危険水位に向かう韓国の安保

2018年09月25日 11:30

スターリン、毛沢東の独裁政権は権力争奪戦で大量虐殺を犯した共通点がある。金正恩3代世襲・長期独裁政権も叔父、兄、側近140人以上を殺した。

今回の南北首脳会談はこのような独裁者と偽装平和ショーを演出しながら、韓国の武装解除を招いたという否定的な見方が多い。

韓国大統領府Facebook:編集部

北朝鮮は今回、ウラン濃縮核に全然言及しておらず移動式弾道ミサイルについても言及しなかった。従って、米韓を騙すためのその場しのぎのショーであり見せ掛けの非核化意志ではないか、と疑われている。

さらに、南北軍事合意書で休戦ライン(軍事境界線)一帯と黄海上で南北を分かつ北方限界線(NLL)以南50㌔の領海と領空で武装訓練を禁止したのは武装解除に等しい。特に、首脳会談に太極旗(韓国国旗)を掲揚しなかったのは韓国の主権放棄である。

放送局の世論調査では国民の82%が南北首脳会談を歓迎すると報道したが信頼性に欠ける。労働組合に乗っ取られた韓国メディアは事実歪曲報道でテレビ視聴率が2%まで下がった。視聴者の大部分がインターネットのユーチューブやSNS情報だけを信頼する。

北朝鮮が朝鮮戦争の終戦宣言にこだわる理由は、在韓米軍を撤退させたいからだろう。ちなみに、米シンクタンク戦略国際問題研究所(CSIS)のビクター・チャ研究員・韓国部長は「休戦ライン以北の北朝鮮軍の長射程砲と放射砲の撤去が終戦宣言の条件に望ましい」と指摘している。

文在寅政権は原子力発電を停止し、全国の森林を伐採して太陽光パネルを設置するなど経済政策は大失敗した。失業率が上昇し自営業者の倒産が相次ぐ中で、支持率を上げるために平壌訪問を急いだ。文政権の支持率は9月上旬のギャラップ調査で就任後初めて40%台に落ち込んだが、8月に雇用など最悪の経済統計が発表されると、月末に統計庁のトップを更迭した前例に照らして見れば、実際の支持率は20%以下かもしれない。

北朝鮮は「米国と国際社会の圧力と制裁から抜け出したい」「韓国から経済支援を受け厳しい経済難を乗り越えたい」「核は放棄しない」それが本音である。

北朝鮮は25年間も〔挑発→緊張→対話再開→対話決裂→緊張〕の悪循環プロセスを繰り返してきた。その前例に照らして見れば今後も悪循環が繰り返される可能性を否定することはできない。

東西ドイツは相互戦争がなかった故、無血統一が出来たが、南北には余りにも深い戦争の傷跡が残っている。北朝鮮の偽装平和攻勢によって韓国の安保は危険水位に向かっている。韓国が核を持つ北朝鮮に飲み込まれる危険性すら否定できない状況だ。

(拓殖大学主任研究員・韓国統一振興院専任教授、元国防省専門委員・北朝鮮分析官)

※本稿は『世界日報』に掲載したコラムを筆者が加筆したものです。

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高 永喆
拓殖大学客員研究員、韓国統一振興院専任教授、元韓国国防省北朝鮮分析官

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