シルバー民主主義?さて、みんなで選挙に行こう!

Photos by K.Bito

最近、メディアへの露出が少なくなった小池百合子都知事。しかし、数年前まで政治の中心にいたことは間違いありません。

前回の都知事選挙では、小池氏が291万2628票(44.49%)を獲得し、自民・公明などが公認する増田寛也氏や、民進・共産・社民などが公認する鳥越俊太郎氏らを退け、女性として初めて東京都知事に就任します。

有権者は小池氏の一挙手一投足に酔いしれました。では、人びとは小池氏のどこに酔いしれたのでしょうか?私は、その1つが「倒置法」ではないかと考えています。

倒置法とは、語や文節を、普通の順序とは逆にする表現法のことです。論調に濃淡をつける効果があります。たとえば、単純なものとしては「早く行こうよ」を倒置法を使って言うと、「行こうよ、早く」になります。あるいは、「今日はいい天気だね」は「いい天気だね、今日は」になります。

○膨れあがるオリンピック予算。1兆、2兆、3兆って、豆腐じゃないんですから!
○見てください、この資料。ほとんど真っ黒に塗られて、のり弁じゃないんです!

小池氏ほど倒置法を効果的に使った政治家はいません。相手を追及する強い論調から異質なものに話を変化させ緊張感を和らげているのです。はかにも、元外務大臣の田中真紀子氏は、倒置法とは異なりますが、話を和らげる演説に特徴がありました。

○「もなか」だか「おなか」だか(野中広務氏に対して)
○「ジジ公(自自公)だかババ公だか」(自民・自由・公明の連立内閣を指して)

この倒置法は、私たちが仕事で使うことができます。たとえば、仕事で話す相手がプロ野球チーム「読売ジャイアンツ」のファンだったとしましょう。次のように話すのです。

【倒置法のケースA】
自分「よかったですね!」
相手「ん?……」
自分「ジャイアンツが勝って!」
相手「あー、そうですね(笑)」

【倒置法のケースB】
自分「すごいですね!」
相手「ん?……」
自分「原監督の采配的中でしたね!」
相手「あー、そうですね(笑)」

【倒置法のケースC】
自分「やりましたね!」
相手「ん?……」
自分「菅野の奪三振ショーにはしびれました!」
相手「あー、そうですね(笑)」

もちろん、野球以外でも使えます。相手は「そうですね」としか答えようがありません。肯定的な言葉「そうですね」を引き出せるのですから、効果があると言っても間違いはないでしょう。とはいえ、物事には程度というものがありますので留意のほど。

さて、7月21日は参議院選挙の投票日です。選挙は、投票行動だけではなく社会や政治へ参加するよい機会になります。全国的に天気予報は雨ですが、お出かけ前でも、後でも投票に行きましょう。投票は午後8時までです。

尾藤 克之(コラムニスト、明治大学サービス創新研究所研究員)
14冊目となる著書『3行で人を動かす文章術』(WAVE出版)を上梓しました。