コンビニ最大手のセブン‐イレブンが、スマートフォンで支払いができる独自の決済サービスを来年春をめどに導入することになったそうである(NHK)。
スマホを使った独自の決済サービスには、たとえば「Google Pay」、「Apple Pay」、「楽天ペイ」、「LINE Pay」、「モバイルSuica」などがある。しかし、現状ではスマホを使っての決済は特に日本ではそれほど普及してはいない。
NHKニュースでは「コンビニ最大手のセブン‐イレブンで、スマホを使った決済が本格的に導入されることで、キャッシュレスの動きが加速しそう」と指摘していたが、またひとつ新たなスマホ決済が増えるだけのような気がする。これがnanacoカードのように使えるところが限られものであれば、幅広く普及することは考えづらい。すでにnanacoカードを保有している人が、スマホの決済に買えるインセンティブもあまりない。
スマホの決済を日本で普及させるには、現金のようにいつでもどこでも手軽に使えるものでなければならない。日本での現金主義の背景はいろいろと指摘されているが、安全性や流動性、治安の良さなどに加えて、ATMで現金が引き出せる利便性なども影響している。
日本人にはスマホで決済する事に対しての壁みたいなものも存在している面もあるのではなかろうか。クレジットカードの普及によってカードに対する信頼性は多くの人が持っているとみられ、小銭入れにはクレジットカードだけでなく、多種多様なカードが入っている。しかし、それをスマホのアプリに置き換える人はそれほど多くはないのではなかろうか。
スマホ決済に対する信頼度を現金利用のように高め、普及を促すには、それを使っても安心であり、特定の場所ではなく、日本全国いたるところで使えるものにしなければならない。ポイントなども大事かもしれないが、それは上記のようなセブンーイレブンのサービスの利用などにまかせて、普及させるためのスマホ決済サービスは、ほぼ現金と同じ利用とすべきである。それには利用者とともに店舗などでの手数料もかなり抑える必要がある。日銀券の利用に対して日銀は特に手数料などは徴収はしていない(ATM利用の場合に手数料は発生するケースはあるが)。
そうであれば、メガバンク主導のモバイル決済の規格統一のほうが期待は持てるように思われる。日本ではデビットカードの利用はあまり普及していない。これは少額取引は現金かプリペイドカード、高額取引はクレジットカードを利用することで、デビットカードの出る幕がなかったためとみられる。
スマホで自分の口座の現金を直接利用して決済する方式で、利用できる箇所が少なくともクレジットカードが利用できるところ程度は存在し、決済に対する時間がクレジットカード程度かそれ以下で、店側としての費用負担も極めて低いとなれば、スマホでの決済が国内でも普及する可能性はある。ただし、その普及にはスマホでの決済への信用度を高める工夫も求められるかもしれない。
編集部より:この記事は、久保田博幸氏のブログ「牛さん熊さんブログ」2018年4月11日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。