三菱商事とソニーの明暗を別けたもの

2012年02月05日 09:02

ダイヤモンド・ビッグ&リード社が先週火曜日に発表した「就職先人気企業ランキング2012」を先程読んだ。

男子に限って言えば、文系は3年連続して三菱商事がトップ。理系はトップは東芝で、ソニーは何と三菱商事の後塵を拝している。

10年前であれば、文系は三菱商事、そして理系はソニーの両横綱が憧れの企業として君臨していたと記憶している。この10年一体何がこの両社の明暗を別けたと言うのであろうか?


簡単に言ってしまえば、変化に対する対応だと思う。

鍵は、.プロフィットセンターからコストセンターに転換する日本に対応出来たか、否かである。

外国から原料を輸入し、それを加工して輸出し、その利鞘で稼ぐといった従来の「通商」ありきのやり方は最早限界が来ている。

海外で事業を興し、成功させ、配当というかたちで日本に利益を還流すべきなのである。

日経新聞が報じる所では、今期の商社7社の受け取り配当金は何と1兆円を超えるとの事である。

更に、今期だけで3兆円超の海外投資を実行したとの事であるから、これが近い将来配当に直結する事になる。

商社の海外投資は、正に、「儲かる」、「配当金を再投資する」、「更に儲かる」のプラスのスパイラルを果たしたと思う。

浜岡原発停止の功罪を問うで指摘した、化石燃料の輸入増に伴う貿易赤字が1.3兆円程度なので、経常収支段階で、商社の受け取り配当金で相殺している形である。

こういう現状を見ると、日本は何時まで経っても「政治」はつくづく駄目で、「民間」が苦労して何とかやりくりしているのだと、改めて思う。

商社の中の商社である、三菱商事も大きく業態を変えている

従来は、「扱い」を増やさんが為の、国内・海外、での「投資」であったものが、より積極的に「事業」そのものに関与する様に軸足を移している。勿論、同社の潤沢な人材がこれを可能にした訳であるが。

かつての三菱商事は、資源/非資源にかかわらず、仲介(貿易)事業者として、主として取引仲介と取引先への信用供与(商社金融)を中心とした事業で収益をあげており、投資はあくまで補完的、すなわち取引拡大の助けにするという位置づけでした。いわば、あまりリスクをとらないローリスク・ローリターン型ビジネスを行ってきた訳です。

現在の三菱商事は付加価値の連鎖であるバリューチェーンを構築し、収益の最大化を目指しており、ローリスク・ローリターンの「仲介(貿易)事業者」から、リスクを管理しつつ、より高いリターンを目指す、いわば「総合事業会社」への変革を進めてきています。

さて、一方のソニーは何を誤って阿鼻叫喚な今日を迎えるに至ったのであろうか?

鍵は、.鞘取りが加速する世界経済の流れに乗れたかどうかであると思う。

結論から言って、失敗し、尻もちをついてしまったと言う所ではないか?

何もソニーに限った事ではないが、余程どうしても買いたいと思う様な商品でなければ、消費者は比較して安い単価の商品を選択する。

従って、価格競争力を維持する為、労務費や電力料金の廉価な中国の様な所に出て行き生産するしかない。しかしながら、これは諸刃の剣である。

技術を習得した現地社員は現地企業に転職し、現地の更に安価な商品が突如として眼前に立ち塞がる事となるのである。

永らく、日本企業の金城湯池であった国内市場とて例外ではない。海外調達に舵を切ったヤマダ電気、この意味するもので説明した通り、家電量販の売り場が「メイドインチャイナ」で埋め尽くされる日は近い。

「メイドインチャイナ」と競合する為には、ベトナムの様な更に人件費の廉価な所に生産拠点を移転せざるを得ないのであるが、例え成功したとしても結果中国と同じ事が起こり、「メイドインベトナム」が新たな競合相手となる。

更に、今度はミャンマーに工場を移転するか?といった話になるのであるが、この話は、コンクリートの壁に向かって壁打ちテニスをしている様なもので、永久に終わりがなく多分疲弊して、終いには足が動かなくなってしまうと思う。

ソニーに、生き残りのビジョンを感じる事が出来ないのである。

山口 巌 ファーイーストコンサルティングファーム代表取締役

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