いい機会だ。民主党の代表選でしっかり議論して欲しい。- 大西宏

2010年08月30日 15:49

民主党の代表戦に小沢元幹事長が出馬の意志を固めたことで、代表選をめぐって、連日マスコミが賑わっています。この代表選で、創造的で活発な議論が起こってくるのか、逆に単なる権力闘争に終わってしまうのかが気になるところですが、残念なことに、マスコミでは、そこに登場してくる論客の人たちからも、批判がでることはあっても、日本の今後について、なにを焦点として論議すべきなのかの明確な示唆も乏しく、また核心にむけて議論をリードしようということにも欠けているのようで残念です。批判するだけなら、もう耳にタコができており、ますます関心が薄れてしまいます。


現在の複雑骨折してしまっている日本にとっては、なにがいったい本質的な問題であり、なにに焦点を当てて問題を解決しなければならないかの国民的コンセンサスをつくることが最も重要なのではないでしょうか。
でなければ、人気取りの政策や一時しのぎの財政出動が繰り返されてしまいます。それで経済が良くなったことはありません。むしろそんな垢が溜まりに溜まって、経済の活力が損なわれてきました。

円高や株安への対処能力や、マニフェストをどの程度実現するのか、景気対策を優先するのか、財政再建を優先するのか、どちらなのか、また福祉の財源として、消費税をどうするのかに議論が集まってきているように感じますが、なにか議論する的が違うのではないかという気がします。
消費税にしても、ほんとうに消費税がいいのか、眠っている預貯金を活用し、世代間格差を是正するのなら、預貯金税という方法もあります。

焦点は、日本の経済や産業の活性化をどう図るのか、停滞した日本の産業や経済をとう立て直すのかのグランドデザインやそれを実現する具体策にあるのではないでしょうか。

企業優先か、国民暮しが優先かという議論がありますが、経済が豊かでなければ豊かな国民生活も実現できません。問題は日本の産業の活力が落ち、そのために、所得も伸びなくなり、税収も当然落ちてきたのです。企業も国民も政府も地方自治体も、総貧乏化してきてしまっていることです。

産業や経済の活性化と高い生産性が保ててこそ、国民の所得も向上し、安定し、安心出来る社会づくりも可能になります。財源があってはじめて、高い福祉水準も教育水準も、医療水準も保てます。まして、日本は資源もなく、世界における日本の存在価値を自らの手で創造し続けならない、つまり高い国際競争力を保ち続けなければ経済が成り立たないという宿命を背負った国です。

その逆もいえます。モノの品質だけでなく、どれだけ技術やサービスのイノベーションを起こし、あるいはビジネスのしくみやマーケティングでどれだけ差別化し、付加価値を生み出せるのかに世界の競争の焦点は移ってきました。「超工業化社会」へ時代はシフトしたのです。そんな付加価値を生み出すのは人材以外ありません。

そして付加価値や競争力をつくる人材は、安定し、安心出来る社会基盤があってはじめて生まれてきます。また高い教育水準が維持され、人々に投資してこそ、知恵を生み出せる人材が育ってきます。

その両輪をどううまく回すのかが、政治に問われていることではないでしょうか。それが欠け、ひたすら、経済効果のない公共事業に税金を投入してきたツケがいま来ているのです。

さて、産業や経済の活性化ということでは、日本は長い間停滞してきました。GDPが伸びなくなったばかりか、企業の収益も長期にわたって低下しつづけてきました。かつては、世界のトップを走っていた家電も、今やアップルの営業利益の27%は格別だとしても、サムスンの営業利益の8%にたいして、日本の大手家電メーカーで、3%を超えている企業はありません。稼げなくなったのです。

しかし、それは家電に限ったことではなく、日本の多くの産業が、時代の変化を取り込めず、成熟し、収益力を落としてきました。

この時代の大きな成長エンジンである情報通信技術の取り組みも世界から立ち遅れ、新しい時代にむけたビジネスへの転換もできなかったのです。

まだ活力のある企業が残っているうちに、まずは、日本の産業や経済が背負ってきたさまざまな障害を取り除かなければなりません。焦点は、どうすれば、より付加価値の高いビジネスに移行し、生産性の高い産業を育て、蓄積出来るのかです。

これはこのアゴラでは多くの人たちが議論してきたことです。本質は、産業や人材の流動化をダイナミックに促すことができるかでしょう。付加価値が高く、世界市場で競争力のある産業が育てば、周辺の産業も育ち、おのずと国内の雇用も増えます。

またグローバルな市場で今健闘していて今後も成長力を持っている産業をさらに伸ばすとうこともできます。強いところをさらに伸ばすという方法で、それは、貿易や資本の自由化の促進です。

生産拠点が海外に移転するのは、円高や法人税だけの問題ではありません。関税がかかるのか、かからないのかの問題が大きいのです。関税のかからないアセアンには、生産拠点がどんどん集積されてきています。貿易立国である日本が、FTAの締結が滞っているのは、ほんとうに不思議なことです。

日経に、FTAで日本が韓国立ち遅れ、日本はシェア失う恐れがあるという記事を載せていますが、もうとっくにシェアを失ってきたというのが現実ではないかと思います。。
FTA、先行く韓国 遅れる日本 シェア失う恐れ

互いに得意としていた情報家電で、日本は、国際競争で負け始め、海外でシェアを落とし続けてきました。韓国は米国、EUと自由貿易協定を締結し、さらに優位な状況をつくりだしています。

日本の家電売場で、携帯は別として、最近、韓国製品が以前ほどは、目立たなってきているのにお気づきでしょうか。

韓国は米国、EUとの間に自由貿易協定をむすんだために、関税障壁がなくなり、米国やEUにまたこれから市場が伸びる途上国にマーケティングの重点をシフトしてきました。関税がかかり、さらに厳しい価格競争にさらされる日本市場を相手にしなくなったのです

日本は、一票の格差が大きく、農村票をとったほうが有利なので、どうしても農業保護に偏っていくのでしょうか。

日本には、まだ再生する潜在力が残っていると思いますが、時間のゆとりはありません。どんどん国際競争力が落ちてきているからで、財政問題よりもそちらのほうが問題の根は深いと思います。

日本をどう再生するか、菅さんにしても、小沢さんにしても、あるいは野党でも、その道筋をしっかり描ければ、きっと国民の支持は集まります。まだどの政党からも、納得出来る道筋が提示されない限り、安定性権が生まれてこないのではないかと思えてなりません。

株式会社コア・コンセプト研究所
大西 宏

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大西 宏
株式会社ビジネスラボ代表

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