素朴な疑問。なぜ佐川元長官は逮捕されないのか?

理財局長当時の佐川氏(衆議院インターネット中継より:編集部)

憲法50条では、国会議員は原則として国会の会期中は逮捕されないと明記されている。
これは、国家権力による議会への不当な介入を防ぐためだ。

昨今、世間を騒がせている公文書書き換え問題の、現段階での主犯格と目される佐川元国税庁長官は国会議員ではない。
したがって、われわれ一般国民同様、不逮捕特権などない。

にもかかわらず、逮捕も拘留もされていない。

公文書変造(正犯、共犯)の容疑があれば、口裏合わせなどによる罪証隠滅を防ぐために一刻も早く身柄を拘束するのが原則だろう。
証拠収集のために、近畿財務局や財務省の捜索・差押えもすべきだろう。

逃亡及び罪証隠滅の恐れがなくとも身柄拘束して、厳しく取り調べて自白をとっているのが警察や検察の実情だとすれば、さっさと身柄拘束して自白させれば済むことだと考えるのは浅はかな考えなのだろうか?

それとも、元官僚幹部には不逮捕特権があり、役所は捜索差押えが出来ないという不文律でもあるのだろうか?
犯罪の嫌疑があれば、逮捕・拘留、捜索差押え等の強制捜査をするのが刑事訴訟法の大原則だ。

国会は捜査の場ではないし、ましてやパフォーマンスの場ではない。
野党も捜査の結果を踏まえて政治問題を追及すればいいのではなかろうか?

もとより、警察庁も検察庁も行政機関であり内閣の指揮下にある。

しかし、佐川氏の逮捕や財務省の捜索を阻止したら、国民の内閣に対する不満は爆発するはずだ。
事実上阻止することは不可能といえる。

警察と検察が“忖度”しているとしたら、憲法14条の保障した法の下の平等をないがしろにするものだ。

はるかに社会的影響の少ない犯罪で、日々、一般人は逮捕・拘留されている。
与党議員はともかくとして、野党から捜査機関の発動を促す声が出ないのは個人的にはとても不思議に思える。

犯罪行為を捜査機関に委ね、事件の迅速かつ徹底的に解明を求めるのが野党として取るべき方途ではないか?
よもや、野党の政治家諸氏まで“忖度”している訳ではないだろうに…。


編集部より:このブログは弁護士、荘司雅彦氏のブログ「荘司雅彦の最終弁論」2018年3月21日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は荘司氏のブログをご覧ください。