労働契約法改正は時代に逆行

2012年08月05日 13:15

NHKに依れば、労働契約法改正案が成立との事である。

契約社員など雇用期間に限りのある人の雇用の安定を図るため、5年を超えて働いた非正規労働者が希望すれば、企業は期限のない雇用契約に切り替えなければならないとする労働契約法の改正案が参議院本会議で可決され、成立しました。


先ずは、「何の為」、「誰の為」に、今回の如く労働契約法を改正するのかが今一つ理解出来ない。

今世紀の日本の没落は不可避としても、出来るだけそのスピードを緩慢にし、少しでも繁栄の期間を長続きさせる事が肝要である。そして、その為の即効性のある施策は「労働生産性」の向上ではないのか?

言うまでも無く、「解雇規制」等も撤廃し、労働流動性を極限迄高め、人材の適材適所を徹底せねばならない。今回の労働契約法改正は、真逆の施策であり、国はあるべき日本の労働市場のイメージを誤っているとしか思えない。

一方、非正規雇用の人間に配慮した施策の如きイメージであるが、これも効果は真逆と思う。企業が新規事業に取り組む場合、「企画段階」や「準備段階」を経る事になる。

この時点では、「収穫期」、「収益化」の可能性は曖昧であり、企業からすれば、必要な人材の調達はマストとしても、短期雇用が望ましいのは当然である。

これを、企業に5年後の正社員化を無理強いすれば、結果、採用人数の極端な絞り込みや事業撤退に繋がると思う。国は「非正規雇用」の「正社員化」を意図したかも知れないが、結果は、「非正規雇用」の喪失に直結と言う、真逆の結果となる。

シャープに代表される様に、日本人の経営者が、日本に立地する工場で、終身雇用に守られた日本人労働者を雇用し、変わり映えのしない商品を製造して、会社が成り立つと言った牧歌的な時代は終焉した。

これからの企業は、「製品」であれ、「サービス」であれ、「企画」、「準備」、「収穫、収益化」、「撤退」をテンポ良く回転させて行かねばならない。

そしてこの事は、昨日の「花形部門」は今日の「斜陽部門」であり、明日には企業の組織から消滅している事を意味する。勿論、組織に働く従業員も同じ事である。

これに対応するには、世界から最適の人材をリクルートし、不要となれば解雇するしかない。

私は何も机上の空論を語っている訳では無い。最近、サイバーエージェントが反省 大量採用で組織混乱 が物議を醸したが、同社は、元々、インターネット専業広告代理店として会社のスタートを切った筈である。社員の大部分は元気の良い若手営業マンであったと推測する。

しかしながら、台頭するスマホに社運を賭け、エンジニアを大量に雇用した事が今回の背景と言うのである。IT業界はチャンスも多いが、変化も激しい。社名は10年前と同様であっても、企業ドメインは全く別物と言うのは全く驚くに値しない。

国がやるべきは、今回の如き法の改正に依り「労働市場」を固定化するのではなく、変化の激しい市場にビジネスチャンスを求め、企業ドメインの刷新も厭わない様な、若くて、エネルギッシュな企業を支援する「労働市場の流動化」の筈である。

山口 巌 ファーイーストコンサルティングファーム代表取締役

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