中東動乱の背景

2011年03月04日 14:13

中東でも強面の独裁国家と一目置かれる、シリアの首都ダマスカスで、数百人の女性による物価高騰を非難するデモが行われた

女性が自由に街に外出する事すらまゝならない中東での出来事である。食料品が値上がりして、食えなくなってきているに違いない。

チュニジアから始まったジャスミン革命や、ムバラク大統領を退陣に追い込んだエジプトの動乱も、理由は単純ではないものの矢張り食料品の価格が高騰して、食えなくなった貧困層の反政府運動の果たした役割は小さくなかったはずだ。

多くの血が流されたチベット動乱も、反政府運動と言うよりも雪解け水が溢れ、交通が遮断され結果食料品不足が招いたものと聞いている。

どうも古今東西、食えなくなると言う恐怖は民衆を突き動かし、とんでもないエネルギーに成るようだ。

何故食糧価格が高騰するかに就いては幾つかの理由が説明されているが、投機資金の市場への流入がA級戦犯ではないだろうか?

泥沼化するリビア内戦を理由に石油価格は暴騰を続けている。最近アラブ連盟がリビア関連で珍しく足並みを揃えたコメントを発表した事を好感して、一時的には落ち着きを見せているものの、このまま価格が安定すると予測する業界関係者は少ない

飽く迄推測であるが、サウジやサウジに雁行する湾岸の産油国はさぞかし濡れ手に粟で笑いが止まらない事であろう。何しろ石油の価格暴騰で巨万の富を得、その資金を穀物市場の投機で運用し更に天文学的な利益を得ている訳だ。「市場はレバレッジ」を正しく実践し成功している訳だ。

問題はこの影の部分で、本来同じアラブの同胞であるべき非産油国の貧困層が、食料品の暴騰で飢餓に瀕しているのではとの危惧である。

市場経済を否定する積りは全くないが、中東の動乱を鎮静化する為には、一度「アラブの大義」の原点に立ち返り、産油国が享受する利益の一部を非産油国に還元し、この資金で食糧価格を安定化し貧困層を飢餓の恐怖から救済する仕組みの構築が必要だと痛感する。

山口 巌

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