コンビニは衰退するのか?

日本の消費を支えてきたコンビニエンスストア。最近、競合する業態が増え、その存亡すら指摘されるようになっています。ずばり、コンビニは生き残れるのでしょうか?

写真AC:編集部

このままであれば個人的には衰退すると考えています。ずばり、これから20年程度で半分ぐらいまで減ってもおかしくない、そんな気がします。

2018年末でセブンイレブンは20700店、15700店のファミマ、14500店のローソンも店舗数を増やし、3強の支配関係は変わりません。ところが日経の記事を見る限り、売り上げや来店者数だけ見ると2012年を境に成長はほぼ止まってしまっています。既存店売り上げについては同年を境にほぼ前年比プラスとマイナスの境を行き来しており、伸びは完全に止まっています。客数に至っては2015年に一度だけプラスになっていますが、あとはずっとマイナス。つまり、来店者数が減っている中で客単価を増やすことでどうにか、つじつまを合わせている構図が見えています。

コンビニの歴史については今更語る必要はないと思いますが、鈴木敏文氏がアメリカのガソリンスタンドで見つけたコンビニをイトーヨーカ堂のオーナーであり自分のボスである伊藤雅俊氏を口説き、アメリカのサウスランド社も説得しライセンス契約を取り付けたのが始まりでした。そのセブン1号店が出来たのが74年です。ただ、セブンが日本のコンビニの幕開けというわけではなく、62年に鉄道弘済会が多治見にそれらしきものを開店し、69年には大阪の豊中にできたマイショップがコンビニの原型とも言われています。いずれにせよ、開花したのは70年代です。

コンビニ世代と言われるのは多分、今の50代から30代まででしょう。コンビニと共に育ったという意味で近親感が非常に強く、強力なビジネスサポーターとなります。私がここでどれだけ否定的なことを書いても行く人は行き続けるはずです。それはその世代の人の行動規範に刷り込まれているからであります。

このコンビニはその字の通り、便利さを謳ったものであります。そばにある、いつでもやっている、何でもそろっている、公共料金からコンサートのチケット、宅急便、さらにはATMまでなんでもござれ、という点が受けに受けたわけです。

しかし、私が衰退するだろうと想定しているその理由はそれらの便利さはもう何処でも代替されつつあること、また、コンビニの弱点である価格競争力がないこと、商品が売れ筋ばかりで店舗づくりが楽しくないなどの点であります。

事実、日経によると利用客の年齢層のうち、20代以下は2011年の23%から17年には14%に下がっていると指摘しています。この下がり具合は半端ではありません。言い換えれば若い世代ではコンビニにほぼ魅力を感じていないことを強く示唆しています。

ビジネスは巡ると言います。コンビニの主たるサポーターは40代を中心とした層。同じようなことはフェイスブックでもいえます。若い人たちはフェイスブックをしない人が多く、逆にフェイスブックやっているというだけで30代から50代とばれてしまいます。クレジットカードや商店のポイントカード世代も40-50代で古いマーケティングの縛りに今でも愛着を感じてしまっています。

ではこれからの時代は何が起きるのでしょうか?

私のズバリ予想です。料理をしなくなる時代、これが世の中の前提になるとみています。ただでさえ狭い家なのにスペースをとるキッチンがなぜ必要なのでしょうか?少人数家族で野菜や肉を買っても消費できないし、いろいろなものを食べたいという欲求は満たせません。カレーを大量に作って冷凍庫に入れるなんてそんな我慢のような生活はイケてません。

よって世の中の日常消費活動が完全に変わるとみています。スーパーマーケットの野菜売り場も小さくなります。「へぇ、君、料理できるんだ。すごいねぇ。」というのが会話になります。(今でも既にそうなりつつありますが。)

コンビニはその食生活を支える業態に変わってくるとみています。弁当屋ではなく、イートインでもない新たな業種だと思います。ヒントはウーバーイーツの普及にあるとみています。(個人的にすでにイメージはありますが、ここでは答えは伏せておきます。)

コンビニが頭打ちだと感じてどれだけ業態変更ができるか、これがキーになってくるでしょう。3強はガタイが大きくなり、業態変更は容易ではなく、リスクも大きくなります。経営者は岐路に立たされつつあるとみています。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2019年1月22日の記事より転載させていただきました。