米大統領選討論は引き分けでもトランプの自信喪失は深刻

米国大統領選挙の討論会とその影響についての私の感想である。

議論としてトランプとハリスとどっちが勝ったかは、なんともいえない。かみ合っていないのだから判断が難しい。しいていえば、トランプのほうが核心を突いていたと思うが、言うことに誤りが多過ぎで説得力を減じていた。

ペットの犬や猫を食べているとか愚かなことを言っていたのは、いつものことでご愛敬だが、スタッフが用意していたと言われる鋭い質問や指摘を言うのを忘れてしまった、あるいは、いうチャンスを逃してしまった感がある。

みかけもトランプは機嫌が悪そうで、ハリスははつらつとしていた。かつて、ニクソン対ケネディの討論会でも、あとでテープ起こししたらニクソンが論戦として勝っていたと言われていたが、要は印象だ。

だが問題は、このテレビ討論について、事前の予想ではトランプ優勢と見る人もほうが多かった。あるいは、ハリスが自爆するのでないかという可能性も感じていた。

ところが、結果は予想されていた展開のなかで、最大限にハリスは「予想よりベター」であり、トランプは「冴えなかった」。

そこでハリス陣営は「よかった。安心した」であって、トランプ陣営は「がっかり。トランプさん、どうしちゃったの」という失望感が大きい。

トランプ大統領インスタグラムより

その反映として劇的ではないが、ハリス支持が増えるだろうし失速への心配はかなり減った。

こうなったら、トランプは第二回目の討論を、フォックス・テレビあたりでやるように提案すべきなのになぜか逃げている。よほど自信喪失したのだろうか。

これまで私は、得票数ではややハリス優勢、選挙人数ではややトランプ優勢とみていたが、現時点では、ややハリス優勢だと思う。だいたいハリス55%、トランプ45%か。

この結果は、自民党総裁選挙にも影響する。小泉と石破にとってはハリスのほうが都合良い。髙市はトランプに対しては存外うまくかもといった感じだが、ハリスの場合は相当難点がある。そのへんは、また、改めて論じたい。


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