバルであったものが、1年後には2,800ボリバル、2017年11月には5,500ボリバル、12月になると14,000ボリバル。新年は20,000ボリバルで迎えたという。2月は45,000ボリバルから50,000ボリバルに上昇。カフェテリアによっては、スプーン1杯の砂糖まで1,000ボリバルという値段がついているという。現時点のカフェオレの価格50,000ボリバルをドルに換算すれば1.92ドル程度にしかならない。価格は毎月80%とか90%といったレベルで上昇している。

最も高額な紙幣は100,000ボリバルで、ドル換算で0.38ドルである。この高額紙幣の前に20,000ボリバル紙幣がある。

レギュラーガソリンは僅か6ボリバル。1杯のカフェオレで8,333リットルのガソリンを手に入れることが出来ることになる。

新聞紙も不足して電子紙が急増しているベネズエラで、その一紙『la patilla』2月10日付で、ベネズエラのサラリーマンは手取り給与の62%が30個の卵を購入できる価値でしかない、と述べて、事態の深刻さを報じている。

ベネズエラの危機はラテンアメリカ全域にも影響を与えている。それだけ、ベネズエラ危機に関しての報道はラテンアメリカ諸国でも頻繁になっている。アルゼンチン代表紙『Clarin』は2月10日付で、カラカスから僅か40㎞しか離れていない町トゥルグアで5年前から教師として勤めているモレルバ・レオンさんの生活を報じた。

彼女は当初教師の助手という役目で赴任した。そこで彼女が目撃したのは、経済危機が影響して悲惨な窮状に追い込まれた町民の姿であったという。彼女もその犠牲者となってしまい、最近は2日間は食べる物はなく、砂糖を少し入れた水を飲むだけの生活を余儀なくさせられているという。貰っている給料では毎日の食料が買えないからだとという。しかも、生徒を教えなければならないので、毎日買い物で長蛇の列に並んで長時間順番を待つことはできない。木曜は小麦粉を手に入れたが、金曜は彼女が買い物ができる日ではないという。次に買い物ができるのは火曜日。2週間ごとに給与として268ボリバルを受け取るそうだが、これで買えるのは半ダースの卵、ジャガイモ4個、バナナ4本。今、学校までの通行券が切れているので往復に15ボリバルを払っているという。

日よっては他の人からの支援に依存する時もあり、彼女が食べ物が不足しているのを知った事務局長から半キロのトウモロコシ粉を数日前に貰ったそうだ。

この危機で多くの教師が学校を去っている。しかし、彼女はこの危機とは全く関係の生徒たちを指導することに生きがいを新ためて感じているという。そして、今こどもたちに必要なのは100%の愛情だ、と語った。

モレルバ・レオンさんが教師として留まっている一方で、ベネズエラからコロンビア或いはベネズエラからブラジルへの移民は絶えることなく続いている。特に、ベネズエラのサンアントニオ市からコロンビアのククタ市を繋ぐシモン・ボリバル橋を現在37,000人が毎日ベネズエラからのコロンビアに入国している。昨年12月だけで100万人がこの橋を通行したそうだ。

事態の深刻さを見た、コロンビアのサントス大統領は国境のコントロールと警備に2,200人の警官を増員。また、つい最近からパスポートを所持していないベネズエラ人はコロンビアへの入国を許可しないということにしたそうだ。

まだコロンビアへの入国を果たしていないベネズエラ人の間では今後コロンビアへの入国が厳しくなることを懸念している。なぜなら、現状のベネズエラの官庁からはパスポートを発給を受けることは殆ど困難な状態になっているからである。

ベネズエラの危機をより早く察知して外国に移住したベネズエラ移民の間でも問題が発生している。例えば、スペインに移住しているベネズエラ人に対し、ベネズエラから年金が支給されなくなっているのである。2年ほど前からベネズエラ政府は外国に移住しているベネズエラ人に対し年金の支給をストップさせた。

しかも、仮に支給を受けたとしても下落を続けているボリバル通貨では平均してユーロ換算でひと月8ユーロ(1080円)という僅かの年金しか受けられないことになっているのである。この金額ではスペインでの生活は全くできない額である。

この被害を受けているスペイン在住のベネズエラ人は凡そ13,000人いるという。つい最近、アストゥリア地方に住んでいたベネズエラの女性が生活苦に悩んで自殺した。

移住者のあいだで支援組織を作ってスペインの自治州などへの支援を懇願している。

2月初旬に米ティラーソン国務長官がメキシコ、アルゼンチン、ペルー、コロンビア訪問した。訪問先の大統領そして外相と会談を持った。その中心テーマはベネズエラ問題だとメディアの誰もが推察している。

武力行使には各国首脳は反対している。特に、コロンビアには米軍基地が7カ所もあり、ベネズエラにコロンビアから米軍を即座に派遣してマドゥロ政権の打倒に動くことも可能とされている。しかし、コロンビアのサントス大統領は武力行使には反対している。今後もラテンアメリカ諸国と米国などで協力して経済封鎖を続けるなどしてマドゥロ政権を窮地に追い込むか、あるいはベネズエラ内部で軍事クーデターを起こさせるといった手段を検討するしかないようである。

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