朝鮮半島情勢とは?

2011年12月20日 15:42

北朝鮮の悪名高き独裁者、金正日が死んで一日が経った。日本では何事もなかったかの様に、普通の一日が始まり、日経平均も上げて始まっている

そして、今朝のBBCは何時もの如く、淡々と独裁者の死に対する世界の対応を紹介している。


眼につく箇所は、ざっとこんな所であろうか。

Pyongyang’s neighbours are on alert fearing instability in the poor and isolated nuclear-armed nation.
北朝鮮に隣接する国々は、この貧しく、孤立した核武装国の不安定化に対し警戒を強めている。

ちなみに、私は北朝鮮を、人材も含めて全ての国家経営資源を、武力により隣国を脅し、恐喝し、金を巻き上げる事に傾斜した世界の歴史に類を見ない、卑劣で醜悪な国家と理解している。

China – North Korea’s closest ally and biggest trading partner – expressed shock at the news of his death and pledged to continue making “active contributions to peace and stability on the Korean peninsula and in this region”.
北朝鮮に取って、最も緊密にして最大の貿易相手国である中国は、死に接し驚きを表すと共に、朝鮮半島と、この地域の平和と安定維持の為に、今後共積極的に関与する事を確約している。

After meeting her Japanese counterpart Koichiro Gemba, US Secretary of State Hillary Clinton said she hoped for a stable and peaceful transition in North Korea.”We reiterate our hope for improved relations with the people of North Korea and remain deeply concerned about their well-being,” she said.
玄葉大臣との会議の後、米、国務長官Hillary Clintonは、「北朝鮮に於ける安定且つ平和的、権力の移行を期待する。そして、何度でも繰り返すが、アメリカは北朝鮮国民との関係改善を希望し、北朝鮮国民の安寧に深く心を砕くものである」とコメントしている。

私は、この記事内容を現在の朝鮮半島に関与する国の、目下の状況から判断して、額面通り受け取って構わないと考えている。露骨に言えば、各国は、現状維持で良いと考えている言う事である。

ロシアに関する記述が全くないのが興味深い。ロシアは六か国会議の参加国であるが、これは最早レガシーと言う事であろう。書かれていない事が結構多くを表している事もあるものである。

余談であるが、佐藤氏が有能な外交官であった事はつとに有名であるが、この記事の如く、ロシアを基軸に朝鮮半島の情勢を語るのは、些か無理がある様に思える。

気の早い識者、論者の中には、南(人口四千八百万人)、北(人口二千三百万人)が統一して、突如として人口七千万人の大国が東アジアに誕生と囃す人もいる。

私は、1991年から六年間、商社マンとして韓国市場を担当し、ブームの頃は、ほぼ毎週当時の駐在地大阪から、韓国への出張を繰り返した。月曜日の午後に伊丹空港を出発して金曜日の午後に帰国する様な生活である。

現地で、多くの韓国人経営者や大手企業幹部と面談したが、誰も北との統一の可能性を心配こそすれ、期待していなかった。統一すれば、実質不要債権でしかない、北の人口二千三百万人を引き受けねばならない。韓国経済は確実に破綻すると言うのである。

従って、南北統一は美しい政治的スローガンではあっても、決して実現する事は無いと思っている。何しろ、当事者の韓国を含め、中国そしてアメリカも望んではいない。

それでは、金正日の死に起因するリスクとは一体何であろうか?

権力移行時に国家統治が一時的に弱まり、突発的な事件が起こり、アラブの春の如く一気に拡大する事態と思う。具体的には、永らく飢えに耐えた国民が鴨緑江を渡って中国に逃げるとか、或いは、38度線を南に向かって逃げて来ると言う展開である。

38度線で言えば、当然、北朝鮮軍は体制維持の為に、自国民の背中に機関銃の砲弾を浴びせる事になるが、これを、指を咥えて座視して良いのかと言う極めて厳しい選択に韓国は迫られる事になる。

日本は如何に対応すべきであろうか?

北朝鮮の最大リスクは、飢えた国民の国外脱出であると思う。従って、中国、韓国に協力しての北朝鮮の食糧事情をモニターしながらの食糧援助は有力な予防策となる筈である。日本も応分の協力はするべきと考える。

しかしながら、食糧援助により一息付いた北朝鮮が、ミサイルや核開発に前のめりになられては、何をしている事か判らない。拉致問題を抱える日本としては、食糧援助と引き換えにミサイルや核開発の廃棄と拉致問題解決を目指すべきである。

中、長期的には対韓関係の正常化を図るべきと考える。太平洋戦争が終結して既に66年が経過している。日本が朝鮮半島を統治した期間は38年であるから、既に期間が2倍近くになろうとしている。それにも拘わらず、相変わらず韓国の大統領がしゃしゃり出て来て慰安婦問題をネタに日本に強請、集りを繰り返すと言うのは異常な状況と言わざるを得ない。

この背景にあるものは、韓国の誤った歴史認識とそれを正そうとしない日本政府の姿勢にあると思う。日韓の将来を真面目に考えるのであれば、日本政府は韓国政府に対しはっきりものを言うべきと思う。

先ず、第一は、朝鮮半島が日本の植民地になったのは、力の空白に対し欧米列強が殺到し自国の植民地にした時代であると言う冷徹な事実である。

日本はロシアの野心に戦いをもって挑み勝利し、独立を守った。一方、彼らは指を咥えて座視するだけであった。トルコや北欧を初め世界は日本を賞讃したが、彼らはその怠惰故、歴史の闇の中に放置された。

次は、太平洋戦争後の韓国独立の経緯である。このブログが説明する通り、韓国は抗日戦争の結果として1945年8月15日に独立した訳ではないのである。日本の敗戦により、アメリカの統治下に組み込まれ3年後に漸く独立を果たした訳である。

更に韓国が隠したがるのが、下記事実である。

昭和20年8月15日、日本の終戦に伴い、当時の朝鮮総督、阿部信行陸軍大将と朝鮮軍司令官上月良夫陸軍中将の二人が、朝鮮総督府から日章旗(日の丸)を下ろし、太極旗(現・韓国国旗)を掲揚させると共に、朝鮮建国準備委員会を結成させ、朝鮮に自治権を付与しました。つまり、終戦の日、朝鮮は「自治権」を獲得したのであって、決して日本から「独立」したのではないのです。しかしその自治権も、同年9月8日、米軍が南朝鮮(後の韓国)に進駐してくると解消されてしまいます。進駐してきた米軍は、ソウルの空にはためいていた太極旗を引きずり下ろし、再び日章旗を掲揚させたのです。つまりアメリカは、朝鮮をあくまでも「日本の一部」として扱った訳で、その「日本の一部」である朝鮮が、やれ「自治権」だの、やれ「独立」等とは以ての外というわけです。

終戦の時点で、アメリカは韓国の統治能力など全く認めておらず、アメリカの軍政下に入る移行期間は敵国日本軍に暫定的に統治を委託したのである。

三番目は、韓国初代大統領李承晩の再評価である。

日本が自国領土とする竹島(韓国名は独島)を、韓国が自国の領土と主張して武力占拠、日本海上に一方的に李承晩ラインを設定し、この線を越えて操業する日本漁船を拿捕し乗員を抑留・殺害してきた。この時代には、第一大邦丸事件のように、多数の日本人が韓国人によって殺害された。1965年に国交が回復するまでに、韓国によって、日本漁船328隻が拿捕され、日本人44人が殺傷され、3929人が抑留されることとなった。

今日に至る竹島問題はこの李承晩の暴挙に起因する。

最後に李承晩の後を引き継いだ朴正煕(日本名高木正雄)大統領再評価も必要と考える。少し古い話であるが、私が会った韓国人は過去の最高の大統領として同氏を推す人が殆どであったと記憶している。

業績としては下記の通りである。

大統領に就任すると、日本を模範とした経済政策を布いた。国家主導で産業育成を図るべく、経済開発院を設立した事を皮切りに、財閥や国策企業を通じて、ベトナム戦争により得たカネとモノを重工業に重点的に投入した。これによって建設された代表的施設に、八幡製鐵所をモデルとした浦項製鉄所がある。又、「日本の経済急成長の秘密は石油化学にある」として、石油化学工場建設を急がせた。この結果、1961年には国民1人あたりの所得が僅か80ドルだったという世界最貧国圏から、1979年には1620ドルになるといったように、20年弱で国民所得を約20倍にまで跳ね上げるという「漢江の奇跡」を成し遂げた。工業化にある程度成功した頃には農業の遅れが目立つようになり、それを取り戻すべく、農業政策においてはセマウル運動を展開し、農村の近代化を果たした。また、高速道路の建設にも力を入れた。

朴大統領の功績は、勿論20年弱で国民所得を約20倍にまで跳ね上げるという「漢江の奇跡」を成し遂げた事にある。朴大統領の思想の背景は日本の陸軍士官学校時代に受けた教育であり、彼が今尚、韓国国民から尊敬されるのは、死後蓄財が全くなかった事が判明した事である。

一族の不正により、任期終了後逮捕されるのが当たり前の韓国にあっては例外中の例外である。最後に、朴大統領の有名な言葉を参照してこの記事の締めくくりとする。骨太の朴大統領に比べれば、最近の韓国大統領はポピュリズム腐敗の温床<としか見えない。 そして、日本が韓国に対し、Sugar Daddyを続ける事は決して韓国の為にもならないと思うのである。

朴は自著『国家と革命と私』で、「我が半万年の歴史は、一言で言って退嬰と粗雑と沈滞の連鎖史であった」「姑息、怠惰、安逸、日和見主義に示される小児病的な封建社会の一つの縮図に過ぎない」「わが民族史を考察してみると情けないというほかない」「われわれが真に一大民族の中興を期するなら、まずどんなことがあっても、この歴史を改新しなければならない。このあらゆる悪の倉庫のようなわが歴史は、むしろ燃やして然るべきである」と記している。さらに朴は自著『国家、民族、私』で、「四色党争、事大主義、両班の安易な無事主義な生活態度によって、後世の子孫まで悪影響を及ぼした、民族的犯罪史である」「今日の我々の生活が辛く困難に満ちているのは、さながら李朝史(韓国史)の悪遺産そのものである」「今日の若い世代は、既成世代とともに先祖たちの足跡を恨めしい眼で振り返り、軽蔑と憤怒をあわせて感じるのである」と記している。さらに朴は自著『韓民族の進むべき道』で、韓国人の「自律精神の欠如」「民族愛の欠如」「開拓精神の欠如」「退廃した国民道徳」を批判し、「民族の悪い遺産」として次の問題を挙げている。「事大主義」「怠惰と不労働所得観念」「開拓精神の欠如」「企業心の不足」「悪性利己主義」「健全な批判精神の欠如」「党派意識」「特権・エリート集団意識

山口巌 ファーイーストコンサルティングファーム代表取締役

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